チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
大量の物資を満載した飛行船が、ゆっくりとベルナ近郊に着陸した頃だったか、茜色の夕日を背に走って来たのは筆頭ハンターのルーキー君だった。
私達、チームRWBYをわざわざ出迎えに来てくれた……とか、そんな雰囲気ではなく、明らかな焦りの色を額に滲ませていた。
荒れた呼吸をなんとか整えたルーキー君が、物資を運び出していた私達に、こう言った。
「き、緊急事態ッス!!」
と。その声色は、とてもからかっていいものじゃなかった。
――「先程古代林の奥地にて、あるハンター二名が遭遇したモンスターについてなのだが……話を聴く限りそのモンスターの特徴、生態が、非常に特殊なものであることが判明した」
筆頭ハンターのリーダーさんは、集会所ベルナ支部のコミュニティスペースに私達を集めると、こう切り出した。
その場には私達と龍歴院の人、ルーキー君、リーダーさんとベルナ村長さんが同席している。
「そのモンスターらの特徴から察するに、我々はそいつらが【グリム】と呼ばれる怪物であると、結論付けた」
聞き慣れた単語に、私含めたチームRWBYの面々の顔付きも険しくなる。龍歴院の人が挙手をして立ち上がり、説明を始めた。
「報告によると、そのモンスターらはこの世のものとは思えない存在だったと聞きました。彼らいわく、生物の影が動いているかの様な、漆黒の体を持つ、奇妙な存在だったと。これは、グリムの特徴と一致しています」
「なるほど、間違いなさそうですわね……」
「そして、グリムはハンターのみならず、付近のモンスターにも襲い掛かっていたそうです。倒せど倒せど、次々に現れ、撤退を余儀無くされたとも言っていました」
「――あの、ちょっといいですか?」
私は、龍歴院の人に習い、挙手した。
「どうぞ、ルビー・ローズ」
「それがグリムだったとして、こっちでは、その……出てきたのは初めてなんですか?」
「いいや、決して初めてという訳ではない。これまでは未知のモンスターとして、我々や他のチームが処理して来たし、今回もそうなる予定だったのだ」
「じゃあ今回は、それが出来なかったんだね?」
お姉ちゃんが、リーダーさんに訊いた。
「――ああ。そうだ。これまでは精々、数体。我々でも充分対応の出来る数だった。しかし今回は……」
「対応しきれない数が出てきたという訳ね」
「そうッスね。ランサーさんとガンナーさんが言うには、軽く見積もっても数十とか」
あ~あ~、リーダーさんが、【あるハンター】ってぼかしてたのに。でも、遭遇したのはランサーさんとガンナーさんだったんだ。
グリムは普通の生き物とさほど違いはない。ただ、ダストやオーラの力を駆使しなければ対応しにくいという特徴がある。
現地のハンターさん達は、倒したモンスターや、鉱石、あるいは虫を使って武器を作る。モンスターの素材やらが、知らずの内に武器にオーラを纏わせ、グリムを切り裂くのだ。
筆頭さん達も、多分本能で、効果のある武器を知っているんだろう。
それでも意識的にオーラを使い、武器や肉体を通して相手に叩き込む行為を行えているとは考えにくい。彼らからしてみれば、攻撃の通りにくい難敵といったところだと思う。
「そこでだ、非常に申し訳ないのだが……君達王国ハンターの力を借りたい。何分、グリム相手では、君達の方が遥かに優れていると思われるのだ。勝手な事は重々承知している」
私は予想通りの言葉に、チームメイトらの顔を見た。皆、どうやら答えは決まっているみたいだ。私は小さく頷くと、こう答えた。
「勿論、手伝わせて下さい!」
――狩場は、古代林の最深部。昼間でも、鬱蒼とした木々にお日様は隠され、ほんのり薄暗い。
ここの近くには何度か足を運んでいる。化石を掘った時に付近を通りかかったし、以前にもキノコを採る時に歩いた様な覚えがあった。
筆頭ハンターさん達は、別の方向へと向かった。二手に別れた方が、効率もいいだろうという話だ。
「さぁて、まさかここまで来てグリムと戦う事になるとはね」
お姉ちゃんが、やる気満々なのかグローブ同士をカツカツ当てて、気合いを入れている。
「むしろ、遅すぎるくらいだわ。グリムはすぐに来てもおかしくはなかった」
「ですわね。大陸は地続きですし。やはりオーラの満ちた場所にグリムは現れにくいのかもしれません」
今となっては、ここにグリムが少ないのもよく分からないけれど、この豊かな自然を、この大地に生きる人々をグリムの脅威から守るのが、私達ハンターの本来の役目だ。
森を抜け、目の前に小高い丘が現れる。ここを下れば古代林の最深部だ。
この下に、グリムと思われる敵がいる。私はクレセント・ルビーの柄を強く握ると、皆を振り返った。
「じゃあ皆……行くよ!」
「「「オッケィ!!」」」
チームRWBYの、恐らく最後となる依頼が、今、開始された!