バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!嬉しいことに、皆さまに気に入られて150人!感謝感激のお礼しか言えません・・・・・・ありがとうございます!これからも楽しく読んでいただければっ!

 さて。今回ですけど、そこを読んだら『え~?』って思う人もいるんじゃないかと思いつつ、出させてもらいました。

 これだけだとなんのことか全然分からないと思いますので、ネタバレにならない程度に言わせてもらいますと・・・魔理沙に関わることです!

 案外どうでもいいことでかもしれませんけど、保険名目で前書きさせてもらいました。


――ではごゆっくりお読みください


旧友―仲、が長ければ色々な形になるものだ

「さて皆、補充試験ご苦労だった」

 

 

 激戦だったBクラス戦の次の日、すなわち霊夢と秀吉君を交えた夕飯会の次の日からは(あの時残った料理は、スタッフならぬ母さんがおいしくいただきました。よ、よもやあれを食べ切るとは・・・!『ん~、ひさびさに食べたねえ~!』)、Dクラス戦よりたくさんの点数を消費したからその埋め合わせに費やし、終わったころには動いてもないのにへとへとになりました。やっぱり勉強は難しいですねー。

 

 ちなみに、今回も八雲 藍先生が化学の試験の時にやってきました。またも吉井君との熱い逃避行が始まるかと思いましたが、そんなこともありませんでした。さすが大人です!一度水に流したことは絶対に持ち出しません!・・・何回か鞄や靴を踏んづけたりしたのはたまたまですよね!

 

 そしてさらに翌日、すなわち現在。いよいよAクラスと雌雄を決する時がやってきました。坂本君が教壇の前に出て最後のオリエンテーションを始めます。

 

 

「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらずここまで来れたのは、他でもない皆の協力があってのことだ。感謝している」

 

 

 と、坂本君は最初にそんなことを言い出しました。わ、私は単純なんですからよしてくださいよ~!ああ照れる照れます照れますよ!

 

 

「ははっ、照れるじゃないか坂本~、そんなことを言ってくれるとは思わなかったぜ!」

 

 

 魔理沙(まりさ)もまんざらではなさそうです。そしてチルノも同じようで、

 

 

「当然よゴリラ!最強のアタイがいるのに負けるなんて、メーリンが許してもあたいが許さないわ!」

 

 

 胸を張って私を引き合いに出しました。

 

 

「なぜそこで私なんですか!?」

 

 

 そこは『天』でしょうが!ああ!皆さんがちょっと白い目で見てくるじゃないですかあ!別に負けるだろうなんて思っていませんよ!?どうなるかなって不安に思ってた程度ですよー!

 

 

「チルノ、俺の事は坂本と呼べ。代わりに紅(ホン)の事を『ニワトリさん』と呼ぶといい」

 

「誰がチキンですかこらあ!」

 

 

 この赤ザルさんがッ!思いっきりシメますよ~!?

 

 

「で、でも雄二がそんなことを言うなんて珍しいね?らしくないよ?」

 

 

 吉井君の言う通りです。こんな風に人をおバカにする人が人を労うはずがありません。

 

 

「ああ。自分でも思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ」

 

 

 つまりさっきのも本心ってことじゃないですか!ちょっとこれは私がチキンではないところを見せる必要がありますね!

 

 

「ここまで来た以上、絶対にAクラスにも勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を、教師どもに突きつけるんだ!」

 

 

 あれ、そんな目的でしたっけ?教室が嫌だからっていう理由だったような気がするんですけど…

 

 

『おおーっ!』

 

『そうだーっ!』

 

『勉強だけじゃないんだーっ!』

 

『勉強なんていらないのよさあっ!』

 

 

 いや、勉強はいると思いますチルノ。0と1でもとてつもなく途方な違いがあるとよく聞きますしね。じゃないとおバカが治りませんよ。

 

 

「皆ありがとう。そしてAクラス戦だが、これは一騎打ちで決着をつけたいと考えている」

 

