ファンタシースターオンライン2~約束の破片~   作:真将

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63.Feast of young people 若者たちの宴

 「それじゃ、ダラダラ喋るのは性に合ってないので、適当に始めちゃいましょう!」

 “カンパーイ!”

 

 二十歳以上は、アルコールの入ったグラスを持ち上げ、それ以外は法律と言う壁を越える事が出来ずに、仕方なしにジュースを持っていた。

 モダン・テーマのリモデルームLの三部屋の中で12人の来訪者たちは陽気にパーティを開始した。

 シガを入れて12人の招待客が座っても余裕な程の長テーブルの上には、パーティ用の馳走が所狭しと並べられている。

 

 「いやぁ~、偶にはこういう集まりはいいよな! そう思うだろ! オーザ!」

 

 ゼノはコップに入った最初のアルコールを飲み干して、隣に座っているオーザに絡む。

 

 「うむ。確かに一人で資料を片付けるよりは、いささか有意義な時間だな」

 「お前……いつもそんな事してんのか?」

 「基本だ! 任務で得た情報を即日にまとめるのは鉄則! 次の戦いは十全に動くには――」

 「まぁ、良いから飲め飲め」

 

 ゼノがオーザに絡んでいる場所の向かいの席には、エコーとフィリアが程ほどにコップのアルコールを消化していた。

 

 「まったく、あんまり飲み過ぎたら明日が酷いってのに」

 「飲み過ぎはあまり良くは無いですが、適量であれば程よいリラックス効果も得られますよ。エコーさん」

 「飲み過ぎた後の二日酔いの頭痛が嫌なの」

 「そういう時は、カフェインを取ると良いですよ?」

 「そうなの?」

 「はい。頭痛の主な原因は、脳内血管の膨張による神経圧迫と言われています。その為、膨張した血管を収縮するカフェイン――コーヒーなどを取ると効果的ですよ。後、牛乳などに含まれているセントロニンなどにも血管収縮作用があるのでお勧めです」

 「へえー。流石、現役の救護班ね」

 

 と、医療関係の話に花を咲かせているエコー達と、立ち回りやハンターについて景気よく意見が合っているゼノ達の隣ではアザナミとシガが、とりあえず目的の教導官へのさり気ない説得へ移っていた。

 

 「ハンターと被ってる面もあるけどね。あ、どうぞどうぞ。それでね。ハンターよりも軽快で、蝶の様に舞い、蜂の様に刺すって感じかな。あ、どうぞどうぞ」

 

 アザナミは、マールーのアルコールを絶やさないように注いでいた。一体、そのアルコールは、その小さい身体のどこに入っているのか? そう思わせる程に注がれたら空にするのが義務の様に飲んでいる。

 

 「なるほど……ハンターよりは、ひっく、状況に臨機応変に、ひっく、立ち回れるってことね」

 「あー、先生。酔ってます?」

 

 シガは、言葉の途中に現れるしゃっくりを発するマールーを心配する。

 

 「酔ってらい!」

 「だってさ」

 「いや、酔ってるっしょ」

 

 先生はアザナミさんに任せて、オレは――

 

 「いやあ、意外とシガさんの部屋って意外と片付いているんですねえ」

 

 隣に座るラスボス(リサさん)を相手にしなければならない。

 

 「そりゃ人が来るなら片付けますよ。リサさんはキャストなのにアルコール飲めるんですか?」

 「リサは、雰囲気を楽しむのが好きなんですよお」

 「意外ですね。もっとこう――血を見るのが好きな感じかと思いましたけど……」

 「ふふ。シガさんは勘違いしてますよお? リサは、生き物のもだえ苦しむ様が好きなんですよお。この料理も元を辿れば、生きていた生物を痛ぶって、切って、焼いて、加工して出来上がってるんですねえ。ぜひぜひ、その場に立ち会ってみたいですねえ」

 

 うん。いつもの認識と間違っていない。彼女は間違いなく危険人物だ。しかも、ゲッテムハルトさんの様に直線的でない分、性質(タチ)が悪い。

 

 「それよりもお、リサはあっちの部屋が気になりますねえ」

 

 と、リサは反対の部屋の扉を指差す。あちらは進入禁止の部屋なので間違えて入らないように鍵をかけていた。

 

 「気にならないでくださいよ。男の一人暮らしなんですから検索しないでください」

 「そういうのって、定番はベッドの下とかに隠しているモノですかあ」

 「あ、結構ずけずけ入り込んでくるんですね」

 

