世の中なにが起きるか分からない。そう考えるようになったのはいつの頃だろう。俺が‥‥死んだ時から?俺が生まれた時から?俺が彼女を依り代としたから?俺が彼女を殺し損ねたから?あれよこれよと考えた所で答えは決して見つからない。否見つかってはいけない。この答えは決して見つからない。それが世の中だ。さぁ硬っ苦しい物語はここで終わり、新たな幕開けの開幕だ。英雄を目指す者達よ、娯楽を愉しむ神々よ、共に手を取り、私を殺せ。俺の屍の先に世界はーーーーある
俺があの子を見たのは夜のダンジョンであった。
その顔は額からの血と涙でいっぱいになっていた。
本当に彼と出会ったのは偶然だ。
この階層にくるためには誰にも会わない夜が好都合だからだ。
そして7回層に来た時咆哮が聞こえた。
普段の俺ならその声を無視していただろう。
でもこの時ばかりは気になってしまいその声の主のもとに歩いて迎った。
少年一人に対してキラーアントが何体もいて圧倒的に数では不利であり、その少年の服装は本当に最小限の武器であり片方は自分のナイフ、そしてもう片方のほうはキラーアントの武器のナイフが生身のまま持っていてその手は血で溢れていた。
流石に助けようと動き出そうとした時彼の顔を見た。
さっきも言ったが血と涙で汚れていたが彼の目は闘志で満ち溢れていた。その目にはガムシャラに何かに挑んでいる者の目をしていて誰にも邪魔はさせない感じを醸し出していた。
この時俺は直感した。彼が‥‥‥‥英雄になる可能性を持っていたことを。
次に会った時は異様な光景だった。
9階層で現れるはずがないLevel2指定のモンスター『ミノタウロス』たった一ヶ月でミノタウロスを倒せるはずはない。だが彼はアイズ・ヴァレンシュタインを押し退け、自ら戦う意志を見せ、その少年は初めて冒険者として『冒険』を始めた。
その戦いはお互いにまさしくお互いの命を賭けた命懸けの戦いだった。
そして彼はその戦いに勝った。そして少年が英雄になる器に達したことを俺の目に写した。
その少年のことは俺は忘れないだろう。自分を殺してくれる者として‥‥‥
「んっ‥‥‥‥まさかあの少年を夢で見るとはな‥」
ゆっくりと目を開いてみせ辺りを見渡す。
そこは何もないというのは語弊があるな。この場所は一言で言えば洞窟。正式名称はダンジョンの中にいる。
「暇だな‥‥」
ポツリと呟くその声は洞窟の中で響きそしてすぐにかき消された。
「というか今更そんなこと言ったところで何も変わらないよな‥‥」
洞窟ないのモンスターたちが俺に襲い掛かってくるが一秒後には灰になる。所詮は有象無象の烏合の衆。なんの連携もなければ相手にはならない。
広大な地下迷宮、通称「ダンジョン」を中心に栄える迷宮都市オラリオ。ギルドと呼ばれる団体が設定している階層でいうならばここは75階層ぐらいなのだろう。近くには精霊が一体いた。‥‥‥既に死体の状態だが、
精霊の母体を殺すことは出来るが俺の仕事ではない。こいつを殺さなければならぬのは英雄の器がを持つものでなければならないんだろう。正直に言えば面倒くさいだけなのだが!‥‥
「‥‥‥久々にジャが丸君を食べに行こうか」
自分の武器である紅い茨のような紅き槍を地面に突き刺し魔法を唱える。するとどういうことだろうか安全地帯の18階層に辿り着いた。
「っ‥‥相変わらずこの移動は酔ってしまうな。」
この移動方法は魔力は使うわ、無駄に体力も使う非効率な魔法。だがすぐに目的地へ向かうのでその点で考えるとハーフアンドハーフなので言うことはない。さてとりあえずこの場所は18階層の入り口なのでここからは歩いていくことになる。
私は後ろを振り向かずに歩き出す。
「‥‥‥ゴライオス‥か」
18階層に入る前には17階層を突破する必要があるがこの17階層には階層主がいてソイツの後ろに18階層の入り口がある。今回はそのゴライオスがいる状態で俺は来たらしいな。
「‥‥‥無視をするか‥‥‥んっ‥あれは‥?」
無視をしようと決め速攻で走り抜き去ろうとした時両肩に男と女の子を担ぎながら一生懸命こちらに向かって走ってきている少年がいた。その少年は先ほど俺が夢見た少年であった。
♦
「はぁ‥‥はぁ‥!」
走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れぇぇぇ!
二人を‥‥二人を守れるのは僕だけなんだ!死ぬわけにはいかない!まだ情景にすら辿り着いていないのに!
だから僕は思いっきり走り続ける。あと少しあと少‥
「がっ!」
なんてついていないんだ‥!僕は地面に躓きそして倒れた。ドサッとリリとヴェルフの二人を肩から落としてしまった。
「オオォォォォォォォォ!」
そして階層主のゴライオスの咆哮を間近で浴びてしまい身体が恐怖で萎縮してしまい、ゴライオスは自身の馬鹿でかい右腕で僕達を殴り掛かってきた。
もうダメ‥‥なのか?
