ファンタシースターオンライン2~約束の破片~   作:真将

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 ちょっと小事情により更新が遅くなってます。少なくとも今週中には何とか更新の目途を立てるので、詳しくは活動報告にて。


42.Zeno and Echo 幼馴染

 惑星リリーパ。

 地表の殆どが砂漠化した惑星で、何者かが採掘をしたような痕跡が随所に残されている。推測では大規模な文明があったとされており、例の惑星中を徘徊する“機甲種”に分類される機械のエネミーは、その文明の名残であるとか。

 オラクルがリリーパを発見した当初から砂漠であったため、相当古い時代に、文明は滅んでしまった可能性が高かった。

 

 「相変わらず、手厳しい環境だな」

 

 シガは、砂嵐の防止としてコーグルと口元を布で覆い、後ろ腰に装備した武器(カタナ)には、布を巻いて砂塵対策をしていた。

 流石に、正規の武器に近いとは言っても、精密武器でもあるので粉塵によって誤作動を引き起こす可能性を懸念する。本来なら使う時だけ、ポーチが取りだせば良いのだが、まだデータを集めている最中なので、出来るだけ直に装備しておきたい。

 

 「『貴重物質運搬計画』か。地表に存在する特定の反応を回収っと」

 

 端末から、改めて本筋となる依頼を確認する。どうやらこの辺りには、目的の物は存在しない様なので奥に進む必要がありそうだ。

 

 「お? いいぞ」

 

 すると、風が弱まって砂嵐が晴れて来た。先ほどまでは10メートル先も見えない程に吹き荒れていたのだが、今は開けた視界が確保できる。

 

 「エリア2に行くか。こっちだな」

 

 出発地点を起点に、最短ルートを検索してソレに従って歩き出す。この視界なら、フーリエさんの依頼も調べながら行けそうだ。

 

 “だーかーらー! 何度言えばわかるのよ!”

 

 その時、聞き覚えのある声にそちらへ視線を向けると、二人のアークスの影があった。

 

 

 

 

 

 「だーかーらー! 何度言えばわかるのよ!」

 

 防塵マスクにマントのフードを取ったエコーは、同じ装備をしているゼノと言い争っていた。

 

 「そっちじゃなくて、こっちが先! 二度手間になっちゃったでしょ!」

 「うっせーな。どうだっていいだろ! 両方とも終わったんだからよ!」

 

 二人は調査任務の為にリリーパに訪れている。砂に埋もれた所為で不自然な高低差が生まれている地形は、迷路の様にもなっており、環境の砂嵐と相まって遭難の組み合わせが完成しているのだ。その為、遭難はせずとも、通い慣れたアークスでも“迷う”事は少なくない。

 

 「いつもいつも、そんな調子じゃ、効率が悪いって言ってるの!」

 

 エコーは、基本的に適当に何でもこなすゼノに対して、それなりの“効率”を要求していた。ほんの少し、工夫するだけで依頼の達成時間も大幅に減らせると告げる。

 

 「へいへい、わかりましたよ。すみませんでしたー!」

 

 不本意ながら、エコーの言っている事もゼノは理解できる。彼女の提案通りに進んでいれば今はとっくにアークスシップに居てもおかしくないだろう。

 

 「ていうか、元はと言えば……お前が思いっきり依頼内容を勘違いしたせいだろうが!」

 

 しかし、噛みついてくるエコーに対して、ゼノ側の言い分もある。そうまで、強く踏み込んでくるのなら、と返しの刃を突き立てた。

 

 「なによそれ。自分で“まあ、気にすんなよ。キリッ”とかキザったらしい台詞吐いておいて、すぐに翻意とか、かっこ悪っ!」

 「キ、キザとか言うな! お前こそ、さっきまで泣きそうな顔してたくせに!」

 「そ、それは言わないでよ! ……間違えたのは事実なんだし」

 

 最後の方の言葉が小さくなったのは、エコー自身も比がある事を認めているからだ。そんな彼女の様子をゼノも察し、荒げていた口調を穏やかな雰囲気に戻す。

 

 「あのなぁ、俺は別にそんなことを責めたりしないっての。ガキの頃からの付き合いなんだから、分かるだろ?」

 「……わかってる……けど。ゼノの足手まといになるのは嫌だし……」

 「ハァ……」

 

 どちらにも比がある状況で、お互いに自身の比を認めてしまった。妙に嫌な雰囲気がその場を包む。

 

 「すいません、御二方。結構、遠くまで聴こえてますよ?」

 

