皆さまはゴールデンウィークをどう過ごされたでしょうか?有意義な時間を過ごされていたら嬉しいですね!
さて、前回も言いましたが、今回で春の召喚戦争編は終了です!またも少し長めになりましたが、少しでも楽しんでいただけたら!
――ごゆっくりお読みください
「吉井君、いよいよですね…!」
「そうだね。いよいよだね」
「アタイが最強になるのもあと少しね!」
「で、でも大丈夫なのかしら・・・?」
「なあに、あのリアクションはきっとやってくれるぜ!」
「……期待はしていいはず」
「そ、それもそうよね!」
いよいよ最終戦。クラスの代表である雄二と霧島さんが、スクリーンの向こうで百点満点の小学生レベルの日本史筆記試験を解き始めた。他の皆も固唾を呑んでその行く先を見つめる。ここで勝てば、僕たちの手にAクラスの設備が・・・!
「でも、問題はその問題が出るかどうかだな」
「……確かに」
魔理沙の言う通り、『大化の改新が起こった年代を答えよ』と言う問題が出なければ、雄二の作戦は失敗に終わり、僕たちは負けてしまう。どうか、その問題が出ていますように――――!!
その時、問題が大きなディスプレイに表示されたので、僕たちは必死に鍵となる問題を探す。どうか・・・!!
《 次の()に正しい年号を記入しなさい 》
( )年 平城京に遷都
( )年 平安京に遷都
( )年 鎌倉幕府設立
( )年 大化の改新
「あ……!」
「おおっ!?で、出てやがるぜ!」
こ、これはついに・・・!
「吉井君!」
「ア、アキっ!」
「うん!これで、僕らのちゃぶ台が!」
『システムデスクに!』
「アタイったら最強ねっ!」
「しゃあああっ!私らの天下だぜええ!」
『うぉぉぉっ!!』
僕たちFクラスは歓喜の声をあげる。とうとう、僕たちは最上位にいるクラスに勝てたんだっ!やったあああああ!!
「・・・あ、あれ?美鈴さんと木下君はどこでしょう?」
「あれ?そういえば・・・」
鍵となる問題があったので僕たちが大騒ぎをし、それをAクラスが何事かと視線を注いでいるのを感じながらも気にせずワイワイとしているときに、そう姫路さんが言って僕も気付いた。そういえばさっきからあの2人を見てないけど、どこにいったんだろう?
教室の中をぐるっと見ても…
「それでですね。レミィが私に抱き着いてきて、『遅い!メーリンのバカァッ!』って言うんですよ~。全く、レミィは私を萌え殺す気ですかって話です!(もぐもぐ)」
「ほ~。じゃが、まだ小学生じゃから仕方あるまいて(ポリポリ)」
「それが、レミィって学校ではとっても大人びてるそうなのよ。噂では『小さな貴婦人』って呼ばれてるって。立派でしょう?(カリカリ)」
「なんと。内弁慶という言葉があるが、それの逆かのう?(ごくん)」
「ちょっと違う気もしますがね。まあともかく、皆から頼りにされてるみたいですよ~(ごくごく)」
「ほお。紅と十六夜みたいじゃな(くぴくぴ)」
「あら。おだてられて隙を作るほど、私は甘くないわよ?(こくっこくっ)」
「いや、別にそんなつもりはないのじゃが・・・(かりかり)」
・・・・・・なにやら、お茶会みたいなことをしている二人と十六夜さんがいた。
どこかから借りたのか、三つのリクライニングシートに座ってお菓子や紅茶を飲む美少女三人(※1名は男子です)の姿は非常に絵になっている。気付いたムッツリーニがすぐに写真を撮り始めるぐらいだ。
なんか、あの三人が勝負の事を忘れてるように思える僕はおかしくないよね?一応言っておこっかな。
「秀吉、美鈴さん!やったよ!あの問題が出てたよ!」
「あら、そうでしたか」
「ふむ。そうじゃったか」
「……(パキポキ)」
・・・あれ、なんか反応が薄くない?もうちょっとこう、嬉しさを前に出してほしいんだけど。
あと十六夜さんはその冷たい目をやめてちょうだい。お茶会を邪魔する気は無かったんです。
「おい美鈴に木下!やったぜやったぜこんにゃろー!わたし等の勝利だぜっ!あと咲夜はご愁傷様だ!」
「や、やりました美鈴さんに秀吉君!・・・あ、さ、咲夜さんごめんなさい!」
「大丈夫よ瑞希。魔理沙は後で覚えてなさい」
「差別だぜっ!?」
僕に続いて姫路さんや魔理沙も興奮気味に三人に話しかける。なのに三人、特に秀吉と美鈴さんは苦笑いをうかべてしまっている。なんで??
