チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです   作:はぐれファウナス

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ムーファの毛玉は暖かい

「ハンターさん、お願いします! 孤島に生息してるムーファの毛を刈ってきて下さい!」

 

と、自称しっかりものの村人さんは言った。

 

「ムーファ? ムーファって、村中に居るあのカワイイ羊さんのこと?」

 

「ええっ、そうなんですよ。ベルナではムーファの毛を刈って、それを使って暖かい洋服を作ったり、特産品にしたりしてるのよ」

 

「あの、ムーファなら村のそこいら中に居ますわよ? 彼らから刈ればよろしいのでは……」

 

「甘いわねハンターさん。あのムーファ達は……既に毛刈りが終わっているのよ! 体積が約半分になっているのよ!」

 

「な、なんだってー!? でも十分モコモコしてるし、撫でてあげたら沢山毛玉がついて後処理に困るけど?」

 

「更に甘いわね。あれ以上刈ったらムーファの方が寒がっちゃうのよ!」

 

「素晴らしい心掛けね」

 

「孤島に住んでるムーファ達は少々気が荒いけど、毛量も豊富でおまけにモノがいいの! いつもなら村人総出で行くんだけど、今回はちょっと皆の都合が悪くて……だからお願いします、気が向いたら依頼を受けて下さい!」

 

「う~ん……分かりました! その依頼受けます!」

 

「あちゃ~、今日は毛刈りかぁ」

 

こうして私達チームRWBYは、受付嬢から依頼を受け取り、孤島に向かったのだった。

 

 

 

 

――「うわぁー凄い! 周りは海だよお姉ちゃん!」

 

飛行船のなかからでも十分にテンションあがってたけれど、実物を見て潮風を肌に感じると、ますますアゲアゲだ!

 

孤島、という所は、ベルナの村がある大陸より少し離れた島で、青い海の中にひっそりと存在している。ヴェイルにいたらまず、見ることの出来ない海!

 

「凄いねぇ、こんな事ならカメラ持ってくるんだった。あ、あと水着とかボートとかもセットでね」

 

「ちょっとお二人とも! これは実地試験の側面を兼ねているのをお忘れなく」

 

「冗談だって、冗談。でもワイス……あなたのそれは……」

 

「あ~ワイス、ピッケル大量に持ってる!」

 

「これはっ、は、ハンターの中には【タンコウフ】と呼ばれる方も居ると訊きましたから、学習も兼ねて――」

 

「分かってる。鉱石が気になるんだよね~依頼に支障が無い程度に掘ってよ?」

 

「そのくらい心得ていましてよ!」

 

「あのさ、ブレイク……あなたももしかして釣り――」

 

「竿と餌は沢山持ってきてるわ。任せて」

 

「いやいや、任せて、じゃないし……ほどほどにね?」

 

「ま、私も少しの間は楽しませて貰うかな! ルビーはどうする? ちょっと遊んでいこうよ、ね? せっかくの海なんだしさ」

 

うーん、仕方ないなぁ。ムーファの毛を刈るのに、そんなに時間がかかるとも思えないし、ちょっとくらい遊んでもいいか!

 

「じゃあ、自由時間にしようかなぁ」

 

私の言葉に頷くメンバー。だったんだけど……島に上陸してすぐに、私達は思い知る。考えが甘かった、と。

 

 

 

 

――メェ~、メェ~、メェ~、メェ~。

 

「な、なんなんですのあれ!?」

 

メェ~、メェ~、メェ~、メェ~、途切れる事なくメェ~メェ~メェ~。

 

結論から言うと、島を埋め尽くす大量の毛玉。いや、ムーファ!

