出来損ないの能力者   作:コーヒーブレイク

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あっぶねぇ!良いお年を!


勘違い

「……いつものお願いします」

 

赤毛ちゃんを呼びつけて俺はミルクコーヒーを注文する。頭はまだボヤけているが、いままで毎朝言ってきたセリフだ。間違う要素もためらう理由もない。

注文を受けた赤毛ちゃんにはしっかりと伝わったようだ。満面の接待スマイルを浮かべてる。

 

 

 

 

 

目をそらしながら……

 

 

 

 

 

さて、ミルクコーヒーが届くまでの5分間、いつも通り朝の街並みでも眺めるとしましょうかね。

 

いや〜最近暑くなってきたからか、女性の露出が増えてきてるんだよね。

ほんと目に毒だよね。

下着とか若干透けてるとスゲェ興奮するよね。

でもそれよりもホットパンツとかタイトスカートのほうが興奮するよね。

偶然そんな人がその道通らないかな?

 

 

そんな邪な考えを表情には少しも出さず、窓の外に目を向ける。

 

そして俺は見た

 

 

 

見てしまった

 

 

 

 

 

少女が少女のスカートを引っ張ってる光景を。

 

 

 

どちらかが男ならこの状況もわからなくはない。

 

 

スカートを引っ張ってるのが男なら、ただの変態だ。ジャッチメントされるといい。

 

スカートを引っ張られてるのが男なら、これもただの変態だ。アンチスキルされるといい。

 

 

しかしそのどちらもが少女なのだ。

 

 

一見なんの問題もないかのように思える。

ただのじゃれあい、またはレズビアンの変態と見えるかもしれない。

 

しかし、スカートを引っ張ってる黒髪の少女の目に笑顔や興奮の表情はなく、ただただ悔しそうな表情を浮かべていた。

 

スカートを引っ張られてる花飾りの少女の顔にもそういった表情はなく、涙目になっている。自分の服をわざわざ他人に脱がさせて興奮するタイプの痴女という線も消えた。

そんな痴女いるわけないと思うかもしれないが、近頃脱ぎ女なんて都市伝説があるくらいだ。違うベクトルの変態がいてもおかしくない。

 

なぜ二人の少女は嫌々こんなことをしているのか。

 

その答えは少女たちのすぐを見ればわかった。

 

名門常盤台中学の制服に身を包んだ少女が二人、スカート戦争をしている彼女らの側に立っていたのだ。

 

一人は呆れた様子で、もう一人は笑っていた。

 

 

笑っていたのだ、この状況を

 

 

二人の私服の少女

 

二人の制服の少女

 

学園一のお嬢様校

 

エリート少女集団

 

人の少ない繁華街

 

笑っている女生徒

 

 

俺の寝ぼけた頭は一つの答えを見つけ出す

 

 

 

 

 

 

 

コレは……イジメだ…

 

それもかなり悪質な…

 

 

 

 

俺の予想ではこうだ。

 

 

 

 

『今日はどこに遊び行こっか花咲さん(仮)』

 

『第四学区を練り歩きませんか?黒髪さん(仮)』

 

『ア〜〜ラ、なにやら低レベルなメス豚たちがオシャレして歩いてますわ〜』

 

『な、なんですか急に失礼な!どこの誰ですかあなたは!』

 

『だまらっしゃい!わたくしをどこの誰だと思ってらっしゃるの!?天下の常盤台中学生ですわよ!?』

 

『ヒッ、あ、あの在校生がみんなレベル3以上の…』

 

『オーーッホッホッホッ!そのとうり!つまりエリート!わたくしはエリートなのですわ!そのわたくしが、貴方達庶民に対して!言葉を発してさしあげているのよ?』

 

『え、えっと…』

『……その服装……私たちエリートが、校則とはいえ我慢して制服を着ているというのに……

ええい!あなた達のオシャレは非常に不愉快ですわ!そこの黒い髪のあなた!隣の彼女の服を剥ぎ取りなさい!』

 

