ニセコイ 望月 陽詩の物語 再始動   作:朝桜小雨

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さて、そろそろエンジンかけますよー!


最強への出発地点

 

 

 

「いよいよだね……、望月くん。」

 

 

「ああ……、そうだな」

 

 

ついにこの時がやってきた。あの最悪の事故の日からどれくらい待ったことかわからない。これまでのリハビリ生活の成果を発揮するとともに、俺は帰ってきたと伝える時でもある。

 

今日から2日間は凡矢理市地区大会が行われる日なのだ

 

 

「まあ今日は100の予選だけだしあゆま無茶すんなよ?お前にはリレーの決勝も出てもらわなきゃいけねーんだから」

 

 

「まあその前にお前らがリレー勝てるかが問題なんだな」

 

 

「心配すんなよ。今年は素晴らしく速い一年もいるんだ。それに先輩もいるし負けねーよ。お前はとりあえず決勝出ることだけに集中しろ」

 

 

「そうですよ先輩。うちのエースが遅いなんてことになったら大変なんですからね」

 

 

「いつから俺はエースなんだよ……」

 

 

「おいお前ら、とまってねーで早く荷物置け」

 

 

「「「「はい」」」」

 

 

神様は俺にだけ理不尽だ。中3では関東大会で大怪我を負って陸上競技から離れ、戻ってきたらきたで関東大会前に大事故。まるで俺に陸上競技をやるなと言っているかのように思えた。

 

それでも小野寺達は必死に支えてくれた、応援してくれた。俺はそれに応える義務があるんじゃないかと俺は思う。

 

だがこれは市大会、俺は復活したと見せるだけでいい。本番は関東とインターハイだからだ

 

 

「望月くん!今日は午前中にレースだからもうアップしよ?」

 

 

「ん?……そうだな、行くか」

 

 

今日のレースは10時からなので、早めにアップしておかなければならない。朝は競技場での練習時間があり、そこにはほとんどの選手が参加している。

 

(東城さんが作ったスパイクの出番は決勝かな……)

 

おれはいつも競技場練習で使っているスパイクに履き替え、流しのスタート地点へ並びに行く。予選と準決勝は本気を出さずして勝てる。はずだ……。

 

スタート地点へ行く途中、ひそひそ声が聞こえて来る

 

「お、おい見ろよ。凡矢理高校のエース」

 

「え?そんな奴いたっけ?」

 

「ほらあれだよ、県大会出場一位通過してインターハイ確実って言われて話題だったのに関東大会以来一度も姿を現さなかったっていう」

 

「あー!それ知ってる!」

 

 

やばい。おれすごく有名になっちゃった!……まあそんなこと言ってる暇もないからはやくアップを済ませてしまおう。そう思い、バックストレートを駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、大事なシーズン初戦だよ!まあ、予選はなにも考えずリラックスして走ってきてね」

 

 

「はいはい任せんしゃい。んじゃ、行ってくるわ」

 

 

「はい。いってらっしゃい!」

 

 

小野寺に別れを告げスタートラインへ行く。これからまた新たなる挑戦が始まる。関東大会、インターハイにとどまらず、全日本選手権に出場して、世界選手権またはオリンピックに出るという目標へと……

 

 

「100m2組目8人の出場です」

 

 

On your mark

 

 

 

 

 

set……

 

 

 

 

 

号砲が会場に鳴り響き、選手はスタートする。おれのレーンは5。だいたい真ん中のレーンはシードレーンと言われるけど、おれ的には8レーンとかの方が走りたい。スパイクの反発をうまく使いスピードに乗る。おれの武器は加速だ。加速と最高速度なら全国でもトップクラスだと自負している。

 

レースは一位に終わり、難なく準決勝に進んだ。

 

 

「はい!お疲れ様!望月くん!」

 

 

「おう。」

 

 

俺は小野寺からもらったタオルで汗を拭く。今日のレースはこれで終了なので、ストレッチとアイシングでダウンを終わらせた。その後の凡矢理高校陸上部はほとんどの選手が準決勝を突破した。4継も予選を突破できた。

 

 

「ふ、楽勝だな」

 

 

「颯人君嘘ついちゃダメだよ。遅かったもん。」

 

 

「いや、あれは流しだし……」

 

 

「それが遅いって言ってるの!このままじゃ絶対入賞どころかどころか決勝進出も怪しい!」

 

 

「そんなに怒るなよ澪ー……」

 

 

「怒ってません!」

 

 

