俺氏、江ノ島高校にてサッカーを始める。   作:Sonnet

6 / 97
基本的には原作通り。
……なのかな(´・ω・`)?

よろしくお願いします。


第05話

 ついにやってきた試合当日。

 俺たちFCが戦う相手は同じ高校のサッカークラブ、それも公認の部活として活動しているだけあって部員の数も52名と、れっきとした部活動を行っているようだ。まぁ、俺にしてみればSCの監督である近藤監督みたいな頑固親父を彷彿させる人はそこまで好きじゃないんだが。

 対するFCは部員数、俺を含め12人。何とかサッカーをする事ができる程度の人数だ。

 まぁ、初心者の俺がいきなり試合に出るとは思えないから、先輩方に何か事故でもない限りはこのままベンチで体を休めておくだけの簡単なお仕事になるのは目に見えているわけですけれども。

 

「――なんて思っていた時代もありました」

「ん? どうしたんだ?」

「いえ、なんでも無いっす」

 

 FC側のビブスを身に着け、俺はピッチに立っている。

 位置は兵藤先輩の左側。監督は俺に「適当に左側を走っていればいいですよ」なんて本当に適当な事を言っていたけども、とりあえずフォワードの火野先輩よりも前に出なきゃ問題ないのか?

 

 相手のチームを見るが、誰も分からない。

 どれだけ運動できるかぐらいしか分からないが、相手フォワードののっぽ野郎はそこそこ運動できそうだ。それから真ん中あたりの人と、その後ろ側にいる人も結構な人と見た。ホント、なんで俺がここにいるのか分からないんですが?

 

「ヤス、お前さんは自分の得意なポジションで動いてくれて構わんからな」

「はぁ……分かりました」

 

 マコ先輩――兵藤先輩が「いつまでも堅っ苦しいわ!」と言ったが事の始まり――も何をもって俺の事を信用しているのだろうか。最初に未経験者だと言ってあるはずなんだがなぁ(白目)

 解説役の江ノ島高校生徒の諸君の話を適当に聞き流しつつ、ピッチ上で屈伸運動。さすがにアキレス腱を痛めたくはないからな。それにしてものっぽ君よ。サッカー未経験者と紹介された俺を見ながら笑うのはあまりよろしくないのではないのかな? 貴様なんぞトッポみたいに簡単に折ってやれるんだぞ?

 

 ――ホイッスルが鳴った。

 試合の開始はFCからのキックオフで始まった。

 火野先輩がボールを蹴りだし、ボランチとして中央にポジションを構えているマコ先輩がボールを持ち、ゆっくりと敵陣へと歩き出した。

 

 さて……俺はどうしようかな?

 適当に動いてても良いって事だったから、パスを受けれる場所にいれば大丈夫だろう。後は上からの視点を考慮しつつ立ち位置を移動しよう。ボールの動きとか、それに合わせて動く相手とか諸々。今の俺ができることをしようかなっと。

 

「ヤス!」

「おっとぉ」

 

 いきなりパスが来た。よく見ればマコ先輩に一人ディフェンダーが付いていた。駆が動き出し、それに引きずられるように二人のディフェンダーが駆に近寄っていく。恐らく、それでパスを出せないようにしているんだろうが、逆にそれ以外のスペースが空いている。

 

「へっ! 簡単に奪ってやるぜ!」

 

 俺が未経験者だという紹介を聞いてか、八雲とかいう同級生が突貫してきた。

 おそらく俺が周囲を見渡してパスの出しどころを探していたのを、助けを求めているんじゃないかと勘違いしているようだ。しかし……

 

「威勢は良いが、そこまで上手じゃないだろうに」

「なっ!?」

 

 シザースで悠々と躱し、駆の動き出しで空いたスペースに走りこんでいた火野先輩にボールを蹴りだす。パスが火野先輩の足元に収まったのを確認して意識を俯瞰視点に切り替える。いやぁ、こうやってピッチに立ってプレイしてみたいなぁなんて思ったこともあったが、まさかこうして実際に俺がサッカーをすることになるなんてなぁ。

 ――進退窮まった火野先輩はクロスを上げるフリからのショートパスでマコ先輩へとボールを繋げた。マコ先輩の足元に収まりドリブルを仕掛けるが、SCのディフェンス陣が急いで守りに戻り、マコ先輩の行く先を二人のディフェンスが防いだのだったが。

 

「いけぇっ!」

 

 一気にゴール前へとクロスを蹴り上げた。

 一見、誰も走りこんでいないような感じのするクロスだが、何とそこには我らが攻撃陣の要、駆が走りこんでいたのだ! そのままシュート……っ!

