バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうもこんにちは!村雪です!

 さて、春の召喚戦争も終わりまして次はどうするかと考えていたのですが、ここは間に挟んでいくことにしました!学園祭を期待してた人はごめんなさい!

 
 今回は原作の3.5巻にあるラブレター騒動!何話か続くことになりますが、楽しんでもらえたら!

 あと、今回は1人新たに東方キャラクターに出演してもらいました!果たして彼女らしさを出せているか…!


――ごゆっくりお読みください


級友の幸福は怒りの火種!?ラブレター騒動編
暴動―原因、はわ、私のせいじゃないですよね~っ!?


 

「やや、やばい!急げ私ぃっ!」

 

 

 しぱしぱする目をこすりながら私、紅美鈴(ホン メイリン)は通学路を走ります。う~、やっぱり早起きは難しいです!これでも頑張った方なのに、約束の時間は過ぎてるなんて~~!

 

 現在時刻は午前七時十五分くらい。いつもよりもだいぶ早めの登校のため、周りは静かなものです。そんな中私だけバタバタと走っているものですから、浮いた存在になっていること間違いなしですね。

 

 

・・・え?なんでそんな慌てて登校するのかって?色々とあるのですよ、色々と!

 

 

 

「あれ?美鈴さん?」

 

「ん~?あれ、吉井君じゃないですか」

 

「うん、おはよう」

 

「お、おはよーございますっ!」

 

 少しスピードを落として振り向くと、後ろにはFクラスが誇る最高のおバカさん、吉井明久君がいました。

 

 あれあれ?おかしいですね。吉井君って普段ギリギリに教室に滑り込むのが通常なんですけど、やけに早いですね?今の私が言える義理じゃないですけども。

 

 

「どうしたんですか吉井君?えらい早いですね?」

 

「うん、実は早くに目が覚めてね。家でやることもないから早めに来たんだ」

 

「は~、そうでしたか」

 

「そう言う美鈴さんこそこんな早くに走っててどうしたのさ?」

 

「ま、まあ色々とありましてねー。活動ですよ」

 

「活動?」

 

「はいっ」

 

 

 いやではないんですけど、やっぱり早くに起きるのはつらいんですよね~。これがもう少し遅くにあれば全く異論はないのですが・・・はあ。

 

 

「――おっと、あれは西村先生ですね」

 

「あ、みたいだね」

 

 

 校門には見慣れた後姿が堂々と立っていました。あのシルエットは間違いなく私たちの担任、驚異的な体力を持った西村先生に違いありません。

 

 

「西村先生、おはようございますー!」

 

「先生、おはようございまーす」

 

 

 何も声をかけないのは良くないので、私たちはきちんと挨拶をします。

 

 

「おう、おはよう!部活の朝練か?感心だ――」

 

 

 振り向いた西村先生はとっても爽やかな笑顔で挨拶を返しかけましたが、こちらを見た途端に固まりました。はて?

 

 

「先生?」

 

「―――すまん。間違えた」

 

「え、何をですか?」

 

「吉井、こんな早朝に来て、今度は何を企んでる。そして紅、調子が悪いのなら保健室に行きなさい」

 

「間違えたって、接する態度ですか?」

 

「わ、私が早起きをしたのを異常事態に思われましても!?」

 

 

 ちょっぴり心外ですね!私がいつ寝坊助さんみたいなことをしたでしょうか!(※今まさにしているのではないでしょうか)

 

 

「お前たちにそう言ってしまう俺は悪くないと思うのだが・・・・・・。それはそうと、丁度良かった。《観察処分者》の吉井がいるなら手間が省けるからな」

 

 

 おっと、この言い方をするという事は?

 

 

「げ。ひょっとしてまた力仕事ですか?」

 

「そういうことだ。古くなったサッカーのゴールを撤去してくれ」

 

「おお、それはまた凄いですね・・・」

 

 

 あんな大きいものを運ばせるとは。何も知らない人が見れば虐待にも思われて仕方ないというお願いですが、ここで吉井君の受け持つ係・・・とうか罰則の《観察処分者》というものがあれば違います。

 

この学校、文月学園では『試験召喚システム』というものが導入されておりまして、それを使う事で自分の点数をベースにした召喚獣というものを出して、召喚獣同士がゲームみたいにバトルすることが出来るのです。

この遊びみたいな感覚によって、生徒の勉強のモチベーションをあげるのが学園長さんの目的だとか。

 

