チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです   作:はぐれファウナス

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クレセント・ルビー 後編

森丘は大陸の中でも有数の、安定した温暖気候を持つ大地だった。

 

豊富な自然と豊かな水が生物を育み、山の頂きには飛竜の巣。絵に描いたかの様な自然循環が行われる楽園である。

 

だが、数日前より状況は一変する事となる。

 

かの、黒炎王の降臨。メジャーな飛竜、リオレウスの突然変異とされるこの個体は、あらゆる自然を、生物を己の炎で焼き払った。

 

森丘を縄張りとしていた飛竜らは応戦したが、次々に黒炎王の炎に灼かれ、灰燼に帰した。

 

ある男は、森丘の終焉が形を持って現れた、と予言し、狩人の到着を待ち続けた。

 

満を持して登場した狩人は、しかし、満身創痍であった。

 

 

 

 

 

――「ブレイク! 上から来ましてよ!」

 

「了解」

 

短く答えたブレイクは、すぐにその場を駆けて離脱する。彼女を追い掛ける様に、火球が降り注ぎ大地を穿つ。

 

即座にガムボール・シュラウドを投擲! 樹木の枝に突き立つ。ピイン、と張ったリボンが縮み、エスケープ機動。

 

「ヤン、引き付けて!」

 

「っしゃあ!!」

 

上空を旋回し続ける黒炎王に、ヤンはエンバー・セリカの砲撃を放った。翼に着弾したところで、黒炎王は瞬時にターゲットを変え、ヤン目掛け急降下!

 

魔方陣が、両者間に出現。しかし、黒炎王のダイブをほんの一瞬止めたに過ぎない。

 

叩き付けるが如く、地面に爪痕を残し、直ぐ様浮上してゆく。ヤンは!? 辛うじて逃れている。

 

「ブレイク! 今ですわ!」

 

羽ばたき、浮上を開始した黒炎王の背に、いつの間にかブレイクが着地していた。

 

後方にはワイスの魔方陣。あれを足場に、彼女は飛び移ったのだ。

 

「はぁぁっ!!」

 

斬、斬と背中を切りつける! もがく黒炎王。しかし背中にブレイクを乗せたまま、それでも強引に高度を上げる。遂にはぐるん、とアクロバティックに回転。

 

これには堪らず、離脱しつつガムボール・シュラウドを連射するブレイク。弾丸は厚い鱗に阻まれた。

 

落下するブレイクと、浮上するワイスが擦れ違う! ワイスの周囲には魔方陣が多量に展開、それを足場に黒炎王の元へと舞い上がる。

 

敵の口元に炎が灯る。それが放たれる前に、ワイス・シュニーの切っ先が、火竜の顔面を穿つ!

 

だが……無情に響く乾いた金属音。黒炎王の甲殻を貫くには今一歩及ばぬ。

 

弾かれたワイスの眼前に、全てを灰と還す獄炎が形成された。

 

それでも、彼女は諦めてなどいない。

 

「Yhaaaaaaaaaaa!」

 

この甲高いシャウトは、ヤン・シャオロン。ブレイクのリボンの先端に掴まった彼女が、ワイスを抱き抱える。

 

火炎ブレスが放たれる。背中に灼ける程の熱を感じ、二人は小高い丘の上に墜ちた。

 

「っ、く、生きてる、お姫さま?」

「生きた心地はしませんでしたわ……」

 

「くはっ……」

 

ブレイクが、尻尾に弾かれ近くに不時着した。三人纏まったところで、黒炎王は燃え盛る太陽をバックに、ハンターらを睥睨した。

 

天に届かぬ人間を、嘲笑うかの様に。

 

「あらら……こりゃあ、ちょっとピンチ……かな?」

 

「ですわね。でも、まだ、終わってませんわよ……」

 

「私はまだ、動ける」

 

黒炎王の口元に、これまでと比にならない巨大な火球が発生する。

 

「奇遇ね、アタシも」

 

「わたくしもですわ」

 

いよいよ、火球が放たれる! だが……刹那、火竜の顔面に何かが着弾した。

 

不意に衝撃を受けた敵は、火球を僅かに逸らしフィールドを溶かしながら、谷底へと消えていった。

 

怒りを露にした黒炎王は、上を睨み咆哮する。上空、遥か上にそれは居た。それは……

 

「やああああああ!!」

 

「「「ルビー!?」」」

 

