火山洞窟は一部の地形が変化する事態が起こっていた。
原因は惑星外から訪れたアークスと呼ばれる者達で、交戦した龍族は、火山洞窟を主な活動地とする“チの一族”であった。
彼らは一族の半数を使って三人のアークスを襲撃したのだが、攻めきることが出来ずに敗北を期している。その敗北は龍族内でも早急に広がり、アークスという存在に対する警戒を強める様にと言われていた。
〔酷い有様だ〕
火山洞窟の戦闘跡地に足を運んでいたのは、ヒの一族――ヒ・エンである。彼はロガを捜し火山洞窟中を捜し歩いている。この件に関する情報を頼りにあちらこちらに足を運んでおり、今回のチの一族とアークスの交戦の件も全く消息の掴めないロガの安否を期待をしての散策だった。
〔天が崩落し〕〔天外が見えている〕〔強力な存在が現れたのだな〕
チの一族の半数がやられるほどの相手だ。地形を変える程の力を持っていると仮定するのも大袈裟ではない。
〔……やはり〕〔ロガ様は――〕
ここも外れだったと落胆するが、気落ちしている暇はない。早く見つけ出さなくてはならない。ロガ様は同族を襲う程に自らを制御できていなかった。眼につくモノは全て攻撃対象だと仮定すると、アークスにも躊躇いなく襲い掛かるだろう。
ロガ様が後れを取るとは考え辛いが……カッシーナをここまで変貌させる程の者がアークスには居るのだ。余計な被害が生まれる前に見つけて差し上げなくては――
〔その杖は〕〔ヒの者か?〕
そこへ現れたのは右眼が潰れて失明している隻眼の龍族である。
〔その剣〕〔コの戦士だな?〕
〔コ・リウと言う〕
〔ヒ・エンだ〕〔コの一族はカッシーナではあまり見ないのだが〕〔何か用事か?〕
〔鍛錬の内だ〕〔カッシーナには良くアークスが来る〕〔最近は一族内でもアークスとの接触は特に気をつける様に言われている〕
〔そうか〕
〔最近起こっている〕〔同族内での不穏な“病”の事は知っているか?〕
〔病?〕
〔うむ〕〔カッシーナでもテリオトーでも同じ症状が確認されている〕〔ロが近い内に一族全体に通達するそうだ〕
しかし、“病”は一族の一部を蝕み始めているらしく、ロの命で一族でも腕利きの者達は原因の究明と“病”の対処法を探す様に言い渡されていた。
コ・リウもその内の一人である。
〔“病”に侵された同族は理性を失い〕〔眼に映るモノを無差別に攻撃する〕
〔なんだと?〕
コ・リウの言葉にヒ・エンはヒ・ロガの行動は病に侵されたモノと類似していると瞬時に悟った。
〔今の所〕〔有効な治療法は見つかっていない〕〔事態は深刻だ〕
近年になって現れた“病”。それは、この地に足を運ぶアークスには何ら影響がなく、発病するのは龍族だけだった。
「お、こっちこっち」
シガはショップエリアで、アザナミの姿を探して視線を彷徨わせていると、手を振ってこちらを呼ぶ声に目的の人間を捉える。
「アザナミさーん。えーっと、知り合いですか?」
そこに居たのは、アザナミと学生服を着たニューマンの少女だった。確か、この学生服はアークスの修練生のものだ。大人びたウルクと違って歳相当の幼さを感じ取れる。
「まぁね。イオの紹介でさ。彼女困ってるんだって」
困っている。女の子が。その言葉にシガはキリッと表情を整える。
「ロ、ロッティと言います! アムドゥスキアの調査に協力してください」
「いいとも!!」
「早ッ」
思わずつっこみを入れたアザナミは、即答したシガに少しだけ心配するような表情のロッティを見る。
「こっちの彼はシガ。わたしと同じブレイバーの試験員。ウチもまだ試験的なクラスだからさ。不安になる気持ちも仕方ないと思うけど、腕だけは保障するよ」
「は、はぁ……」
「こっちも無理にとは言わない。あたしの伝手で正式なクラスの人を紹介しようか?」