 

 Bクラス戦の前に言っていたことですね。でもそれを知っているのはあの場にいた人たちだけですから、ほとんどの人がざわつきます。

 

 

『どういうことだ?』

 

『誰と誰が一騎打ちをするんだ?』

 

『それで本当に勝てるのか?』

 

「落ち着いてくれ。それを今から説明する」

 

 

 バンバンと机を叩くことで皆が静かになりました。私もそこから先の話は聞いていませんので、しっかり聞いておきましょう。

 

 

「やるのは当然。俺と翔子(しょうこ)だ」

 

 

 ?しょうこ?……え~と、確かAクラスの代表の霧島さんの下の名前でしたっけ?こういうときはクラスのリーダーが出るのが普通ですから、たぶん代表同士がぶつかるのでしょう。

 

 

「え~!?アタイじゃないの~!?」

 

 

 坂本君自身の宣言に、チルノのブーイングの声。その選択肢は絶対ないですね。言っちゃあ悪いですけど100%の確率で負けるでしょうし。勝負する前に結果が見える戦いを誰がしますか!

 

 

「ああ。すまないが、お前には難しいから堪えてくれチルノ」

 

「む~!で、でもだったらゴリラはどうなのよさ!?」

 

「そうだよ雄二。2人ともバカなんだから結果は変わらなぁぁあっ!!?」

 

「誰がバカよっ!」

 

「次は耳だ」

 

 

 吉井君の冷たいお言葉に、坂本君からはカッター。チルノは先のとがった鉛筆をプレゼントしました。2人とも、傷害罪って知ってますか?

 

 

「まあ、確かに翔子は強い。まともにやりあえば勝ち目はないかもしれない」

 

 

 そう言いつつも、坂本君に諦めの様子はありません。相当自信があるのでしょうか!?だったら非常に嬉しいですね~!

 

 

「だが、それはDクラスとBクラスの時もそうだっただろ?まともにやり合えば俺たちに勝ち目は無かった」

 

 

 ふむふむ。確かに、瑞希さんと土屋君という特別な人がいてこその勝利だったと言えるでしょう。

 

 

「今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺たちの勝ちは揺るがない」

 

 

 今回の特別な人が坂本君、と言いたいのでしょうか。坂本君はさらに声を張ります。

 

 

「俺を信じて任せてくれ。過去に神童と呼ばれた力を、今皆に見せてやる!」

 

『おおぉーーーっ!!』

 

 

 皆も坂本君の実績を讃え、坂本君の言葉を信じています。

 う~ん。私は……ひとまず作戦を聞くまでは保留としておきましょう!

 

 

「坂本君。具体的な作戦を説明願えますか?」

 

「ああ。やり方だが……一騎打ちではフィールドを限定するつもりだ」

 

「フィールド?何の教科でやるつもりじゃ?」

 

「日本史だ」

 

「日本史?」

 

「うげっ。ア、アタイが一番嫌いなやつっ!」

 

 

 チルノが嫌そうに顔をしかめます。日本の昔のことですからねえ。日本にやってきたチルノにはそりゃ難しいです。

 

・・・しかし、日本史とはまた無難な選択ですね。あれは覚えた者勝ちな教科ですけど、坂本君は日本史が好きなのでしょうか?

 

 

「ただし、内容は限定する。レベルは小学生程度、方式は百点満点の上限あり、召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負とする」

 

「えらくしぼった条件だな?」

 

 

 魔理沙に同意見です。小学生程度の問題ってことはつまり、これは誰?とかこの建物の名前は?ってとても優しい問題ですよね?それなら霧島さんのことですし満点を取りそうですけど・・・

 

 

「雄二、それだと同点になって、延長戦になると思うよ?そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブランクのある雄二には厳しくない?」

 

「同意だぜ」

 

「わしもそう思うぞい」

 

 

 吉井君の不安に魔理沙も秀吉君もうなずきます。しかし、坂本君はそれでも動揺しません。

 

 

「おいおい、俺をなめるなよ?いくらなんでもそこまで運に頼り切ったやり方を作戦などと言うものか」

 

「??それなら、霧島さんの集中を乱す方法を知ってるとか?」

 

「いいや。アイツなら集中なんかしていなくても。小学生レベルのテスト程度なら何の問題も無いだろう」

 

 

 …う~ん。坂本君はじれったく言うのが好きですね。私はせっかちなんですよー!

