では行こう
この日は県大会2日目。陽詩と颯人は1日目に予選を難なく通過し、準決勝の準備をしている。他の部員はギリギリ予選落ちがほとんどだった。なので残っているのはこの2人だけだ。この大会の日までに陽詩は自分の苦手な箇所を克服し、今までにない強さを放っている。そのため、予選では1位通過だった。
そして、この日は準決勝の後、決勝戦がある。
陽詩は県大会の前日、颯人に
「やっとこの心の中の答えを見つけたよ。俺は県大会で優勝したら、小野寺に告白する。」
それを聞いた颯人は最初はビックリした表情をみせたが、ホッとしたようで
「そうか、答えが出たんだな。あとはお前の頑張り次第だな。がんばれよ。」
「望月くん、調子はどう?大丈夫?」
「ああ、今のところは何もない。昨日と変わらないよ。このまま決勝戦行って、関東に行くさ。」
「うん!期待してるよ!……まだ時間あるね。このあとどうする?」
「そうだな……もう会場行っておこうか。」
会場に着いた陽詩は入念にアップをして、春はいつもの状態やフォームに違いがないかを見極めていた。そして、アップを済ませて、招集に行こうとするときに、春はいつも陽詩の胸に手を当て「絶対に勝ってね!」という言葉を残して、陽詩を送り出す。
準決勝 最終組 8人の出場です
「さて、暴れてやりましょうか……」
On your mark
Set…………
バンッ!
……スタートが悪い!
このままじゃ優勝どころか、決勝戦にもいけない!
くそ!くそ!力むな!力んだら絶対に負ける!
くそ!くそ!くそ!
陽詩 4位10・8
(……………決勝無理かな……)
これより、決勝戦出場者の発表に移ります
○○くん ○○高校
○○くん ○○高校
鈴木くん 赤石学院大付属高校
(ああ……あいつ決勝いったのか。)
…………………
望月くん 凡矢理高校
(8位ギリギリか。……この後にすぐ決勝だ。ほぐさないと……)
「望月くん!とりあえず決勝進出だね。今の試合内容、これまでで1番最悪だよ。フォーム汚かったし、スタートなんて周りの人とかなり差があったんだから。」
(ああ、そうだった。俺は小野寺に告白するんだ。決勝こそは…絶対に……!)
「すまないな。でも、決勝ではしっかりやるから」
「本当に?ならよし」
そして決勝
「絶対に勝ってね!」
そういって春は陽詩を送り出そうとした。だが陽詩はなかなか動こうとしない。
「どうしたの?望月君。どこか痛かったり気分悪いの?」
「小野寺、この後、すぐにゴール近くに行ってくれ。伝えたいことがある。」
「……!、………うん。」
そして小野寺は駆け出した。陽詩は中3の関東大会でも見せなかった威圧とやる気を出した。もしこの場で優勝できなかったら、マジでカッコ悪いな。なんて思ったりして少し余裕もみせる。
そして、決勝が始まる
「陽詩、今回は俺が勝「うるせえ、黙れ」俺の扱い酷いな!」
これより男子100m 決勝を行います
やばい、今までで1番緊張してるわ。よし。いこう
On your mark………
set………
バンッ
完璧だ、何もかもが完璧だ。スタートもフォームも。
これなら、勝てる!
…………………………
優勝 望月君凡矢理10・42
「望月くーん!やったよ!優勝だよ!最高だよ!」
「小野寺、さっきの件についてだ。」
「………うん。」
「俺は、林間学校が過ぎるまで、この心の中にある胸の変な感覚は分かんなかった。その人を見るとドキドキして、他の男子と話してるとなんか、すごくヤキモチ妬くし。でも、この想いがなにか、という答えは出なかった。俺はその答えをずっと探していた。そして見つけた。それは恋だ。俺は初恋をしたんだ。
………それは小野寺、お前だ。
これから、部活はもちろん、勉強やお互いの家のことで大変になるかもしれない。だけど、俺は小野寺と一緒にいたい。
俺と付き合ってください。」
少し溜めた後…
「はい。………お願いします」
小野寺は涙を流しながらそう答えた。そして、自分たちのテントへ戻った。
「優勝おめでとう!!!もう感動だよー!」
愛葉(黒川先輩)が今以上にくらい褒めた。そして、部員全員が褒めてくれた。颯人はというとギリギリ決勝進出できなかったらしい。そして、泣いている春を見て愛葉が
「あれ?どうして春ちゃん泣いてるの?まさか、望月くんに泣かされた!?」
「いえ、違います!……その私たち、今日から」
陽詩がその言葉を言うのを止めて
「俺たち、今日から付き合うことになりました。」
「………えええええええええええ!!!!!!!!」
その後、部員全員(颯人と風を除く)による大尋問大会が行われた。陽詩は誰にも言わないように口止めをして。今日は解散だ。
「なあ、小野寺。今日はこの後、町のお祭りがある知ってるか?」
「あー、お姉ちゃんが友達と行くって言ってたなー」
「よければ、この後一緒に2人きりで行かないか?」
「え?」
「まあ、初デートということで」
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そして2人は一旦家へ戻り、着替えて、集合してからお祭り会場へ着いた。会場へ向かう途中に春の浴衣姿を見て陽詩は悶絶した。春はとても恥ずかしそうにしていたが、嬉しそうでもあった。
「やっぱり祭りってすごいよな。賑わってて。」
「そうだねー、美味しそうなのもいっぱいあるし」
「あれ、春ちゃんに陽詩じゃーん!お二人でデートかい?」
「舞子先輩。はい、まさしくその通りです。」
「あらー、だから手も繋いじゃってるんだ。全くこの積極性を楽にも持ってほしいものだね」
「舞子君。ここにいたの、探したわよ、あら、望月くんに春。です繋いじゃって。デートなの?」
「るり先輩!……はい。その通りです」
「あら、そうなの。おめでとう。小咲には報告したの?」
「いやまだ、してないです」
「そう、今日はしっかり楽しみなさい」
「はい!じゃあ、あそこのたこ焼きの屋台行こ!望月くん」
「ああ、では舞子先輩、宮本先輩、詳しくはまた学校で……」
「あの2人、結構お似合いだと思わない?」
「そうね。2人とも本当に楽しんでるみたいね。
それより、一条くんと千棘ちゃんの偽の恋のことについてなんだけど
」
「あー、あの二人なら大丈夫じゃないかな?」
「そうかしら、バレるのも時間の問題だと思うわよ。」
その話を盗み聞きしてしまった春は
(一条先輩の入ってた事情ってこのことだったんだ!今までに何回も罵声やらなんやら浴びせちゃった!……今度謝ろう)
「ん?どうした小野寺?少し疲れた顔してるけど。」
「ううん、なんでもない。さ、いこ?」
「おい、引っ張るなよー」
お祭りを楽しみましたとさ。
やっと付き合いました。
同時にこれからもこの物語にお付き合いください