「なんだか、澪ちゃん性格変わったね」

 

 

「ああ。本当に」

 

澪ちゃんはここ最近、すごく頑張っている。自分を変えたいと目標が達成してきていると自分でも言っていた。颯人はそれに圧倒されてきている。将来結婚したら尻に敷かれるな……

 

 

「待ってくださいよ先輩!」

 

 

「なんだ悠里、1年の女子と一緒じゃないのか?」

 

 

「私引っ越したんですよ。一人暮らししてて」

 

 

「あれ?おじさん達は?」

 

 

「海外に転勤になって……。今の家は二世帯だったので祖父母が住んでます。あ、家は望月先輩の近くのアパートです」

 

 

「ああ、最近できたあの綺麗な?」

 

 

「はい!あそこ学生なら家賃やすくなるんですよー」

 

 

「ホォ……。今度おじゃまするわ」

 

 

「はい!是非是非!」

 

 

「わたしもいいかな?」

 

 

「はい!春先輩も是非!」

 

 

「本当に?やった!」

 

 

こうして市大会1日目が終了して、いよいよ2日目だ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目の今日は100mの準決勝と決勝と4継の決勝がある。4継の方は他のメンバーの頑張り次第でやるか決まる。

 

 

準決勝。準決勝は予選より少しスピードを上げただけで特に予選と変わらなかったためスルーする。ここで決勝にいったのは

 

俺 颯人 悠里 4継だ。ほとんどのメンバーが準決勝で力を出し切れず負けてしまった。

 

 

「望月くん。そろそろ試合だよー?起きてー」

 

 

「ん、んん……」

 

 

「ほーら、膝枕くらいならまたやってあげるから。今は目の前の試合に集中しよう?」

 

 

「……ま、それもそうだな」

 

 

「そろそろ新スパイク解禁かだね!名前は決めたの?」

 

 

「ああ、「スプリングホープ」にした。ちょっと厨二くさいが」

 

 

「かっこいいよ!意味とかは考えたの?」

 

 

「ああ、春って英訳するとスプリングだろ?んで希望って英語でホープだろ?望みってのもあるがそれはウィッシュだからさ、なんとなくスプリングホープの方が合ってる気がしたんだ」

 

 

「うん!いいとおもうよ!あれ?春ってわたしの名前じゃん!どうして……」

 

 

「これは俺と小野寺の夢を叶えるための道具でもある。だから……な?」

 

 

「……うん!それじゃあ、いってらっしゃい!」

 

 

「ああ、いってくるよ」

 

 

俺はジャージを脱ぎ、凡矢理高校陸上部のユニフォームでスタート地点へ向かった。忘れてると思うが赤石学院大学附属の鈴木大雅もいる。

 

地区大会決勝。人によって大舞台であり踏み台でもあるこの舞台。俺は比較的踏み台の方だと思う。だが決勝というのはその大会での最高峰の場所だ。それは関東だろうがインターハイだろうが変わらない。

 

だから俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全力を出す!」

 

 

 

俺のレーンは5、予選準決勝と変わらない、風は0・2、ほぼ無いに等しい。天気は晴れ。こんな好条件嬉しく無いはずが無い。

 

 

On your mark

 

 

 

 

set………

 

 

 

 

 

会場に号砲が鳴り響く。応援の声も準決勝とは比較にならない。だがそんなことはどうでもいい。今はとにかく走ることに集中する。走ることに無駄な力はいらない。肩には力が入らないように走り、足もスパイクのプレートが設置した時に思いっきり蹴りだす。簡単に言っているが、これがすごく難しかったりする。

 

40m地点へ到達した頃には急加速し、スピードが急上昇する。50m地点で、他の選手を引き離す。そのあとはただただ走る。前を向いて走る。

 

俺はただ突っ走るんだ。

 

 

俺は最強になるんだ。だからここは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最強への出発地点だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大会記録更新!10・21!凡矢理高校 望月陽詩選手!県大会以来姿を消し、陸上競技から離れたと言われていたあの望月選手が!今!ここに最高の状態で帰ってきた!」

 

 

会場が大きな拍手でわく。俺はいつの間にか伝説的なのになっていたらしい。

 

 

「望月くん!やったね!」

 

 

「ああ、やったよ。……だがまだ市大会。気は抜けねーよ」

 

 

「そうだね!うんうん!」

 

 

「このあとはリレーだ。さあ準備するか」

 

 

「うん、そうだね!」








今回はここまでにします


リレーと後日談はまた次回
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