チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
茂みから飛び出して来たのは、生き物らしかった。明らかに、私達を攻撃する動きだった。
四方八方から、同時に飛び掛かって来ている。
だけど……誰一人、取り乱す者は居ない!
「――行くよ、皆!」
「分かってますわ!」
「おうさ!」
「ええ」
モンスターらの、【マッカォ】という連中らしいが、ヤツらの爪が、牙が蹴りが到達する前に、私達は動いていた。
「やぁっ!」
私の武器、大鎌クレセント・ローズの射撃モード……その銃口から放たれた弾丸が、マッカォを空中迎撃!
逆向きへと吹っ飛んだマッカォは落下して地面を転がった。
「はぁっ!」
ワイスの手のひらから発せられた、水色の魔方陣が、モンスターの牙を阻み、弾き返す。
器用に着地したマッカォだったけど、体勢を建て直す暇なんて、白雪姫が与える筈もない。
地面をスケートの様に滑っていったワイスは、既に敵を間合いに捉えている。
ダストを搭載したレイピア剣、【ミルテンアスター】の切っ先が、マッカォの腹を貫通し背中から飛び出していた。
「おらぁ!」
ヤンお姉ちゃんの両手には、ガントレットの様な武器【エンバー・セリカ】が展開されている。
飛び掛かったマッカォの下顎に、アッパーカットが容赦なく叩き込まれ、直後にガントレットが火を吹いた!
バスン!
マッカォの顔面は破壊され、胴体を離れた。カラン、と薬莢が排出される。お姉ちゃんの武器はただの拳じゃないのよね。
「…………」
立ち尽くすブレイクに、発達した後ろ足で蹴り込もうとするマッカォ。しかし、爪先が触れた瞬間、ブレイクの肉体がぶれて消失した。
そう、あれは残像。未だ空中のマッカォの背中を、じっと見るブレイク。い、いつの間に後ろへ?
リボンに繋がれた片手剣【ガムボール・シュラウド】が飛んで行き、マッカォの後頭部に突き立つ。
最低限の動作でもって、彼女はマッカォを仕留めた。
と、同時に、さっきまで感じられていたイヤーな気配が、消えたのが分かった。逃げてくれたのかな?
「どうやら、終わった様ですわね」
「みたいだね。だけど、コイツらグリムじゃ……ないよね」
倒れたマッカォを見下ろして、ヤンお姉ちゃんが首を傾げた。
「言ったじゃない。この辺りの生態系は、かなり特殊なのよ。コイツらは恐らく森と一緒……太古のままの姿で居る」
「そうですわね。文献で見た、恐竜という絶滅種によく似ていますわ」
「え~? イグアナとかに似てない? ほら、この鼻の辺りとかそっくり――」
くぉっ、くぉっ、くぉっ、くぉっ!
その時だった。皆の声を掻き消すかの様に、奇妙な音が……まるで愉快な極楽鳥が歌っているかの様な鳴き声が響いたんだ。
そして、それに呼応したみたいに、マッカォの群れが再び私達を取り囲んだ。
だが、今度は違う。ジリジリと間合いをはかり、睨みあう様に立っていた。
更に、群れに遅れて、最後の一匹が茂みから顔を出す。そいつは一回り大きな体を持ち、頭頂には派手なトサカがついている。
「成程、群れを統率するリーダーのお出まし、という訳ですわね」
こんな風に群れを纏めるリーダーは、後で聞いたんだけど、【ドス】というらしい。つまり、マッカォの群れを纏めるリーダーは、【ドスマッカォ】となる。
よくも手下共をかわいがってくれたな! とか言いたげに威嚇とも取れる動作を繰り返している。
「へ~アイツがリーダー? なら、頭は真っ先に……潰す!」
「分かった」
「焦らずに慎重に行きたい所ですわ。未知の部分が多いですし」
あ~、お姉ちゃんが言う様に、先手必勝でリーダーを真っ先に潰すってのはセオリーだよね。だけど、ワイスが言ってる慎重に、っていうのも分かる。
ここはリーダーとして、ビシッといきたい所だ。よし、なら皆の意見を合わせると……
「よし、じゃあ私とお姉ちゃんが仕掛けるから、ワイスとブレイクは援護して!」
返答を待たず、私はクレセント・ローズの火器を発射し、その反動で一気に前進! やっぱ、リーダーたるもの最初に動かないと!
ワンテンポ遅れて、ヤンお姉ちゃんも「そう来なくっちゃ!」と走り出す。
私は勢いそのままに、マッカォに飛び付くと足場にしてジャンプ! 高く高く舞い上がると更に発砲、反動を利用し前方目掛け加速。
ボスを守れと言わんばかりにマッカォがおどりでた。クレセント・ローズを瞬時に鎌に変形させ、勢いのまま振り抜く!
マッカォを真っ二つに裂き、着地。私の横を弾丸が通過し、マッカォに命中。お姉ちゃんのエンバー・セリカは射撃もこなせる。
「やぁぁぁ!」
ザン、ザン、と怯んだマッカォを次々に切り裂く。正面のボスは――ええっ? 何やら尻尾一本で直立してるぞ?
そして尻尾を伸ばしたり縮めたりしながら、前足後ろ足を空中でバタバタさせてる。
ちょっとカワイイかも、とか思っていたら、バネの様に限界まで縮めた尻尾を解放! びよん、とこちら目掛けて突っ込んで来た!
「わ、えっ、ちょっ――」
「ルビー!?」
何とかドスマッカォの恐るべき反動蹴りはクレセント・ローズでガードした。
でも、なんて威力なの!? 私は吹っ飛ばされてしまう。あわや、木に衝突……という所で、何かが私の肉体を保護し、助けてくれた。
ワイスの魔方陣だ!
「ありがとワイス!」
「迂闊でしたわね」
「うっ……」
そうこう言っている間に、ヤンお姉ちゃんがマッカォに取り囲まれていた。ボスもまた、尻尾で直立。あの蹴りがまた来る!
「では、もう一度行ってきなさい」
「へっ……うっ、ひゃあああ!」
魔方陣が変色すると、私の体に今度は、大砲で打ち出された様な加速を与えた。
クレセント・ローズを一発、だん、と放つ。コマの如くスピンを始めた私は、竜巻となってマッカォの群れに突っ込む!
ブレイクが、既にリボンに結んだ剣を、鞭の様に振り回して敵を凪ぎ払っているのもあってか、マッカォはすぐに包囲を破壊される。
「いよっしゃあ! せあっ!」
ヤンお姉ちゃんが飛び出す。ドスマッカォが、反動蹴りを繰り出す!
蹴りと拳で打ち合って、一瞬の静止、エンバー・セリカが火を噴いて、ドスマッカォは力負け。空中に無防備に投げ出される。
そこへ、私が殺到した!
「いやああああ!」
ザブザブザブ、とドスマッカォは全身を切り刻まれ、私が着地した時には背後で絶命していた。
「あ~わわわわ、目が回る~」
思えばこれが、初めてのクエスト成功だったなぁ