ファンタシースターオンライン2~約束の破片~   作:真将

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71.Bottom of the volcano 灼熱の底

 『六道』

 「どうした? 休暇は終わったか?」

 『(パーツ)は取り戻した。だが、もう少しハルコタンで世話になる』

 「ワシも立ち会った方が良かったか?」

 『いや……こっちは大丈夫だ。少しマガツを起こしたが……“試作A.I.S”を使い、封印式へ還す』

 「生き仏になるなよ。まだ、お主は『オラクル』に必要だ」

 『代わりを務めてもらってすまんな。そっちは変わりないか?』

 「問題は起こっとらんよ。【若人】の断片も封じた。クーも頑張ったぞい」

 『よくやってくれた。クーナにもそう言っておいてくれ。それと次の任務がある』

 「やれやれ。少しは老人をいたわってくれんかのぅ」

 『お前を老人扱いするのは無理がある』

 「ふむ。否定はせん。して、任務とは?」

 『新たな『DF』の存在だ。仮面を着けた人型のダークファルス。呼称は【仮面】として、捜索兼、抹殺を主に動いてくれ』

 「【双子】はいいのかのぅ?」

 『奴らの観測は『虚空機関(ヴォイド)』では反応が消えた。上手く押し込んだようだな』

 「ワシの担当だったからのぅ。それで、次が【仮面】か?」

 『明らかな不確要素だ。(オレ)たちの計画に支障が出来る可能性として、早期に排除しておく必要がある』

 「やれやれ。ままならんのぅ。次は【若人】ちゃんが良かったんじゃが」

 『今『オラクル』で一番情報の少ないのが【仮面】だ。【巨躯】や【若人】のように解放時の姿を持っている可能性が高い。ソレを発揮する前に仕留めろ。【若人】はその後でもいい。リリーパに引き寄せられて、アークスとぶつかるかもしれんからな』

 「それで観測がいくらでも出来る……か。そう考えると、確かに今は【仮面】が危険だな。目的が不明な事もあるか……」

 『10年前に確認だけはされていた。だが、それ以降は音沙汰が一切無く、今期に不意に出現した』

 「アークスシップ襲撃事件か……嫌な記録だのぅ」

 『少なくとも、【仮面】が関わっている可能性は否定できない。あの時も、奴は不意にアークスシップに現れた』

 「それは初耳じゃ。まったく……本当に……やってくれたのぅ――」

 『六道武念、任務だ。【仮面】を確実に捕捉し、撃滅せよ。二度と10年前のような悲劇は繰り返させるな』

 「任務了解した、隊長。確実に遂行する」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 正直に言うと、アムドゥスキアの“火山洞窟”は嫌いだった。

 

 別に汗を流す事や、身体を動かす事が嫌いなわけではない。単純に、何もせずにジリジリと体力を奪われる行為がもどかしいのである。

 それでも、ナベリウスの爽やかな日差しや、リリーパのじわじわ来る地熱はまだ耐えられるが、“アムドゥスキア”の火山洞窟だけはどうしても克服できないのだ。

 

 その理由は、避暑地が無い事にある。

 

 天井が開けている訳では無く、常に洞窟内に篭る熱は、体力は元より“やる気”を奪っていく。

 それでも、アークスである以上はこの地へ足を踏み出さなければならず、その際にフォトンによる防護が無ければ一瞬で死に至るだろう。

 

 

 

 

 

 「あぢー」

 

 ライトの依頼を受けて、シガはアムドゥスキアの火山洞窟に足を踏み入れていた。

 火山洞窟。その名前をそのまま体現したフィールドは、薄暗い内部の光源は、至る所に姿を見せるマグマの照りつけによるモノだった。加えて直に灼熱が熱を放出する空間でもある。しかも“洞窟”である為、熱がこもり、外の何倍もの温度となっているのだ。

 

 当然、人が足を踏み入れれば一瞬で肺を焼かれて死に至るのだが、アークスは周囲を薄いフォトンで覆い、外気との温度差を一定数値に調整する事を可能にしているので、少し暑い程度で済まされている。

 なので、今現在の環境下でも、“暑い”と感じる程度の体感に引き下げられ、活動に支障は殆ど無かった。

 

