バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!いよいよ大学も再開して、投稿も少しづつ遅くなっていくと思います!なので、もしも間が空いてしまったら気長に待ってもらえたら幸いです!


 さて、ここで一つ今回の内容について、どうしても謝っておきたい部分があるのです・・・・・・

 実は今回、召喚バトルの描写がごくわずかになって、観客席側の会話の方が多くなってしまっているのです!

 つまり、すっごい「こんだけかよ!?」とか「え~、活躍少なっ」って思いになられることだと思います!これ絶対です!

 やることも出来てしまい、面白みを欠く投稿となってしまい・・・誠に申し訳ないっ!なので、今回は過度な期待をせずに読んでいただければ…!


 ――では、期待は少なめに、ごゆっくりお読みください


中傷―冗談、ではないなら黙っていられませんねっ!

「では、次の方は壇上に来てください。」

 

「アタシです!」

 

 

 一回戦も終わり、処理を終えた高橋先生が、二回戦の生徒を呼ぶとすぐ後に声が上がりました。

 

 

「木下 優子さんだね」

 

「秀吉君のお姉さんですねー」

 

 

 双子な彼女達の顔はそっくりですが、木下さんの方がどことなく怒って見えるのは性格の違いなのでしょうか?

 

 

「ならば、わしがいくのじゃ」

 

 

 そんな木下さんの名乗りに手を挙げたのは、弟の秀吉君。どうやら姉弟対決になりそうです!

 

 

「木下、勝算はあんのか?」

 

「うむ、姉上と一緒に過ごしておるから、集中力の散らし方も把握しておるのじゃ」

 

「おお、ならいけそうですね!」

 

 

 もしかすれば二連勝ですね!頑張るんですよ秀吉君!

 

 そのまま秀吉君は壇上へと上がり、2人が揃ったので試合が始まろうと――

 

 

 

「・・・・・・ねえ、秀吉」

 

「ん?なんじゃ姉上」

 

「……Cクラスの小山さんって知ってる?」

 

「…………」

 

 

 ……あ。な、なんだかまずい雰囲気じゃありません?秀吉君が一瞬にして顔を青くし始めましたよ?

 

 

「…え~と、だ、誰じゃったかなあ~?どうも最近忘れっぽくていかんの~~」

 

「そう。ならしっかり思い出してもらわないとね?ちょっとこっち来てくれる?」

 

「あ、いや待ってくれ姉上―!」

 

 

……2人は廊下へ行っちゃいました。

 

こ、これはいけません!咲夜さん達から聞いた情報で出来上がった私の『木下さん』像は、見境なくケンカをしちゃう血気盛んなワイルドレディー!そんな彼女が、自分が陥れられたことを知ったとなると…!秀吉君が血の海に沈むビジョンが!?

 

 

「ちょ、ちょっと私も失礼しますー!」

 

「あ、メ、美鈴(メイリン)さん!?」

 

 

 からりと全く鈍らず滑らかな扉を開けて、私は教室を出ました。そして左右を確認、すぐに2人の姿を見つけます!

 

 

 

「あ、あ、姉上。わしの腕から手を離してほしいのじゃが…」

 

「おだまり。秀吉?アンタなにCクラスでやってくれたのかしら?なんだか私がCクラスの人たちを豚呼ばわりしたことになってるのだけど?」

 

「…あ、う、そのじゃな?色々と事情があってのことでの?じゃ、じゃから許してほしいの~、なんて―」

 

「……はあ」

 

 お、おおっと?木下さんが深い溜息をつきました。もしかして許してあげるのでしょうか?なら心配する必要もありませんし、私が勝手につけた木下さん像を撤回―

 

 

「とりあえず、一回ぼこぼこにしてから話を聞いてあげるわ。」

 

「理不尽じゃ!」

 

―どころか、言い足りなかったかもしれません。無慈悲な修羅少女と呼ぶことにしましょう。

 

 

「ま、まあまあ木下さん、落ち着いてください!」

 

 

 そんな人を止めるのはかなり怖いんですけど、これもクラスの為私の為!秀吉君の不戦敗を防ぐために、私頑張りますっ!

