魔法先生ネギま -魔法嫌いの英雄譚-   作:龍牙

3 / 3
エピソード2 ~魔法嫌いと少女~

「異常だよな……やっぱり」

 

態々エターナルの姿のままで校舎を闊歩したのは色々と思惑があってのことだが、一番の理由は誰かに素顔を見られたく無い為と言う理由もある。流石に女子中の中を素顔曝して闊歩する気は無い。

 

「……相変わらず存在自体が不条理だよな……お前」

 

双麻は柵に寄り掛かりながらそれを見上げながら一人そんな事を呟く。それを根本からへし折ったらどれほど気分が良くなる事だろうか。

最終的にはもう一つ増えそうな、この学園に於いて学園長の人外レベルの頭蓋骨と並んで叩き割りたいと思っている二大魔法使いの象徴の一つ、世界樹へと視線を向ける。

 

(エターナルの力なら折れるか……? それが無理でも大きな傷を付ける事位は……)

 

それを試してみたいと言う願望が次々と湧き上がってくる。今までの自分では無理だった憎い存在の象徴の一つをその手でへし折ると言う甘美な響きに抗う理由は、残念ながら今の双麻には無い。

まあ、圧し折るのは無理でも少しずつ削って行って最終的に倒す事は可能だろう。寧ろじっくりと嬲り殺しする様に圧し折ると言うのも悪く無い。己の手の中にあるエターナルの力さえ使えばそれも出来る。

 

(……麻帆良(魔法使いの領域)の象徴、魔法使いのトップ(学園長)……オレの大嫌いな物の象徴……。それが、この手で、叩き壊せる)

 

後は『英雄(ナギ・スプリングフィールド)』位だろうか…双麻が徹底的に潰したいと思う『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』の象徴は。

……興味はない事だが、特に最近は近々“エイユウノコドモ”が此処に来ると言うので何時も以上に裏の関係者……特に魔法使い連中が鬱陶しいので良く覚えている。

そんな連中をあしらう度に父親を相手にする為の仮想敵兼英雄潰しの第一歩として徹底的に潰してやろうかと言う甘美な響きは、双麻の中のコールタールよりも黒く染まった憎悪を満たしてくれる事だろう。

 

(……正式名称は神木……なんだっけ? まあいいや……タダの木とは言え仮にも神の名がついた相手に、エターナルの力がどれだけ通用するかも、試してみたい)

 

『永遠』の名を持つ『敵対者(ダークライダー)』の力がタダの木とは言え神の名を持つ存在に何処まで対抗できるのか? そう考えながらゆっくりと懐からエターナルメモリを取り出す。

双麻による魔法使い達への反撃の狼煙として、嫌う物の象徴の一つの崩壊と言うのは最高だろう。

 

(……先ずは第一歩が世界樹……次に英雄の子供、英雄の仲間に学園長……そして、英雄……。あいつ等魔法使いを何処まで潰せるか……此れが、その第一歩!)

 

ロストドライバーへとエターナルメモリを指し込めば何時でも変身できる。今にも変身しようとする双麻に、

 

「あのっ」

 

「っ!?」

 

突然かけられる声。その声に反応して慌てて出現させていたロストドライバーとエターナルメモリを消す。

同時に声をかけられた事で冷静さを取り戻した。冷静になって考えれば、流石に木を叩き折る位は出来るだろうが、タカミチや学園長と戦うのには今のままでは勝ち目が無い訳ではないが部が悪い。エターナルの力を十全に扱えるとは思っていないのだ。そして、まだ肝心の英雄の子供はまだ麻帆良には居ない。今動く理由は何処にも無いのだ。

エターナルの力を手にして酔い過ぎていたと深く反省する。力に酔う感覚を楽しむのも悪くないが呑まれ過ぎるのは良くない。

少なくとも、今まで《セイギノマホウツカイ》等と言う酔えもしない上に、気分の悪さだけを味合わされるだけの泥水を飲ませ続けられた分位は楽しむのは悪くないだろうが。

 

それに、負け戦を楽しむ趣味は双麻にはない。戦うからには絶対に勝利する。少なくとも、魔法使いの象徴である『英雄(ナギ・スプリングフィールド)』を自分の目の前で地に伏せさせるまでは。

 

「話があるんですけど……大丈夫でしょうか?」

 

「話? 別に良いけど」

 

後ろを振り向くとそんな声が返ってくる。相手は双麻と対して年齢の変わらない少女。知っている裏関係者の中には一致する顔は居ないが、相手に感づかれない程度の警戒はしつつ相手の頼みに応じる。相手側にどんな意図が有るにせよ、力に酔い過ぎて早まった行動を取りそうになった事を止めてくれたのだ、その恩位は返す理由がある。