 

 

「坂本君。そろそろネタを明かしてくださいよ。私のじれったさはもう限界です!」

 

「そうじゃな。紅の言う通りじゃ。一体なぜそんな方法を選んだのかのう?」

 

 

 私たちの言葉に皆がコクコク。坂本君もかぶりをふります。

 

 

「ああ、すまない。前置きが長くなった。……俺がこのやり方を採った理由は一つ。ある問題が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ」

 

 

 問題?どの問題でしょう?

 

 

「どの問題なんだ?」

 

「その問題は――『大化の改新』」

 

 

 大化の改新?日本史をやっている人なら間違いなく一度は耳にする言葉ですね。チルノも知ってるんじゃないでしょうか?

 

 

「大化の改新?誰が何をしたのか説明しろ、とか?そんなの小学生レベルの問題で出てくるかな?」

 

「いや、そんな掘り下げた問題じゃない。もっと単純な問いだ。」

 

「単純というと―――何年に起きたとか、かのう?」

 

「おっ。ビンゴだ秀吉。お前の言う通り、その年号を問う問題が出たら、俺たちの勝ちだ。」

 

 

 う~ん、それが今回の作戦、というか勝利の要素ということですか・・・

 

 

「坂本、でもそれって本当なのか?あんまし日本史が好きじゃない私でも分かるんだぞ?そんなのを霧島が間違えるとはどうしても思えないぜ。」

 

 

 魔理沙、私の意見を代弁してくれて手間が省けました!ありがとう!

 

 

「霧雨、気持ちはわかる。大化の改新は起こったのは、645年。確かにこんな簡単な問題は、明久ですら間違えない。」

 

 

 こらこら坂本君。そんな言い方しないのですよ。吉井君がバカみたいな言い方じゃないですか!でもまあ吉井君も分かるって言ってますから、坂本君も冗談のつもりで―

 

 

「お願い……僕を見ないで……」

 

「……え~?」

 

 

 私に聞こえてきた後ろの吉井君のそんな消え入るような声。……ほ、本気ですかあなた。坂本君の言葉は的を射ていちゃったのですね!?今まで社会の授業で何を学んできたんですかーっ!?

 

 吉井君の嘆きの声を聞いてない坂本君は気にせず続けます。

 

 

「だが、翔子は間違える。これは確実だ。そうしたら俺たちの勝ち。晴れてこの教室とおさらばって寸法だ。」

 

「ほ~、分かったぜ。」

 

 

 魔理沙も自分なりに納得したようです。…でも、私はちょおっと気になるところがまだ解消されてないんですよねぇ。

 

 

「あ「あの、坂本君。」の…」

 

 

 ありゃ、先に瑞希さんに質問されちゃいましたよ。

 

 

「ん?何だ姫路。」

 

「霧島さんとは……その、仲が良いんですか?」

 

 

 あ~、そういえば霧島さんの事を下の名前とか『アイツ』って呼んでましたもんね。気になるのも当たり前ですよ。幼なじみとかでしょうかね?

 

 

「ああ、あいつとは幼なじみだ。」

 

 

 ああ、やっぱりですか。じゃないと異性の下の名前を呼ぶのって難しいですもんねー。

 

 

・・・・・・ん?そう言えば、咲夜さんもそんなことを言ってましたっけ?内容が曖昧ですけど、え~と確か~・・・

 

 

「総員、狙えぇっ!」

 

「ええっ!?と、突然!?」

 

 

 男子達が突然立ち上がり、自らの上履きを構え始めましたので、びっくりのあまり私は記憶を復活させるのを止めざるを得ません。もの凄い統率力でしたよ皆さん!?