 ……と、いければ格好良かったのだが、駆よりも体格のデカいディフェンスが仕事を果たし、ヘッドで一気にボールを弾き出してしまった。

 

「よっと」

「なに!?」

 

 そこに走りこんでいたのが俺ってわけで、上から見てれば大体のボールの来る位置は判断できるから、それを生かしてボールを確保。距離はおおよそ30メートル。届かない位置じゃないが、後ろから迫ってきてる相手さんの事を考えてグラウンダー性のショートパスをサクッと。

 右側から上がってきた的場君に合わせて絶妙なパス。

 ふふふ……俺に死角はないのだよ!

 

「これで!」

「くぅっ!」

 

 降りぬかれた右足。

 ダイレクトシュートはポストの少し右側を(かす)り、コートの外へ点々と転がっていってしまった。

 

「おしいよおしいよー」

「こいつ……」

『おおっとー! これはどうしたことだぁっ! いきなり試合が動いているぞ! それも入部したての一年生が試合を動かしている! しかも12番の不知火に至ってはサッカー未経験者となっているが、これは何かの間違いなのではないでしょうかぁっ!?』

 

 良いダイレクトだったけどなー。

 何気に自分でシュートを蹴るのは勇気がいる。だからフリーの的場君にパスを出してみたわけだが。次は俺が蹴ってみようかな?

 

 ゆっくりピッチを歩いていると、相手のキーパーが一気にボールを前線に蹴り上げた。

 それを競っているのはマコ先輩だが……相手があののっぽ野郎じゃ分が悪い。ヘッドで落とされたボールはそのまま相手の選手が保持してしまった。

 

 お~お~、波状攻撃仕掛けられてる。

 このままじゃ点数が決められるのも時間のうちと思っていたら、駆がこぼれたボールを外に押し出し、当面の窮地を救ったが。コーナーキックになって尚ピンチが続いている。

 味方ディフェンス陣よりも頭一つ分背が高い相手攻撃陣。これは守りにくいだろう。

 一応俺も下がって守りに付いているが、あのキッカー――織田先輩だったか、あの人がどこに蹴るか全く予想がつかない。

 

 一人、駆が付いていた相手が動き出した。

 ゴールから離れるように動き出したせいか、駆の意識がゴールに向いているせいで気づけてない。仕方ない……ここは俺が近寄ってボールを奪うとしようか。

 

『あーっとぉ、ゴールと逆に曲がっていくぞ、これはっ!?』

「えっ!?」

『長身の3人にマーカーが引き付けられてる隙に沢村がマークを振り切ってフリーに!』

「と、そうは問屋が卸すと思うなよ?」

「なっ!?」

 

 沢村先輩の後ろから滑り込むように邪魔に入る。

 そして曲がって来たボールを胸で受け止め、足でトラップする。後ろから沢村先輩が体当たり的な感じでボールを奪いに来ようとしてるが、残念だが簡単にはやらんぞ?

 左に動くと見せかけ右に動く。ボールは上手いこと上に蹴り上げ、沢村先輩の後ろに落とす。ボールの行方を見失っていた先輩は俺の動きに付いてくることができてない。

 

「はっはー!」

「くっそ……」

 

 攻撃陣が一気に駆け上がる。

 駆、的場、火野先輩、マコ先輩が敵陣へと走り込み、相手ディフェンダー陣を戸惑わせている。

 

「ここだぁ!」

 

 ピッチ中央付近からの縦パス。

 相手ディフェンダーもボールを取ろうと、触ろうと足を伸ばすが届かない。そういう所を狙って蹴ったんだから仕方がない。

 

「僕が決める!」

 

 裏をかくように走りこんだ駆を俯瞰視点で感じ、ディフェンダーの意識がボールと火野先輩に逸れた瞬間に走り出した所を狙ってパスを出した結果、しっかりと駆も追いついていた。

 走り出そうとする方向に足でボールを落とし、ボールを足元で受け止める一瞬の時間を短縮。そのままゴールに向かって右足を振りぬいた。一度トラップしたとは言え、動いているボールを蹴ったとは思えないほどの精度で一本の線を虚空に描き、それはゴールネットの右隙を揺らしたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。