バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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どうも、村雪でございます!

 
 とうとうこの作品を評価してくれた方が五人にもなり、!さらに、総合UA数も一万回を超えるいう快挙も達成できました!

 評価して下さった方々、様々な感想を残して下さった人たち。そして、作品を呼んでくださった皆様に感謝の一言を贈らせてもらいます! 本当にありがとー!



 さて、前回も書いたように、今回でBクラス戦は終了です!

 ただし、戦後対談などが残っていますので、まだ少し続きますが、実質的な勝負はこれで終了でございます!



 では、読んで、皆様の気分が少しでも晴れてくれれば!

感謝の気持ちを込めて!


―――ごゆっくりお読みください。


意表―感情、が昂ぶれば何でもこなせるんですよねぇ!

「くらうのよさー!」

 

「ぐわー!!」

 

「そちらのドアを上手く使うんじゃ!決して奴らを外に出すでないぞ!」

 

「了解だぜ!そっちもぬかるなよ美鈴(メイリン)っ!」

 

「分かってますよぉ!よいっしょぉおっ!」

 

「っち!魂魄(こんぱく)さん!Fクラスの奴らが思ったよりねばりやがるぞ!」

 

「1人で攻めてダメなら、誰かと一緒になって攻めてください!とにかく、この教室から出れるようにするんです!」

 

「了解!」

 

「っくううっ!やっぱり手強いですねぇ!」

 

 

 

 秀吉君がCクラスに乗り込んだ後に、私たちは教室に戻り、予定通り9時30分にはBクラスとの戦いが再開されました。

 

 昨日はBクラスの前まで攻め込んでいた所で終了したので、今日もそこから勝負が始まったのですが、そんな私たちの仕事はBクラスの人たちを教室から一歩も出さない事。つまり、Bクラスを籠城させることです!

 

 それで、もともと戦闘部隊に入っていた秀吉君や魔理沙を始め、ここが山場ということで、代表である坂本君の近衛兵だった私も戦場に出張ってきているというわけですよ!

 

 戦況としては、押しては押され返しての繰り返し。なので、ここは一つ大きい戦力がほしいところですっ!

 

 

 

・・・ところが

 

 

 

「魔理沙!瑞希(みずき)さんはどうしたんですか!?」

 

「そ、それが・・・!」

 

 

 

 先ほどから、瑞希さんの様子がおかしいのです。

 

 彼女が指揮を執るはずなのに、なぜかオロオロしてばかりで、全く仕事を果たしていません。なので、秀吉君や魔理沙が代わりに指揮を執って、何とか抑え込めている状況なのですが、このいままいけば人が減って突破される可能性も出てきます!だから早く、瑞希さんには動いてもらいたい・・・!

 

 

「な、なんであんなにおろおろしてるんですか!?」

 

「分からん!さっきからずっとああだぜうおっと!?」

 

 

!やっぱりやばいですね!瑞希さんには早く動いて貰わないと!

 

 

「瑞希さん!しっかりして下さい!」

 

 

「あ、あの…あの…!」

 

「!?」

 

 

 泣きそうな顔!?ってことは何かあったの!?

 

 

「邪魔あああ!!」

 

「い、一瞬かよお!?」

 

 即座に相手の召喚獣に一発叩き込んで、私は瑞希さんの元に近づきます。

 

 

「瑞希さん。どうしたんですか?何かあったんですか?」

 

 

 そんな私の問いかけに、に瑞希さんはフルフルと首を振りました。

 

 

「な、何でもありませんっ。」

 

「な、何でもってねえ・・・!」

 

 

 その顔で良く言えますね!どう見ても何かあったって顔じゃないですか!

 

 

「あのですね瑞希さん!今はそんな嘘を聞いてる暇は」

 

 

「左側出入り口、押し戻されています!」

 

「古典の戦力が足りない!援軍を頼む!」

 

 

 っち!言ってるそばからですか!瑞希さんが動かないなら、私が―!

 

 

「だあぁっ!」

 

「!吉井君!」

 

 

 突然人ごみから吉井君が出てきて、古典担当の竹中先生の元に詰め寄ります。

 

 

「……ヅラ、ずれてますよ。」

 

「っ!!少々席を外します!」

 

 

 吉井君が何かをささやいた成果か、竹中先生は頭をおさえながら走り去っていきました。ナイスです吉井君!