 

 

「ホ、紅(ホン)!」

 

「何よ?今弟の折檻をしようと思ってるから、後にしてくれない?」

 

「い、いえその折檻を止めたいわけでして~…」 

 

 

 うわ~、だいぶご立腹ですよこれ………ひ、ひとまず言ってみるだけ言ってみましょうか。

 

 

「そ、そのCクラスに秀吉君が変装して言った件は、私たちFクラスの為だったんです!ですので、秀吉君だけが悪いってわけじゃないんですよっ!」

 

「……それで?」

 

「えーと、ですから、秀吉君を許してあげてほしいな~というわけです」

 

「無理ね。文句ある?」

 

「ごめんなさい秀吉君」

 

「お主、諦めが早すぎるぞいっ!!」

 

 

 私の意思は木下さんの足元にも及びませんでした…

 

 だって、木下さんからすっごい怒りのオーラが漂ってますもの!こんなの私じゃ太刀打ちできません!変に止めたら絶対矛先が私になりますよね!?だからここは秀吉君、実行犯のあなたが怒りの業火に焼かれるのです!骨はしっかり拾ってあげますから!

 

 

「そう、じゃあいいわよね?秀吉?」

 

「あ、あぁああ……」

 

 

 じわじわと秀吉君の時間が尽きようとしはじめます。あ~、二回戦は私たちの不戦敗ですか…出来れば勝ちたかったところなんですけどね……

 既に秀吉君の事を諦め、勝負の行く末を気にする非常に薄情な私でした。

 

 

 

「だいたい、なんで私がFクラスみたいな低能集団なんかのために泥をかぶらなきゃいけないのよ」

 

 

――――が、そんな私でも、ぼそっとつぶやかれた木下さんの言葉は聞き逃せませんでした。

 

 

「・・・・・・えーと、木下さん、今なんて言いました?」

 

「ッ!?な、何も言ってないわよ」

 

 

しまったと顔をしかめる木下さん。口に出すつもりはなかったということでしょうが…それすなわち本音という事。

 

……う~ん・・・やっぱり知りあいをけなされるのは、良い気分ではないのですよ。

 

 

「木下さん。言っていい事とダメな事があると思いますよ?」

 

 

 おバカなのは否定しませんけど、誰も彼もが一生懸命に頑張って日々を過ごしているのを低能、という言葉で纏められるのはさすがにいやなのです。あんまり違いはないのかもしれませんが、バカと言う言葉に愛嬌があると言うのに対して、低能と言うのはただ侮蔑しているだけ、と私は思えてならないのですよ…

 

 気付けば私は、責めるような言い方で木下さんに注意をしていました。自分でもガラではないと思えます。

 

「・・・そ、そうだけど!でも的外れなことじゃないでしょ!?」

 

 

ここで彼女が謝ってたらそれで終わっていたでしょう。でも、彼女は謝ってくれませんでした。

 

 

「……確かに、的外れなことを言っていないかもしれません。でもね、そのくくりの中にはあなたの弟の秀吉君も入ってるんですよ?ひどくないですか?」

 

「ふんっ、勉強せずに演劇ばっかにうつつをぬかしてるからそうなるのよ。自業自得だわ」

 

「か、返す言葉も無い…」

 

「つ、冷たいですねえ。姉ってものは、妹や弟がいれば何かあるたびに守って、励ましてあげるのが私のポリシーです。・・・・・・咲夜さんは私より立派ですから、あまり口出しできないんですけどね」

 

 

 思考の押し付けかもしれませんけど、家族には優しくするのが家族、って私は思ってます。母さんに与えられたように、私も少しでも同じことをしたいんですよ。

 他の家の事に文句を言うのがおかしいとは痛感していますし、申し訳ないとも思います。

 

……でも、寂しいことはやっぱりやめてほしいのですよ。血のつながりもある姉弟なんですから。血のつながりは無い私達でもこれほど素晴らしくあれるのですから、2人ならもっとうまく行けますよ。

 

 

「……あ~、そういえばあなた、十六夜のお姉さんだってね」

 

 

 すると、急に木下さんの口調が激しいものから落ち着いたものに変わりました。・・・・・・どことなく、気の毒な物を見る目にも見えます。ん?なぜでしょう?

 

 

「あ、はい。そうですよ?」

 

 

 もちろんレミィやフランもそうですけど、咲夜さんの姉でいられることを私は嬉しく思っています!ですから、その気の毒そうな眼は止めていただければ嬉し―

 

 

 

 

 

「大変ね。あんな自分勝手な奴の姉だなんて――」

 

 

「ああん?」

 

 

「っえ…!?」

 

「!?あ、姉上…!」

 

 

――久々に、そんな乱暴な言い方をしてしまいました。

 

…あんな奴?私の目の前で咲夜さんをくさすなんて、良い度胸してやがりますねこら。

 

 

「…木下さん」

 

「な、何よ」

 

 

 これはもう、許容範囲を超えました。しっかり訂正、謝罪をしていただきましょうかね!