 で、この《観察処分者》というものは、先生の立会いの下、実物に触れる召喚獣を扱えるのです。

 この召喚獣という存在は人間とは比較できない腕力の持ち主なので、重たいものを運ばせるのはもってこい。ですが、これが人に向けられると危ないというのはすぐに分かりますよね?だから基本的には、物には触れないのです。

 

 ところが、吉井君の召喚獣は例外に当たって物に触ることが出来るのです。それだけ聞くとだいぶ良さそうですけど、召喚獣の感じた感覚が吉井君自身にも伝わるというおまけつきです。だからお手伝いをしたら彼も疲れちゃうわけなので、あまり嬉しいとは思えません。

 

 

「やれやれ。早起きなんてするもんじゃなかったなぁ・・・」

 

「後悔するのは早起きではなく、観察処分を受けたお前の態度だという事に気付くべきだと思うがな」

 

「しかし、何をしたら観察処分者になるんですかねー?」

 

 

 何でも吉井君が文月(ふみづき)学園開校以来初の処分者だとか。今までに誰もいないってことは相当悪いことをしないとならないってことだと思うんですけど、吉井君は何をしでかしたんでしょうか?犯罪行為とかはダメですよ?

 

 

「はあ、僕はそんなに悪い事なんてしていないのに・・・」

 

「それは嘘だと分かります」

 

「全くだ。どの口でそんなことが言えるんだ」

 

 

 それを本当に言ってるのなら、無自覚って怖いですよね。

 

 

「ほら、いいからグラウンドに来い」

 

「へーいへい」

 

「あ、それじゃ私はここまでで。頑張ってくださいね」

 

「えー、美鈴さんも手伝ってよ!」

 

 

 私を巻き込もうとするのは、自称『悪いことしてない人』がすることですかい、こら。

 

 

「私にそんな腕力は無いですし、一応やることもあるんですよ。だから失礼します!」

 

 

 吉井君達と喋ってて忘れてましたけど、時間がやばい!今は吉井君に構ってる暇はないのですよ!

 すがるような吉井君の視線を無視して、私はダッシュを再開しました。

 

 

「そんな!待って美鈴さーんっ!」

 

「人を巻き込むな吉井!」

 

 

・・・これは見捨ててるんじゃなくてきちんと理由があったんです。私は罪悪感を感じる必要はないですよー。ないですよー・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・んん?」

 

 

 校舎へと入り、私がバタバタと下駄箱で靴を履きかえようとした時、ポツンと可愛らしい便箋を床に見つけました。

 

 

 あれ、こういうのって下駄箱の中に入ってるのが王道じゃないですか?最近では地べたに置くのがはやりなのですかね?

 

 

 

「って、そんなわけないか。落し物って感じでしょうね」

 

 

 この急いでいるときにそんな物と出くわすとは・・・しかし、こんな大切な物を落としてしまうとは、よっぽど慌ててたんでしょうか?

 

 ひとまず、ここに置きっぱなしなのはまずいですし、拾って――

 

 

 

 

 

 《吉井明久さまへ》

 

 

 

 

「・・・お、おお・・・まじですか」

 

 

 私が本人だったら悲鳴をあげてましたね、喜びの方を間違いなく。そして私は、現在進行形で慌ててなければ、黄色い声をあげていましたね。

 

 

「―――よいしょ(がたん)」

 

 

 宛名も分かったので、私は特に考えることなく吉井君の靴箱に投入。よし、これで解決!

 

 

「さー急ぎますか!」

 

 

 

 すぐに上靴に履き替え、私はラストスパートをかけました。目指すは体育館横の部室。どうかそこまで待たせてませんよーにっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅かったじゃない。寝坊とはあなたらしいわね」

 

 

 

 ダメでした。あ~、こ、これはまずいです・・・!

