俺氏、江ノ島高校にてサッカーを始める。   作:Sonnet

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よろしくお願いします!


第24話

 まさか学校の授業中に奈々とサッカーすることになるとは思ってなかったが、これからまた普通に夜サッカーの練習もするんだろうなぁ。特に駆は。

 

 前回の辻堂学園との試合の中で結構な働きを見せてくれた駆だが、それでも自分で動いたって記憶がない分よくやったと言われても嬉しくはないだろう。と言うわけで、今日も今日とて練習をするという動機だろうな。

 

「さて、今日も公園……お?」

 

 と、歩いてやってきた公園だが、謎のマスクマンが駆と一対一の戦いをやっているじゃぁありませんか。と言っても、漫画みたいに拳と拳を合わせる喧嘩みたいなことをしているわけじゃなく、サッカーで勝負をしているわけだが。

 いかんせん、駆とマスクマンのテクニックに差があり過ぎて駆が圧倒されている。

 足元の技術も、フィジカルも。

 ……しかしこの動き、マスクマンの動きがどうしてもビデオで見た彼に似ているような気がしてならない。

 

「この程度なのか?」

「え?」

 

 おっと、ここでマスクマンがマスクに手をかけ、そのまま謎のベールに包みこまれたその顔を露わに……って、本当にレオナルド・シルバじゃねぇか!?

 何を話しているのかここからだと少し聞き取りにくいが、いつの間に駆はシルバと出会ってたんだ? まさか、昔傑さんの伝手で会う機会があったのか? しかし、そうだとしてもマスクをかぶる必要なんてなかったはずだし。

 

「うああぁあぁ!」

「は?」

 

 いきなり駆が叫びながらシルバにドリブルを仕掛けに行った。

 そして、またしても駆の能力が急激に上がるのを確認してしまった。

 

 シルバに何を言われたのか知らないが、もしかすればそこまで激高するような内容の話を言われたのかもしれないし、シルバに出会ったことで何らかの記憶を思い出したのか。

 それにしてもこんな急激に能力値が上がるなんて卑怯にもほどがあるが、これでもし後で駆に話を聞いて覚えてないって答えたら完全に二重人格みたいなもんだなぁ。

 

 駆の足元に吸い付くように動くボール。

 全身の総毛が立つような鋭い感覚。

 それを受け、厳しい表情をしていたシルバの顔に笑みが浮かんだ。

 

「駆っ!」

「なっ……」

 

 木の裏に隠れていた奈々が飛び出してきた。

 たぶん、駆の様子が変わったことに驚いて飛び出してしまったんだろう。一気に駆のまとっていた雰囲気が変わり、急激に上昇していた能力値も元の駆のものまで下がってしまった。

 

 その事に納得できていないのがシルバで、駆の雰囲気が元に戻ったことを感じ取ったのか苦々しそうな表情を浮かべている。が、そこで駆が習得中のフェイントを繰り出した。

 

「いけぇ!」

「……な」

 

 全くボールの行方を目で追えてない。

 完全に棒立ちの状態で抜かれてしまったシルバの表情は驚愕で満たされている。

 しかし、俺もそのフェイントを自分の目で見ることができたので、少し練習すればできるようになるだろう。そしたら俺もシルバを驚かせることができるだろうか。

 

「よう、こんな所にレオナルド・シルバがいるなんて思っても無かったぜ」

「ん? 君は……」

「ヤス!」

「ヤスってことは……君が不知火君か」

 

 不敵な笑みを浮かべ俺の事を見つめてくるシルバ。

 意外にも俺の事を知っているらしい。

 

「俺のこと知ってるのか?」

「それはそうだ。高校からサッカーを始めたっていうのに、試合では相手のシュートのことごとくを止め、そしてDFなのに前の試合ではハットトリックを決めている。そんな新人君の話題を耳にしない方がおかしいんじゃないかな?」

 

 しっかりと情報収集をされているようで。

 そこまで知られているのもなんかくすぐったい感じがする。俺が最初にサッカーの技を知ったのは岩城監督に渡されたビデオとは言えシルバの技術。極論になるかもしれないが、俺にしてみればシルバこそ最初の師匠だからな。

 

「そう言ってもらえるなんて嬉しいな」

「なら良かった! 僕は君と試合をするのを楽しみにしてるんだ。もし試合をすることになったらよろしく頼むよ」

「こちらこそ」

「……しばらく日本でサッカーやることにして正解だったよ」

 

 ――色んな意味でね。

 その一言を残してシルバは去っていった。

 すごく気になる言葉なんだが、サッカーをすること以外に関しては特に関係なさそうだから考えなくても良いかな(適当)

 まぁ、世界的に有名なシルバに会えて良かったと思っておこう。

 

 と、その後は少しだけ練習をして解散することに。

 これはいつもの流れなんだが、そこでふと奈々の漏らした言葉が非常に頭に残っている。

 

『いつかきっと日本代表になってくれるよね?』

 

 これは俺に向けられた言葉ではない。

 昔、奈々と駆が何か約束事でもしていたんだろう。しかしラブコメをしているなぁとしか思えない(苦笑)

 駆が奈々のボールを少し強引に奪いに行こうとした際、そのまま二人がもつれ合う様にして倒れ、駆の上に奈々が乗っかる状態に。いやぁ、ラブコメしてますわ(真顔)

 こうして夜の練習に参加させてもらってる俺が言うのもあれだが、なんでこいつら付き合ってないの?(迫真)

 

 独白なのに括弧が多すぎるって?

 それだけ俺の脳は砂糖にやられてしまったんだ……納得してくれ。

 

 

 そして次の日。

 今日も今日とていつも通り学校へ登校してきまして、事件が勃発。

 ……誰かが事件を起こしてしまい、ここから一気に探偵ものの話になる。なんてことは無く、話は薫が持ってきた新聞の一面によって巻き上がった。

 題名は『なでしこジャパンの救世主』。写真には奈々の躍動感あふれる姿が映っていた。そして下には制服姿の奈々の写真も。

 あの野郎……サッカーの授業中に写真撮ってた男はこういう事だったんだな。

 

 そして俺たちはなでしこジャパンの、奈々の試合の応援に行くことにしたのだった。

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