 

 

 

「秀吉君の代わりに、私があなたと一騎打ちをさせてもらいます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カラッ!

 

 

「あ、戻ってきた」

 

 ちゃんと3人ともだ。秀吉がお姉さんにぼこぼこにされるんじゃないかって不安だったけど、よかったよかった。

 

 

「・・・ん?」

 

「め、美鈴さん・・・?」

 

「・・・メーリン、なんか変ね?」

 

 

 ?魔理沙と姫路さんとチルノはあんまり嬉しくなさそう・・・というか、不思議そうな顔で美鈴さんを見ているぞ?どうしたんだろう?

 

 

「どうしたの3人とも?」

 

「いや・・・何か美鈴の奴・・・怒ってないか?」

 

「へ?」

 

「わ、私もそう思いました・・・」

 

 

 そうだったかな?もう一度確認を―

 

 

「坂本君」

 

「うわわっ!?」

 

 

 い、いつの間にか僕の後ろに移動してたよ!今入って来たばっかりなのにすごい速さだね!

 

 

「どうした、紅?」

 

 

 僕はびっくりしたのに、雄二は全然驚いてない。悔しいけれど代表の貫録ってやつかな?

 

 

「はい。……この木下さんとの勝負、私にさせてもらえませんか?」

 

「え?」

 

「なに?」

 

 

 でも、美鈴さんの唐突なお願いを聞いて、雄二がしかめっ面になった。

 

 

「お前には、また後で出てもらう予定なんだが」

 

「それでもです。私をこの一騎打ちに移動させてください」

 

「……ダメだと言ったら?」

 

「無理やりにでも出て勝負するだけです」

 

 え、ええっと?ど、どうしたんだろう。こんな頑なな美鈴さんは初めて見たよ。姫路さん達の言う通り怒ってるのかもしれないけれど、廊下で何があったのだろう?

 

 

「・・・勝算はあるのか?」

 

「それは後で勝負しようとも先で勝負しようと同じだと思います……が、意地でも勝ちます」

 

「……」 

 

 

 美鈴さんの勝利宣言に、雄二は考える素振りを見せだした。確かに美鈴さんの言う通り、雄二が予定していた人(誰なのかは知らないけど)と勝負をしても絶対勝てる保証はない。でも、今の美鈴さんは迷うことなく『勝つ』って言うぐらいだから、今勝負をしてもらえば絶対勝てるんじゃないかな?

 

 

「……仕方ない、好きにしろ。ただし絶対勝てよ?いいな?」

 

 

 同じ考えになったのか、雄二が条件を付けて折れた。その迫力ある顔で念押しをしてくる雄二にも動じず、美鈴さんは力強く頷いた。

 

 

「お任せを。では行ってきます」

 

 そのまま壇上へと登っていった。

 

 

「ねえ秀吉。廊下で何があったの?」

 

 

 美鈴さんの変化が気になるし、一緒にいた秀吉に聞いてみた。くうっ!ハラハラした様子でステージを見上げる横顔がまぶしい!思わず目を細めてしまったよ!

 

 

「ん?あ、ああ。ちょっと、の。わしも悪いのじゃが、姉上が少々な」

 

「??そうなんだ」

 

 

 何のことか分かんないけど、とりあえず分かったことにしておこう。物わかりが悪くて、あんまりバカって思われたくないからね!(※おそらく誰もが分からないでしょうし、既に思われています)

 

 

「ずいぶん自信があるみたいね。ひょっとしてなめられてるのかしら?」

 

 

 ステージに上った美鈴さんに、木下さんは怒り気味に声をかけた。さっき雄二と話していた内容が聞こえたのかもしれない。

 

 

「いえ。ただ、絶対勝たなきゃいけませんからね。自分に活を入れる意味での発言ですよ」

 

「ふうん…」

 

 

 なめているのではないと言う美鈴さんだけど、自分が負けるって言ってるのに変わりは無いから、木下さんの顔は変わらない。う~ん、秀吉と違ってちょっと迫力があるなあ。秀吉だと怒っても可愛いもの。

 

 

「で、木下さん。私が勝ったら、きちんと守ってくれますね?」

 

「ええ。その時は撤回して謝るわ」

 