「・・・あ、あの。どうしました2人とも?」
「・・・・その、なんじゃ」
「…あ~。三人とも」
「ん?」
「はい?」
「どうしたの?」
「・・・・(ピッ)」
『?』
スッ、と美鈴さんは僕たちの後ろを指さす。僕たちがいるのは教室の前から二番目の窓際の席。正面から三人に話しかけてたから、たぶん、美鈴さんの指さすのは大きなスクリーン。そろそろ先生が採点を終了したところだから、ひょっとして点数が表示されてるのかな?
じゃあ、雄二の勝ちに言葉が出ないって感じだね?確かに学年主席の人に勝てるなんて信じられないもん。でも安心して!これは現実なんだよ!僕たちが掴み取った栄光の証なんだ!これは・・・・・・・文月学園の歴史に名を残す快挙になるに違いないっ!!
よくやったよ!ゆ―――
《 日本史勝負 限定テスト 100点満点 》
《Aクラス 霧島翔子 97点》
VS
《Fクラス 坂本雄二 53点》
「――――――雄二ぃぃぃっ!!?」
「はぁぁぁあああああっっ!!?」
「坂本くぅぅぅぅぅん!!?」
「ちょ、せめて七割はとりなさああああい!!」
どうやら僕は夢を見ていたようだ。ああ、早くこの悪夢から目が覚めてほしい・・・
『何じゃこりゃぁぁあ!?』
「うっさ。喜んだり悲鳴をあげたりと、Fクラスの奴は変わってるわねー」
「何か誤算があったんじゃないかしら?」
「僕もそう思うな。問題を見てから喜んだりしてたから、そこら辺じゃないかな?」
「よ、よかった。代表が勝って…!」
「でも、魔理沙たちには気の毒ね・・・」
「仕方ないでしょ。仕掛けてきたのはあっち、それもいろんな条件を汲んでの上よ?文句を言われる理由が無いわ」
「そ、そうだけど・・・」
「アリスは優しすぎるのよ。もっと適当になるべきだわ」
「博麗。真面目なアリスをあんたみたいに堕落させるんじゃないわよ」
「ちょっと、私がいつ不真面目になったっていうのよ?」
「むしろ、いつから真面目だと思っていたかのほうが気になって仕方ないわ」
「……床に沈められたいの?」
「あんたに苦汁を呑ませたいとは思っているわ」
「ちょっと!だからあなた達はもう少し仲よくしなさいっ!クラスメイトでしょ!?」
「「無理よ」」
「・・・・・・・・・・・ハ~…」
「ア、アリス元気出して!アリスの言ったことは絶対無駄じゃないから、頭を抱えないで!?」
「・・・・・・どうして勝ったのにもめたり頭をかかえたりしてるのよ、あなた達」
「四対三でAクラスの勝利です」
はい。締めの言葉ありがとうございます高橋先生。全く間違いがありませんとも。あはは・・・・・・笑えませんねえ~。
最後の勝負を行われた視聴覚室。私たちFクラスメンバーは一気になだれ込みました。そこには膝をつく坂本君がいて、霧島さんが歩み寄っています。
「・・・・・・雄二、私の勝ち」
「・・・殺せ」
「良い覚悟だ、殺してやる!歯を食い縛れ!」
「待つのよさよしー!アタイもこのバカには一発かまさないと気が済まないわっ!」
「全くだ!この拳を赤く染めるまで私は納得いかないぜっ!」
「吉井君、落ち着いてください!」
「落ち着けチルノ!その手にある石を離すんだ!」
「やめなさい魔理沙!」
殺気立って霧島さんみたいに詰め寄る三人を、姫路さん、田中君、島田さんが必死に止めます。が、吉井君達の気持ちもよく分かります。どっちかが間違っているというわけではないです。強いて言うなら、そこにひざまつく坂本君が悪いでしょうね!
