チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
「あのさ、気のせいだと本当にいいんだけど、私達ってばすっかり囲まれてたりしないかなぁ?」
ヤンお姉ちゃんが、不吉な事を言っている。だけど私も、さっきからブレイクがキョロキョロしているな~とは思ってたんだよね。
「なんですって?」
ワイスも私も、ちょっと鈍かったのかも……
「来るわ!」
ブレイクが、叫んだ。同時に私達の目の前に、モンスターらが飛び出して来た!
それは……グリムの様な無機的存在ではなくて、明らかな生き物だったんだ。
――数時間前
私達は早速、飛行船でもってベルナ村とやらへと辿り着いた。
こう言っちゃっ悪いんだけど……ベルナって所は随分と……一言で言うと田舎だった。
だって、見た感じ電気も、魔法も無さそうだった。ダストを利用した道具なんか影も形もない。
「おぉっ、ハンター殿! ようこそお越し下さいました」
出迎えてくれたのは、ベルナの村の村長さん。気さくそうなおじさんで、妙に腰の低い人だった。
「この様な辺境まで、わざわざありがとうございます。何もない所ですが、どうぞゆっくりして行って下さいませ」
「御丁寧にありがとうございますわ。では早速なのですが、わたくし達の住居があると伺ってますので、そちらに案内して頂けますか?」
って、ワイスが言った。私達の一番の心配はなんと言っても住居だ。何日かここに留まるみたいなので、どういった所に泊まるのか知っておかなくっちゃ。
出来れば清潔で、ベッドはフカフカなのがいいなぁ~。ちょっと望み薄だけどね。
「おおっ、これは気付きませんで。彼女に案内させましょう。お~い、ネコ嬢ちゃん~!」
村長さんが声をあげると、向こう側からトテテと走って来たのは、可愛らしいちっちゃな女の子。見た目は、私よりも幼い感じだ。
だけど……一番目についたのは、そのネコ嬢ちゃんとやらには耳があった。
頭の上にピョコリ、と飛び出した、本物の猫の様な耳が。
「あなた……ファウナス?」
やっぱり、ブレイクが食い付いた。ファウナスっていうのは、ぶっちゃけて言ってしまえば……獣人ね。
王国ではもう随分減ったけど、未だに根強いファウナス差別があるのも事実で、ブレイクも時々気にしている。
そう、ブレイクは実はファウナスで、彼女と同じネコみたいな耳が生えてる。リボンで結んで隠してるけど。
「えぇと、私は竜人族です」
「竜人族? 初めて聞くけど……ルビー知ってる?」
「ううん。ワイスは?」
「まさか? 文献上のみの存在だと伺っていますわ」
「そう――でも、もし悩みごとがあったら、相談にのるくらいはするわ」
と、ブレイク。
「何だかよくわかりませんが、ありがとうなのです。それじゃあ、皆さんのお家に案内しますよ~!」
ネコ嬢ちゃんに連れられて、私達は村の入り口に程近い、一軒家へと案内されたんだけど……
う~む、全くもって凄い家だね。何て言うの、歴史の教科書でしたみたことがない様な、クラシカルな石造りの建築物件。
「わ~……」
なんて、思わず言葉にならない言葉が漏れた。
「おぅ~あ、何て言うんだろ、とっても……歴史を感じるお家だね。そう、クールだ、クールよ!」
ヤンお姉ちゃんも、誉めようと必死だね。
「そうですか? これ、まだまだ新築で、私よりは若いお家なんですよ~」
「わざわざ、この様な素敵なホームをご用意頂きまして、ありがとうございますわ」
「そ、そうですか~? えへへ。あ、あと、ルームサービスの子も居ます。すぐに向かわせますから、どうぞくつろいでいて下さい!」
ネコ嬢ちゃんは、そう言い残すと、素敵なホームの裏手の方へとトテトテ走って行ってしまった。
しかしま~、家は見た目じゃないよね。問題は中身だよ中身。居住空間。
きっと中はオシャレな感じに違いない~! と、一縷の望みを抱きつつ木の扉を開けた。
「――な、何、コレ……」
あ~、これはダメだ~、一縷の望み、ざっくり断たれた。恐らくは、三世代は前かそのくらいの時代逆境感
。
切り出した木を、そのまんまテーブル型にしたような机、これまた手作りが滲みまくってる本棚に、一つしかないベッド。
よく分からない木箱や、看板、いろりなんかはまだいい。でもここやっぱり電気もダストも無い、よね?
