チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
――あれから、三日過ぎた。
私達は、ようやくここの生活にも慣れてきて、どうにかこうにか頑張ってます、お母さん。
ハンターの朝は早い。ベッドを頑なに拒否し、ハンモックにて眠るニンジャは、いつもなら朝の読書としゃれこんでいるであろう時間。
だというのに、ブレイクはもう居なかった。隣のベッドを見ると、ヤンお姉ちゃんが布団を半分はみ出して眠っていた。
反対の隣にはワイスが居る筈なんだけど……ベッドはもぬけの殻だ。
私は大きくのびをして起き上がると、お隣の寝坊助さんを揺すってあげた。
う~ん……寝る子は育つ、というけれど、あれはどうやら本当みたいだよ。何が、とは言わないけれど。
「んぁ……? あ、おっはようルビ~」
朝一番ハグをさっ、とかわすと私はすぐに着替えた。ルームサービスのネコさん(アイルーって種族? らしい)に、二人について質問してみる。
「あぁ~ん、もう、ルビー! まだ外が薄暗いじゃん。もうちょっと寝かせてくれてもいいんじゃないかな~」
「ダメ! ワイスとブレイクはどこかに行ってるんだよ? チームとして、私達だけ寝てたらダメだし」
「ワイスさんはつい先程、ブレイクさんは日が昇らない内から出ていきましたニャ」
あれから連日、休む暇もなく村の人達からの依頼を、自主的にこなして来た私達。
こなせばこなす程に、私達の常識では知り得ないものが沢山見られた。
「ありがとう。さ、お姉ちゃん、朝ごはん食べに行くよ」
「食べに行くって、まさか外のネコオカミさんの屋台?」
「他に何処があるの?」
「私は遠慮したいな~。だって、あそこどんな素材使ってどんな料理しようが、最後にはチーズの海にダイブしちゃうじゃん。魚も肉もコメもナッツも、全部! 取り敢えずチーズは何にでも合うみたいな思考についてけない!」
「確かに……で、でもでも味はいいよ。見た目はちょっぴりグロテスクかもだけど」
「残念だけど、私には新鮮な猪肉がある。せっかくいろりがあるんだし、焼いてみる!」
あの猪肉は、昨日、皆で倒した大きな猪(村に居る学者さんによれば、ドスファンゴというらしい)の肉で、綺麗な赤身が何とも食欲をそそる逸品だった。
「あ~あ~、マジであれ食べるの?」
「マジよ。お~いルームサービスさん、お鍋みたいなのある~?」
「はいはいただいまニャ!」
「ささ、ルビーも一緒に食べ――あれ? ルビー? どこ行ったー?」
外だよ、外。私には行くべき場所がある。
オカミさんの所で、いつもの如く肉とコメのチーズモリモリ固めを食して若干の胃もたれをしながら、私は本命の行き先にたどり着いていた。
そう、武器鎧工房だ! いつもお願いして、工房の中を見学させて貰っている。
「おはようございまーす!」
「おぅ、またアンタかハンターさん」
すっかり、工房の頭領さんに顔を覚えられてしまった。でもやっぱり色んな武器が好きなんだもん。
「アンタも物好きだな、こんなホコリ臭ぇトコにわざわざ来やがってよ」
「いやいや、やっぱりこう、武器が出来上がっていく行程とか、凄くワクワクしません?」
「変わってるよアンタ。ま、ハンター共にとっちゃあ命綱みてぇなものだし、気になるのは分かるけどよ」
「あはは……あっ!? あれって、完成した武器ですか?」
工房の隅の卓上に、置いてある剣。私の身長の半分くらいの、いわゆる片手剣というやつだ。
「おう。今日、渡すやつだな」
「へ~……あの、ちょっと持ってみても――」
「絶対に落としたりすんなよ!?」
「あいあい!」
しっかりと念を押された以上、私は慎重に剣の柄を持って、ゆっくりと持ち上げ……うん? 持ち上げ――ぐ、ぐぬぬぬぬ!!
な、何だこれ!? メチャクチャ重たくない!?
私のクレセント・ローズよりも小さな武器が、こんなに重たいなんて……
「おいおい、どうしたぃ? そんなに重いか?」
結局、五分は奮闘したものの、両手で持ち上げて一振りが精々だった。ウソでしょ?
「よくそんなんでハンターやってんなぁ。お前さん、武器は何使ってんだ?」
「私のは、このクレセント・ローズだよ」
と、クレセント・ローズを鎌に変形させてみる私。それを見た頭領の目が輝いた!