 

 

「姫路さん、どうかしたの?」

 

「そ、その、なんでもないですっ」

 

 

 私たちに近づいて吉井君も同じような質問をしてきましたが、瑞希さんの答えも同じです。吉井君もその言葉を嘘だと感じたようで、私を見てきます。

 

 

「美鈴さん、どういうこと?」

 

「いえ、それが私も・・・・・・瑞希さん、何があったんですか?口が悪くなってしまいますけど、さっさと言ってください。私たちの作戦にも関わるんです。」

 

 

 今回のキーマンではないにしろ、やはり主戦力なのに違いないんです。そんな人が足をひっぱっては、作戦が上手くいかなくなるんです!

 

 

「ほ、本当になんでもないんです!」

 

「っ!いい加減にしなさい!何か言えない事があったんですか!?そう脅されたんですか!?」

 

 

 よもやと思ったことを私は怒鳴り気味に確認します。いやな事をネタに何も動かないように瑞希さんに言った、って考えてしまうほど、今の瑞希さんはおかしいですもの!

 

 

「!!う、あ、あうあ・・・!」

 

「・・・・・・っち!」

 

 

 図星ですか!ったく本当に腹の立つことばかりしますね根本君!

 

 こんないたいけな女の子の弱みを握って泣かせようなんて、そろそろ堪忍袋の緒が切れそうですよ!?

 

 

「右側出入り口、教科が現国に変えられました!」

 

 

「おいおい数学の先生はどうしたんだぜ!?」

 

 

「Bクラス内に拉致(らち)された模様!」

 

 

 くそっ!今度は得意科目で攻めてきますか!上手い指揮ですね全くもう!

 

 

「私が行きますっ!」

 

 

 私が行く前に、危機に気付いたのか、瑞希さんがそちらの扉に駆け出そうとしました。

 

 

 

 ………でも

 

 

「あっ・・・・・・」

 

「瑞希さん?」

 

 

 なぜか、どこかを見た途端に固まって、下にうつむいてしまいました。

 

 どうして?瑞希さんの見た方には・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・根本君?」

 

 

 窓際で腕を組みながら、こちらを見下ろすBクラス代表、根本恭二の姿があった。

 

 でも、彼がどうしたのでしょう…?

 

 

 特におかしなところはないと――――― 

 

 

 

 

「…………あ。」

 

 

 

 ――理由が分かった。

 

 

 私の視力はまあまあ良い方です。そのおかげで、遠くにいる咲夜さんも見つけることも出来たし、色々と役に立つこともありました。

 

 

 ・・・なぜそんなことを今思うのかですか?

 

 きっと、その眼が捉えたからでしょう。

 

 

 

 

 

 

 瑞希さんが吉井君のちゃぶ台に置いた可愛らしい封筒を、根本君が持っているのを。

 

 

 

「・・・・・・は~……」

 

 

 なるほどねえ。瑞希さんを手紙を使って無力化する手段があったからこそ、こちらに有利な協定を結ばせたってことですか。ようやく合点がいきましたよ…

 

 

 

「ほんっとに悪巧みがお好きですねえ、Bクラス代表さまは。」

「全くだよ、美鈴さん。」

 

 

・・・同意するという事は、彼も瑞希さんの不調の理由が分かったという事。ならばあの封筒の正体も・・・

 

 

「あ、あの、2人とも・・・?」

 

「姫路さん」

 

「は、はい!」

 

 

 瑞希さんの言葉には耳を貸さずに、吉井君は指示だけを彼女に飛ばしました。

 

 

「具合が悪そうだから、あまり戦線に加わらないように。試召戦争はこれで終わりじゃないんだから、体調管理には気をつけてもらわないと」

 

「……はい。」

 

「ま、そんなに申し訳なさそうにしなくても大丈夫ですよ。私らが引導を渡してきますから。ねえ?吉井君」

 

「うん。・・・じゃ、僕らは行ってくるから」

 

「では。またあとで」

 

「あ……!」

 

 

 瑞希さんが何か言いたげでしたが、私たちはあえて無視して駆け出します。どうやら、私たちの意見は一致したみたいです。

 

 

「面白いことをしてくれるじゃないか、根本君」

 

「全くです。ちょおっとおいたが過ぎましたねえ~・・・・・・」

 

 

 それぞれが笑みを浮かべながらの言葉。私たちは一度視線を合わせてから、それぞれの場所へ向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの野郎、ブチ殺す」

 

「野郎、きっちり地獄を見せてやりましょう」

 

 