「オーケーです」

 

 

 ん?何の話?魔理沙達みたいに罰ゲームを決めてるの?だったら、僕たちにも利がある内容にしいてほしいなあ・・・

 

 

「アキ、あんたやらしい顔になってるけど、何を考えてるのよ?」

 

「はっ!?つい欲望が!」

 

 

 いかんいかん、正気はしっかり保たねば。君は紳士なはずだよ吉井明久。人に悟られるようではまだまだだ。目指せ性職者ムッツリーニだ。

 

 

「Fクラスからは木下秀吉君だったと思うのですが・・・紅美鈴さんに変更したんですね?」

 

「はい。勝手にすみません」

 

「いえ。それでは、教科はどうしますか?」

 

「木下さん、どうしますか?」

 

 

 美鈴さんは、木下さんに教科を選んでもらうみたいだ。僕たちは全部で四回、さっき魔理沙が選択したから後三回は勝負科目を選べる。だから美鈴さんも選んでいいんだけど・・・大丈夫なのかな?

 

 

「・・・じゃあ、国語でいいかしら?」

 

「異論はありません」

 

「では、科目は国語ですね。2人とも、召喚してください」

 

「はい。試獣召喚(サモン)っ!」

 

「試獣召喚(サモン)!」

 

 

 ほぼ同時に、2人の召喚獣が出現してくる。木下さんの召喚獣は、さっきのアリスさんと同じでゲームなんかでよく見る、先が細くてだんだん太くなってる槍だ。体もよろいで守っていてなかなか強そうな格好だ。

 

 

『Aクラス 木下 優子 国語 346点 』

 

 

「あ…や、やっぱり凄い点数ね」

 

 

 美波の言う通りだ。得意科目を選んだからっていうのもあるだろうけど、さすがAクラスなだけある。僕なんかじゃとても太刀打ちできないね。

 

 対する美鈴さんは手には何も持っておらず、代わりにその拳を木下さんに突き付けて構えを取っていた。見ただけでも拳法で闘うってのが分かる状態だ。それをさらに分からせるのが身に纏った緑色のチャイナ服・・・・・・冷静に考えると、僕の好みど真ん中な服装だあれ。あれを誰かが着てくれたら・・・・・・!!

 

 

「よ、吉井君っ。またエ、エ、エッチな顔をしてますよ!」

 

「うそっ!?あいて!?」

 

「アキ!いったいどこを見てそうなったのよ!」

 

 

一応表情を隠したつもりだったんだけど…僕ってそんなに顔に出るのかな?

 

 

「なにやってんだぜ吉井・・・」

 

「……女子の前では自重するべき」

 

「人のパンツを普通に撮ったりしてるムッツリーニに言われても全然納得いかないよ!」

 

「……そんなことはしていない・・・(ブンブン!)」

 

 僕に拳を下した美波たちが少し離れた場所に移動したのと同じタイミングで、魔理沙とムッツリーニが呆れた顔で僕に話しかけてきた。このムッツリには〝自重〟と言う言葉を言っていい権利は認められまい。

 

 

「メ、美鈴さんの召喚獣がチャイナ服だったから、ついぐっときたんだよ。魔理沙とムッツリーニも分かるでしょ!?」

 

 脚を丸出しにした非常にセクシーなチャイナ服。この素晴らしさはデフォルメされた召喚獣でも衰えていない。ムッツリなムッツリーニと恋に生きる魔理沙になら共感してもらえるよね?  (× 恋とチャイナはほとんど関係がありません)

 

 

「いや、しねえよ。そもそも人間が着てないしな」

 

「……明久、現実と偽物の区別はつけるべきだ」

 

「犯罪すれすれのことをしてるムッツリーニにすっごいまっとうな事を言われた!?」

 

「……犯罪ではない。たまたまその場に居合わせただけだ…!」

 

 そんなスケベな幸運をささげる神なんか滅びてしまえ!お腹をすかせる僕に恵みをやるとかもっと大事なことがあるよね!?