「美波!今の私は誰にも止められないぜ!だから離せっ!」
「離さないっての!まずは坂本の話を聞きなさい!」
「そうだ!雄二!53点ってなんだよ!0点なら名前の書き忘れとかも考えられるのに、この点数だと――」
「いかにも俺の全力だ」
「「この阿呆がぁーっ!」」
「魔理沙!アキ、落ち着きなさい!あんたらだったら30点も取れないでしょうが!」
「聞き捨てならないぜ美波!私はそこまでアホじゃない!」
「それについては否定しない!」
「まじかよお前っ!?」
「ア、アタイはもっと取れるわ!う、ウソじゃないわよ!?」
「分かった!別に疑わないからひとまずその手の石は勘弁してくれ!」
チルノ、田中君に抑えられながら2人から離脱しました。あと2人です。
「吉井君!それなら坂本君を責めちゃダメですっ!」
「くっ!なぜ止めるんだ姫路さん!このバカには喉笛を引き裂くという体罰が必要なのに!」
「それって体罰じゃなくて処刑です!」
「良いぞ吉井!私が全力でフォローを」
「魔理沙ちゃん!アリスさんに言いつけますよっ!?」
「全力でお前を妨害するぜ!」
「ま、魔理沙の裏切者っ!」
アリス効果は絶大のようです。これで坂本君に喰い付こうとするのは吉井君1人だけです。が、状況が無理とわかったようで渋々ながら引き下がりました。
「全く、あれだけ見栄を切ったんですから、いけるんじゃないかな~ってちょっとは思ってたんですよ?」
「全くじゃ。紅から予想で聞いていたとはいえ・・・失望してしまうのじゃ」
「いっそひと思いに殺してくれ!」
吉井君達に変わって、私と秀吉君が坂本君にアタックします。ただしこっちの狙いがメンタル。つめた~い目線はぼこぼこにするよりやはり効果的だったみたいで、坂本君は土下座をしかねない勢いです。
「・・・・・・でも、危なかった。雄二が所詮小学生の問題だと油断してなければ負けてた」
「ですよね~。復習してたらもっと点がとれてるはずですもの。ね~坂本君?」
「・・・すんませんでした」
全く、せめて前日にでも作戦を言ってくれてたら復習するよう言えたんですけど、今日知ってからでは何もできませんよ!ここに来て、坂本君が致命的なミスをしちゃいましたね!
「・・・あの時、紅がした質問の理由がなんとなくわかった」
「あ、おかげで負けるかもしれないって考えが付きましたんで、ショックがだいぶ少なくなりましたよ。すいませんね霧島さん」
もしもその時に聞いてなくて、坂本君が勝利すると疑っていなかったら・・・・・・吉井君達と同じことをしてたかもしれませんね!セーフ!
「おいおい、美鈴。どういうことだよ?というか、霧島と仲が良かったのか?」
おっと。むくれっ面の魔理沙が矛先を私に変えてきました。
「ええ。さっき宣戦した時にね。その時に色々と話してたんですよ」
「ああ、じゃから1人Aクラスに残ったのじゃな?」
「はい」
「んで、霧島が言ってる質問ってのは?」
「坂本君のことですよ」
「俺のことだと?」
「は、はいそうです」
何だそれと顔をあげて私を見てくる坂本君。こ、これは理由あってのことなんです!だからそんなに睨まないでくださいよ~!