 私が向かうは、当然そこでございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「報告!ただいま左側出口で紅(ホン)美鈴さんに鍋島がやられた!」

 

「連絡!右側出口付近で、霧雨魔理沙(きりさめまりさ)さんが化学科目で勝負を挑んできてる!」

 

「い、今紅さんに挑んだ中村がやられたぞ!」

 

「Fクラス代表の坂本が本隊を連れて、右側出口にいる霧雨さん達と合流!」

 

 

「く、くそっ!しっかり守れお前ら!何をやってるんだ!」

 

 

 

 Bクラス代表、根本 恭二はあせっていた。

 

 

 Fクラス最大の戦力であった姫路瑞希を無力化したにもかかわらず、Fクラスは依然として、Bクラスの生徒を一歩も出させず、それどころか、わずかずつではあるが防衛ラインを縮める有様である。その中でも、霧雨魔理沙、そして紅美鈴が筆頭にそれぞれの扉を攻め込んでいるのだが、紅の方に関しては、ただ点数が高いだけではない。

 

 むしろ、そちらの方がBクラスを脅威に感じさせているのだ。

 

 

 

「ひいいいっ!?た、助けてえええーー!!」

 

「や、やめてくれ!もう負けでいいからっ、その殺気はががががあ・・!」

 

「あ、ああああああ・・・!!」

 

 

 

 ・・・これである。先ほど彼女と目があったのだが、その時はこんなことにはなっていなかった。 だが、吉井と別れたから一気にその身から殺気をあふれ出させ、Bクラスに突入しようとしてきているのだ。

 

 あまりの恐ろしさに、試召戦争を挑む前に敗北を認めるやからも出てくるほど。このあまりの事態に、根本の親衛隊の数人が根本に視線をとがらせた。

 

 

「・・・・・・根本君。あなた、何かしたんじゃないでしょうね?」

 

「な、何だと!それはどういう意味だ!!」

 

 

 すうっと目を細めて睨むのは、先程までクラスに指示を出していた白髪の少女、魂魄(こんぱく) 妖夢(ようむ)。

 

 ごまかしは許さないと鋭いまなざしを向けられた根本は、震えながらも声をはりながら怒鳴った。

 

 

「私は詳しく知りませんけれど・・・紅 美鈴さんがあそこまで怒ったところなんか見たことありません。あなたが何か企てたせいではないのですかと聞いているのです」

 

 

「…し、知らねえよ!そんなことはしてない!」

 

 

 そう言いながら、根本は手に持った封筒をさっとポケットに隠した。正直に言えば、ある。この手紙にしろ、未遂とはいえFクラスの設備や文房具を壊そうとしたことにせよ、正当とは思えない手段をとってきたので、どれが誰の地雷になってもおかしくはなかった。

 

 

「どうかしらね。あんた、ずーっと卑怯な手段ばっかり取ってたじゃない。どうせ心では思い当たる節があるんでしょ」

 

「っ!う、うるさい!」

 

 

 内心を当てられドキリとした根本は、叫ぶように声の主、水橋パルスィを黙らせる。

 

 

「余計な恨みなんか買うからこうなるのよ。あなたのその性格、妬ましいどころか思い切り侮蔑するわ」

 

「!こ、このアマぁ・・・!!」

 

 

 黙ることなく、言葉という剣を投げつけるパルスィに、根本は憎悪の眼差しを向ける。それでもパルスィはゆるがない。

 

 

「ったく。そんなにバカにされるのが嫌なら少しは妖夢を見習えばどう?あんたとは違って後味の悪い事なんかきっとしないわ」

 

 

「…う、うぐううっ・・・!!」

 

 

 言い返してやりたかったが、それは事実だろうと根本自身も思ってしまった。

 魂魄妖夢は礼儀をしっかりと身に付けており、その生真面目ぶりからまわりからは多くの信頼を得ていた。

 

 

 そんな彼女と同じクラス、それも自分の配下になったため、クラスのほとんどから不満の声が溢れた。なぜ魂魄さんが代表ではないのか、なぜ妖夢があんな奴に従わなけれなならないのか、と。

 

 

 根本がそんな雰囲気に不満を抱かないわけがなく、自分が代表であると認知させるにはどうすればいいかと考えているとき、FクラスがBクラスに戦争を挑んできたのである。根本はこれを好機と見て、Fクラスに勝って自分の存在が代表としてふさわしいと思わせるように決めたのである。

 

 