 

 

「……まあ、――スが着てたら・・・いや、あいつには洋服の方が―」

 

「へ?何魔理沙?」

 

「あ、いや!?ほ、ほら試合を見ようぜ!もう始まるしな!」」

 

「あ、うん、そうだね」

 

 

 クラス分けの大事な勝負だもんね。しっかり見ておかなきゃいけないや。

魔理沙の言葉にうなずいて、僕はそこで話を区切って壇上の2人を見た。

 

 

「……」

 

「……」

 

 2人とも召喚獣を構えさせている。けど、その視線は別々の方に向いていた。

美鈴さんは木下さんを、その木下さんは美鈴さんの隣、つまり、召喚獣の点数を凝視していた。

 

 そのまま、ポツリと一言。

 

 

 

 

「・・・あ、あなた、本当にFクラスなの?」

 

「はい。色々ありましたが、Fクラスです」

 

 

 美鈴さんは不敵に笑いながら、そう答えた。

 

 

 

『Fクラス 紅 美鈴 国語 380点』

 

 

『ええっ!?』

 

 

 き、木下さんの点数を超えちゃってる!?す、凄すぎるよ美鈴さん! 前の時よりも高くなってない!?

 

 

「すごい点数じゃない!?美鈴ってそんなに賢かったの!?」

 

「あ、姉上より上じゃとは・・・!」

 

「さすがはアタイの子分!褒めてやるのよさ!」

 

「チ、チルノちゃんも美鈴さんを見習って頑張りましょう!きっと出来ますよ!」

 

「みずきっ!なんだかアタイがバカって言ってない!?」

 

「い、いえ言ってません!」

 

 

 姫路さんがそうやってチルノを励ますけど、僕が保証しよう。ぜったい無理だね!僕だって無理だもの!

 

 

「・・・でも良く考えたら、あんなに点数が取れるのなら、クラス分け試験も絶対良いよね?」

 

「・・・・・・確かに」

 

 

 難しくて問題が解かなかったって言ってたけど、そんなことも無い気がするけどなあ?

 

 

「ぐ…で、でも負けるのが私とは決まってないわよ!覚悟しなさい!」

 

「無論私も負ける気はありませんよ!覚悟!」

 

 

 2人の召喚獣はその言葉を火ぶたに動き出した。

 

木下さんの召喚獣が武器のランスで突き、払い、そして殴りかけるなどして攻撃し、美鈴さんの召喚獣はそれらをかわし、時には手でふせいでから殴り、蹴り出す。どっちも負けてない攻防だ。

 

 

「せえいっ!」

 

「やあっ!」

 

 

 そのまま2人の召喚獣はヒートアップ。どんどんと槍と拳を交わしていく。

 

 うわあ~・・・召喚獣の扱いの上手さは僕だけの専売特許だと思ってたのに、この二人も負けてないなぁ・・・僕の半年の修行 (注:お手伝いです) が彼女たちの一週間ちょいで追い越されるなんて、悲しいなあ・・・

 

 

「おい明久、俺たちには決して悪くない状況なのに、なぜ泣きそうな顔になってるんだ?」

 

「とっても凄いから僕は悲しいのさ、雄二」

 

「あん?」

 

 悪友である雄二には分からないだろうね。この僕の苦しみは・・・

 

 

「ところで雄二、君は気にならないの?あんなに美鈴さんって凄かったっけ?」

 

「ああ。確かに十分な点数だな。なんでもAクラス戦に向けて頑張ったそうだ。さっき聞いた」

 

「へ~、偉いなあ」

 

「他人事みたいに言ってるが、お前はしっかりやったんだろうな?」

 

「やだなあ。しっかりしたよ?」

 

 

 一日三十分も教科書を見たよ。これは褒められてもおかしくないんじゃないかな?

 

 

「・・・まあ、お前に進んで勉強をやるとは思えんがな。」

 

「じゃあ聞くなよっ!というかちゃんとしたよ失礼な!」

 

「あら、それは絶対嘘よね?」

 

「「うおおっ!?」」

 

 

 突然の声にびっくりしながら振り返ると、きれいな銀色の髪と薄緑色の目が特徴の十六夜さんが立っていた。な、なんでここに十六夜さんが!?

 

 

「ど、どうしたんだ十六夜。ここは一応Fクラスの陣地だぞ?」

 

「ちょっと姫路さんと会話をね。ね、姫路さん?」

 

「あ、は、はい。」

 

 なるほど、隣後ろには姫路さんがいる。本当に十六夜さんは自由に動くなあ。そこも美鈴さんをまねたのかな?