 

 

「・・・え、え~~と、これでも急いだ、つもりです。はい」

 

「あら、そうだったの?それは悪かったわ。確かに三十分ぐらい待ったぐらいだから、言いすぎたかもね」

 

「・・・・・・すっ、すいませんっ!で、でも集合時間が早すぎるんですよ~!」

 

「何を言ってるのかしらこの眠り魔は。これぐらい誰でも出来て当然よ。まだ寝ぼけてるなら顔を洗ってきなさい、美鈴。何なら私が目を覚ましてあげようかしら?」

 

「ひいっ!!は、反省してましゅのでどうかい、怒りを収めてくださいいいっ!」

 

「怒り?ただ後輩のいけないところを、先輩の私が直そうとしてるだけ。怒ってなんかいないわ」

 

「じゃ、じゃあその手はなんですかー!教育するのにそんな暴力はダメですよね!?」

 

「残念だけど私の教育は、ダメな事をしたらどうなるのかを身体に染み込ませる方法なのよ。一年一緒にいたあなたなら分かってるでしょ?美鈴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そうですけど、ってややめてください幽香先輩ぃぃぃ!!」

 

 

 

 

 

 

「―――では、次からは遅れないように。いいわね美鈴?」

 

「そ、そろそろ慣例ということで許してやってもいいじゃないですかー。あいたた・・・」

 

「却下。あなた、それを許したらもっと遅くなるでしょ。ん?」

 

「そ、そんなことはないですよ!・・・多分、分かりませんけど。自信ありませんけど・・・」

 

「自分で自信が持ててないじゃない」

 

 

 うう!私は朝起きるのが苦手なんだから仕方ないじゃないですか~!

 

 ふうっと息を吐くのは、一つ上にあたる三年生の女子、そして私の所属する部活の部長である、風見幽香(かざみ ゆうか)先輩。

 

 草原のように綺麗な髪の持ち主である幽香先輩は、この学校でもトップを狙えるのではというほどのビューティフルな女性で、学校でも有名にな女子です。いわく『高嶺の花の美女』だとか、『花の女神』だとか『冷酷姫』だとか。

 

 最後のは前の二つと違って恐怖を感じさせる名称ですけど、幽香先輩がそんな冷たいってことはないと思うんですけどねー?・・・ちょっと攻撃的なのは事実ですけども。

 

 

「ほら、早く持ちなさい。時間が足りなくなるわよ」

 

「あ、はいっ!」

 

 

 そんなよくも悪くも有名な幽香先輩が差し出してくるのは、小学校とかでもよく見かける緑色のジョウロ。古くから愛されるデザインです!

 

 

「じゃあ、まずはグラウンドの方の花壇ね。行くわよ」

 

「あいあいさ!」

 

 

 私たちは互いにじょうろを持って外へと向かいます。

 

 今日の部活、すなわち園芸部の活動は花の水やり!さあー気合いをいれていきましょうか!!

 

 

 

 

 

「美鈴、Fクラスでの生活にはもう慣れたかしら?」

 

「もう、幽香先輩は意地悪ですね~。なんだかんだで楽しくやってますよ」

 

「そう、それは結構。その分こっちで頑張ってもらうわ」

 

「どの分ですか!?全然関係ないですよ!?」

 

「あら、部活で頑張ってくれないの?」

 

「そ、そういうわけじゃないですけど!そりゃ部活で頑張りますけども!」

 

「ふふ、ならいいのよ」

 

 

 こ、この先輩は~!普通に言ってくれれば私も普通に言いますのに!なぜこうも変に言いまわすのでしょうか!全くもう!

 

 私は少しいじけながら、少ししなびているパンジーへと水をやります。早く元気になってくださいね~!

 

 

「そう言う幽香先輩はどうなんです?確かAクラスでしたよね?」

 

「だめね。一番上のクラスだからってピリピリしてつまらないものよ」

 

 

 水をじょうろに貯めながら聞いてみますと、幽香先輩は葉っぱから手を離して息をはきました。ちょっと、花を愛でるのはいいんですけど先輩も手伝ってくださいよ! 

 

 

「なんでもかんでも一番だったら良いってものじゃない、ということが分かったわ。変わった事なんか新鮮でいいわねえ・・・」

 

「はあ。そんなものですかね?」

 

「ええ。あなたといて私は満足してるもの」

 

「・・・・・・褒めてるように見せて、私がバカってなんか落としてませんかそれ?あと私はトラブルメーカーじゃありません」

 

 

 まあ確かに私が何かで一番!ってことはないですけど。でもやっぱり見栄を張りたいのが人間です!