 手始めに、使者である明久をボロボロに痛めつけようとしたのだが、そこでさっそくほころびが起こった。

 なんと、魂魄妖夢が吉井の前に立ちふさがり、彼への暴力を止めさせようとしたのだ。

 

 

『1人で来た人にその仕打ちは何ですか!手を降ろして、ひどいことをするのをやめなさいっ!』

 

 

 根本はそんな事を言われ怒りながら怒鳴ったが、ある意味好都合とも思った。妖夢の言葉は自分と、明久を攻撃しようとした生徒に向けてだったので、その言葉をきっかけに、妖夢への反発心が生まれると予想したのだ。

 

 しめたものだと思いつつ、周りを悟られぬように周囲を見たが、再び自分の予想はあてはずれとなった。怒りの表情を浮かべる人はだれ一人といず、ばつの悪い顔をする男子、さらには笑顔を浮かべる女子さえもいたのだ。

 

 

 そして、根本が理解しきれずに硬直している間に、妖夢は明久に詫びを入れ、戸惑うままの明久をFクラスに返したのである。

 

 

 全く納得のいかない根本は妖夢につっかかったが、彼女に静かな声で正論を言われたり、周りから嫌悪の視線を向けられると旗色は悪くなるばかり。根本は逃げるように妖夢との口論を止めたのであった。

 

 

 そして試召戦争開始後、自分の活躍が欲しいと思った根本は、妖夢に知られぬようにこっそりとクラスメイトに指示を出し、自らの方法で勝負に臨んだ結果が現状である。

 

 

「い、今はそんなこと関係ないだろうが!!俺が負けたらお前らだってクラスがFクラスに落ちるんだぞ!しっかり守りやがれ!」

 

 

 自分の生み出した現状なのにあくまで自分は動かずに護衛をなじる根本に、パルスィは軽蔑(けいべつ)の目を向け、妖夢は呆れのため息をついてから左右の扉へと移動した。

 

 

「と、扉の防衛は不可能!突破されます!」

 

 

 そんな誰かの声と同時に、両の扉から一気にFクラスの生徒がなだれ込んだ。

 

 

 ドバァ!!

 

 

「どうもー。Fクラスの紅(ホン) 美鈴(メイリン)です」

「同じく、霧雨 魔理沙だぜ!」

「Fクラス代表、坂本(さかもと) 雄二(ゆうじ)だ」

 

 

 その3人を先頭に、後方にはFクラスの何人かが控えている。人数的にはまだBクラスの方が多い。慌てる必要はない、まだ自分たちの方が有利と、根本は落ち着こうと息を整えた。

 

 

「・・・お、お前らいい加減にしろよなあ?昨日から教室の出入り口に集まりやがって。暑苦しいことこの上ないっての」

 

 

 根本はけん制の言葉を浴びせたが、これに応えたのは意外にも美鈴だった。

 

 

 

「そうでしたかー。それはきっと、Bクラスの代表さんの能力が足りてなかったからでしょうねえ?」

 

「な、なんだとぉ・・・!?」

 

 

 挑発する言葉に根本はあっさりとくい付いて睨むが、美鈴のあまりにも冷たい睨みに一瞬にしてその気力は萎(な)えた。

 

 その様子を見ていた雄二と魔理沙が、可笑しそうに話し合う。

 

 

「おいおい、軟弱なBクラスの代表サマはもうギブアップみたいだぜ?」

 

「まあそう言ってやるな霧雨。あれだってその小さい器を割れるぐらいに開けながら小物じみた事を小物なりにやってたんだ。だから小物なりには良く頑張ったって褒めてやらないといけないじゃないか。」

 

 

「…っ!!ふ、ふざっ、ふざけんじゃねえぞっ!?」

 

 

 根本は、顔を真っ赤にするほどの屈辱(くつじょく)と怒りに、足を雄二達の元へと動かそうとした。

 

 

「根本君、落ち着きなさい!」

 

「っ!!」

 

 

 しかし、その声に足はピタリと止まった。

 

 

「こんな見え見えの挑発行為にのってはいけません。状況的には不利ですが、戦力的にはまだこちらの方が有利なんです。それに反応したらあなたは本当に小物になりますよ?」

 

 

 そう諭してくるのは、代表である自分にもっとも障害となる女子、魂魄 妖夢だった。

 

 

「…っち、それぐらい分かってる!」

 

 

 挑発に乗ったのは事実だったが、認めるのはしゃくなので、高圧的に返事をした根本は雄二達の方に再度向き直る。そこに、先ほどまでの感情をむき出しにした顔はない。

 

 

「はっ、ギブアップなんかするはずないだろう。するとしたらそっちじゃないか?Fクラスさんよお?」

 

 

 ドンッ!