『な!?そんなことできるわけ…』

 

『あら?逆らっていいのかしら?わたくしの超能力があなたをつらぬきますわよ?わたくしの能力、かなーり強力ですので……もしかしたらあなた、死んでしまうかもしれませんわ〜』

 

『ヒィ!?…………ごめん、花咲さん(仮)』

 

『そ、そんな……嘘ですよね?黒髪さん(仮)』

 

『私、まだ死にたくないの!許して花咲さん(仮)!』

 

『い、いやぁぁぁぁぁ!やめてください黒髪さん(仮)!』

 

『オーッホッホッホッ!愉快……愉快ですわ〜!』

 

 

 

 

 

 

 

………なんという卑劣な!

 

Levelだけで人を判断するのは絶対に間違っている!若さゆえの過ちということだけで済ませられる問題ではない!

 

黒髪さんと花咲さんはついに抱き合って座り込んでしまった。

それを目にした高飛車クソアマは、顔を険しくして彼女達になにか言っている。

きっと早く脱がせとかそんな最低のことだろう。

 

ちなみにもう一人の常盤台生はジャッチメントやアンチスキルを呼ばれないように周囲にガンを飛ばしていた

 

そのせいで繁華街に人通りはなくなっている。

 

チクショウ……チクショウ!

俺はここから見てることしかできないのか!?

すまない少女達……俺はここでミルクコーヒーを飲まなければならないのだ……

 

非力な私を許してくれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶっちゃけ割とどうでもいい。

可哀想とは思うがわざわざ止めに行くほど主人公な性格はしてない。

 

クズだと思うかい?すまないがこちとら人情に囚われた奴から死んでいく世界で生きているんでね…

今更俺に正義感を期待されても困る。

恨むんなら理不尽な社会を恨みなさい、俺のように。

なぁに大丈夫だ、流石にどんな奴でもこんな白昼堂々人を殺したりはしないだろう。

人生死にさえしなけりゃなにかしらいいことはある!……多分!

 

「お待たせいたしました〜」

 

外の可哀想な少女達から運ばれてきたミルクコーヒーに視線を移す

わざわざ助けるほど主人公な性格してないが、いじめられる女の子を見ながらお茶するほど堕ちてもない………多分…

 

朝っぱらから嫌なもん見たな……

よし!ミルクコーヒーを飲んで切り替えよう!

 

俺は火傷しないようにゆっくりとカップに口をつけ、ミルクコーヒーを少し口に含む。鼻に抜けていく香りを楽しみつつ、味覚に意識を集中する。

 

あぁぁあぁぁぁぁあぁぁ………生き返る!!

ここのミルクコーヒーは改めて素晴らしい。コーヒーとミルクの黄金比、甘すぎず、苦すぎず、価格も手ごろ、全てがちょうどいい。

マスターの腕には本当にチップをあげたくなる……金があったらな…

 

ニュー

ネクスト

ニッポン

ノミモノの称号を与えてもいいかもしれな『バチィィィイィイィ』…い…

 

………なにごと?

 

窓の外から何かが弾けるような音が聞こえる。吃驚した俺は音の発生原を見た。

 

 

そこには一人の少女が倒れていた

身体が黒く染まっていることから、なんらかの攻撃を受けたことがわかる

 

 

 

 

 

やべぇ…やべぇよ…

 

やりやがった……

 

こんな白昼堂々人を殺しやがった……

 

しかし少しおかしな点がある。哀れ、死んでしまった少女の服装は常盤台中学のものだ。私服の少女二人は未だ無事……

どういうことだ?何故高飛車女の仲間が倒れている?もしかして私服の少女達は高Level能力者だったのだろうか?だがそれならば最初から抵抗すればいい話だ。いったい何故………ハッ!!

