俺氏、江ノ島高校にてサッカーを始める。   作:Sonnet

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少しストックができたので、フライング投稿。次話は予定通り日曜日に投稿します。

前話を投稿したらまさかの日間ランキング入り。
お気に入り登録数も一気に伸びてたので驚きました……既に1000件を突破したんだが何事(震え声)
よ、よろしくお願いします!


第06話

『江ノ島FC! 前半30分でついに均衡を破ったぁっ! 誰がこの結果を予想できたでしょうか。まさかの一年生コンビが得点を決めるなんて!』

「やった……やったぁ!」

「まぁ、良かったんじゃないか?」

 

 駆が周りの先輩に囲まれ祝福されている。

 かく言う俺も駆の頭をペシペシ叩いて喜んでいるのだが。

 

「ヤス……よくやった!」

「マコ先輩」

「お前、すげえよ! この後もどんどんボール回していくから、もっと動いて活躍してくれよ!」

「了解っす」

 

 あまり期待されても俺の胃がマッハで潰れてしまうかもしれんぞ(白目)

 なんか試合の最中、ボールを蹴るときとかテンション上がってハイになっちまうのが気にはなるが、今はまだ上手いこと回ってるから良しとしよう。

 

 さて、一点を決めてリードしている俺たちであるが、今先輩が言ったように守りに入るつもりはないようだ。と言うのも、SCの部員たちもそれぞれ確固とした実力を持っているわけで、単純に守りを固めてしまったら織田先輩や沢村先輩、その他背の高い攻撃陣の動きが気になってしまう。

 そうなるぐらいだったら始終一貫して攻勢にかけていた方が今のFCには合っている戦術と言える。

 

 ――ちなみに俺だが、まだ隠しているスキルみたいなものもあって、相手の運動能力を値、グラフみたいな形で読み取ることができる。そこまではっきりと数値化できるわけじゃないが、だいたいこれぐらいの運動ができるだろうという指標になる程度の解析だ。

 

 それを鑑みてもうちのチームは攻撃に傾倒していた方が良いという結果になっている。

 守りに突出した部員がこっちには少ないという現実。上げるとしても、スライディングやら積極的な守備技術のある堀川先輩。また、岩城監督が誘ったというキーパーの紅林先輩ぐらいだろう。

 

 あと一人……もう一人ぐらい連携に参加できる人がいれば良いんだが。

 

 

 

「駆っ!」

「うん!」

 

 ショートパスでボールを回す。

 さっきの一点目もあり、未経験者として参加している俺にもディフェンスが付き始め、おかげで味方からのボールを受けるには少し動かないといけなくなってしまった。その間も相手は動いているわけで、少し前までのように簡単にボールを受けれなくなっていたのだが。

 同じサイドから駆け上がろうとしていた八雲君のボールを奪取。

 悔しそうに顔を歪めている姿を一瞥しつつボールを前線に上げる。

 

 それが駆だったのだが、今駆の前には沢村先輩が付いていた。

 それを上手いことフェイントで躱したのだったが……俺から見てみればどこか拙さが出てるフェイントだった。どうしても違和感を拭い切れない。

 それを察したのか、今度は織田先輩が一対一で駆と対峙。

 

「来い」

「ダメっ! 織田先輩は駆の欠点に気づいてる! 駆、パスよ! 無理しないで的場君に!」

 

 それが聞こえてないのか、駆はそのままフェイントで織田先輩を抜き去ろうとし――

 

「え!?」

 

 織田先輩は左足で簡単に駆からボールを奪ってしまった。

 やはりどこかに駆の弱点があるのだろう。今の駆だと格上の相手に通用しないだろう。

 

『10番織田、逢沢からボールを奪いすぐさまロングフィード! これはチャンスになるぞ!!』

 

 大きく蹴り上げられたボールはそのまま自陣の中央まで飛んでいき、相手の坂本先輩がヘッドでボールを落とした。さすがにピッチの中央付近にいた俺は対応することができずそれをそのまま眺める事しかできていない。

 ボールは左サイドの中村先輩へと繋がり、そのままサイドを突破される。そしてクロスを上げられ、ゴール前にいた長身の高瀬がヘッドでボールをシュート。これ以上ないサイドからの連携で繋げられたボールはそのままゴールネットを揺らすのだった。

 

『SC、前半ロスタイムと入ったところで鮮やかな同点弾! これで1対1に追いついたぁっ!』

 

