高スペック八幡の青春ラブコメ   作:双葉雷華

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部活動とは時に風変わりなものもある。

歓迎の言葉を言った後、雪乃は何も無かったかのように俺の隣に座り、持っていた文庫本に目を落とーさず俺にもたれかかる。

 

「どうして来てくれなかったの?」

「無茶言うなよ。雪乃がいるのは国際教養科だろ?女子校と変わらない場所じゃ俺の肩身が狭いよ」

俺が国際教養科を選ばなかったのは、男女の比率で女子が多いから女天下だということだ。まったく男女平等とはよく言ったものですよね、素敵。

 

話すことのなくなった俺は彼女が座っている状態で本に意識を向ける。雪乃も頬を膨らましていたが、俺に倣う。

何十分経っただろう、沈黙を破ったのは意外にも雪乃だった。

「何も聞かないのね。私と八幡の関係に対して興味を持ってもいいと思うわよ?」

「俺にとってお前らの関係を知ることが楽しいことにつながるか?」

「質問に質問で返すのは感心しないわ」

「もっともな意見だ」

 

雪乃にダメ出しされた荻野は笑いながら組んでいた脚を解いてこちらに向き直る。

「まず、何から話すべきだ?」

「私と八幡の関係」

雪乃さん、アグレッシブですね。びっくりですよ。

 

「率直に言えば、興味がない。聞かなくてもわかるから聞かないだな」

確かにそうだ。こんなに接近するのだから、何かしら関係があると思うのが当たり前だ。そこで聞かないということはどういう関係かも見抜いているってことになる。大した洞察力をお持ちだ。

そんなこと考えている間にも雪乃は何食わぬ顔して俺にもたれかかり、あまつさえ肩に顎を乗せるまでしてくる。

「随分懐かれてるんだな。幼馴染ってのはそこまで行くもんなのか?」

「そうね、そもそも幼馴染というのは仲がいいというのは男の理想であったり、女の願望なのよ。現実において幼馴染っていうのは仲が良くて兄弟のようであっても他人でしかないの。良く言って一番近しい異性または同性ね。でもその人物を本当に好いているのなら少女漫画や男性の理想のようにもなるのもまた事実だと言えるわ」

「なるほど、雪ノ下は比企谷のことが大事な幼馴染だということね」

雪乃さん、目は本のページに向けながら答えるにしてもまくしたてなくてもいいじゃないですか?それと荻野、グッジョブ!雪乃が照れて可愛い。

「そんじゃあ俺からも聞かせてくれるか?」

「俺に答えれる範囲ならな」

「では、まずどうして他の部活の連中の新入生歓迎会の主催者になる必要があるのかという点だ」

回答に満足した雪乃を横目に俺は自分の質問をぶつける。最初に疑問視する点だ。俺がアイツから聞き出した情報では荻野祐一という人物はどの部からの勧誘も断り、助っ人として関わって来たという。それだけを聞けば一般的な生徒はそれ以上気にはしない。そうふつならば、な。

俺からしてみれば奇妙で仕方がない。部活に入らずいるのは1人が好きなのだと納得できるが、助っ人として参加しているとなれば建前だけではないはずだ。

ましてや新入生歓迎会を部員でもないのに主催するというのは良く言えば気前の良い奴、悪く言えばただの目立ちがり屋だ。

「そりゃ、楽しそう「本音で話してくれ」ッ」

俺の物言いに口を閉ざし、顔が引きつる。そんなコイツの顔を見て俺は確信した、コイツにも誰にも言えない闇があってそれを抱えて悩んでいるのだ。他人には決して打ち明けず、その片鱗すら見せようとしない。怖いのだ。自分が傷つくのが、他人に拒絶されるのを恐れていると言っても良い。だから集団には極力関わらず表面上の付き合いをしている。反吐が出そうだ。馬鹿馬鹿しい、そんなにビクビクして過ごすのなら初めから関わらないければ良いものを。

 

「悪いが、それは言えない。すまない」

「気にする必要はないわ。誰だって最初から人になんでも話せるわけではないもの」

「雪乃の言う通りだ。誰もかれもが信頼出来て、信用のたる人間とは限らない。だからこそ、最初は様子を伺うのだ。そうして自分にとってどういう存在かを知るのもまた人の知恵だ。

 

「次なんだが、お前って本庁の荻野警視正の子供だったりする?」

「知ってんのか?親父のこと」

 

荻野の驚きぶりから推測は当たりだと見た。世の中において情報は何よりも大事、貴重なもんだ。それ相応の知識や知虜才覚も必要だけどな。さらに鵜呑みにするかどうかは自分次第だ。雪ノ下家に関わるとどうしてもこういうのに聡くなる。そういうお家柄かな?

「まあ、社会の事情に詳しくないといけないからな」

「そうか・・・・」

俺の物言いに腹も立てず、それ以上追求もしない。部をわきまえた人物のようだ。やはり見所がある。

「お前の言う通り、俺の親父ー荻野幸作は警視庁本庁警視正だ」

そう言ってる間にも荻野の目は俺の目を直視している。何か情報を得ようと必死だ。だが、易々と情報を漏らすようなヘマはしない。

 

「それで俺の親父がどうしたんだ?」

「いや、気にすんな」

これ以上の深い部分への詮索はよすか。俺のためでもあるし、全ては雪ノ下家、ひいては雪乃のためだ。

 

 

 

 

 

 

 

「今日はここまでにしましょう。荻野君は先に帰って良いわ」

「んじゃお言葉に甘えてお先に」

あの後、誰も訪れることもなく、俺は雪乃と共に荻野の近くで黙々と読書に集中した。荻野もまた、自分で取り出した小説を読んで過ごし完全下校時間のため解散とした。

荻野も帰ったので俺達は部室の鍵を閉め、職員室に鍵を返して駐輪所へとやってきた。雪乃も一緒に・・・・

 

「あの、雪乃さん」

「あらどうかしたかしら八幡?」

意地の悪そうな笑みを浮かべている雪乃、こいつ分かっててやってやがるな。仕方ない。

「送ってけ、てことか?」

「あら?私は別にそんなことは言ったかしら?」

可愛く小首かしげないで下さい。別に良いですけどね。

「わかったから、後ろに乗ってくれ鞄はカゴに頼む」

「安全運転で頼むわよ」

そういう雪乃の笑顔は夕夕陽によってとても綺麗だった。




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