ロッティの依頼は、本日中に終わらせる事を希望する内容なのである。正式なクラスでは無いブレイバーは他の正式なクラスと違って即行動に移せる。しかし、そこに確実が保障されているかと言えばそうではないのだ。
「い、いえ! イオ先輩の紹介です! 頼りにさせてください!」
信頼できる先輩の紹介と言う事もあるが、それよりも新しく承認される予定のクラスを先んじて知ることが出来るのは貴重な経験でもある。
レポートは提出日時を逆算して今日中にアムドゥスキアに降りる事が出来れば良い。
「よし。じゃあ、シガに任せるよ」
「任せてくださいよ!」
シガも依頼相手が女の子と言う事でテンションはだいぶ高い様子を見届けて、アザナミはリリーパの依頼を片付ける為に去って行った。
「ロッティちゃん。早速アムドゥスキアに降りるけど準備は出来てる?」
全は急げ。ロッティも時間がないと言ってるので、このまま降りるのが得策だろう。
「は、はい。アイテムは大丈夫なので……」
慣れない様子の彼女にシガは、責任を持ってエスコートせねば! と意気込む。
「それじゃ、
丁度端末を取り出した所で着信音が鳴り、ロッティに断って通話に出た。
『やあ、シガ君。数日ぶりだね。今都合がいいかな? これからアムドゥスキアに
「こちらが依頼人のロッティさんです」
シガはアキからの連絡を受け、彼女のアムドゥスキアに降下すると言う依頼を同時に受ける事にした。もちろん、先に依頼をしていたロッティにはちゃんと話を通し、彼女はアキと言う名前に強く反応して、ぜひ、と快く了承してくれたのだった。
「け、研修生のロッティです! こ、今回はよろしくお願いします!!」
キャンプシップの発着場で、シガとロッティを待っていたアキとライトは既に出発準備も完了している。
「私はアキと言う。そうかしこまらなくていい。最低限の敬語だけで私から要求するモノは他にはないよ」
「依頼を受けてくださってありがとうございます。シガさん」
ロッティとアキが会話をしている間、シガはライトと今回の件の話を照らし合せる。
「いやぁ、正直言って助かったよライト君。ここだけの話、アムドゥスキアは苦手でさ。あんまり深く探索は出来ないと思ってたから。ほら、数日前のアキさんの捜索で龍族とごたごたがあったって言ったでしょ?」
「先生から聞きましたけど、取るに足らない小事だったのでは?」
「ちょ、アキさーん!」
シガは、あの時の状況をどのようにライトへ説明したのか尋ねた。
「なに。あんなのは大したことは無い。たかだか70体ほどの龍族に襲われただけじゃないか」
「70!?」
「70!!?」
その言葉にロッティとライトは声を上げて反応する。
「あのですね。それって結構やばいんじゃ……そもそも、オレとアキさんってアムドゥスキアの龍族に警戒されているんじゃ……」
「それは無問題だよ。恐らく襲ってきたのは龍族の中でも数ある部族の一つだろう。あれほどの数を退けられたのだ。そう易々と同じ戦力をぶつけて来る事もあるまい」
「いや、今回は
「心配はいらないよ。自慢ではないが
「本当ですか? 信じちゃいますよ!?」
「信じてくれたまえ。それでは行こうか、諸君! アムドゥスキアは私達を待っているぞ!」
本当ですか~? と意気揚々とキャンプシップに乗り込むアキに続くシガ。
心配だなぁ。とそのシガの後に乗り込むライト。
「…………あぁ。なんだか嫌な予感がします」
ロッティは経験の浅い自分の予感を振り切り、彼らの後に続き、最後にキャンプシップに乗り込んだ。
降下開始です。ロッティも連れての四人パーティ。元は主人公、アキ、ライトですがオリジナルの展開を入れようと思ってロッティを追加しました。
調べたところ、彼女はディフェンス寄りのハンターらしいのでそれらしく立ち回らせます。
次話タイトル『Analyze the amduskia 真実の探求者達』