チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
――「熊の様なモンスターですか?」
私は、依頼を持ってきてくれた村のおばさんに聞き返した。
「ええ、えぇ。そうなのよ。最近、凶暴化した熊みたいなモンスターが暴れてるらしくてねぇ、あたしゃ心配なんだよ。この間も知り合いのが襲われてね、何とか生きて帰って来たんだが積み荷が全部奪われちまったって話さ」
「それは大変だね。そのモンスターとやらはどこにいるか分かる?」
「ああ、そりゃあアンタ、この先に商用ルートがあるんだけどねぇ、そこを通る商人が襲われ続けてるからねぇ。多分ありゃあ味を占めてるよ」
「なるほど、分かりました。私達に是非お任せ下さい!」
「よろしく頼んだよ、可愛らしいハンターさん達」
――「思ったんだけど……」
「ん? 何、ブレイク?」
熊の様なモンスターが、よく見られるという道を行く私達だったけど、その道中、ブレイクがこう言った。
「熊の様なモンスターって、アーサの事じゃないかしら?」
「あっ、確かに」
アーサっていうのは、太古より人類を脅かし続けている、私達の敵、グリムの中の、熊型グリムの通称だ。
体毛なんか全部真っ黒だし、顔には骸骨にも似た仮面みたいなパーツがあって、ベルナに出たとしたら相当に目立つだろう。
「しかし、それは無さそうですわよ」
「どしてワイス?」
「調べたところ、ハンターのバックにはいくつかの組織がある様です。そうした不測の事態に関して言えば、組織がいち早く情報を掴み、正式にハンターへと依頼をする筈ですわ」
「なるほど。確かにそうね」
そっか。そんなベルナ側の人達からして正体不明なモンスターなら、当然、ルーキー君みたいな筆頭ハンター達も動くんじゃないかな?
「ですから、こう言ってはなんですが、ありふれた事例なので、組織はあまり介入していないのではないかと思いますわ」
「よく分からないけどなるほどね。だったらアーサの可能性は限りなく低いってことだね」
「そういうことですわ。勿論、想定はしておくべきかとも思いますが」
「うん。そもそも私達、その熊とやらにあったことすらないもん、最悪の事態を想定は基本だね」
「ええ、同じ轍は踏まない様にねチームRWBYのリーダーさん?」
む、わ、分かってるよ!
「地図によると、この辺りね」
ブレイクが支給された地図を眺めながら言った。
確かにこの辺りは、道の周りに鬱蒼とした森が広がり、視界は良くないし、これ以上ない位の襲撃スポットだろう。
「さてどうする? 取り敢えずはオカミさんに持たせて貰ったチーズ料理でもばらまいて誘きだす?」
「それはダメだよお姉ちゃん」
「分かってるって、冗談冗談」
「そんな時はコレ」
「ブレイク、それはなんですの?」
ブレイクが持っていたのは、瓶に詰められた金色の液体。瓶を傾ければドロ~、とゆっくり流れる。
「ハチミツ。昨日採ったものよ」
「何に使うつもりだったの?」
「チーズにハチミツは相性いいから持ち歩いてたの」
「うげっ、私は合わないと思うな」
「で、それをどうするのです? 木にでも塗って森の熊さんを誘きだそうとでもいうのかしら?」
「その通りだけど」
「はぁっ!? 何を考えてますの!? バカなの!?」
「じゃあ他に何かある?」
「そ、それは……」
結局、私達は近くの木にハチミツをべっとりと塗り付けて、近くの茂みに潜んだ。
そして今、三十分位過ぎたかな。
「あ~あ~、またヤバめな虫がくっ付いてる! 虫あみあったら億万長者になれるかも」
ヤンお姉ちゃんの発言は半分聞き流して、私は何だか色んな虫がくっ付いて一部カラフルになった気の毒な木を眺めている。
「もぅ、やっぱりそう都合よく出てくる訳がありませんわよ」
「だったら森の中を当てずっぽうで探す? お嬢様」
「その呼び方は止めてと言った筈ですわ!」
「ま~ま~二人とも落ち着いて。イライラするのはきっとお腹が空いてるからだよ。はい、これ猪肉とナスビのチーズボールだよ」
ギスギスしたときは、食事をして一息つけば、きっと皆仲直り、って誰かが言ってたし。
「はい、ワイス」
「……仕方ないですわね」
「はい、ブレイク」
「ありがとう」
「はい、お姉ちゃん」
「チーズはもう……何でもない」
「はい、あなたも」
「……?」
「はい、皆でいただきます!」
ふふふ、完璧じゃない。こうすれば雰囲気も一変するに違いない!
あれ? どうして皆、こっち見てるの? 食べないの?
「ちょっとルビー、後ろ後ろ!」
後ろ? 私の後ろに何かあるの? と振り返ったら、丁度大きな影がチーズボールを丸飲みに! うわあああ熊だぁ! 青熊だ!
「うわわ出たー!」
「来るよ!」
と身構える私達。しかし現れた大熊アオアシラは、チーズボールの余韻を味わった後、鼻をひくひくとして、ミツを塗りたくった木に走っていった。
群がる虫をベアークローで蹴散らすと、ぺたんと座り込んで、ミツを一心不乱に舐め始める始末。
えっ、ちょっと……いくらなんでも無防備過ぎない?
「ねぇワイス、あれってもしかして巧妙な罠だったりとかするのかなぁ?」
「とてもそうは思えませんわ」
「やっちゃう?」
「そうね」
「「「「やぁぁぁ!」」」」
チームRWBY全員による、友情の攻撃が見事にミツ舐め中のアオアシラに命中! なんと、たったの一撃をもってアオアシラは倒れてしまった。
「え、えっと……取り敢えずクエスト達成~、イエーイ!!」
なんとも釈然としないけど、私達は見事に商通路を荒らすアオアシラを撃破したのだった。