 

 

「ところで坂本君。今は美鈴が出ているけど、最初は秀吉君に出てもらう予定だったのよね?」

 

「ああ。この試合に出たいと言われたんでな。最初は困ってたが・・・この調子だと問題なさそうだ」

 

 雄二はちらりと勝負を繰り広げている壇上を見る。ちょうど美鈴さんの召喚獣が木下さんの召喚獣の胴を捉えた瞬間だった。

 

 

「あっ!」

 

「すきありいっ!」

 

 

『Aクラス 木下 優子 国語  136点

      VS 

 Fクラス 紅 美鈴  国語  194点 』

          

 

 

 美鈴さんも点数が減っているけれど、それ以上に木下さんの点数の減りの方が大きい。雄二の言う通り、これならいけそうだ。頑張れ美鈴さん!

 

「・・・確かに、ちょっと苦しいみたいね」

 

 

 十六夜さんは残念そうにはあと溜息をついて木下さんを見て、ぽそりと一言。

 

 

「――敵である私が勉強を見たって言ったら、木下さんに亡き者にされそうだわ」

 

 

「・・・え?ひょっとして美鈴さんの今の点数が前の時より良いのって、十六夜さんのおかげなの?」

 

「結果的に言えば、まあそうかもね。教えてって頼まれたからつい、ね」

 

「ほう、だったら十六夜には感謝しないといけないな。十六夜はそれで良かったのか?」

 

「Aクラスとしては大いによくないでしょうけど…・・・姉が頑張るって言ったんだもの。妹としては精一杯応援したいじゃない」 

 

 

 そう言って恥ずかしそうな笑いを浮かべる十六夜さん。う~ん、美鈴さんは愛されてるなあ。僕にも一かけらでもいいからその愛を分けてほしいなー。

 

 

「…何か、言葉に出来ないぐらいの気色悪さをあなたから感じたわ。ちょっと遠くに行ってくれないかしら?」

 

「君の頭には人権って言葉が無いの!?」

 

「お前に人権って言葉が適用されるのか?」

 

「されないわよね?」

 

「いつ僕が人類を止めたってのさ!じゃあ今の僕って何なの!?」

 

「バカだろ?」

 

「変態でしょ」

 

「侮辱の言葉が、いつの間にか新しい生命の学名みたいになっちゃってるよ…」

 

 なんだろう。この2人は僕を見たら何か悪口を言わないといけない病とかにかかってるのだろうか。先生、早く特効薬を作ってください。

 

 

「い、十六夜さんっ、坂本君。そんな言い方はダメですよ」

 

「ひ、姫路さん…!」

 

 彼女だけが心優しく僕を擁護してくれる。ああ、僕の心は凄く救われたよ!小学校からの付き合いだけれどやっぱり君は天使だね!

 

 

「あ、ごめんなさいね姫路さん。ついね」

 

「すまんな姫路。俺もついな」

 

つい、で人を罵倒するって人としてどうなのだろうか。この二人の未来が少し怖くなるよ。

 

 

「姫路さん、かばってくれてありがとう」

 

「あ、いえ。いま―でのことに―――ばこのくらい…」

 

 

 ん?声が小さくて聞き取れなかったな。

 

 

「ところで吉井君。さっきチルノちゃんから聞いたんですけど、あんまりバカバカって言っちゃダメですよ?元気なチルノちゃんも傷ついちゃうかもしれないんです」

 

「う、で、でもね姫路さん。チルノがバカなのはもう免れられない事実で―」

 

「あなたにバカなんて言われるなんて、彼女も気の毒ね」

 

「まったくだ」

 

「そうですよ」

 

「僕がバカなのは否定しないの姫路さん!?」

 

 長年の付き合いよりもバカなチルノとの友情のほうが勝ってしまったみたいだ。友情ってもろいものだなあ…

 

 

『せえええええいっ!』

 

『あっ!?』

 

「あ」

 

 

 その声は、僕を含めた4人からあがった。

 

 美鈴さんの召喚獣が木下さんの召喚獣の顔を捉え、吹き飛ばされた召喚獣はピクピクと動いているけど、起き上がる様子は無い。

 

 

 

『Aクラス 木下優子 国語 0点』

 

 

 点数を見ても、木下さんが負けたのは一目瞭然。僕たちFクラスは見事二連勝を達成した瞬間だった。

 

 

「どうやら、紅が勝ったみたいだな」

 

「・・・そうみたいね。悲しめばいいのやら、喜べばいいのやらや・・・」

 

 そう言ってはあ、と深く息をつく十六夜さん。確かに、顔にいろんな気持ちが浮かんでて凄いことになってる。ちょっと笑いが噴き出したのがばれたら極上の罵倒が襲い掛かってくるので、ここは目を合わせずに下の方にやっておこう。