「お、おぉっ!? こ、こいつぁスゲエ! な、嬢ちゃん、ちょいと俺に貸してみ!」
「え~、それはダメ! この子は私の相棒なんです」
「そんなケチ臭ぇこと言わねえで、ちょいと、ちょいとだけ調べるだけだからさ!」
あ、あわわ、頭領さん、頭まで下げて……下手したらドゲザしかねない状況だ。う~ん……
「えぇい仕方ねぇ! ホレ、持ってけドロボー!」
頭領はそう言うと、何やら深紅の丸い玉――宝石の様なものを私に投げ渡した。わ~、キレイ!
「これってダスト?」
「いんや、ハンターの力を引き出す装飾品ってトコだな。モンスターの素材使って、宝玉に力を与えてる。ソイツとお前さんの相性が良ければ、いつもよりよく切れるし、いつもよりよく走れる……らしいがな」
う~ん、どうみても精製前のダストっぽい。それなら、力を得られるってのにも、なんとなく納得出来るけど、さ。
「なぁ、頼む! この通りだ。ちょっとでいいんだよ、ソイツを見せてくれぃ!」
「――分かった、分かりましたよ。でも、絶対に壊さないで」
「おおっ、ありがとよ!」
頭領は私のクレセント・ローズを受け取ると、まずその軽さに驚いてる。そんなに凄いかなぁ?
「あの~武器を受け取りに来たんッスけど~!」
そんなとき、表の方から声がした。「おお、アイツだ」頭領さんは「中にあるぞ! 取りに来な!」と返す。
「おじゃましまッス!」
と威勢よく工房に入ってきた人を見て、思わず私はあっ、と声を出してしまった。
「ジョーン!? なんで居るの?」
「へ?」
「あ、いや、ごめんなさい、人違い……だよね?」
「えと、多分、初対面だと思うッスよ?」
私より、少し年上くらいの彼は、首をかしげる。うわぁ~、他人の空似かぁ。でも髪の毛の色といい顔付きといい、ジョーンにそっくり。
あ、そういえばジョーン、前に父親やお祖父さんが戦士だったとか言ってたし、遠い血縁だったりして。
「あ、自分は筆頭ハンターのルーキーッス! 訳あって本名は名乗れないッスけど」
「あっ、ルーキーさん初めまして。私、ルビー・ローズっていいます。筆頭ハンターって?」
「う~ん、分かりやすく言うと、普通のハンターに出せない様な、特殊な依頼をこなす集団ッスね。自分は新人ッスけど」
「特殊部隊的な感じ? 何だかカッコいい」
「いやぁ~照れるッスよ~! あ、オヤジさん自分の武器ってアレッすか?」
「おう、それだ。持ってけ!」
「あざっす!」
ルーキーさんは、そう言ってひょいと、【ひょいと】剣を持ち上げてしまった。それも片手で。
うぅ……なんか傷付く……
「あれ? そういえばルビーちゃんって、もしかして王国から来た噂のハンターッスか? 女の子ばっかりって聞いてるッス」
「あ~、そ、そうですね王国から来ました」
「うわーやっぱり! 君達だったんッスね! いやぁ、噂通りの美少女ッすねぇ! 俺っちもルビーちゃん達のチームに入りたかったッス!」
「ど、どうも」
「ってことはもしや、ルビーちゃんもルーキーッスか?」
「いや、あの……一応私、チームリーダーやってて……」
「マジっすか!? 凄いッス! あー、でもなんとなく分かるッスよ」
「えっ? それはどういう――」
「ああっ、そういや皆を待たせてたッス! またいつかッスー!」
ルーキーさんはそう言い残して、慌てて工房を出ていった。ああ、新人って感じだなぁ。
でも、なんとなく分かるって、どういう意味なんだろう。
「やれやれ、そそっかしいヤツだな。で、ハンターさん、どうする? 暇ならそこいらで暇潰ししてるか?」
「あ、いえ、工房の中をもう少し見てていいですか?」
「それは構わねぇよ。やっぱり変わってらぁ」
む~、別にいいじゃない。
――結局、日が落ちるまで私は工房に居た。クレセント・ローズを返して貰い、家路についた私を待っていたのは皆のお土産の山だった。
「えぇと……ワイス、この宝石の山は?」
「採掘して来ましたわ。この辺りの鉱石は、ダストと違い、別な何かを多分秘めています。王国に持ち帰って詳しく調べますわ。特にこのマカライトというのを――」
「マカライト……どっかで聞いたなぁ」
ヤンお姉ちゃん、何の話だろう?
「ブレイクは……これ、魚?」
ブレイクの持ち帰った水槽には、これでもかと多種多様な魚が泳いでいた。
「全部私が釣ったわ。早速、いろりで焼いてるけど、皆も食べる?」
「んじゃ、私もーらい!」
「わたくしもいただきますわ。チーズはもううんざり」
「じゃあ私も」
今夜の晩御飯は、魚と猪肉でした。たまにはこういうのも……いいかな?