 

 

「なっ!?なぜ明久の号令で皆が急に上履きを構える!?」  

 

「黙れ、男の敵!Aクラスの前にキサマを殺す!」

 

「俺が何をしたと!?」

 

 

 どうやら坂本君と霧島さんの関係が羨ましかったためのクーデターのようです!その波紋はさらに広がります!

 

 

「遺言はそれだけか?……待つんだ須川君。靴下はまだ早い。それは押さえつけた後で口に押し込むものだ。」

 

「了解です隊長。」

 

「なになに?あたいもやるわっ!」

 

「ダメだチルノ!君の靴下は奴にとってご褒美になってしまう!」

 

「靴下に男子も女子もあるかっ!!」

 

「あ、あの。吉井君。吉井君は霧島さんみたいな方も好みなんですか?」

 

「へ?そりゃ、まあ。美人だし。」

 

「………」

 

「おいおい吉井。褒めなきゃいけない相手は他にいるだろ?」

 

「え?ああ、魔理沙も秀吉も元気で可愛いよね……って、なんで姫路さんは僕に上靴を構えて攻撃態勢を取ってるの?それと美波。君が投げようとしている教卓は、そんな使い方をするためにあるんじゃないよ!?」

 

「ふ~ん・・・じゃあ、アキ。ウチはどうかな?ほら、い、色々あるでしょ?優しいとか、か、可愛い…とか?」

 

「ペッタンコとかだね。」

 

「アキのバカーっ!」

 

「いやあああああっ!!?」

 

「お、おおう。教卓を吉井に叩きつけるとは、恐ろしい奴だぜ、美波・・・!!」

 

 

 教卓の下になった吉井君。さすがに発言がひどすぎると思いますので、そのままで頭を冷やしてもらいましょう。畳の温度を味わっていなさい。

 

 

「……は~い!皆さん静かに~!」

 

 

 ともかく、このままでいたら話が全然進みません!むしろ状況が悪化してAクラス戦より前に私達が内部崩壊しかねませんよ!?

 私は出来るだけ大きな声で、手を叩きながら収拾にとりかかりました。

 

 

「ひとまず落ち着きましょう皆さん。その話にしろ制裁にしろ、全てAクラス戦の後に回しましょうよ。」

 

「そうじゃ。それに、良く考えてもみんか。相手はあの霧島翔子じゃぞ?男である雄二に興味があるとは思えんじゃろが。」

 

「え?」

 

 あれ?そうなんですか?でも、なんかそのあたりの話を咲夜さんはしていた気がしますけど・・・・・・ん~?なんでしたっけ?

 

 

 

「そ、それもそうだね。雄二なんか眼中にもないよね!」

 

「タ、タフですね。吉井君?」

 

 

 教卓に押さえつけられてたのにぴんぴんしてますよ。スタントマンから引く手あまたではないでしょうか?

 

 

「とにかく、俺と翔子は幼なじみで、小さなころに間違って嘘を教えていたんだ。そして、アイツは一度覚えたことは忘れない。だから今、学年トップの座にいる。」

 

 

 でも、それが今回の攻略のポイントとなる、ということですか。

 

 

「俺はそれを利用してアイツに勝つ。そうしたら俺たちの机は――」

 

『システムデスクだ!』

 

 

 クラス一同、希望に満ちた顔で断言しました。

 

 

 

・・・が、

 

 

「………う~~~~ん…」 

 

 

 坂元君の作戦内容は分かったんです、けど・・・・・・

 

「?どうしたんですか美鈴さん?」

 

「…いえ、ちょっとね。」

 

 

 ――申し訳ないですけど、私の満足いく内容じゃなかったんですよこれが。言ったら皆の雰囲気を壊したとか、チキンさんと呼ばれそうですから絶対言いませんけどね!