『え~とですね。坂本君の学力について聞きたいんですよ』
『・・・・・・雄二の学力?』
『はい。何でも、霧島さんは坂本君と幼なじみだとか』
『…・・・うん。ずっと一緒だった』
『そうですか。で、坂本君はそこら辺どうでしたか?』
『・・・・・・昔はとっても頭が良かった。でも、そのせいで周りから妬まれたりもしてた』
『・・・そうですか。すいません、嫌な事を聞いちゃって』
『・・・・・・大丈夫』
『で・・・恐縮なんですが、その言い方だと、〝昔は〟良かったみたいなんですが、じゃあ今と中学生のころはどうでしたか?』
『・・・・・・中学生のころ、雄二はあんまり素行は良くなかった。勉強のほうでも同じ』
『…つまり、今はそれほどよくないと?』
『・・・・・・うん』
『・・・・・・は~、そうでしたか。霧島さん、話してくれてありがとうございます』
『・・・・・・もういいの?』
『はい。・・・あんまり期待しない方がいいかもって方向で考えがまとまりましたよ』
『・・・・・・??』
「――ってな感じの事を話してたんですよ」
「待った!そのことをどうして僕たちに言ってくれなかったのさ!?」
吉井君の言葉に皆が私に視線を向けます。え~、どうしてって言われましても…
「言ったところで何も変わんなかったでしょう?というか、私をチキン扱いして耳にも入れなかったと思いますけど」
「・・・・・」
無言になるあたり否定が出来ないのでしょう。ちなみにその原因となった〝私がニワトリさん〟宣言をしたのも坂本君です。
「ともかく、私たちは負けちゃったんですから、そこは折り合いを付けないといけません。ねえ霧島さん?」
「・・・うん。雄二、約束」
あ、そういえばそう条件を付けてましたっけ。
「・・・・・・!(カチャカチャ)」
土屋君。そんなに必死にカメラを調整して何を写す気ですか!彼らは霧島さんが魔理沙と同じ百合だと思ってるそうですが、そんなピンク色のことにはなりませんよ!
「ム、ムッツリーニ!僕に手伝えることはある!?」
「・・・・・・そこのケーブルをコンセントに繋げ…!」
「了解っ!」
「お、お主ら!紅達がどうなってもよいのか!この謀反者!」
そして吉井君と秀吉君も乗っちゃってますし!秀吉君は反対しようとしてまだいいんですけど!
「分かっている。何でも言え」
代表としての意地か、坂本君はすんなりと返事をしました。霧島さんもそれに頷きます。何を言うつもりでしょう?
「・・・・・・それじゃ―――」
すうっと息を吸って、どこか緊張した様子で霧島さんは、
「・・・・・・雄二、私と付き合って」
そう言いました。
『はい?』
・・・え、お、おお?おおおお?こ、これは・・・・告白と言う奴ですかっ!?よもやこんな展開になるとは思っていなかったのですよ!
「やっぱりな。お前、まだ諦めてなかったのか」
「・・・・・・私は諦めない。ずっと、雄二のことが好き」
「その話は何度も断っただろ?他の男と付き合う気はないのか?」
「・・・・・・私には雄二しかいない。他の人なんて、興味ない」
ふおおおお!?な、なんて一途な!「おおおおおお・・・!!」って魔理沙が目を輝かせてますよ!恋に目のない魔理沙らしいです!
「拒否権は?」
「・・・・・・ない。約束だから。今からデートに行く」
「ぐあっ!放せ!やっぱこの約束はなかったことに――」
ぐいっ つかつかつか
有言実行がモットーか、霧島さんは坂本君の首元を掴んで教室を出て行きました。上手くいくことをここから願ってますよー!
『・・・・・・・・・』
「・・・これから、あの2人が激熱のターゲットだぜ」
「かもしれませんねえ」
ほとんどの人が声を失っている中、私と少し興奮気味の魔理沙だけがそんなことを口にしました。いや~咲夜さんに聞いていましたけど、あそこまで一途だとは思いませんでした!魔理沙の恋に続く衝撃を受けましたよ!
「さて、Fクラスの皆。お遊びの時間は終わりだ」
ん?この声は――
「あれ?西村先生じゃないですか?」
「どうしたんだぜ先生?」
鉄拳が武器の生活指導の教師、西村先生が扉の前に悠然と立っていました。
「ああ。今から我がFクラスに補習についての説明をしようと思ってな」
へ?我がFクラス?
「おめでとう。お前らは戦争に負けたおかげで、福原先生から俺に担当が変わるそうだ。これから一年、死に物狂いで勉強できるぞ」
『なにぃ!?』
「ウソォォォ!!?」
男子達が悲鳴をあげますが、それ以上に大きな声を出したのがチルノでした。チルノは地獄を見たように西村先生を見ます。
「いいか。確かにお前らはよくやった。Fクラスがここまで来るとは正直思わなかった。でもな、いくら『学力が全てではない』と言っても、人生を渡っていく上では強力な武器の一つなんだ。全てではないからといって、ないがしろにしていいものではない」
おお、すっごい教育者らしい言葉です西村先生!言葉よりまず拳!っていうイメージが消え去りましたよ!