多分灯りは、ベッドの近くに吊り下げられているカンテラだけなんじゃあ……
せめてもの救いは、ホコリ一つ落ちてない床と、お日様の匂いのする毛布くらいだろうか。
「なっ……なっ、なんですの!? 今時こんな……ナンセンスですわ!」
「素敵なホーム、じゃなかったの、お嬢様?」
「あれはリップサービスですわ! それに、その呼び方はよして下さるかしら、ブレイク」
「あー、それよりも、ベッド一つしかないけど、どうする? 私は出来れば愛しい妹に譲ってあげたいし、床で寝るのも布団さえあったら問題ないかな~とか思っちゃってんだけどさぁ」
「えぇっ? そんなー、私だけベッドとか悪いよ。ワイスが使いたいんじゃない?」
「まぁ!? わたくしも床で寝るのは些か、というかかなり不本意ですが、皆を床に追いやり自分だけがベッド等と、自惚れるつもりは無くってよ」
あらら、こういうときのワイスは、ちょっぴり面倒臭い。
「じ、じゃあブレイクは?」
「わたしは、そこのでいいわ」
ブレイクはそう言うと、無造作に置かれている網の様なものを指差した。
「あの~、あれなに?」
「ハンモックよ。あれを吊るして私の寝床にすれば、スペースも確保出来るわ」
さすがニンジャガール。不安定な足場が好きなのかな~、とか時々思う。
私達が、あなたが私が、と不毛なベッド談義に花を咲かせていると、扉が開いた。
「お待たせしました、ルームサービスですニャ!」
「「「「です【ニャ】?」」」」
不自然な語尾に振り向いて、私、卒倒するかと思ったよ!
だって、そこに立っていたのは猫よ猫! 完全などこからどうみても猫ちゃんが、二本足で立ってたの!
しかも「なんなりとお申し付け下さいニャ!」なんて言うものだから、さあ大変!
取り敢えず処理の追い付かない私の頭は、プシューと湯気をあげながら、「じゃあベッド三つ追加!」と返事をしてしまったのだった。
――「も~、何がなんだか分かんないよ~」
私は独り言の様に呟いた。もう色んな事が同時多発的に起こりすぎ!
お姉ちゃんが、散歩がてらに辺りを散策しようと言ってくれなかったら、頭がオーバーロードしてただろうなぁ。
「あの猫ちゃん、喋ってましたわよね?」
「ええ」
「ファウナス……ではありませんわよね?」
「多分違うと思う。でも、有り得ないとは言えないわ」
「まーまー、もういいじゃん。そういうモノだって考えないとおかしくなっちゃうよ」
確かにね。でも、ベルナの人達から古代林と呼ばれている森は、見たことのない植物で溢れていた。
「あ、みてみて、野生の鹿だ! まだ居たんだ、へ~」
「それだけではありませんわ。この森、至る所に鉱脈がありますわよ」
と、ワイスの見ている方には、崖に剥き出しになっている宝石みたいな石がある。
「それだけじゃない。この植物、とうの昔に絶滅してる筈よ」
ブレイクが辺りの草を、興味深そうに見てる。なるほどね~、だてに古代林やってる訳じゃないみたいだね。
その時、突然ブレイクが「止まって!」と言った。
「どうしたの?」
「シッ」
人指し指を口の前に立てて、リボン……もとい、ネコの耳をピクピクと動かすブレイク。
「あのさ~、気のせいだと本当にいいんだけど、私達ってばすっかり囲まれてたりしないかなぁ?」
ヤンお姉ちゃんが、不吉な事を言う。
「なんですって?」
「来るわ!」
ブレイクが、叫んだ。同時に私達の目の前に、見たことのないモンスターが飛び出して来た!