 

 

・・・あ、変わった事っていえば。

 

 

「そういえばさっき下駄箱で、ラブレターらしきものを見つけたんですよ」

 

「やっぱりあなたといると退屈しないわね」

 

「ちかっ!?」

 

 

 ま、満面の笑顔の先輩が目の前にっ!そこまでくいつくとは思いませんでした1

 

 

「で、詳しい話を聞かせなさい」

 

「は、はい。え~とですね。そこまで話があるわけじゃないんですけど――」

 

 

 可愛らしい手紙だったということと、それを送り主の靴箱に私が入れたことを話しました。

 

 

「――ふうん。それはなんとも間抜けな差出人ね。うっかりでその愛の告白が何人にもみられるところだったじゃない」

 

「幽香先輩のその顔は、安心した表情って信じますよ?」

 

 

 何もないからつまらないって思ってるんじゃないですよね?誰にでも優しい幽香先輩だと私は信じたい!

 

 

「それにしても、あなたも優しいわね。わざわざ置いてあげなくても自分の懐に入れておけばいいのに」

 

「鬼ですね。先輩」

 

 

 手紙の差出人が悲しくて泣いちゃうと思います。先ほど花にも見せた優しさを人にも与えてやってください。後輩としてちょっとさみしいですよう・・・

 

 

「で、その手紙のもらい人は、あなたの知ってる人なの?」

 

「え?ええ、知ってますけど」

 

「なら、その男子がどうなったかを後で教えなさい」

 

「??何でですか?」

 

 

 吉井君の事も知らないでしょうし、誰宛てなのかも言ってませんよね?

 

 不思議に私が思っていますと、幽香先輩は意味ありげに笑って、こう言いました。

 

 

 

「あなたが関わったら、きっと愉快な展開が待ってるからよ」

 

「だから私はトラブルメーカじゃないですって!」

 

 

 私はまたもむくれながら水を与え始めました。もう!期待通りにはならないからそんなにおかしそうに笑わないでください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよーございます!」

 

「おー、おはようだぜ美鈴」

 

「おはよ、美鈴」

 

「おはよーメーリン!やっぱりアタイは最強ね!」

 

「全く訳が分かんないですよ!?」

 

 

 今に始まった事じゃないから慣れましたけどね!

 

 水やりの作業を終えたので、幽香先輩と別れて私は教室に到着。中にはいつものにぎやかなメンバーが集まっていました。

 

 

 最初の元気な挨拶は霧雨 魔理沙。ふわふわした金のロングヘアーな元気はつらつな女友達です。ちなみに百合です。この前発覚したばかりです。(もしもそう言った時の反応:『だだだ誰がユリじゃぜっ!たっただ狙っちぇる奴が女子なだけだもんっ!』)

 

 で、その次の一般的な反応の女の子が島田美波さん。ポニーテールがチャームポイントの勝気な女の子です。あと、怖いものが苦手かも?(もしも尋ねられた時の反応:『べっべ別に怖くないわよ!?あ、あれはちょっと気分が悪くなっただけ!すすすすっごい怖いから気絶したとかじゃないんだからね!?』)

 

 そして、最後のサイキョー発言の主はチルノ・メディスン。水色の髪で、背丈は私のお腹あたりというちっちゃなおバカです。そのまんま、おバカです。(もしも『だ誰がバカよ!?バカって言った奴がバカなんだもん!このバカっ!』バカでないなら割り込むのはやめましょう)

 

 この癖のある女子が(あと一名いませんけど)、このFクラスでの私の女友達です!やっぱり同性の友達っていいですよね~!心が和みます!

 

 

「・・・・・・何やら私の第六感が羞恥を感じ取ったんだぜ」

 

「魔理沙、ウチもよ」

 

「アタイが最強って思われてるような気がするわ。間違いないのよさ」

 

 

 2人の勘は鋭いですね。チルノに関しては勘もアホみたいです。

 

 

「・・・で、あの。瑞希さんはどうしたんですか?」

 

「さ、さあ。ウチもよくわかんない」

 

 

 視線の先には、このクラス随一の秀才である姫路瑞希さんが、ちゃぶ台の前で正座をしてボロボロの天板とにらめっこをしていました。でもその顔は笑いよりも同情を誘うものです。

 

 

「困ってる顔って感じがしますけど・・・何かあったんですかね?」

 

「さあなー。もしかしてあれじゃないか?女の子の――」

 

「アウト魔理沙!ここでそれは思いっきりアウトです!」

 

 

 本っ当に配慮のかけらもないですね!事実だとしても、聞いた途端に瑞希さんが羞恥で死ぬこと間違いナシってことぐらい分かるでしょうが!