 

 ・・・うん。これなら特筆することがない胸部があるだけで何も――

 

 

「・・・あなた、人の胸見て笑うなんて、消されたいの?消されたいのよね吉井明久・・・!!」

 

「最悪だな、明久」

 

「ひどいです、吉井君・・・」

 

「・・・え、え~とね」

 

 

 最初の笑顔が消せてなかったみたいだ。今度、ムッツリーニに感情を無くす訓練をつけてもらおう。

 

 ひとまずは、青筋を立てて接近してくる十六夜さんをなんとかしがふっ

 

 

 

 

 

 

「ふう。・・・私の勝ちですね、木下さん」

 

「ぐっ・・・」

 

 悔しそうな顔をするという事は、自分が負けたと認めている証拠。辛くも勝利した私は、木下さんに歩み寄って言います。

 

 

「では、しっかり約束は守ってくださいね」

 

「・・・わ、分かってるわっ!」

 

 

 う~ん。木下さんはやっぱり気が短いのかもしれません。ちょっぴりやけ気味に言い放ち、木下さんは私を睨みます。

 

 ・・・でも、それは一瞬のこと。

 

 

「あ、の…その。……ひ、酷いことを言ってごめんなさい。あの言葉は撤回するわ」

 

「はい。しっかりと耳にさせてもらいました」

 

 

 頭を下げてしっかりと謝罪、あの言葉の撤回をしてくれました。

 

 私が要求したのは、私が勝った時に木下さんに咲夜さん、そしてFクラスの皆さんをけなしたことについて言葉を撤回することと、言ったことに対しての謝罪をしてもらうことです。本当は咲夜さん達本人に言った方が良いとは思うのですが、そんなことをすれば木下さんに嫌な目を向けてしまうようになるかもしれません。なので、勝手ながら私が木下さんの謝罪を受け止め、今回の件は無かったことにしようと思っての提案でした。

 

 誰しも苦手な人や良く思わない人がいて当然。だから木下さんの考えも言わば当たり前のことだと思います。かく言う私もいますからね!根本君とか根本君とか根本君とかです!

 

 

「きちんと謝ってくれてありがとうございます!」

 

 

 約束とは言え、自分に非を認めるのは癪(しゃく)なこと。それを我慢して謝ってくれた木下さんにはお礼を言わなきゃいけませんよね!

 

 

「…へ、変な人ね、あなた。あなたが頭を下げる理由がないじゃない」

 

「それでもです。木下さん、ありがとうございますね」

 

「…ふ、ふんっ!もうこの話は終わりよ!あ~、もう負けちゃったわもう!」

 

「あ、あははすいません・・・」

 

 木下さんが顔を真っ赤にして声をあげ始めます。う~、でも勝負だから許してくださいよお。事情が無かったにせよ負けるわけにはいかなかったんですっ!

 

 

「で、でも次に何かあったら、絶対負けないわよ!覚悟してなさい!」

 

「は、はあ・・・」 

 

 どうも怒りが収まらないのか、やられ役みたいなことを早口で言ってから、木下さんは駆け足で壇上を下りて、自陣であるAクラスの皆さんのいる方へと入って行ってしまいました。

 

 

「ではFクラスの勝利で、2対0ですね。」

 

高橋先生のお言葉を持って、めでたく二連勝。ですけど、私の心はしょんぼりです。

ひ~~ん!私嫌われちゃいましたよ~~っ!! 

 

 

 

 

 

「負けてんじゃない」

 

「……あんたに言われると反吐が出るくらい腹が立つけど・・・負けたわ」

 

「ま、まあまあ。霊夢に優子、そんな仲間割れしちゃだめだよ」

 

「……負けた人を責めるのは良くない」

 

「そうよ霊夢。仲間なんだからもうちょっと穏便に・・・・・・・・・う、うん。負けた人が言うべきことじゃないわよね。今すぐ黙るから、その微妙な目はやめて?」

 

 自分の保身のためにアリスは言ったんじゃないんでしょうけどね。アリスは本当におせっかいで、優しいのだもの。だからこそ、私や霊夢なんかとも友達をやっていけるのでしょうね。

 

 

「博麗にだけは言いたくなかったけど、負けてしまってごめんなさい。それとアリス、酷いこと言って本当にごめん・・・」

 

「ちょっと、最初の一言は余計よ」

 

「いいのよ優子。気にしないでちょうだい」

 