 と、声をかけるタイミングを図っていたシガは、横から恐る恐る二人の会話に参入した。

 

 「シ、シガ? お、おお。怪我はもういいのか?」

 「あ……」

 

 声をかけられるまで、シガの接近に気がつかなかったゼノとエコーは驚いた様子で視線を向ける。

 

 「はい。タイミング悪かったですか?」

 

 シガも言葉を選んで話しかけたのだ。自分の所為で二人の口論が再燃する事だけは避けなければならない。

 

 「俺達は別の任務だ! さ、さぁ、エコー! 任務の続きと行こうじゃないか!」

 

 情けない所を見られたと判断したゼノは、慌ててこの場を去ろうとエコーに告げた。

 

 「そ、そうね。まだ終わって無いし! 効率の悪いやり方で、大きく遅れてるから急いで終わらせないとね!」

 「そうだな! 誰かさんが勘違いしてなかったら、もうアークスシップだったけどな!」

 

 二人の仲を取り持ったつもりだったが、どうやら自分たちで燃料をくべてしまったようだ。

 

 「……ねぇ、ゼノ――」

 「……おい、エコー――」

 

 そして、再び口論(ほのお)は燃え上がり、二人はシガの存在を忘れたように言い争いを始めた。

 

 

 

 

 

 「…………くわばらくわばら」

 

 触らぬ神に祟り無し。入院してた時に、一般市民の老人に言われた(ことわざ)を思い出すと、エリア2へ逃げる様に移動する。

 

 「前に見た時は、本当に仲は良さそうだったけどなぁ」

 

 エリア2へ抜けたシガは、ゼノとエコーの様子からかなり親密な関係であると察していた。二人は小さい頃からの幼馴染であったと聞いている。だから、ああやって本心をぶつけ合う事が出来るのだろう。正直、そう言う相手が居るのは記憶喪失としては羨ましい。

 

 「喧嘩するほど仲が良いって言うし……そう言えば、エリア1にはエネミーは居なかったよなぁ」

 

 そこで、ふとした事を思い当たる。二人の先輩が、あの辺りのエネミーを全て排除していたのだ。それが任務なのだろうが、こっちとしてはありがたい限りである。

 

 「いやはや、頭が上がりませんねぇ」

 

 いつか、二人を助ける時が来るだろうか。

 まだまだ、己の力の足りなさを自覚しながら、されど頼もしい人たちと知り合いである事を誇りながら、シガは先に進んだ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「君の報告を読んだよ。少しだけ興味を惹かれてね。こうして出向いてもらった訳だけど」

 「シガの事ですか?」

 「正確に言うなら、君が“わざと”ダーカー因子を体内に残したアークスの事だ。彼は稀有だね。高濃度のダーカー因子を一時的とは言え、何の処置なしに体内に蓄積し、ただ回復適性を失っただけ、とは」

 「可能性の話です。前から、フォトンによる相反は確認されていました。彼の場合は、自身にフォトン適性が殆ど無く、左腕で全て賄っているので、肉体には軽度の初期症状しか出なかったと推測しています」

 「『フォトンアーム』。君の趣味だったかな? 偽善事業でも始めるつもりかい?」

 「アークスの戦力低迷を押さえる為です。例の計画は……それほどに石橋を叩く価値があります」

 「その為にはダーカー因子の有無も左右する、か……実に効率的だ。しかし、余計な手間と言うモノだよ」

 「失敗許されないのでは? 今のままでは計画は……下手をすれば全ての駒がひっくり返る可能性があります。レギアスも心から忠誠を誓っている訳じゃない」

 「いざとなれば、君が始末してくれるのだろう? 【六亡均衡】の半分は僕の手の内さ。偶数番(イーブンナンバー)がどう動こうと、“三英雄”と君が要れば、戦力としては事足りる。それに、その為の実験なのだろう? この『フォトンアーム』は」

 「唯一、計画を盤上毎、ひっくり返す可能性である『サンゲキノキバ』。ソレを扱える者の監視は必然と言える処置です」

 「結構だよ。本当に君は頼りになる。僕は少しの間“演算”に入るとしよう。後は任せるよ、オーラル」

 「……はい。ルーサー総長」




 オリキャラって意外と使い勝手がいいんですよね。オーラルが敵か味方かは、皆さんの推測に任せます。無論、物語上、でしゃばりすぎないようには立ち回らせるつもりです。
 次は、ゲッテム様が登場します。

次話タイトル『Blade of insanity 狂者再び』
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