 

 

「ほお。Bクラスは代表はバカだが、優秀なサポート役がいるんだな。これはBクラスに失礼な事をした。」

 

「全くだな。こういうのを宝の持ち腐れっていうんだぜ。」

 

「持ち手の根性が歪んでますものねー。」

 

 

 ドンッ!

 

 

「っ!!水橋!魂魄!そいつらを補習室送りにしてやれ!!他の奴らも援護に回れ!」

 

 

 ドゴッ!

 

 

「言われなくてもそのつもりです。先生、試獣召喚(サモン)です。」

 

「はあ、無茶を言わないでほしいわ・・・試獣召喚(サモン)。あんたら、援護するんならよろしく頼むわね。」

 

 

 根本の言葉に従う形で、それぞれが召喚獣を出し始めて衝突しあった。

 

 

 

 

『Bクラス 魂魄 妖夢   現国   298点 

       VS  

 Fクラス 紅 美鈴    現国   253点 』

 

 

 

 

『Bクラス 水橋 パルスィ  化学    280点

       VS 

 Fクラス 霧雨 魔理沙   化学    292点 』

 

 

 

「よお、どおしたさっきまでの威勢は?あの2人もいなくなっておじけついたか?」

 

 

 自分のクラスメイトが戦っているのを横目に、代表同士が対峙しながら言葉をなげあう。これも一種の戦いだろう。

 

 

「冗談言うな。お前如きにあの2人はいらないさ。」

 

「へっ、じゃあ姫路さんか?でも調子が悪そうだったぜ?」

 

「……的外れだな。お前ら相手じゃあの3人は役不足だって言ってるんだバカが。」

 

「けっ!口だけは達者だな。負け組代表さんよぉ。」

 

「負け組?それがFクラスのことなら、もうすぐお前が負け組代表だな。」

 

 

 召喚獣もその間にぶつかりあう。やはり点数差もあって、優勢なのは根本だ。

 

 

バギッ!

 

 

「……さっきからドンドンと、壁がうるせえな。何かやってるのか?」

 

「さあな。そんな事より自分の身を案じたらどうだ?」

 

「ふんっ、言ってろ。どうせもうすぐ決着だ!」

 

 

 そこで、雄二はピタリと動きを止めた。

 

 

「?何だよ。」

 

 

「いったん引くぞ!」

 

 

「あ?・・・ははっ!今更怖気(おじけ)ついたか!」

 

 

 急に離れていく雄二の姿に根本は高らかに笑うが、しばらく離れてからこちらに振り向いた雄二の顔に、根本は笑いを引っ込めた。

 

 

「……何だその顔は?」

 

 

 一体何に憐れんでいるのだろう。雄二の顔は、なぜか憐(あわれ)みの感情で満たされていた。

 

 

 

「いや……この戦いが終わった後の、お前の処置を考えると、な。」

 

「は?」

 

 

 その疑問に答えることなく、雄二は少し大きい声で、言葉を告げた。

 

 

 

 

 

「あとは任せたぞ、明久」

 

 

 

 

 

 

 

「だぁぁーーっしゃぁーっ!」 

 

 

 

 

 ドゴオッ!!

 

 

 

 瞬間、Bクラスの壁が崩れ落ちた。

 

 

「ンなっ!?」

 

「え、ええええっ!?」

 

「はあっ!?か、壁が・・・!?」

 

 

 根本だけでなく、妖夢、パルスィもあ然としてその光景を見つめ、思った。

 

 ――さっきから壁の方がうるさかったのはまさか、このため――!?

 

 

 

「くたばれ、根本 恭二ぃー!!」 

 

 

 そして、そこから出てきたのは―

 

 

「!よ、吉井 明久君・・・!」

 

 

 昨日、Bクラスに単身で乗り込んできた吉井明久、そして数人のFクラスメンバーだった。

 

 

「遠藤先生!Fクラス島田が―」

 

「Bクラス伊達が受けます!試獣召喚(サモン)!」

 

 

 根本に勝負を挑もうとした美波に、Bクラスの近衛部隊が割り込んで阻止した。

 

他のFクラスにもBクラスの生徒が立ちふさがって、根本の元へは誰も行くことが出来なくなった。

 

 

「は、ははっ!せっかくの奇襲(きしゅう)だったが失敗に終わったぞ!残念だったな!」

 

 

 根本は驚きを隠しながら、せいいっぱいの虚勢で明久たちを笑った。これで、自分に火の粉がかかてくることはない!