「ま、待つのよさこのチンパンジー!そんなのアタイが嫌よ!アタイの目が白いうちは絶対に認めないからねっ!」
「お前の目は常時白目なのか……それを言うなら〝黒いうち〟だ」
溜息をつく西村先生ですが、すぐににやりと笑ってチルノを見ます。
「喜べチルノ。貴様のその好ましくない言動と態度を、この一年かけて俺がみっちりと直してやろう」
「そ、そんなのお断りよ!イーーーーーッッだ!」
「はっはっは。お前に拒否権はないぞ?残念だったな」
そんな西村先生の宣言にもチルノは怯まず、口に指をつっこんで右に引っ張って反抗の意思を見せました。そんなほほえましいチルノの行動に、思わずきゅんと来たのは私だけじゃないはず。西村先生もどこかおかしそうに笑ってますもの!
「そして、吉井と坂本。お前らも念入りに監視してやる。なにせ、開校以来初の《観察処分者》と《A級戦犯》だからな」
「ええっ!?」
チルノに続いて吉井君と坂本君にも飛び火しました。監察処分者が良く思われていないのがよ~くわかる発言です。
「て、鉄人先生!そんなことはチルノだけにしてください!僕はこれほど真面目で優秀なのに、どうしてそんなことを言うんですか!?」
「どの口がその虚言を言ってるんだ。あと鉄人と呼ぶな。西村先生と呼べ」
「そ、それは今はどうでもいいんです!」
吉井君。あなたが言う事ではありませんそれ。
「とにかく先生!例えどんなに監視されても、僕は何とか監視の目をかいくぐって、今まで通りの楽しい学園生活を過ごしてみせます!」
「どうしてそこで反省をしないんですか・・・」
「全くもってその通りだ…」
反抗期か何かですか。吉井君はそんなに物わかりが悪い人ではないと思うんですけども…
「とりあえず、明日から授業とは別に補習の時間を二時間設けてやろう」
「うげ。そ、それはなかなか・・・」
咲夜さんに勉強を教わって賢くなったのはなりましたけど、勉強を好きになったわけではないのでこれはハードです。なるほど、そこら辺りは吉井君達と共感できるかもです。
「に、二時間!?この悪魔めっ!絶対に僕は負けないからな!」
何かに意気込む吉井君。すると、そこにススッと近寄る一人の影…というか女の子。島田さんです。
「んじゃ、アキ。補習は明日からみたいだし・・・ど、どっか遊びに行かない?」
「へ?今から?」
「そっ、そうよ?ダメ?」
「おい美波、デートとはやるじゃ―」
「ま魔理沙は黙りましょーねー!?」
「ぐはぁっ!?」
「魔理沙ぁっ!?」
み、見事なストレートォ!?魔理沙が腹をかかえてうずくまってしまうほどです!顔を赤くした島田さんに、容赦というものはない!?
「ほ、ほらアキ!どうせ暇なんでしょうし、早く行くわよ!時間がもったいないわ!」
「ぼ、僕だってやることとか色々あるよ!?そ、それに今お金がほとんどないし―」
「だ、ダメです!吉井君は私と映画を観に行くんです!」
「ええっ!?姫路さんも!?っていうかそんな約束したっけ!?」
おおっと!さらなる乱入者が!?姫路さんも加わったことで吉井君は大慌てです!これが世に言う『修羅場』でしょうか!?
「せ、先生!明日からと言わず、補習は今日からやりましょう!」
ちょっと!修羅場で真っ先に逃げるのが男って聞きましたけど、まじにやらないでくださいよ吉井君っ!