いや‥‥‥‥‥まだ‥‥‥‥まだ!
「諦めるわけにはいかないんだ!」
ホルスターからナイフを取り出しゴライオスを見つめる。そして僕のナイフとゴライオスの拳が衝突しあう直前
「良くやった。諦めないその心決してユメ忘れるな。」
ガキンッと僕の目の前に‥‥女?の人が現れゴライオスの一撃を防ぎきった。
その勢いで風が現れが僕らには来なかった。
「一度距離を取ろうではないか?ゴライオス?」
そう彼女は言って無理矢理槍を振り回し、ゴライオスの腕を払い除け、僕とリリ、ヴェルフを回収していた。
「さぁ早く仲間を連れてここから去れ。」
「っ‥‥貴方は?」
「俺‥‥いや私がアイツを喰い止める。‥‥、違うなアイツを倒す」
「そんな!階層主のゴライオスなんですよ!?」
「気にするな。巨人殺しは慣れている。私の事より自分の仲間のことを気にかけろ。お前はパーティーのリーダー‥なのだろう?」
リーダー‥‥その言葉に僕は今自分が置かれている状況を改めて再認識させられた。今僕がしなければいけないこと‥‥それは
「‥っ‥‥すいません。お願いします」
「あぁ任された。」
そのたった少ない一言を終えて僕は仲間たちを抱え上げ後ろを見ずに走り出す。少しでも早くセーフティエリアにと。
♦
「さて行ったか‥」
走り出す音を聞き改めてゴライオスを見上げる。自分よりも遥かに大きい身体。そして奴は天然の武器である黒い剣を手に持ち私と向き合った。
「オォォォォォォォォォォ!」
「ふっ!」
ゴライオスが雄叫びをあげると同時に私たちは走り出し、そして激突した。振るわれる鋭き槍と剣。それぞれが火花を生み出していた。私は奴の腕に乗り奴の首元目掛けて走り出した。だが侮ることなかれそのゴライオスはその階層を護る守護神であることを。
「オォォォォォォォォォォ!」
「っ!」
奴は剣を捨て払い落とそうと仕掛る。それに合わせ跳躍したがそれは下策でありゴライオスは自然とニヤッと笑う顔をし払い落とそうとした腕を上に掲げそれを思いっきり振り下ろす。私は槍を上にし近づいてくる拳に対して防御をした。だがしかし奴は力任せに私を地面に叩き付けた。
「オォォォ!」
「‥‥‥‥‥舐めるなよ‥巨人よ!」
叩き付けられ砂煙が巻き起こっている場所から弾丸のようなスピードで駆け抜け奴の足目掛け槍を突き刺す。
すると奴は自分自身の重心が崩れ前に倒れ込む。
その行いはゴライオスにとって初めてのことでありそして怒られるには十分過ぎた。
「オォォォォォォォォォォォォォォォ!」
「ふっ‥‥‥‥そろそろ決着をつけようかゴライオスよ!」
そして私は奴の咆哮に対し決着をつける貯め少し距離を取った。
「久々にやるが‥‥上手くいくだろうか」
と自身にしか聞こえぬ声で呟き身体全体を魔力で包み込む。この技を使わなくてもゴライオスは倒せるが‥‥あの少年を見たのだ、ならばド派手に行っても罰は当たらないだろう。ゴライオスも自身の武器の剣を持ち上げ刺突のような構えを取る。
「オォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
お互いの全力の刺突が起こりその余波で暴風が生まれダンジョンの床や地面を抉り出す。そこでお互いの武器は宙を舞った。ゴライオスは取らせまいいやここで潰すという勢いで空いていた片方の腕で私を殴ろうと襲い掛かった。
だがゴライオスはここで致命的なミスを犯していた。
ゴライオスの目が驚愕に染まる。何故何故お前が!と言わんばかりに目を見開き防御に手を回そうとしたが既に実行している腕は戻ることなく相手に襲いかかる。
「そうすると分かっていたぞゴライオス!私のこの槍を見たらな!」
宙を舞っている紅い槍とは別にもう一つの紅い槍を持っている私は持ったままゴライオスの腕を利用し跳躍。もう一本の紅き槍を回収しその真名を開放した。
「刺し穿つ!突き穿つ!」
投げられた2つの槍が交差し、紅き閃光となりゴライオスの心臓目掛けて飛び出しゴライオスは防ごうと腕を重ねる。だがもうダメだ。決められた因果がそれを許さない。投げられた2つの槍はジグザグに不規則な動きを作り上げゴライオスのガードを躱しそして心臓に突き刺さる。
「オォォォ‥‥!」
「『
穿たれ怯んでいるゴライオスを他所に本命である槍の一撃は放たれた。紅き閃光を帯びそれはゴライオスの心臓を確実に貫きそしてゴライオスは自身が持っていた黒き剣をドロップアイテムとし消滅した。
「‥‥‥なかなか楽しめたぞ。ゴライオスよ。」
そのドロップアイテムを持ち上げ魔法で小さくし異空間にしまいあげ槍を一本だけにし同じように異空間に仕舞う。
「さて‥‥ジャガ丸君を食べに行こうとするか。」
そして当初の目的のジャガ丸君を食べに進んだのだった。
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