 

 こうなれば、一番情報を得られそうな人に聞くとしまょうか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラッ!!

 

 

「頼もうだぜ!」

 

「道場破りに来たんじゃないよ!?」

 

 

 教室を奪いに来たってところは同じだけどさ! 

 

 魔理沙のそんな道場を破りに来たような言葉に、Aクラスの人たちが一斉に僕たちを見つめてくる。うわ~、相変わらず凄い教室だなあ。これを奪いに来たって言ったら誰だって大噴火だね。

 

 

「―――あら、魔理沙じゃない?それに美鈴(メイリン)達も。」

 

 

 合計6人。代表である雄二に、僕、秀吉、姫路さん、美鈴さん、魔理沙の大所帯を迎えてくれたのは、ちょっと厳しいけれど美人な十六夜 咲夜さんだった。う~ん、おとといの痛みはまだ抜けてないや。

 

 

「おう咲夜!相変わらずすごい教室だな!」

 

「まあね。まだ豪華すぎて落ち着かないわ…」

 

「偉いです咲夜さん!今を当たり前に受け入れずに、常にありがたいと思いながら生活する!そんな心構えを持ってくれて私は感激ですよ~!」

 

「い、いや違うわよ美鈴。そんな大層な事じゃないったら!」

 

 

 美鈴さん、たぶんそれは庶民の宿命ってやつだと思うんだ。僕だってこの教室にいたら一分も落ち着いてられる自身が無いよ。

 

…あれ?じゃあ十六夜さんは僕と同じ庶民派なの?なんてこった!こんな近くに運命の人がいたなんて!

 

 

「こんにちは十六夜さん!」

 

「こんにちは姫路さん。会うのはおとといぶりね。」

 

「はい!」

 

 

 姫路さんは誰が見ようともお姫様。そんな人に僕は、お付き合いして頂くどころか手を繋いでもらうことも出来ないだろうね。許すまじ貴族社会!

 

 

「十六夜、おとといはすまんのう。大変馳走になったのじゃ。」

 

「ええ。レミィ達も喜んでくれてたわ。よかったらまたきてやってくれないかしら?」

 

「わかったのじゃ。その時はよろしくのう。」

 

 

 秀吉も姫路さんに劣らない可愛らしさ!男だけど。そんな大きすぎる壁があるから秀吉にも僕は手が届かない!

 

 魔理沙ももう想う人がいるみたいだし、美波はぺったんこでチルノはバカ。なら僕に残されたのは、この高貴に見えるけれど、実は質素な暮らしをしているかもしれない疑惑が出てきた十六夜咲夜さんしかいないっ!

 

(※前半はともかく、後半は一部理由になっていない・・・)

 

 よし僕!ここから十六夜さんと友好な関係を築いていって、最後に十六夜 明久と名乗れるようにしていくぞ!君ならやればできるさ!

 

 十六夜さんも秀吉との会話も終わったし、やるぞ僕!まずは挨拶だっ!そこで誉め言葉を言うと良さそうだよね!

 

 気合いを入れ直して誉め言葉を考えた僕は、笑顔で十六夜さんに挨拶をした。

 

 

 

 

「こんにちは十六夜さん!今日も(お肌が)つるつるでさっぱりしてるね!」

 

「叩き潰すわよど変態が。」

 

 

 

 何を間違えたのだろうか。

 

 

 

「ちょっと待った十六夜さん!僕にだけ対応が全然違うよ!?」

 

「当然よ。あなたを友達だなんて全く思ってもいないのだから。」

 

「そこを良くしようとしていくための挨拶だったんだけどな!?」

 

 

 う~ん。何でかは知らないけど、どうも十六夜さんは僕の事が苦手みたいだ。何かしたかなあ? (A. 三度目のセクハラまがい発言)