 

思えば黒焦げにされた少女は最初、呆れた表情をしていた……

 

つまりこういうことだろう…

 

 

 

 

 

『オーホッホッホッ!!愉快ですわ〜!』

 

『はぁ……高飛車さん(仮)…その辺にしておいたらどうですの?流石に大人気ないですわよ?』

 

『な!?わたくしに意見するんですの!?たとえ同じ学校とはいえ、逆らうのはゆるしませんわ!!』

 

『しかしこれ以上はわたくし達常盤台生の恥になりますわ?』

 

『お黙りなさい!!そんなこと言う人はこうですわ!』

 

『あ〜れ〜』

 

 

 

 

 

 

なんと……死んでしまった小柄な彼女には高潔なる精神が宿っていたらしい…

 

ガンを飛ばしていたように見えたのも、今思えば周りに助けを求めてたのかもしれない…

 

しかし悲しいかな、弱者に手を差し伸べる正義の心をもつ彼女は死んでしまった。

生きて、立っているのは一輪の極悪の花。いったいいつから学園都市は悪が微笑む時代になってしまったんだろうか。

 

高飛車女は私服の少女達に何かを大声で宣言している。ハッキリとはききとれないが所々お化けだなんだときこえてくる。きっと『死んでも化けて出てこないでくださいまし!』とか言っているのだろう。

 

つまりこれから彼女達も殺されてしまうということ……

 

 

さてどうしようか?

先ほど主人公のような性格はしていないと言ったが、流石に人死が関わってくると話しは変わってくる。

行きつけの店の前で連続殺人など起きたらどうなるか。当然いい方向に向かうことはないだろう。最悪変な噂が流れて店が潰れてしまうかもしれない。

 

それは困る。

とても困る。

ムッチャ困る。

 

このミルクコーヒーが飲めなくなるなど、考えたくもない。なんとかして彼女達を助けなくては……

 

正直説得は難しい。そんなことすれば小柄少女の後を追うことになる。

 

ならば実力行使か、面倒くさいが悩んでる暇はない。

 

大方の計画はこうだ…

 

 

 

 

 

 

『モウヤメルンダッ』

 

『トゥ!ヘァー!』女能力発動

 

『マモリタイセカイガアルンダッ!』俺能力発動

 

『オ、オレヴァ……アセッタノカナ……』

 

『トゥ!トゥ!ヘァー!』

 

『許してください!なんでもしますから!』

 

『ん?今なんでもって……』

 

 

 

 

 

こんな短期間にこんな完璧すぎるプランを思いつく自分自身に戦慄する。

 

さぁ行くか。

 

小柄少女!君の意思は俺が受け継ぐ!

 

安心してくれ赤毛ちゃん……この店は……俺が守る!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………で、私にイジメはやめろって言ってきたわけか…」

 

私、御坂美琴は今喫茶店に来ている。

目の前の男から説明を聞くためだ。

たどたどしい言葉だったが大体彼の動機は理解できた。

 

つまりこいつは、目の前で机に突っ伏してるこいつは、顔は見えないが耳が赤くなっているこいつは、私が佐天さんと初春さんに、そんなことを命令したと思っていたらしい。

 

「ま、まぁ……フフッ……この人にも……クッ…悪気があったわけではありませんし……くふぅ!!」

 

「そ、そうですよ〜……ウフフ……み、御坂さんも落ち着いて……うぇへへへ……」

 

左右の二人が笑いをこらえているが全く隠せていない。

 

顔が怒りで赤くなっていき、頭からパチパチと電撃がほとばしっていくのが自分でも分かる。

 

「えぇ……あんたが善意で行動したのはよ〜くわかったわ……悪気がなかったのも……わかった……けどねぇぇ…私が気にくわないのは!」

 

席を立ち上がり、思いのたけを叫ぶ。

 

「私がそんな高飛車女だと思われてたことよ!!!」

 

店内に閃光が走る。激昂すると能力が発動してしまうのは自分でも悪い癖だとは思う、しかしこれはあんまりではないだろうか?