 

 ほら、今も木下さんに優しくしてあげてるわ。私も何度お世話になったことやらや…

 

 

「・・・ありがとう。あーアリスは優しいわ~。どこかのバカリボンとは違うわねえ…」

 

「・・・おいこら、喧嘩売ってるなら高くつくわよ?」

 

 

 そして、霊夢の短気には何度世話を焼かされたのやらや・・・もう少し代表みたいに冷静になれたら、大和撫子って言っても違和感ないと思うのにね。

 

 

「・・・2人とも、そこまで。それより次の事が大事」

 

「・・・分かったわ」

 

「うん、代表」

 

 

 代表の言葉に霊夢がしぶしぶ引き下がって、木下さんも素直に口を止めた。

代表の言う通り、私たちは二敗とだいぶ余裕が無くなってきている。つまり、私たちが勝つにはあと一度しか負けを許されない。さっきまで話していた坂本君達には、まだ姫路さんもいるわけだし、ここからはより真剣に代表を決めなくては、ね。

 

 

「僕が行こうか?」

 

「あ、久保君」

 

 

 名乗りをあげたのは、学年でも五本の指に入る秀才、久保 利光(としみつ)君。確かに彼なら遅れをとることもないでしょうね。いいのではないかしら?

 

 でも、それを止める声が上がった。

 

 

「待って。私が行くわ」

 

「え?霊夢が行くの?」

 

 

 珍しいわね。面倒くさがりな霊夢が自分から動くなんて。

 

 

「ええ。やっぱり賢い奴は後に取っといた方がいいでしょ?」

 

「・・・まあ、確かにそうかもね」

 

「……霊夢がいいのなら、問題は無い」

 

「じゃ、決定ね。んじゃ行ってくるわ」

 

「頑張れ、霊夢!」

 

「しっかり、博麗さん」

 

「シッカリ負けて来なさい、博麗」

 

「木下、首洗って待ってなさい。後でしっかりしばいてやるわ」

 

 

 

 そんな事を言われながら、すたすたと歩いていく霊夢に気負った様子はまるでない。よほど自信があるのか、何も考えてないだけか・・・霊夢だとそっちの可能性が高いから困るわ・・・

 

 

「・・・ま、なんとかなるかしら」

 

 

 なんだかんだで霊夢ったら賢いものね。相手がよほどじゃない限り勝てるでしょう。

 

 

「……ねえ、十六夜」

 

 

 すると突然、木下さんが私に話しかけてきた。ご立腹の時以外に話すのは、ひょっとして初めてじゃないかしら?

 

 

「何かしら、木下さん」

 

「…悪かったわね」

 

「は?」

 

 

 前触れもなくいきなり謝られたのだけど・・・…一体何に対しての謝罪?別に何もされてないと思うのだけど・・・…

 

 

「木下さん、一体何の謝罪なのかしら?」

 

「…知らなくていいわ」

 

 

 謝っておいてその返しはどうなのだろう。これで、謝罪を素直に受け止めていいものなのか・・・…

 

・・・まあ、いいのかしらね?受け取っておくとしましょう。

 

「分かったわ。」

 

「ん・・・あ~あ。にしても紅美鈴があんなに点数が高いとは思わなかったわ。おかげで負けちゃったわよ」

 

「そうね。でもそこまで気にしないでいいんじゃないかしら?まだ勝負は五回あるのだからね」

 

 

 そのうち四回を取ればいいのだからまだまだ勝負は分からない。木下さんが気をもむ必要もないので、私は当たり障りのない言葉をかけてみる。決して、私が裏で美鈴に勉強を教えていたのを隠すためではないわよ?

 

 

「…違うわよ十六夜」

 

「?何が?」

 

 

 この勝負は七人勝負で決定事項よね?何も間違っていないと思うけど・・・…

 

 

「私の敗北は・・・…博麗のバカが勝った時よ」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 もう、この二人はクラスを分けた方がいいんじゃないかしら・・・?

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございました!

 やっぱり、戦闘をざっくりしすぎて期待に応えられなかったでしょうか…!!

 応えられてたら幸せ!ダメだった方には再度謝らせてください!本当にすいませんでしたーっ!!

 
 さて、次回も勝負になるのですが、今回みたいに進む可能性がだいぶあります!なので、過度な期待はせずにお待ちいただければ…!!

 それではまたっ!・・・戦闘描写について学ぶのを、本気で検討するべきか・・・!?
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