チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
――ベルナ村での、最後の朝が来た。
珍しく、ぱっちり目が開いた。私はむくりとベッドから起きると、皆はすでに撤収の準備を始めていた。
「ふぁぁ~おはよ~、皆早い~」
「貴女が遅いだけですわ」
と、持ち帰り用鉱石をダストボックス(ゴミ箱じゃないよ)に詰めながら、ワイスが言った。
「御覧なさい、ブレイクは既にハンモックを綺麗に畳んでいますし、ヤンに至っては朝シャンを終えて髪の手入れをしていますのよ? 寝過ごしたのは貴女だけです」
言われる通りブレイクはハンモックをリュックに押し込み、ヤンお姉ちゃんは荷物に腰掛けて髪の毛をいじってる。
「え~? もう、誰か起こしてくれたら良かったのにぃ!」
(――あんなに気持ち良さそうに寝ている子を……)
(ルビーの寝顔、超カワイかったし……)
(マグロ丼? いえ、贅沢にマグロステーキとかにしてもいいかも……)
ともかく、遅れちゃうのはいいことじゃない。私はそこそこに急いで着替えると、荷物を片付けて、新しい相棒、クレセント・ルビーを手に取った。
(ごくろうさま)と、心の中で呟いて。
「ごめ~ん、待たせちゃった。準備完了だよ!」
「では各々、忘れ物等はありませんか? 立つ鳥は跡を濁してませんか?」
「大丈夫だよ。強いて言うなら、も少し古代林を散策したかったかなぁ、ってことくらい」
「大丈夫よ。強いて言うなら、爆釣した魚群を村の人に託さなければならなかったことくらい」
ブレイク……ホントに悔しそうだね。
「よろしい。では、帰りましょう。最後に村長さんや村の方々にご挨拶をしておきますわ」
「あっあ~、それリーダーの私の仕事だよワイス」
「皆で行けばいいんじゃない? ね、ブレイク」
「そうね。お世話になったし」
「じゃあ、しゅっぱ~つ!」
だが、私達の目論見は、あっさり打ち砕かれた。玄関扉を開いた瞬間、ドン、ドン、と大砲でも発射されたかの様な低重音が辺りに響く!
咄嗟に身構える私達。だけど、直後に上空ではパン、パラララ、とそれが弾けた。あれって、花火?
「「「「チームRWBYご一行様! この度は本当にありがとうございました!!」」」」
何十人もの声が重なって、辺りに幾度も反響した。何と、目の前の広場には村の人達が全員、横並びになって立っている。
も~、びっくりした。ああ、でもこれって、もしかしてお別れ会かな?
その列には、村長さんを初めとして、受付嬢や加工屋さん達のチーム、ネコオカミさんに雑貨屋のおばさん、ムーファ毛刈りの人に龍歴院の人、筆頭チームなんかも居た。
凄い、オールスターだ。
ぽか~ん、と私達がしていると、村長さんがゆっくりと前に出て、話し始めた。
「ヴェイル王国のハンター殿、チームRWBYの皆様、この度は本当にお世話になりました……ルビー・ローズ殿」
「は、はい!?」
「ワイス・シュニー殿」
「はい!」
「ブレイク・ベラドンナ殿」
「はい」
「ヤン・シャオロン殿」
「は~い!」
「本当にありがとうございました。また、ベルナに来ていただけると幸いでございます」
そう言って深々と頭を下げる村長さん。あわわ、そこまでしなくても……ほらっ、私達はハンターだから、当然のことをしたまでだし。
ツンツン、と隣のワイスが、私の腕をつついてくる。視線を向ければ、ブレイクも、お姉ちゃんも私を見ていた。
ワイスが、顔をくい、くい、と動かして、私にリーダーとしての発言を促している。う、うんそうだよね、私が立派なへ、返事を返さなきゃ!