勝手なイメージでいじめっ子に見られてはたまったもんではない。

 

「え……えぇと……そ、そうだ!あの、御坂さんの暴挙を止めるつもりだったって言ってましたけど、どうやって止めるつもりだったんですか?」

 

佐天さんが必死に話題を変えてくる。

つか暴挙って!

 

目の前の男はゆっくりと顔を上げる。相変わらずその目は死んでおり、初対面の時は警戒してしまうほどだった。しかし今その顔は眉が下がり、口はへの字に曲がっているため、情けない印象が強い。

 

「………見たところ、電流操作系の能力者だと思ったから………能力使えば抑え込めると思った……」

 

「……へぇ〜あんた強いんだ……」

 

情けない表情に反して強気な言動に私の闘争意欲が刺激される。先ほどまでの不機嫌が吹き飛び、口角が上がっていく。

常盤台の制服を着ている私にここまでいうのだ……きっと自身の能力に自信があるのだろう。

 

闘ってみたい。

普段は止めてくる黒子も未だ路上で気絶している………吃驚して普段より強めに電流を流してしまったらしい……

 

「ねぇ、ちょっと私と闘ってみない?あんたも勘違いで恥かいたまま帰るのは嫌でしょ?」

 

「ち、ちょっと御坂さん…やめましょうよ初対面の人に向かって……」

 

「そ、そうですよ〜。それに今日はこの後みんなで街を散策する予定じゃないですか〜」

 

「ん、むぅ…」

 

確かにそういう予定だった…

それに今は佐天さんと初春さんがいる…

どうやら決闘はまたの機会にしたほうがいいらしい。

 

「それよりも、電気系の能力を抑え込める能力ってどんな能力なんですか?

あっ…えっと……答えにくければ…すいません……」

 

今度は初春さんが話題を振る。咄嗟だったのか人によっては結構失礼にあたる質問をしてしまう初春さん。目の前の男は顔を情けない表情から感情の読めない無表情に変える。目は相変わらず死んでいるため、妙な威圧感が出てる。

 

「………別に大丈夫………ちょっと握手してもらってもいいか?」

 

「うぇ!?えぇっと……よ、よろしくお願いします?……ひゃっ!?」

 

初春さんがおずおずと差し出された手を握った瞬間、男の手が黒く染まる。

手は指先から煙のようなものになっていき、初春さんの手が飲み込まれた。

 

「初春!?ちょっと大丈夫なんですか!?」

 

佐天さんが悲鳴を上げる。私も椅子から腰を浮かせかけたが、とうの初春さんに苦痛の表情はなく、なにやら困惑した顔だ。

 

「どうしたの?初春さん」

 

「い、いえ、あれ?さっきまで掴んでたのに」

 

わたわたしてる初春を見て佐天さんも落ち着きを取り戻す。

ふと、佐天の頭上に不思議なものを見つける。

 

空中に手が浮いてるのだ。

その手が所在無さげに蠢いているのでなかなかにホラーな映像になっている。

普段なら悲鳴をあげている光景だが、腕が飛び出している部分は黒い煙のようなものがあり、男の大体の能力を理解した。

 

「………ねぇ初春さん……グーチョキパーしてくれない?」

 

「へ?こうですか?」

 

「そっちじゃなくて煙に突っ込んでる方で」

 

「??こ、こうですか?」

 

空中に浮かぶ手がグーチョキパーと形を変える。

 

「……へぇ〜面白い能力持ってるじゃない…」

 

「?御坂さんなにを……うひゃぁ!?佐天さん!頭!頭の上!」

 

「へ?なにな……うぎゃあぁぁぁぁあぁあぁ!?お化け!?」

 

「お客様!他のお客様のご迷惑に……うえぁぁあぁ!?お化けぇぇぇえ!?」

 

店内は悲鳴に包まれた。




年末で更新が遅れてしまいましたすいません!
罵ってください!
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