 なんとなく、リサさんの扱い方が解ってきた気がする。

 

 「ブレイバーですねえ。リサはとーっても素敵なクラスだと思いますよお。色々とぉ、アークスも大変なので、クラスが増えて教導官の役割が分散するのは、良い傾向だとおもいますねえ」

 

 意外にもリサさんは、ブレイバーというクラスの性能では無く、新たなクラスが増えた際のアークス内の戦闘力増加を考えていた。

 なるほど。ただのキチガールじゃなかったか。

 

 「リサはですねえ。もっと、自由に敵を撃つ時間が欲しいんですねえ。オーラルさんに言われて教導官をやってますけどお、色々と見本にならないといけないので、好きに勝手に撃てないんですよお」

 

 あ、なんだかようやくリサさんが教導官に任命された理由がわかった気がする。教導官と言う地位はある種の枷だ。もし彼女が、何の役職を持たないフリーのアークスだったら問題行動だらけだっただろう。

 

 「リサさんって、オーラルさんに勧められて教導官を?」

 「ですねえ。辞めたいって言ってもお、オーラルさんに止められて辞められないんですよお」

 「さいですか」

 

 危険な獣は鎖でつないでおく方が良い。オーラルさんはそう言う意味で彼女を教導官にしているのだと悟る。

 と、そんなアルコール組とは反対側に集まっている未成年組は、料理を中心に食べて各々で適度に話に花を咲かせていた。

 

 「へー、アークスの仕事って意外と幅広いんだ」

 「多いっていうよりは、思い通り行くことの方が少ない感じだな」

 

 ウルクは現役のアークスであるアフィンより、どのような活動をしているのか、テーブルの料理を食べながら聞いていた。

 

 「そう言う場合ってどうするの? やっぱり退却とか?」

 「一人の時だったら、無理はせずに一度態勢を整える場合もあるよ。それでも依頼を破棄する事はよほどのことが無い限りは考えないかな」

 「アフィンさんもそう言う経験がある?」

 「あるよ。俺の場合は火力とかの問題で戦いが長期化するのはしょっちゅう。レンジャー一人だと出来る事も限られるし。幸いなのは、敵と距離を取って戦うから時間をかければ何とかなるって事かな」

 「そう言う場合って、前線職が要ると良いって聞くけど」

 「基本はそうだよ。だけど、俺の場合は戦いよりも違う目的があるからさ。基本的には一人で探索する事が多いかな」

 

 と、席を挟んでウルクが現役アークスであるアフィンと話をしている最中、マトイは普段食べない色のあるパーティフードに興味を示し、口に運び、その美味しさに目を子供の様に輝かせていた。

 

 「…………」

 

 そんな中、一人だけ空気に溶け込めない人間がいた。ウルクに誘われてこの場に来たテオドールである。内気な彼としては、ウルクに強引に連れてこられた体であったのだ。

 最初は、一人じゃ気まずいと言う幼馴染の頼みと、シガが開催していると聞いたので興味があったのも事実だったが、今では来たことを後悔している。

 

 「はいはい。それじゃ、買い足しに行ってきますよ」

 

 その時、シガが酒飲み勢の予想以上のアルコールの消費に、このままでは足りないと酒の買い足しに腰を上げる。

 

 「おう! 酒樽買ってこい!」

 

 一番、エンジョイしてるゼノがシガに向かって告げる。

 

 「あはは、それでねー。PV撮影の時なんてひどいのよ! ゼノってば全部私に押し付けて――」

 

 エコーはフィリアに愚痴っていた。よしよし、とフィリアもほろ酔いで彼女の話を聞いている。

 

 「あのPV、ロビーで流れたぞ。まさか、俺まで映っているとは……」

 「気にするなって。あんなもんだろ! 俺達は」

 「だが、俺は教導官だ……くっ、ハンターを希望するアークス達に合わす顔が無い」

 

 酔うとテンションが下がる性格だったらしいオーザは、PVで醜態をさらしたと思い込んで項垂れていた。

 

 「とりあえず、困らない程度には買ってきますよ」

 

 と、酔っ払いどもから逃るように立ち上がったシガは隅で一人取り残されている感のあるテオドールにロックオンする。

 

 「テオドール、買い出し手伝ってくれ」




 酔った様子や、NPC間の関係はなるべく本作の関係に近づけていますが、ほとんどがオリジナルです。

次話タイトル『Hope 意義』
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