「ん?なぜだ?」
「お。お金が無いから…じゃなくて、理由なんていらないと思います!ほら、思い立ったが仏滅です!」
「『吉日』だ。・・・うーん、お前にやる気が出たのは嬉しいが―――」
にやりと悪い笑顔な西村先生が首を振ります。どうやら吉井君の今の現状を見て楽しんでいるみたいです。
「無理することは無い。今日だけは存分に遊ぶといい」
「お、おのれ鉄人!僕が苦境にいると知った上での狼藉だな!こうなったら卒業式には伝説の木の下で釘バットを持って貴様を待つ!」
「斬新な告白だな、オイ」
「結果はフラレルこと間違いなしでしょうね」
吉井君がボロボロになって大の字に倒れているのを仁王立ちした西村先生が見下ろしている光景がすぐにうかびあがりますよ。
ま、それはともかく。
「吉井君。せっかくなんですし行ってきてはどうです?言うなれば両手に華じゃないですか」
「そ、そうだけど美鈴さん!今僕がお金を出したら僕は次まで水で過ごさないと――」
「へ?」
「ほら!美鈴もそう言ってるんだから、行くわよアキ!」
「い、行きましょう吉井君っ!」
「ま、待って僕の栄養がぁぁぁぁあーーっ!」
「あ、あらま、行っちゃった…」
・・・あ~、そういえば、吉井君って手持ちがびっくりするくらい少なかったんでしたっけ。これはちょっと、悪いことをしたかも・・・
「う~痛て…美波の奴、ちょっと言っただけなのによー」
「まあ、あれはあなたが悪いと思いますけどね。大丈夫なんですか?」
「おう。あれほどの愛を見た私に、この程度の痛みは屁の河童だぜ」
「感情の影響がそこまでいくとすごいですね」
魔理沙の言う通り、すっごい興奮してますもんねあなた。さすが恋に生きる少女です。
「さて、どうするよ?このままここに居ても仕方ないよな」
「ええ。じゃあ、解散しましょうか?」
「そーよ!アタイ、このゴリラ先生が苦手だもん!」
「誰がゴリラだ」
「あいだっ!」
チルノ、ここで離れてもこれからは教室でいつもあうんですよ。だからその言い方はやめましょうね?
「そうするか。全く残念な結果だぜ~」
残念がってるのは本当でしょうけど、最初よりはずっと落ち着いてます。この立ち直りの良さが魔理沙の特徴と言えるでしょう。
「では、皆さん!ここにいても仕方ないですし、教室に戻って、今日は解散としましょう!」
私は沈んでる皆に声をあげました。
『は~』
『まじか~・・・』
『もっと設備が悪くなんのか・・・』
『ありえねー・・・』
当然意気消沈しながら、とぼとぼと視聴覚室から消えていきます。ここは我慢してください。そのうっぷんはまた明日にでも坂本君にぶつけてやりましょう!
で、そのまま皆が出て行くのに一分。残ったのは私達主要メンバーに西村先生と高橋先生です。
「では、明日からよろしくお願いします。西村先生」
「お前も要注意人物だからな、紅。授業中寝るんじゃないぞ」
「そ、そんな!私は授業中ちょっとしか眠りませんよ!」
「寝てる時点で同じだバカ者」
「んじゃ西村先生。手柔らかに頼むぜ」
「甘くはせんぞ。覚悟しておくんだな」
「残念だぜそりゃ。なあ木下?」
「え?あ、あ~そう、じゃな」
「へんっ!先生の授業なんかアタイには楽勝なのよさ!」
「ほほう。ならば、もっと手ごたえのある授業にせねばいかんな」
「バ、バカ野郎チルノ!」
「…・・・なんという残酷なことを・・・!」
「誰がバカよ魔理沙!?バカって言った奴がバカなのよ!」
「いやそう意味じゃなくてじゃなチルノ…!と、とにかくお主は黙るのじゃ!」
「んむむ~!?」
「・・・で、では、これ以上いますともっとトラブルが発生しそうなので失礼しますね!」
「ああ。気を付けて帰るように」
「了解です!ほら行きますよ皆さんっ!チルノも暴れない!」
「む~むむむうむーっ!!」
「やかましい静かにしやがれだぜ!んじゃ失礼しました~!」
「ぬわあああっ!?お、お主わしの手の平をなめるでないいいい!!」
「…・・・三人分まとめて、失礼する」
「むむむむむううう~!!」
「痛い痛い!コ、コラチルノ!私の髪を引っ張るなぁあああ!!」
―――――てな感じで私達五人は視聴覚室を後にしました。うわ~、もうなんか凄い寝ぐせみたいになりましたよここ・・・