三人の窮地を救ったのは他ならぬ、チームリーダーであった。

 

 

 

 

 

――「見えた!」

 

飛行船の丸窓から、私は遂に見付けた。物凄い炎が、あそこにだけ渦巻いている。

 

森丘。緑が豊かな地形だって聞いてたけれど、今は見る影もない。あるのは燃えかすばっかりだった。

 

そしてその中央に、アイツが居た。黒炎王、リオレウス。まるで、黒い炎に包まれたお伽噺のドラゴンみたいなヤツ。

 

尚も炎を放ち続ける敵。きっとあそこにワイスやブレイクやお姉ちゃんが居る! 行かなきゃ、私はチームRWBYのリーダーなんだから!

 

「お、お客サマ!? 何をしてるんだニャ!?」

 

私の行動に、飛行船に乗っているアイルーさんが慌てて駆け寄る。

 

そりゃそうよね。私は今、飛行船のハッチを開いたんだから。遥か眼下には黒炎王。私は一度だけ振り返ると、「行ってくるね!」って宣言した。

 

そして……迷うことなく、自分の体を宙に投げ出した。後ろで響いた「ニ゛ャァァァー!?」の鳴き声も、すぐに置いてきぼりにした。

 

物凄い、空気の壁だった。まともに目も開けてられない。息が苦しい。体はぐんぐん加速して、景色がどんどん大きくなる。

 

姿勢をちょっと変えただけで、肉体はバランスを失ってしまう。私は慎重に新しい相棒、クレセント・ルビーのトリガーに手を掛けた。

 

狙うは、敵の顔。今、正に火球が口元に集まっている。その先にたぶん、皆が居る。

 

こんな状態で、当てられるだろうか?

 

いいや、当てるんだ。肺の中の空気を絞り出して、肉体を固定。僅かにぶれる。お願いクレセント・ルビー、応えて!

 

「いっけぇぇぇぇ!」

 

指が、トリガーを引いた。火竜のわななきにも似た発射音は空気の幕に掻き消える。

 

弾丸は――当たったかな? 下をすぐに見ると、黒炎王がこちらを見上げている。視線がかち合う。

 

もう止まる理由はない。ただの一撃で決める!

 

黒炎王が飛び上がる。下から黒炎王が迫る。私もクレセント・ルビーを振り上げ落下してゆく。

 

刃が赤熱し、深紅に染まる。陽炎で大気を歪ませながら、振り下ろされるのを今か今かと待ちわびている。

 

黒炎王の口元に、火炎がほとばしる! 炎纏った牙が、迫った!

 

直後、私のオーラが弾ける。私のセンブランスは高速移動だ! 黒炎王の噛み付きをギリギリ、高速移動で回避した私は、もう黒炎王の背を真っ直ぐ見ていた。

 

ダン、とクレセント・ルビーの弾丸を放ち、反動で一気に黒炎王へ肉薄。鎌を、首部目掛けて振り下ろした!

 

がしゅっ、と刃の半分が鱗を裂いて食い込んだ。黒炎王がもがく。だが……私は逃す気などない!

 

食い込んだ刃に力を込めて、クレセント・ルビーの弾丸を何度も、何度も打った。その度、刃が首部を進んでいく。

 

そして……最後の一撃を打ち尽くした時、黒炎王の首が胴体から離れ、反動で私は宙に投げ出された。

 

もう、今の私に体勢を建て直す術はない。

 

されるがまま、落下に身を任せて……でも信じてる。私の、私達のチームはきっと、大丈夫!

 

「ルビー!!」

 

この声、ヤンお姉ちゃんだ! 魔方陣が、私の落下先に幾重にも展開されて、一つ一つがちょっとずつ、勢いを落としてくれている。

 

そして……ブレイクのリボンに掴まって飛んできたヤンお姉ちゃんが、谷底に落ち掛けた私の手を、がしっ、と掴んだ。

 

「ルビー! もう、バカっ! 無茶ばっかりして!」

 

「ホントそうですわ! 一体何を考えてますの、バカなの!?」

 

「肝が冷えたわ」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「でも、よくやったね。さすがワタシの自慢の妹」

 

お姉ちゃん……うん、うん! ありがとう。

 

じゃあ、ちょっとばかし……休むね。緊張の糸が、ぷっつり切れちゃったよ。

 

チームRWBY、黒炎王リオレウス、撃破!

 

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