チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
「う……ん……?」
私は、目を開けた。なんだっけ、どうして私は寝ているのか……
頭の中で眠ったままの記憶を辿っていって、すぐに私は思い出した。こんな所で床に伏せてる場合じゃない!
がばっ、と体を布団から起こした。途端に、肉体のあらゆる場所が悲鳴をあげる!
「いっ……たぁぁ!?」
そうだ。私はラージャンの攻撃をまともに受けてしまったんだ。ワイスやブレイクと同じように。
あまりの痛さに、ベッドへと逆戻りする。ラージャンは一体どうなったの!? 皆は? ここはどこ?
不安に押し潰されそう。そんな時だ、正面の扉がゆっくり開き、ひょこ、っと顔を覗かせたのは……ヤンお姉ちゃんだ!
「ルビー! よかったぁ、目を覚ましたのね!」
「いたたっ! お姉ちゃん、痛いから! ハグは止めて!」
「あ、ご、ごめん。でもホント良かった。心配したんだから。お前がずっと起きないし~」
「ずっと? 私、どのくらい寝てたの?」
「今日で四日と……二時間!」
「そんなに……ねぇ、お姉ちゃん、ワイスとブレイクは大丈夫!?」
「安心して、あの二人はもうピンピンしてる。あの山の周りにはねぇ、観測所の気球がたまたま飛んでたみたいで、ラージャン倒したらすぐに、救援が来てくれたの」
と、お姉ちゃんは助かった経緯を説明してくれた。とはいえ、どうもただでは済まなかったみたいで、お姉ちゃんの腕には包帯が巻かれていた。
私の視線に気付いてか、包帯をさっ、と隠すお姉ちゃん。
「大丈夫大丈夫、大したことないから! それよりも、今はゆっくり休んでて。ワタシはちょっと出掛けて来るからさ」
「あっ、ちょっと待って。私のクレセント・ローズは? 手元に無いとどうしても落ち着かなくて……」
その話題になった途端、お姉ちゃんの表情は明らかに曇った。「ああ、いや、それは……」と何だかハッキリしない態度だ。イヤな予感がする。
「え? どうしたの、何かあったの?」
「ルビー、えっとね、落ち着いてきいて欲しいんだけど、クレセント・ローズは――」
お姉ちゃんの口から飛び出した言葉。それを私は、どうしても信じることが出来なかった。
――「そんな……」
それを目の当たりにした瞬間、足元がガラガラと音をたてて崩れてゆく様だった。
私の武器であり、相棒であるクレセント・ローズは、見事に刃の部分と柄が、真っ二つに別れていた。更に刃は粉々になっている。
ラージャンの一撃によって、多分、砕けたんだろう。
でも……ああ、なんで……
私が、相棒を盾みたいに使ったから……
「あ、あのね、ルビー……」
「お姉ちゃん……どうしよう、クレセント・ローズが……私のせいで……」
「あんたのせいじゃないよルビー。全力で戦ったじゃない。今回は、その、相手が悪かっただけで――」
「私が、もっと戦えたら……ここに来てからいつもそう。肝心な時にいつも戦えなくて……頑張ろう、頑張ろうって思う度に、ますます皆の足を引っ張って……私ってホントにダメな子……」
「そんな事ないったら! いい、ルビー? 誰にだって失敗することはあるの。それがたまたま、連続したってだけだよ。だからしっかりして、大丈夫!」
「でも……私は……」
「うん。分かった……ね、ルビー、今日はしっかり休んで。気持ちに整理をつけて。ちゃんと休むのも、ハンターの仕事だよ」
「だけど……」
「ルビー、お願い。ワタシは、あなたに無茶して欲しくないの。万全になってから戻って来て」
私は、静かに頷くしかなかった。これ以上、お姉ちゃんに心配かける訳にもいかない。それに気付けただけでも、上出来かな……。
今は、大人しくベッドに戻っていよう。ハウスキーパーの猫さんもじっ、とこっちを見てる。
ああ、でも……そうだ、加工屋さんならもしかして直せるかも……
ベッドに戻る前に、私は武器加工屋を目指した。
――「鍛冶屋さん、これでよろしくて?」
薄汚れた戦闘ドレス姿のワイスは、武器加工屋の主の目の前に、ゴトゴト、とそれを置いた。
籠から出てきたのは、紅蓮石、と呼ばれる赤色の鉱石で、高温を内部に秘めているという、火山地帯でしか採れないものだった。
「おおっ、こいつだ。繋ぎはこいつでバッチリだぜ! あたぁアレとアレがありゃあ……」
「本当にこれで、あの子のクレセント・ローズが修復出来るのでしょうね?」
「……正直、そいつぁやってみねぇと分かんねぇよ。元々技術が違い過ぎらぁ。が、オイラのプライドにかけて、絶対、型にしてやる」
「あの、これ、納品しに来たわ」
続いて現れたのは、ブレイクだ。彼女もまた、虫籠に入った金色の虫を、カウンターに置く。
マレコガネ。金属同士の結合力を高めるという、珍しい昆虫だった。
そして持参した魚はイチノタチウオ。その身の鋭さは、まさに強靭な刃の様なものという。
「おおっ、ありがとうよ! これであとはヤツの素材さえあれば、なぁ」
「分かってる」
遅れて現れたヤンは、腕の包帯を捨て、エンバー・セリカを展開する。
「火竜、リオレウス。ヤツの素材があったら、ルビーの武器が直るんだよね」
「ええ。そういうことですわ」
「…………」
「皆、ルビーは今、かなり落ち込んでる。こんな話をしたら、あの子はまた無茶しちゃうかもしれない。だから、リオレウスは、私達だけで討伐するよ」
「分かっていましてよ。あの元気だけが取り柄のルビーが、塞ぎこんでいるなんて目も当てられませんわ。それに……静か過ぎるのはどうにも落ち着きません」
「じゃあ、今から行くの?」
「おぅさ。さ、行こう」
三人は、意気揚々と狩りに出掛けて行った。物陰で偶然、話を聞いてしまったルビーに気付かないまま……