「お疲れさまでした、西村先生」
「ああ、高橋先生。ありがとうございます・・・・全く、吉井達もそうですが、あの五人も非常に個性溢れたものです」
「確かに、本当に個性溢れる人たちです。特にあの小さな女の子・・・チルノさんは、凄い元気の良さでしたね?」
「ええ。私もあれほど活発的で、はねっかえりな女子は数えるほどしかみたことがありませんよ・・・・非常に前向きな所も含めてね。チルノも吉井に引かない問題児です」
「ですが、西村先生としてはそういう生徒の方が好きなのでは?」
「犯罪者になってしまいますから、その言い方はやめていただきたい・・・」
「ふふっ。分かっていますよ。すいませんでした」
「やれやれ・・・」
「私も昔そういう親友がいました。自分の道を突き進んで、何を言われても変えようとしない強烈な友人が。当時は大変でしたが、今となってはいい思い出です」
「そうですか・・・・ですが青春とはそのような物でしょう。いろいろ経験して今があるのですからね」
「ええ。・・・・しかし、紅美鈴さんはどうなんです?彼女は非常に礼儀正しそうですが・・・」
「ああ。確かにそうなんですが、奴はクラス分け試験の最中に眠って過ごすという前例のないことをしてしまったり・・・と、この話は以前しましたかね?」
「いえ、初耳ですね。それはまた・・・」
「私も驚きました。せっかく妹に勉強を教わったそうなのですが・・・」
「妹、ですか?」
「ええ。あなたのクラスにいる十六夜咲夜のことですよ」
「・・・・・・(どしゃどしゃ)」
「・・・・高橋先生?書類が落ちましたが」
「・・・はっ。そ、そっ。それは本当なのですか?」
「?ええ。何かありましたか?」
「・・・・なんというものか・・・タイミングと言うのは、面白いものですね」
「?はあ」
「この前初めて知った、個人的なことなんですが…実は私、十六夜咲夜さんの母親の事を知りまして」
「そうでしたか。お知り合いで?」
「・・・知り合いです。それも・・・・さっき言った人です」
「さっきというと・・・・・・まさか?」
「はい。・・・・・私の高校、大学時代で、一番といっても過言ではない程、『自分』を貫き通した悪友です。大学を出て以来あわなかったのですが・・・言われれば、彼女と奔放なところが似てるかもしれませんね。紅さんは」
「ふ~疲れましたねー」
「全くだぜー。早く風呂に入りてー」
「魔理沙がそんなに疲れてるのは久しぶりに見るわ。今日は嫌な事は忘れて、ゆっくり休むのよ?」
「・・・は~、アリスに言われると、何かもっと荷が重くなるぜ・・・」
「え、ど、どうして?私、何か間違ったかしら?」
「これだもんな~。この亀アリスめ」
「し、失礼ね!?そこまで重くないわよっ!」
「いや、そっちじゃないでしょ。でも、亀っていうのも納得ね」
「確かに亀ね」
「霊夢に咲夜もひどいわねっ!?ど、どこが亀っていうのよ!」
「「「 鈍いところが (だぜ)(じゃない?)(かしら?) 」」」
「・・・・・・メ、美鈴~!」
「お、おーよしよし。アリスは可愛い女の子ですから大丈夫ですよー」
「うう、私の味方はあなただけよ美鈴・・・!」
み、皆は決して悪口を言ってるわけじゃないんですよアリス。だからそういじけないでくださいな。魔理沙の視線が痛いですっ!
「は~、せっかくのチャンスが潰れちまったぜ・・・。美鈴!今日は一緒に愚痴飯でも食おうぜ!」
「ん?愚痴飯ですか?」
そんな魔理沙からの提案『愚痴飯』とは、嫌なことがあったりした時に、誰かと一緒に食事をして、その愚痴を聞いてもらいながらご飯を食べるという、私たちが勝手に名づけたものです!その場の雰囲気で付けました!
まあはっきり言えば、それは口実なだけでただの食事会ですね!
「いいですよ。どこでしますか?」
「美鈴達の家じゃだめか?」
「あ~、出来るなら違うところの方がありがたいですかねー」
おとといに霊夢達と食べましたから、あんまりゆとりもありませんしね~。
「そうかー。んじゃ私の家でどうだぜ?」
「お、異論はありませんよ!」
場所も決まりましたし、これは遠慮なくいただくとしましょうかね!