 

 

「ま、まあまあ咲夜さん。きっと吉井君は言い間違えたんですよ。だからもう少し穏便に」

 

 

 さっとフォローしてくれる美鈴さん。お姉さんとして妹の教育がなっていない時は叱るのが当然の役割。

 でも、あんまりしかるのはやめてあげてほしいな。ひょっとしたら僕が何かしたからあんな冷たい態度をとってるのかもしれないし、普段バカなんて挨拶みたいに言われてる僕にはあれぐらい慣れっこだからね。

 

 

「いいのよ美鈴。この男にはそれぐらいの方が嬉しいのよ。ねえ吉井明久?」

 

 

 でも嬉しいとまでは思っていない!

 

 

「え、そ、そうでしたか吉井君?」

 

「全然良くない!僕だってもっと優しくしてほしいよっ!」

 

 

 だから美鈴さん!『あ、あれ?じゃあ今度からは冷たくした方がいいかな?』って顔をしないで!今までの優しさ溢れる君でいて!

 

 

「――ね?もっと厳しくしてほしいって言うぐらいよ?」

 

「真逆で聞き間違えてるよ十六夜さん!僕は優しくしてって言ったの!」

 

「ええ。だから、あなたにとって優しくされてると感じるのは厳しくされるときなんでしょう?ならいいじゃない。喜びなさい変態」

 

「・・・・・・」

 

 

・・・さっきの言葉は取り消そう。彼女には一度きついお灸を据えるべきだね美鈴さん。この子、無茶苦茶お腹が黒いよ!(※自業自得な面もあるのでは・・・?)

 

 

「すまない十六夜。俺の変態クズ野郎な友が粗相を働かせてしまったようだな。」

 

「雄二!僕はそこまでは言われてないよ!」 

 

 

 僕じゃなくて十六夜さんの仲間になった雄二なんて友達じゃないや!

 

 

「そうね、坂本君。二度とこのド変態セクハラクズ野郎を私の視界に入れないでもらいたいわ。」

 

 

 そして十六夜さんは、庶民どころか人間ですらなかったみたいだ。僕、なにかしたかなあ……( A. コンプレックス部分への三回に渡るペッタンコ発言)

 

 

「さ、咲夜さん?なんだか吉井君を嫌ってるみたいですけど、何があったんですか?」

 

「……持つ者には分からない痛み、よ……!!」

 

「どえっ!?どどどうしていきなり涙を流し始めたんですか咲夜さん!?お、おおよしよし!泣かないでね~?」

 

「ところで秀吉。さっきご馳走になったとか言ってたが、何かあったのか?」

 

「ああ、実は紅達に一緒に食事をどうかと誘われての。それで―」

 

 

 なぜか紅さんに慰められてる十六夜さんと話し出す雄二と秀吉。誰一人として深い悲しみに暮れる僕に手を差し伸べない。でも悲しくないからね!十六夜さんも僕と同じ苦しみを味わってるみたいだから構わないもんね!!

 

…女の子の不幸を喜ぶ僕って、男としてどうなのかなあ……?

 

 

 

「瑞希。久しぶり」

 

 

 透き通った女の人のそんな声が、自戒に悩んでいた僕の耳に届いてきた。

 

 

「!あ!お久しぶりですっ!」

 

 

 姫路さんの弾んだ声もすぐに届いてきた。姫路さんの知りあいみたいだけど、誰だろう?綺麗な声だなあ。

 

 目でそっちを見ると、透き通った青い目、綺麗な金髪に赤色のヘアバンドを巻いている美少女に姫路さんが抱き着いていた。 ムッツリーニ!しっかり取るんだよ!それだけスイッチを押してるんだから一枚ぐらいタダでくれるよね!?