 「うーむ。やっぱり、もう一人くらい誰かに声をかければ良かったかなぁ」

 

 適当に水分補給しつつ端末を見る。ライトから、“アキ博士”の索敵用のフォトンデータは貰っており、惑星を衛星軌道からぐるりと回って、この辺りの地点に居る事は解っていた。

 だが、広い洞窟内はレーダーで見るだけでは計り知れないほどの広さがある。実際に降り立ち、更に細かく位置が解るレーダーに切り替えて捜索を開始したのだが……

 

 「やっぱり、索敵用の端末は苦手だ……」

 

 ポチポチ操作しているが、有効設定が一キロ未満より縮められない。常時使わない機能であるので、上手くいかないのだ。

 

 「ま、いっか」

 

 とにかく、“アキ博士”はレーダーに捉えている。一キロ圏内に居る事は確定で、テレパイプでも使ってくれれば即座に位置を把握できるので、こっちは淡々とレーダーの反応を目指して進むだけでいいのだ。

 

 「……はぁ。やっぱり、花が無いよなぁ」

 

 中々やる気が上がらないのは、やはりおっさんを捜しているからだろう。そう言えば、“アキ博士”の写真をライトから貰い忘れたが、あったところで任務に支障はない。

 

 「こんなところに、女の子もいるとは思えないしなぁ」

 

 アムドゥスキアは不人気な惑星である。最近、原生民が発見されたリリーパよりも、前々から先住民――『龍族』の存在も確認されていた事から彼らとの交流は避けられないモノだ。

 だが、仲が良かったのはほんの数十年前まで。今では衝突も度々ある様で、一部の『龍族』に至ってはエネミー扱いにさえなっている。日々の確執が今現在の関係に既決してしまっているのだ。

 

 「なるべく“龍族”とは避けて行くかな」

 

 彼らもレーダーに映る。こちらとしては十全に動く事が出来ないので、この過酷な環境に適応した種族である“龍族”とは戦いたくなかった。

 

 

 

 

 

 極熱の支配する火山洞窟は生物が存在するにはあまりにも劣悪な環境だった。

 いくら、その地に適応した龍族と言えど、食料も無い洞窟での生活は困難である。そもそも、洞窟が彼らの住処であると言う考え方が間違っているのだ。

 彼らからしても、洞窟は過酷な環境であり、普段は“浮遊大陸”なる土地にて生活をしている。

 

 〔どうした〕〔これは……一体〕

 

 龍族でも数多ある一族の一つ――ヒの一族の戦士ヒ・エンは破壊された集落を見て驚きの声を上げた。

 

 〔エンか?〕

 

 同胞の一人がヒ・エンの姿を見つけて駆けつけた。その身体には痛々しい傷跡が存在している。

 

 〔!〕〔その怪我は!?〕

 〔問題ない〕〔気にするな〕〔それよりも〕〔ロガ様が乱心なされた〕

 〔どういうことだ?〕

 〔わからぬ〕〔急に暴れ出し〕〔数人の戦士達の声も聞こえていないようだった〕〔止めようとした戦士達の数人が負傷し〕〔ロの一族に助命を受けている〕

 

 不意に暴れ出してロガはまるで見境なく、集落を焼き払ったのだ。幸い死に者は出なかったが、止めようとした戦士達が負傷していた。

 

 〔ロガ様が〕〔何かあったのか?〕〔まさか〕〔数日前より姿を見せるようになった賢しいアークスの仕業か?!〕

 〔解らん〕〔無関係ではないと思うが〕〔今はロガ様の安否が心配だ〕

 〔そう言えばチの一族でも〕〔似たような事が起こったと聞いた〕〔急に同胞が暴れ出し〕〔酷い事になったと〕

 

 昔からその手の事件は度々起こっていたが、これ程までに頻繁に起こることは無かったのだ。

 

 〔ロガ様を捜す〕〔そちらは負傷した戦士達に着いててくれ〕

 〔ロガ様は〕〔恐らくカッシーナだ〕〔気をつけろよ〕〔エン〕




 あんまり話の進まない回。ですが、これでオリジナルのフラグは立ったと思います。
 六道の次の標的は【仮面】です。エンカウントすれば即死亡です。【仮面】は。

 次話タイトル『Magical girl 魔砲少女』
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