チームRWBY(ルビー)がベルナの村で実地試験を行うようです 作:はぐれファウナス
「お姉ちゃん!!」
私は咄嗟に撥ね飛ばされたヤンお姉ちゃんの方を見た。すると、泡にまみれてるけど、頭をさすりながら起き上がろうとするお姉ちゃんが。
あれ? 意外と大丈夫そう?
だが次の瞬間、お姉ちゃんは派手に転けた。もがいて、また立ち上がろうとするが、また転けた。
そうか! 泡で滑って立ち上がれないんだ!!
「ちょっとー! なんなのこれ!」
「ヤン、よそ見しないで!」
ブレイクの言う通り、タマミツネはお姉ちゃんに狙いを定めたのか、地面を滑る! どうやら、泡を分泌してそれで滑ってるみたいだ!
「わわっ、タンマタンマ!」
「ふっ――」
ブレイクが、リボンに括ったガムボール・シュラウドを投擲! 武器はタマミツネの顔面を容赦なく狙う。
だが、後頭部にセンサーでもあるかの様に、敵は頭を下げ、かわした。
空を切った短刀はしかし、対岸の朽ちた船のマストに突き刺さる。
「ワイス!」
「分かっていましてよ!」
いつの間にかワイスが魔法を使っている。ベクトル力を与える魔方陣はお姉ちゃんの足元で発動、ロケットみたいに打ち上げられたお姉ちゃんは、タマミツネを飛び越えた。
そのまま地面に落ちるかと思われたが、絶妙の位置に張られたリボンがあった。ガムボール・シュラウドにくくりつけられたものだ。
お姉ちゃんはそれを掴み……泡で滑ったのか掴み損なって地面に、どしんと落ちた。うわぁ、痛そう……
「イタタタ……もーツルツル滑り過ぎ!」
未だ、まとわり付く泡。石鹸やシャンプーのそれと同じとはいかないみたいだ。
ガムボール・シュラウドを手元に引き戻すブレイク。タマミツネは即座に滑りながら向きを変えて、こちらを再び捕捉。
「また来るわ」
「う、うん! 反撃開始だよ!」
皆の武器が同時に火を噴いて、モンスター目掛けて弾丸が殺到してゆく。タマミツネは滑って回避。
更には体表に分泌物を纏っているのか、浅い角度の弾丸は表皮に触れた途端、滑り逸れる。
くるん、と舞い踊るかのように一回転ジャンプ。尻尾を擦り、巨大なバブルが発生。同時に口からもバブルを吐く。
くそっ、あの大きさで、なんていう、トリッキーな動きだろう。
射撃でいくらかのバブルは打ち落としたけど、一つが私の側でパチン、と破裂!
「きゃっ!?」
泡が飛び散り、私の体へとまとわつく。ちょっ、なにこれ、なかなか落ちない!
つるん、私の足が滑った音だ。そのまま尻餅をついて……あーーっ、痛い!!
「あのシャボン玉は危険ですわ!」
「なら、接近戦で!」
シャボン玉を回避しながら、ブレイクが接近してゆく。私はクレセント・ローズを発射! だけど、反動で滑り、まともに体勢を維持出来ない。
どうやらお姉ちゃんもそれは一緒みたいだった。
「ルビー、ヤン、湖で泡を流しなさい!」
ワイスが、また魔方陣を宙に描く。それを足場にして、ブレイクと一緒にタマミツネに接近していく。
「ルビー、取り敢えず泡落とそう! そうしないと何も出来ないよ!」
「う、うん、そうだね!」
頑張ってブレイク、ワイス!
――――――――――
「はぁぁっ!」
ブレイクが、泡の間を擦り抜け、タマミツネへと接近。タマミツネは相変わらずバブルを吐き、自分の周りに飛ばしてますわ。
全く、邪魔な泡ですわ。迂闊に割れば泡まみれ。ここは……炎かしらね。
わたくしの武器、ミルテンアスターには、各属性のダストシリンダーが装備されています!
例えば、赤のシリンダーをセットすれば……
「やぁぁっ!」
ゴオッ、と炎がシャボン玉を一瞬で呑み込み、跡形もなく蒸発。と、こんな芸当も出来ますわ!
ダダダッ、とブレイクは射撃を続けて、敵を引き付けてくれています。ならば、その隙に近付き、分泌物ごと焼き払って差し上げますわ!
タマミツネがブレイクの側を向き、口を開く。吐き出されたのはシャボン玉ではなく……高圧の、水!
ブレイクは辛うじてかわした様です。葦を、岩肌を、廃船をスパッ、と切り裂く程の水鉄砲。
「っつ!?」
魔方陣を足場に、飛び越えて回避。足元を水の刃が凪ぎ払って行きました。まさか、あんな技まで持っているとは……恐ろしい敵ですわ。
ですが、ブレイクが遂に取り付きました。わたくしも急がなくては!
ガムボール・シュラウドの斬撃が、タマミツネに繰り出されます。
見事に前足を切り裂くブレイク。体をくねらせ、放たれたタックルをかわして、更に攻撃を――というタイミングでした。
遅れて振り抜かれた大きな尻尾にブレイクは打たれ、弾かれた先にシャボン玉。パチン。ブレイクもまた、泡まみれとなってしまいます。
ですが……届いた! ミルテンアスターの切っ先に全てを集中して、突き出すだけ!
シャボン玉を貫き、わたくしは、ミルテンアスターをタマミツネの胴体に突き立てるや、ダストと能力を全開し、敵に流し込みます。
「いきなさい!!」
ぼぅっ! 一瞬で炎はタマミツネの体毛を焼き尽くし、泡狐竜は断末魔をあげてのたうち回ります。
その姿は、華麗にて優美な存在ではなくなっていましたわ。体毛と皮膚が焼けただれ、憤怒の形相を浮かべる凶悪なモンスター。
さぁ、もうあなたは虫の息の筈です。トドメを刺させて頂きますわ!
苦しげな声をあげるタマミツネはその口を開くと、またしても水鉄砲を放ちました。わたくしは、氷属性のダストシリンダーに切り替え、地面を凍らせます。
水鉄砲が発射。同時にスケートよろしく氷上を滑り、かわし切ったわたくしは、魔方陣をタマミツネ目掛けて展開!
階段状にした魔方陣を駆け上がると、ダストシリンダーをエナジー属性に。さぁ、これで終わりですわ!
魔方陣を蹴る。同時にベクトル力を加えて、加速状態のわたくしは、正に一本の弓矢と化していましたわ。
エナジーを纏ったミルテンアスターを突きだし、タマミツネの頭を貫いて、反対側へと飛び出しました。
背後で、ズゥゥゥン、と泡狐竜の沈む音だけが聞こえましたわ。
――――――――――
「ルビー、ヤン、安心なさい。わたくしとブレイクが終わらせて来ましたわ」
って、ワイスは言った。言葉の通り、タマミツネの亡骸が転がっている。
「ごめん、なんだか転んでばっかで」
「かまいませんわよ。それより、ブレイクも体を流させてあげて下さい。あの子も泡にやられてましてよ」
「あ~、ブレイク、その泡全然落ちないよね。髪の毛についたのなんて特に。私達も流すの手伝うよ」
「ありがとう。耳にも入っちゃって、少し痛いわ」
何とか、タマミツネを倒した私達だったけど、緊急の依頼はこれだけじゃなかったの。
私達がそれを知ったのは、ユクモに戻った時だった――