「あ、あの……わた、私、チームRWBYの、り、リーダーとして、リーダーとして……」
うわ、完全にしくじったどうしよう言葉がでてこないこれマズイええとええとホラあれ、あれだよえ~とう~んと……
「あ、ありがとうございます!!」
何やら横でずっこける音がしたけど仕方ない。こんなに沢山の人に注目されて、まともに喋られるもんじゃないんだから!
だが、私のぶつ切りの言葉にも、歓声と拍手の波が押し寄せた。あ、え、あんなんで良かったの?
「最後まで何とも締まりませんわね」
「いーじゃんルビーは頑張った!」
「ええ、頑張った」
対して仲間のコメント……ああ、まぁいいや、心から言いたかった事を言えたし。
「では、我々ベルナ一同、全力でお見送りをさせて頂きますぞ。皆の衆、アレをやるぞ!」
「「「「はい!!」」」」
何だ何だと私達が思っている内、村長の口から奇妙な一言。
「では、ミュージック、スタート!!」
といった瞬間、どこからともなく明るく、ポップな音楽が村中を包んだ。
それがかかった時、それまで物影に潜んでいた者達が駆けて来る。そのメンバーはネコ嬢ちゃんと、やたら馬鹿でかいネコさん、そして普通のアイルーさんが二匹。一匹はルームサービスだった。
彼女らが音楽に合わせて踊り出す。そして、ネコ嬢ちゃんが歌い出した。すると……ベルナの人々も一斉にダンスを始めた!
「~~~~~~♪」
と、ネコ嬢ちゃんの歌声。村長さんもノリノリだ。筆頭チームさん達は、なんだかキョロキョロしてる。ルーキー君はもう踊ってるけど。
「ささ、ハンターさん達もご一緒にどうぞ~」
受付嬢さんが、踊りながら私の袖を引っ張る。
「な、なんなんですかコレ!」
「ベルナ村の新しい名物、【ネコ嬢と歌って踊ってレッツニャンス】ですよ~」
「名物なんだ……」
「なんだか体を動かしたくなる曲ね」
「でも、私達振り付け知らないし……」
「いいんですよ自由に踊れば!」
「そうッス、イエーイ!」
「イエーイ、ホッホゥ、アハハハハハ!」
「うわ、お姉ちゃんノリノリ。どうするワイス?」
「郷に入っては郷に従え、という言葉もあります。わたくしも参加させて頂きますわ!」
「う~ん、じゃあ私も!」
しっかし、村の人達、寸分のズレもなく踊ってるよ。多分、影で相当練習してるなコレ。
ともかく、踊り自体は楽しいし、何よりポップな音楽が実に可愛らしい。
踊っていると、たった一月とはいえ、様々な思い出が脳裏を過ってゆく。初めてここに来てから、苦労もしたし、倒れそうにもなった。
その内に自然と目頭も熱くなって来る。やばい、泣きそう。
音楽と共に思い出巡りも、いよいよ終盤。すっかり、皆が皆思った様に振り付けるなか、村長さんが、一際大きな声で「せーーーの!」と音頭を取る。
続く言葉は、誰もが自然と理解していた。
「「「「「「ニャンニャン!!」」」」」」
音楽が、終わる。
「ブレイク~すっごい似合ってるよ」
「そ、そうかしら?」
――あの別れから、半日後、飛行船は遂にビーコン・アカデミーの発着場へと辿り着いた。
私達は、帰ってゆく飛行船を見送りながら、沈みゆく夕日に思いを馳せる。
本当にいい体験だった。あの景色は生涯、忘れる事はないだろう。
「ふあ~あ、なんか一気に疲れた~、このまま寝ちゃう?」
「ダメですわ。まず、オズピン学長に報告しなくては」
「そうね。じゃあ、早く行きましょう」
「だね。よし、報告報告っと」
学長室の前で、一度呼吸を整えると、扉をノックし、中に入った。
「オズピン学長、チームRWBY、ただいま帰還しました!」