 

この島は、ムーファの楽園とも言うべきムーファ島だったのだ! 目の前の崖下には、所狭しと羊がもみくちゃしているじゃないか。

 

「うーわー、あれ全部ムーファ?」

 

「ああ~私なんか眠くなってきちゃった……」

 

しかもベルナにいる、定期的に毛を刈られているムーファとは全く違う。

 

ここに居るのは毛玉そのものだ! それに顔がついて、手足が出ている。端から見れば大量のワタアメに見えないこともない。

 

「――どうするの? あれ全部ってなると、相当時間掛かるけど」

 

いやぁ、ムリムリ。あんな野生のワタアメなんて。

 

「ルビーどうしよう、お姉ちゃんよく考えたら武器的にバリカンで刈るしかなくない?」

 

私だって、ムーファの体に傷付けずにクレセント・ローズで毛だけ刈るなんて高等技術が出来ると思ってないよ。

 

「仕方ないですわね、ブレイク、あなたならキレイに刈れるのではなくて?」

 

「確かに出来るとは思う。けど……」

 

「なら、やってみなさい! はぁっ!」

 

ワイスのレイピア、ミルテンアスターのダストシリンダーが回転して、カチリと噛み合った瞬間、ムーファの群れの中央に巨大な魔方陣が発生した。

 

ふわっ、と魔方陣の内に居たムーファ達が次々に浮遊してこちらに飛んで来る! ワイスの魔法だった。

 

突然の事に足をバタバタさせるしかないムーファ達。ブレイクが、片手剣ガムボール・シュラウドに手を掛けて、跳躍した。

 

「はぁぁっ!!」

 

残像を伴って、ムーファ達の間を飛び抜けるブレイク。

 

スタン、と着地した彼女。バササッ、と大量のムーファ毛皮が地面に落ちた。凄い早技! さすがブレイク!

 

「こっちのムーファ達もですわ!」

 

更に魔方陣が発生、浮かび上がるムーファ。刈るブレイク。毛玉山はあっという間に出来上がり、さながら牧草纏めみたいになっていた。

 

「スゴイスゴイ! これならすぐにでも終わるんじゃない?」

 

「よし……ノルマ達成!」

 

「えっ?」

 

「ええ。では後をよろしくお願いしますわ!」

 

「あの、ちょっと……」

 

ブレイクとワイスは、猛ダッシュで何処かに……多分、鉱脈と釣りスポットに行ってしまった。

 

とはいえ、短時間でこれだけの毛を刈り取った二人に文句なんて言える筈もない訳で……

 

「はぁ~……取り敢えず、運ぼっか、毛」

 

「うん、そうしよう」

 

 

 

 

 

飛行船まで毛を運ぶという、敗残処理的な仕事をこなした私とヤンお姉ちゃん。多分、セーターなら千着は作れるよ、アレ。

 

「ふぅ~やっと終わったね」

 

「そうだね。だけどルビー、私達はまだ一匹の毛も刈ってない。せめて一匹は刈ろうよ。じゃないと胸を張って依頼をこなしたなんて言えないし」

 

「えー? いいんじゃないの~? 私もうクタクタ……」

 

「じゃあさ、あそこにいる子のを刈ろう」

 

と、ヤンお姉ちゃんが指差した先には小さなワタアメムーファ。きっとまだ子供なんだろう。群れの中でも頭一つ分小さい。

 

しかも今は一匹離れて草をついばんでいる。おあつらえむきってヤツだ。

 

「ほら、ルビーが後ろから押さえて。私がバリカンでちょちょいと刈るから」

 

「しょうがない、じゃあ……行くよ!」

 

ソロソロと、子ムーファの背後に忍び寄る私。よしよし、気付いていないぞ。もうちょっと、もう少し……

 

というところで、無情にも子ムーファは振り返り、うわっ、目が合った!

 

えぇい、こうなったら一気だ!

 

「やああっ!」

 

私のタックルをひょい、とかわすムーファ。しかもそれが引き金になったのか、一斉に騒ぎだすワタアメ達。いけない、パニックが起こるぞコレ!

 

どれが言ったか、メ゛ェ~と叫び、群れはたちまち分裂を始める。うわあああ、こっちにも来る!

 

「ルビー!」

 

ヤンお姉ちゃんが、エンバー・セリカを発砲! たちまち羊らはくるりと向きを変えて、あちらこちらに散っていった。

 

「はぁ、はぁ……ね~お姉ちゃん、どうしてもやらなきゃダメ?」

 

「う、う~ん、ここは素直にブレイク達の手柄にしよう。私達も木の実的なモノとか集めて晩御飯を少しでも豪華にしようか……」

 

「そだね。そうしよ……」

 

 

 

 

ムーファの毛を刈ってきて、依頼完了……なんだけどね……

 

 

 

 

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