 

 

「ねえみなみ。女の子の・・・何さ?」

 

「え、え~~と………お、女の子の秘密よ!秘密!」

 

「おお!なんかかっこいいわね!」

 

「・・・チルノにゃ関係なさそーだなあ」

 

「はたから見ればそうでしょうね…」

 

 

 見た目小学生ですからね。年に関してはもう十分あれですから、あれなはずなんですけど。

 

 

「紅、おはようなのじゃ」

 

「あ、おはよーです秀吉君!」

 

 

 老人みたいな言葉で挨拶をしてきたのは、見た目は少女、中身は男子の木下秀吉君です。このクラスで最も落ち着きのある男子だと言えるでしょう。

 

 

「先ほどお主を体育館の近くで見たが、何かやっておったのか?」

 

「ああ、ちょっと花の水やりをですね」

 

「ほう、そんなことをしておったのか。さすがじゃのう」

 

「?ありがとうございます」

 

 褒められてるのはいいんですけど、さすがってどういう事でしょう?何か木下君の中で私の株が上がってませんか?

 

 

「でも、あれは部活の活動で――」

 

「お前ら、SHRを始めるから席に着くんだ」

 

 

 あ、西村先生の到着です。どうやら話はここまでみたいですね。

 

 西村先生の言葉にそれぞれがばらばらと席に着いていきます。いつの間にか吉井君もその中に混ざっていました。私が入れておいた誰かの手紙を、ちゃんと見ることが出来たんでしょうか?

 

 

 

 

「加藤」

 

「はい」

 

「木下」

 

「はい」

 

「霧雨」

 

「ういっす」

 

「返事ははいだ霧雨」

 

「はいだぜ」

 

「・・・まあいい。木村」

 

「はい」

 

 

 西村先生の出欠確認に皆さんはのんびりと答えていきます。春の余波まだ終わらぬこの季節、眠くなるのも仕方無いというものです。ふあ~あ・・・ああ眠たい・・・

 

 

「黒田」

 

「はい」

 

「近藤」

 

「はい」

 

 

 ん~、もう少し時間もありますし、呼ばれるまでの間だけ目を閉じておきましょうかね・・・・・・・・・ではおやすみぃ~・・・

 

 

「斉藤」

 

「はい」

 

「坂本」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・明久がラブレターを貰ったようだ」

 

 

 

『殺せぇぇっ!』

 

 

「ひゃいいいっ!?」

 

 

 なななに、何が起こったの!?急にのどかな雰囲気が消滅しましたよぉ!?

 

 

「ゆ、雄二!いきなりなんてことを言いだすのさ!」

 

 

 ど、どうやら吉井君と坂本君が関係しているみたいです。全くもう!今度は何をしたんですか2人とも!私の安眠を邪魔するなんてひどいじゃないですか!この眠りを妨げると言う大罪、どう償ってもらいましょ――

 

 

『どういう事だ!?吉井がラブレターなんかをもらうなんて!』

 

 

 友達ですから許してあげましょう。

 

 ラ、ラブレターを入れたのが私で、遠因は私にあると思ったからとかじゃないですからね?だってそれが誰かに見つからなかったら何も問題なかったじゃないですか!ねえ!?

 

 

『それなら俺たちだって貰っていてもおかしくないはずだ!自分の席の近くを探してみろ!』

 

『なになに!?アタイもやるわよ!』

 

『ダメだ!腐りかけのパンと食べかけのパンしか出てこない!』

 

『もっとよく探せ!』

 

『………出てきたっ!未開封のパンだ!』

 

『お前は何を探しているんだ!?』

 

『見て見て!アタイが今朝捕まえたアマガエルよ!可愛いでしょ!?』

 

『ひ、否定はせんが、せめてかごに入れて連れてくるのじゃ!どこから出したんじゃ一体!』

 

『・・・おっ。大越にもらったキーホルダー。こんなとこにあったのか』

 

 

 ざわざわとFクラスが荒れはじめますが、そこはさすが生徒指導の先生です。

 

 

「お前らっ!静かにしろ!」

 

 

『・・・・・・・・・(シーン)』

 

 

 西村先生の注意で皆一斉に口を閉じます。ふ~、あのままいくと一悶着が起きかねませんし、一安心ですね。

 

 

「それでは出欠確認を続けるぞ。島田」

 

「アキのバカ」

 

「園部」

 

「吉井コロス」

 

「田中」

 

「はい」

 

「田村」

 

「吉井コロス」

 

「チルノ」

 

「はーいっ!」

 

「手塚」

 

「吉井コロス」

 

「藤堂」

 

「吉井コロス」

 

「戸沢」

 

「吉井コロス」

 

 

 全く安心できませんでした。『殺す』なんか言ったらダメ!