 

 

 ――そう慢心してしまった。

 

 

 

 

 そして、それが彼の命取りとなった。

 

 

 

 

 

 

「・・・あ?」

 

 

 

 

 ――Fクラスとの戦闘が激しくなってきてから、Bクラスはの室温がなぜか以上に上がって蒸し暑くなっていた。冷房の故障かとも思ったが、戦争中なので確認する暇もなく、その場は窓を開けてしのぐことになった。

 

 

 

 

―――もしも、そんなところからロープを使ってFクラスの人間が侵入してくる、と予想した人物は、事前に情報を握っていたとしかと言えないだろう。

 

 

 そして、今まさに、その手段を使って教室に入ってきた人物がいるのだ。

 

 

 

 ダンッ!ダンッ!

 

 

 

「……Fクラス、土屋(つちや) 康太(こうた)」

 

「き、キサマ……!」

 

 

 

 現れたのは保健体育の教師と、保健体育においてのみ、絶大な力を発揮するムッツリーニこと土屋康太だった。

 

 

「……Bクラス根本恭二に保健体育勝負を申し込む。」

 

 

 まわりに自分以外のBクラスはいない。もはや、勝負を回避することは不可能だった。

 

 

「―――-―ち、ちくしょおおおおおお!!」

 

「――試獣召喚(サモン)」

 

 

 

『 Fクラス  土屋 康太  保健体育    441点

         VS  

  Bクラス  根本 恭二  保健体育    203点 』

 

 

 

  そして、一瞬で、根本の召喚獣は切り裂かれ、Bクラス代表の戦死によって、勝負は終結した。

 

 

 

 

「・・・あ。ウチの代表がやられましたね…。」

 

「そうですね。では、これで私達も終了しましょうか。」

 

「ええ、仕方ありません。お見事でした紅さん。」

 

「ありがとうございます魂魄さん。よいしょっ。では、身体を動かしときますかね~。」

 

「え?なぜですか?」

 

「もちろん、けじめをつけてもらうからですよー。」

 

 

 

 

「おっ!上手くやったみたいだな土屋達!」

 

「・・・あ~あ。なにやってんのよ根本の奴。自分で私らに動けって言ったんだから、その間くらいしっかり守りなさいよね。全く・・・」

 

「へへっ、悪いな。私らの勝利だぜ!」

 

「みたいね。は~、やっぱり妖夢の方が良かったんじゃないかしら。」

 

「ん?何がだよ?」

 

「代表よ。妖夢の方が実際では上だと思うしね、たぶん。」

 

「へ~。すごいんだなそいつ。でも、お前もすごいんじゃないのか?なかなか手ごわかったから、はっきり言ってやばかったからな!」

 

「・・・・・・それって哀れみ?なら不要よそんなのは。別に私は、教室がどこだろうと構わないしね。」

 

「ん?哀れみとかじゃなくて本音だったんだがなー。でも、水橋って言ったっけ?負けたのに落ち着いてるところとか凄いぜ。」

 

「・・・・・・」

 

「私だったらきーきー文句を言うところだってのに、水橋は大人だなあ。私も見習いたいぜ!」

 

「・・・・・・私は強がっているだけなのに、それを信じた上に、私なんかを模倣の対象とするなんて。妬ましい。ああ妬ましい・・・!その純粋さと優しさが妬ましいぃぃ・・・・・・!!(ガリガリガリ)」

 

「うお!?ぶつぶつ言いながらつ、爪を急に噛み始めてどうしたんだぜ!?だ、大丈夫か!?」

 

 

「・・・っ!!(バッ)」

 

「うおおっ!?な、なんでいきなりとびかか、ってぐえくるし・・・!」

 

「!?まりさ!あ、あんたアタイの子分に何やってんのよさーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます!後半はナレーション形式になってしまいましたが、楽しんでいただけたならば・・・!


 前からも出ていましたが、パルパルパルが有名な、『地殿の下の嫉妬心』!橋姫の水橋パルスィさんの登場です!嫉妬って恐いですね・・・!

 パルスィさんの性格がよく分からなかったもので、自分なりに解釈して話してもらいましたが、どうだったでしょうか?

 
 では、今回はここまでで!感想とか質問があったら気楽に送信してください!

 それではっ!
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