 

 

「体は大丈夫?Fクラスって凄い教室だったけど…嫌な事はされてない?」

 

「はい!ちょ、ちょっと教室は古いですけど…皆さんと楽しくやってます!アリスさん!」

 

「そう、なら良かったわ」

 

 

 ふうっと安堵の息をもらした『アリスさん』。姫路さんの心配をしてくれてたみたいだ。ふう。良いものを見せてもらったね。2人の美少女のハグシーンフォトは僕の宝物にさせてもらうよ。

 

 

「アリス。お邪魔するのじゃ」

 

「ええ。最近は演劇もなかったから、久しぶりね秀吉」

 

「うむ。久しぶりなのじゃ」

 

 

 すると、秀吉も姫路さんに代わって口を交わし始めた。知り合いなのかな?

 

 

「秀吉、その人と知り合いなの?」

 

「うむ。アリス・マーガトロイドと言っての。わしと同じ演劇部に所属しておる女子じゃ」

 

「へ~」

 

 

 そうなんだ。そう言われると、確かに演劇部っぽい顔をしてるなあ。

 

 

「よ、よう!ア、アリス!」

 

「ええ、こんにちは魔理沙。」

 

 

 僕がそんなことを思ってると、魔理沙が上ずった声でそのアリスさんに話しかけた。

 

 

「こ、こいつはアリス・マーガトロイドって言ってな!私の近所に住んでて、編み物とか好きでよくマフラーとか編んで、私にプレゼントしてくれる…と、友達なんだぜ!」

 

「……あの、魔理沙?一応あってるけど、誰に紹介してるのよ?」

 

「う、後ろを向いて言ってますよ魔理沙ちゃん。」

 

 

 そっちにいるのはリクライニングシートさんとシステムデスク君だね。でもね魔理沙、彼らには耳も目もないんだよ?

 

 

「魔理沙、何か変だけど大丈夫なの?」

 

「!?ブァ、ブァッキャロウ!!ち、ちーとも問題ねえぜこんくらぁよお!」

 

 

 間違いなく問題あるね。そこまで君は口調が江戸っ子じゃなかったもの。

 ちょっと心配だし、行ってみよう。

 

「魔理沙、大丈夫?顔が真っ赤になってるよ?」

 

「お、おお吉井!適当なことを言ってんじゃねえぜ!私はいつだって雪のような白の肌だ!」

 

「鏡を見るんだ魔理沙。」

 

 

 顔がリンゴみたいな赤さの魔理沙の言う事が適当だっていうのは僕でも分かる。やはり今の魔理沙はどこか変みたいだ。そっとしておいた方がいいのかもしれないね。

 

 

「――こんにちは。あなたが吉井 明久君でいいのかしら?」

 

「おわっ!?」

 

 

 い、いつの間にかアリスさんが僕の背中の後ろに!?

 

 

「あっ、驚かせてごめんなさい。」

 

「あ、ぜ、全然大丈夫だよ!」

 

「そう?ありがとう。で、吉井 明久君かしら?」

 

 

 ぼ、僕の名前を知ってるだって!?ひょ、ひょっとして僕の運命の人だとか!?なんにせよ、僕が吉井明久だってはっきり言わなくちゃ!

 

 

「そ、そうです!僕が吉井明ひしゃです!」

 

 

 って僕のバカァっ!誰だよ吉井明ひしゃって!自分の名前も満足に言えないって僕の口はどんだけポンコツなんだ!

 

 

「…ふふっ、吉井明ひしゃ君、ね。アリス・マーガトロイドよ。よろしく、吉井明ひしゃ君?」

 

 

 い、いやあああ!!そんなにおかしそうに笑って僕を見ないで!!それは間違いなんだああ!

 

 

「あ、あのアリス・マーガトロイドさん、今のはちょっと噛んじゃっただけでね?僕の名前は吉井明久で吉井明ひしゃなんてへんてこな名前じゃないんだっ!」

 

 

 身振り手振りを加えての全力訂正!この熱意に、アリスさんも間違えだって分かってくれるはず――!