「ちょっとちょっと。ただ飯なら、私も遠慮なく食べさせてもらうわ」
「相変わらずずぶといな霊夢はー。ま、仕方ないから、心の広い魔理沙さんが許してやるぜ!」
「わーありがとー私うれしー」
「腹立たしいほど適当だな!」
相変らず霊夢らしい言い方ですが、魔理沙も分かってるみたいで苦笑いを浮かべるのみです。
「んで、ア、アアリスはどうだぜ?」
「私?んー、多くなると準備とかも面倒でしょうし、私は遠慮しとく「よしアリスも参加だな!」ってちょちょっと!?」
恋に生きる魔理沙を止められるはずもなく、ターゲット、アリスも強制参加です!
「咲夜はどうすんの?魔理沙がこう言ってるんだし、参加しなさいよ」
「いや・・・別にいいんだけどな、霊夢。それは霊夢が言う事じゃないんだぜ?」
「そうね…じゃあ、ウチの子2人もいいかしら?きっと喜んでくるわ」
「いいわよー。小学生二人くらい余裕よね?」
「だからお前が言うことじゃ・・・まあいいけどな!おういいぜ咲夜!フラン達も連れてこいよ!」
「ありがとう。ご馳走になるわ」
私の立派な妹、咲夜さんにレミィとフランも参加決定です!合計7人!これは楽しくなりそうですねえ!
「よ~し!じゃあいったんここでわかれるか!私は準備しとくから、六時くらいに集合だぜ!しっかり土産を持ってこいよ!」
ちょうど道はそれぞれの家への岐路に。魔理沙が手を掲げながら先に家へと走りました。
「はいは~い。適当に買って持っていくわー」
「う~ん、飲み物でいいかしら?」
「なら私たちはおかずかしらね。急いで準備しないと」
「そうですね!では急ぎましょうか!」
私たちは少し早足に、霊夢とアリスに手を振ってから別れました。
そして数分後、いつもの我が家に到着です!
「ただいま~!」
「ただいま」
「おかえり~!」
「お。おかえりっ!」
2人の可愛い妹のお出迎え!これだけで私の悩みは吹っ飛びました!
「2人とも、今日、魔理沙の家で一緒にご飯を食べるんだけど、一緒に来る?」
かがんでの咲夜さんの言葉に、2人が顔を見合わせた後、
「「行く(ー)っ!」」
笑顔でのっかりました。ううー!さ、咲夜さんだけじゃなくて私にも抱き着いて~!
「よーし!全員集まったな!」
「おらー、さっさと始めなさいよー」
「霊夢、もう始まるからまだ手をつけないの」
午後六時、私たちが魔理沙の家に向かうとあらかた準備は終わって、いろんな料理が並べられていました。なんでもアリスが早くに来て一緒に手伝ったのだとか。なるほど、魔理沙はそんなところにぐっと来たのかもしれませんね。
「とりあえず、恒例の開始の音頭は私がやらせてもらうぜ!」
「まりさ―!」
「し、しっかりやるのよ!」
「そうよ魔理沙、しっかりね」
ちびっこ2人と咲夜さんがきゃっきゃと囃(はや)し立てます。2人はもしかしたら緊張しちゃう?と思ってましたけど、楽しんでいるみたいなので一安心です!
では魔理沙!始まりの言葉を一つ頼みますよー!
「んじゃまあ!――嫌な事は忘れて、良い事はここでぶちまけて笑い話に!皆が楽しめることを祈って!」
魔理沙がコップを掲げるので、私たちもならってコップを掲げて――
「乾杯だぜっ!」
『乾杯っ!』
ガチャンッ!
互いに打ち合わせました。さあ、楽しい夕食の始まりです。ひたすら楽しむとしましょうかね~!
はい、お読みいただきありがとうございます!
とうとう原作の一巻を終えることが出来ました!これも読者の皆さんに読んでいただけたおかげだと思っています!ありがとう~!
さて、次回からなのですが、ちょっとどうするかを悩んでいます!と言うのはつまり、そのまま二巻へと進むか、少々話を挟むかです!
このあたりは自分なりに決めますので、次回がどんな形で始まるかはまだわからないので、楽しみに待っていただければ!
それでは、たくさんの愛読者に感謝の言葉を残して!ありがとうございます!また次回からもよろしくお願います~!