 

「あのさ……この学園のこと……どう思った?」

 

「あの馬鹿デカイ木に、車と同レベルで走る人間、学園長の人外な頭、何よりそれを『麻帆良だから』なんて言う理由にもなってない言葉で納得する馬鹿しかいない、物凄く変な街……」

 

最後に『それの裏で意図を引いている魔法使い共』と口には出さずに心の中で付け加える。

 

「はっきり言って、何処を向いても異常の塊だ」

 

吐き捨てる様に言い切る。それは嘘偽りのない心からの本音。

 

……学園長の良い様に使われるのがイヤで問題ばかり起していたが、少しは大人しくして裏の仕事の報酬を貯めて学園を出ると言う計画も考えていた時期も有った。

 

自分に力をくれた奴の中の一人の『大事な街を泣かす奴は許さない』と言う意思は理解できないが、同時に其処まで自分の住む街を愛せる事は羨ましいと思う。双麻に取って生まれ育った街は『跡形も無く、無くなれば良い』と思うほどに嫌悪しかない嫌いな場所なのだから。

 

揃いも揃ってこの街の人間には結界の影響で『麻帆良より良い場所は無い』と言う様な考え方もオプションとして付いている。だから、目の前の相手も怒るなりして帰れば良いと思う。この街の人間となど関わる意思は無いのだから。そんな事を思っていると、

 

「ぐすっ……えぐ……」

 

「…そう来たか…」

 

そう呟いて溜息を吐く。大事と思っている場所を侮辱されて怒るのではなく、泣かれるというのも考えていた可能性の中にはあった。それを鬱陶しいと思いながら相手の顔も見ずに其処から立ち去ろうとすると、

 

「……私と同じ考えだ……」

 

そんな言葉が漏れた事に驚いて立ち止まる。

 

「同じって…」

 

思わず彼女に対して同対応すべきかと迷ってしまう。そうして振り返り始めて相手の顔を見た。

 

 

…それが双麻と『敵対者(ダークライダー)』ではなく『護る者(仮面ライダー)』となる切欠の第一歩となる少女『長谷川 千雨』との出会いだったりする。

 

 

(…認識阻害使うなとまで言わねぇけど、アフターフォローくらいはしとけよ…)

 

魔法嫌いを公言している双麻だが、一応魔法を知られる危険性だけは理解している。その上でこう言う例がある事は今回初めて知った。

 

改めて思うと、麻帆良学園の中には規模の割りにカウンセリング等の施設が無い。まあ、結界の影響でカウンセリングの必要も発生しない可能性も有るし、有ってもカウンセリングとは名ばかりの記憶操作と言う洗脳施設である事が簡単に想像がつくが。

 

(……自分達の仲間になるか、魔法で記憶消して全て解決、ってトコなんだろうな、連中の頭の中……)

 

本人にしてみれば心底認めたくない事だが、一応は同類の裏の関係者の考え方を想像すると頭の痛くなってくる想いだった。全体的に同類に対して悪意しか持っていない双麻の考えの上でだが…。

 

少なくとも異世界の英雄・仮面ライダーの力を使う権利を与えられて早々に発現したのが、『敵対者(ダークライダー)』と言う点からも分かるとおり、双麻の思考はダークライダーのそれに近いが仮面ライダーの考え方には寧ろ好感を持っている。一度は憧れた、本物の『正義の味方』として。

既になりたいとは思っていないし、なれるほど真っ直ぐな人間ではなく歪んだ人間であるとも自覚しているが。

 

(どうするかな……?)

 

取り合えず、泣いている女の子をどうするべきかと考える。……麻帆良の結界の影響を受けた相手なら無視するし、魔法関係者ならば女だろうが子供だろうが殴った所で心は痛まない程度に歪んでいるのも自覚している。

だが、流石にその二つに当てはまらない……結界の影響を受けにくい人間への対処など……双麻の人生の中で経験した事などない。

流石に殴った所で問題無さそうな魔法関係者と、無視した所で心の痛まない大多数にばかり対処して来たので、どう対処すべきかと悩む。流石に今まで選択肢等出来る訳無いし、この状況は自分が別に悪い訳でも無いのに精神的に来る物がある。

 

(……何時もなら無視してるのに……)

 

内心、『何でオレがあいつ等の後始末しなきゃならないんだ』と思いながらも、取り合えず彼女が落ち着くまで待つ事にする双麻だった。

 

(……ホント、何でオレがあいつ等の為に何かしてやらなきゃならないんだか……?)

 

改めて思う。『魔法なんか無くなればいいのに』と。

 

 

 

 

 

 

 




未完です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。