 

 

「………ぷっ、ふふふっ!あははははっ!!」

 

 

 さ、さらに笑われたああ!?美少女に笑ってもらえるのは嬉しいけど、自分のことを笑われるのはやっぱり嬉しくない!顔から火が出そう、というか出てるよ!

 

 

「あ、あうう…」

 

 

「ふふっ、あははっ…!ふー、ご、ごめんなさい。ああ、こんなに笑ったのは久しぶりだわ」

 

 

 目にたまった涙をぬぐうアリスさん。ぼ、僕はこんなに恥ずかしいと思ったのは久しぶりだよこんちくしょー!

 

 

「なるほど、瑞希が言った意味が分かったわ。確かにそうね。」

 

 

 え?瑞希さん?

 

 

「姫路さんがどうしたの?」

 

 そう言えばさっきも姫路さんと話してたけど、それと関係あるのかな?今は向こうでニコニコ笑ってこっちを見てるけど……ま、まさかさっきの醜態を姫路さんに見られた!?まさに踏んだり蹴ったりだ!!

 

 

「あ、こっちの話よ。急に笑い出してごめんなさいね、悪気は全くなかったの。出来れば信じてほしいわ。」

 

 

 ん~、アリス・マーガトロイドさんが嫌な人じゃないってのは、秀吉の友達だから分かるんだけど…

 

 

「じゃあさ。その〝こっちの話〟の事を聞かせてほしいかな~…なんて」

 

 

 僕だって恥ずかしいところを見られたんだから、少しくらい図々しく聞いても罰は当たらないよね?

 

 

「…ん~、じゃあちょっとだけ。」

 

 

 おっ。やっぱりアリスさんは良い人なんだ。雄二の奴に見習わせたいよ。

 

 

「え~と・・・そうね」

 

 少し考える素振りを見せたあと、アリスさんが僕の横に近づいてきて、って近い近い!これは僕へのサービス!?

 

 

「――――瑞希と私と咲夜、色々と話をしてる仲なのよ。あなたのこととかね。」

 

「ほえ?」

 

 

 え?ど、どういうこと?もう少し詳しい説明がほしいんだけど!

 

 

「あ、あのアリス・マーガトロイドさん。もう少し話してくれないかな?それだけだと何が何やら―」

 

「これ以上はダメね。知りたいのなら自分で調べること。あと、いちいち長くて面倒でしょうからアリスでいいのよ?」

 

 

 う・・・アリスさんは話してくれなさそうだけど、僕の恥ずかしさはそんなに安くないはず!もう少し話してくれてもお釣りは出ると思うよ!?

 

 

「ア、アリスさん。じゃあ、どんな内容かだけでも教えてくれない?」

 

 

 それだけでも聞いておきたいと思う僕は男子高校生として普通だよね!これを聞かない限り、僕は君に笑われたことを許さないぞアリスさんっ!

 

 

「…さあて?それは私たちの間だけの話という事で、許してちょうだい♪」

 

「許してあげよう。」

 

 

 美少女のウィンクにたかが恥の一つなら、安い買い物さ。

 

 

 その後にまたもアリスさんに大笑いされたけど、ウィンクのツケで許してあげるとしよう。

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます!


 正式に出演してもらいましたため、改めてご紹介を!

 子どもたちに人形劇を見せたり、その性格からいろんな人のお世話を焼いたりして、村雪の中ではかなり上位に入る世話焼きお姉さん!【七色の魔女】こと、アリス・マーガトロイドさんでした!彼女がこの作品でお世話を焼く今後に、少しだけ期待していてください!

 で、前書きにも書いたように、魔理沙の件ですが・・・彼女、あれなわけなんです!アレ!
 次回かその次辺りにシッカリ書くつもりなんで今はあまり言いませんが、この展開は嫌だった人、ごめんなさい!それでも、割り切って楽しんでいただければ幸いです!

 それではっ!

 
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