チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
――人間の世界は、一度闇に包まれた。
闇より生まれし異形のモンスター、【グリム】によってである。
【グリム】は執拗に人類を追い詰め、やがて人間が滅びを迎えようかというとき、それは現れた。
人々の希望が形を為した物質、【ダスト】である。
宝石にも似たダストは人々に活力を与え、次第に人間は己の居場所を取り戻すこととなる。
未来を照らす標の石、ダスト。
これは、標の石を力と変えてグリムと戦う者、ハンターと呼ばれる者達の物語の一つである。
――「ルビー、起きなさい、今何時だと思っていますの!?」
ふわわっ!? とついつい、寝言混じりに言っちゃったけど、実は起きてたよ私は。ただちょっとお布団の中でウツラウツラとしていただけなんだから!
ってか耳元でそんなに怒鳴らないでよワイス!
あ、今私をわざわざ起こしてくれたのは、ルームメイトでチームメイトのワイス・シュニー。
この私、ルビー・ローズの……あ~、本人は否定するけど、親友親友。
すっごい勉強出来て、あのシュニーダストカンパニーの御息女。ただ取っ付きにくいのがタマに傷。
巷では白雪姫だとかで通じる、白いドレス姿の秀麗な女の子。
「も~いいじゃん、今日はビーコン休みでしょ?」
あ、ビーコンってのは、私達のいる学校ね。ビーコン・アカデミー……ハンターを育てる学校で、優秀な人しか入れないハンター育成校。
私は色々アレコレあって、二年も飛び級で入っちゃったけど、なんとかかんとか頑張ってる。
「何を言ってますの!? オズピン学長に呼び出されていたのを忘れたの? バカなの!?」
「へ? あ~あうあう……今何時?」
「後、十分で九時ですわよ! ヤンもブレイクもとっくに準備してます!」
お姉ちゃんとブレイクも!? ってか何で誰も起こしてくれないの~!
「あ~、えっとねルビー、私は可愛い妹を優しく起こしてあげようかと思ってたんだけど、可愛い寝顔を見ていると昔一緒に寝てたな~とか思い出に浸ったりしててさ――」
と、長いブロンドの髪をいじりながら釈明するヤンお姉ちゃん。だけどそこは一歩踏み出して欲しかったよ私的に。
「……右に同じく」
うんうんブレイクはクールだね。今日も頭のリボン、バッチリ決まってるけど、その時間で私を起こして欲しかったな~。
「さっさと準備なさい! チームRWBY(ルビー)のリーダーがこんな事では困りましてよ!」
そうだった。チームRWBY、私達四人のチーム。しかもリーダーなのは私、ルビー・ローズだ!
ガチャンガチャンと私物を蹴散らし、いつもの服に着替える。今回は制服じゃなくて戦闘服で来いってことだから、この格好だ。
いつだか、誰かに赤ずきん、とも言われた、私のお気に入り。
「じゃあ皆お待たせ~早く学長の所……に……?」
ぬ~誰も居ないじゃん……あー、私も急ごう!
――オズピン学長は、当然学長室に居る訳で。
私達チームRWBYは全力疾走。エレベーターもあるけど、お姉ちゃんは走った方が早いとか言って、階段凄い勢いで駆け上がっちゃうし。
ブレイクはニンジャみたいに柱伝いに跳んでいくし、ワイスは魔法陣を足場にジャンプして近道……当然私も派手に行きたい訳だしさ。
愛用のクレセント・ローズ。あ、クレセント・ローズっていうのは私の武器なんだけど、鎌だよ鎌。私の身長よりも大きいんだけど、軽くてとっても取り回しがいい。
私の自慢の自作武器で、変形させてスナイパーモード、つまり銃にもなる優れもの。
それを撃った反動でジャンプ! 学長室までひとっとび!
着地した先にはワイスとブレイクが待っていた。私が着いてすぐに、「うおおおおお!」とお姉ちゃんも階段を登りきった。
「よし、行こう!」
学長室の扉をノック。
「オズピン学長、チームRWBY只今到着しました!」
『入りなさい』の返事を待って、ぞろぞろと入室。いつもみたいに学長は、コーヒーカップ片手に机についている。
傍らにはグリンダ・グッドウィッチ先生がむっつりと佇んでいる。言いたい事は分かってますよ、時計チラチラ見ちゃってさ。
「五分遅刻ですよ、ルビー・ローズ」
「ごめんなさいグリンダ先生。色々あって、その――」
「まぁまぁ。ルビー君、ワイス君、ブレイク君にヤン君、よく来てくれた。休日だというのに済まないね」
と、オズピン学長。グリンダ先生が不満そうに引き下がる。あ~、良かった。休みの日にまでお説教はカンベンだもん。
「どういったご用件ですの?」
「単刀直入に言おう。だがその前に、ハンターの仕事とは何かね?」
これにはすかさずヤンお姉ちゃんが「はいはい!」と手を上げる。
「グリムを倒して世界を守ること!」
「確かに。そこでだ、君達には実地試験を兼ねて、ちょっとした討伐依頼をこなして貰いたい」
「討伐依頼?」
「ああ。君達は、ベルナ、という村を知っているかね?」
ベルナ? 聞いたことないけど……
「ヴァイタル大陸の最南端ね」
「ブレイク、知ってるの?」
「前にちょっとね……しかしあそこは生態系も随分乱れているわ」
「その通り。ベルナでは未だにグリムと思われるモンスターの被害があとを絶たない。そこで君達にやって欲しいのは、少しの間ベルナに留まり、ハンターとして活動して貰いたいのだ」
「……つまり、実戦!?」
「ワーオ、いいじゃんいいじゃん!」
お姉ちゃんが目を輝かせて言っている。けどけど、ちょっと待ってそれって、完全に他所の国に行くってことだよね?
「お待ちになって! これは完全に試験の域を越えてしまっているのではありませんか?」
「な~にワイス、怖いの?」
「違いますわヤン。問題は何故、この様な話がわたくし達に来ているのか、という事です。二年生三年生を差し置いて、ですわよ? 少しは疑問をお持ちになられては?」
「――ワイスの言う通りだわ」
「ブレイクまで!?」
「珍しくあなたと意見が合いましたわね」
「ええ、そうね」
「ふむ……君達の疑問は最もだ。ではチームRWBYのリーダー、ルビー・ローズ君はどうかね?」
「わ、私は……」
ワイスやブレイクが言う様に、変なところは沢山あるよね。でも言い換えれば、二年生や三年生がこなす様な事を、私達がやるんだよ?
これはチャンスだ。それにそれに、オズピン学長は一見してなに考えてるのか分かんない感じもあるけれど、デタラメな人じゃない。
よーし、なら答えは決まってる!
「私、やってみたいです! オズピン学長も、多分だけど私達を信用してくれてるから、お話を持ってきて下さったんですよね?」
「…………」
「だったら、やります! ね、皆、いいでしょ?」
「もちろんだよルビー! お姉ちゃん嬉しい!」
「……仕方ないですわね。ですが、危険と判断したらすぐに中止しますわよ?」
「わかった」
「よーし、チームRWBY、その依頼慎んでお受けします!」
こうして私達の、ちょっと不思議なハンターライフが幕を開けた。