 紅林先輩がボールを中央に向けて投げてくるが、キックオフすることなくホイッスル。

 ここで前半は終わってしまった。

 

『高瀬と競った三上が激突から立ち上がれない。腕を押さえているが大丈夫でしょうか?』

「立てますか、三上さん」

「く……なんとか……でも腕が……」

 

 マコ先輩の肩を借りつつ戻ってきた三上先輩だったが、何とさっきの激突で肩を脱臼してしまった。何とか関節を入れたものの、監督判断でこれ以上のプレイはできないと言われてしまう。

 もともと12人しかいないこのチームで手痛い事態が発生してしまったが、交代要員の遠藤先輩はそもそもディフェンスじゃない。

 

 岩城監督は公式でも退場等で10人で戦うこともあると言っているが、流石に点数を決められて雰囲気が落ち込んでいる最中の出来事に皆が付いていけてない。どうしたものかと考えるも、俺には何もできない……

 

「駆、『答えはゴールで出す』んだろ? 一点決められたぐらいで何落ち込んでんだよ!」

「公太!?」

 

 なんとそこにはSCに所属しているはずの中塚公太の姿が。

 実はと言うと、こいつもまた俺と同じ中学に通っていた奴で、駆と同じサッカー部に所属してたのだ。俺からしてみればそこまでの関わりは無いのだが、遠い高校に同じ中学から仲の良い奴が来た駆は嬉しいだろう。

 ……しかしまた、なんで公太がここに?

 

「いいの!? SCの先輩が見てるよ」

「辞めた……」

「え?」

「SCはつまんねーから辞めた!」

 

 何という突拍子のない行動だろうか。

 前世を鑑みれば、俺だって先輩とかに歯向かった事はあるけども。こんなにも真っ直ぐな物言いで知り合いの所に来るなんて事はできなかった。しかも、何気に良い雰囲気になってて妬ましくもある。

 監督は監督で、ちょうどディフェンダーが不足してしまったところなんですーなんて言いながらユニフォームを渡してるし。

 

 ……まぁ、どうでも良いかぁ(白目)

 

 駆も嬉しそうにしてるし、人が足りてなかったのは事実だから、いきなりであっても戦力の増強はFCには良い方向にプラスになってくれるに違いない。

 

「不知火君、良い動きでしたよ」

「監督」

 

 さっきまで駆に話しかけていた監督がこっちに来ていた。

 

「君にとっては初めての試合になるんですが、どうでしたか? 君の動きを見るに、特に問題無かったように見えましたが」

「そう、ですね……ただ、こっちの守りは向こうの攻撃に比べて少し厳しいところがあるので……せめてあと一人ぐらい連携に絡んでくれるような人がいれば良いんですけど」

「連携、ですか?」

 

 ふと、FCのメンバーを見渡し、次いでSCのメンバーを見やった。

 

「悪く言うつもりはないんですけど、こっちのチームで屋台骨になってるのがマコ先輩で、守備の要になってるのが堀川先輩。それだけなんです。攻めは火野先輩と駆がいるんで良いんですけど……どうしても中盤から攻めに対しての繋ぎが単調になってしまってるんじゃないかなと」

「……ふむ」

「それに対して、向こうは長身ののっぽ君、中盤じゃ沢村先輩と織田先輩。ディフェンダーにはガタイの良い海王寺先輩が。のっぽ君を生かそうとすると単調になりがちな感じもするけど、それを巧くカバーしてる先輩方がいる……だから、どうせだったらこっちは中盤で連携の取れる人が欲しいんです」

「な、るほど……」

 

 しばらく監督は顎に手を当て、何かを考えている風だったが――

 

「わかりました。ですが、こちらのチームが人数不足になっていることもまた確かなわけです」

「そうですね」

「なので後半からは、マコ君と不知火君のポジションを入れ替えましょう」

 

 アィエエエエ!? ナンデ!? カントクナンデ!?

 キャプテンのマコ先輩とポジションを入れ替えられるなんて事になるとは思いもしなかった……

 これが、いきなり適当な事を言い出した未経験者に対する洗礼って奴ですか?

 

「わかりました」

「では、よろしくお願いします」

 

 監督からの期待が重い。

 しかしまぁ、いきなりこっちに鞍替えしてきた中塚って奴も結構足早そうだし、意外となんとかなるかもしれん。攻撃力不足になってるのは否めないが、そこは駆に全振りして何とかしてもらおうかな(適当)

 

 ――嗚呼……誰か、俺の代わりにサッカーやってくれる人いないかなぁ……

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