 

 

「みんな落ち着くんだ!なぜだかほとんどの返事が『吉井君コロス』に変わっているよ!」

 

「吉井、静かにしろ!」

 

「に西村先生!?そっちを注意するんですか!?」

 

「そうですよ先生!このままだとクラスの皆は僕に殴る蹴るの暴行を加えてしまいます!」

 

 

 もはやクラスの大半が殺意を!?先生として、おバカな生徒でも見捨てないであげてください!

 

 

「橋岡」

 

「吉井マジ殺す」

 

「姫路」

 

「は、はいっ」

 

「福田」

 

「吉井ブチ殺す」

 

「紅」

 

「も、黙殺ですか!?生徒二人のお願いを無視ですかーっ!?」

 

 

 西村先生の外道!イメージダウンですよーっ!

 

 

「よし。遅刻欠席は無しだな。今日も一日勉学に励むように。あとチルノ、そのカエルは逃がしてあげるんだ」

 

「えー」

 

「待って先生!そんなちっさいカエルなんかのことより人間の僕を心配して!可愛い生徒を見捨てないで!」

 

 

 出席簿を閉じて出て行こうとする西村先生を、吉井君が必死に呼び止めます。カエルより扱いがひどいって・・・

 

 

「吉井、間違えるな」

 

 

 そんなすがる声に、西村先生は扉にかけたまま振り向きます。ん?間違いとは?

 

 

「お前は不細工だ」

 

「ひどい!?」

 

「不細工とまで言われるとは思わなかったよバカ!」

 

 

 今日の西村先生はドライです!先生としてどうなのそれっ!?

 

 

「授業は真面目に受けるように」

 

「先生待って!せんせーい!」

 

 

 あ、ああ行っちゃいました・・・!これで皆を止める人がいなくなったから、何か起こるのは確実です。

 

 

「やるじゃないか吉井!で、誰からなんだ!?」

 

 

 さっそく来ました。トップバッターは、自称恋に生きる女の魔理沙です。

 

「ま、魔理沙。それが、僕もまだ中身は――」

 

「アキー?ウ、ウチにも教えてくれるかしらー?それは誰からもらったの?」

 

「あ、あの美波さん。顔が近いよ近いよ?」

 

「い、いいのよ今はっ!」

 

 

 続いて島田さん。手を伸ばせば届く距離まで吉井君に詰め寄っています。

 

 

「で!?誰からのラブレターなの!?女の子?そ、それとも男子なの!?」

 

「美波!その選択肢はいらない!というかあってほしくないから言わないで!」

 

「じゃ、じゃあやっぱり女の子からなの・・・!?アキのバカーっ!」

 

「ぐは!?そ、そう言われてもね美っ波っ!僕も何が何だっか!?」

 

「お、落ち着いて島田さん!」

 

 

 せめてもう少し優しくしてあげましょう!吉井君の胸をどんどんと叩くたびに吉井君がうめき声をあげてますから!力の加減を間違えると、せっかくのラブシーンがただの暴力場面にチェンジですよー!

 

 

「あの、吉井君」

 

「ん、ん?なに姫路さん?」

 

 

 まだまだ参加者は途絶えません。次は大人しい瑞希さんです。顔を下にしてもじもじしてるのがまた可愛い!

 

 

「その・・・・・・できれば、ですけど……私にも手紙を見せて欲しいです……」

 

「え…」

 

 そんなキュートな瑞希さんの要求に、吉井君は困ったという顔に。やはりラブレターみたいなものは自分だけで見たいのかもしれません。

 

 ちなみに私は貰った枚数0枚です。く、悔しくないですよーだ!

 

 

「その……ごめん」

 

「でも、でも……!」

 

 

 吉井君が本当に申し訳なさそうに謝りますが、瑞希さんはそれでも食い下がります。大人しい瑞希さんにしては珍しいですね?

 

 でも、自分の意見を通すのは大事ですから、完全に他人事になっちゃいますけど感心ですよ!

 

 

「いくら姫路さんにも、コレばっかりは」

 

「でも、私は吉井君に酷いことをしたくないんです!」

 

 

 脅迫するところは全く感心できないですよ瑞希さんっ!?

 

 

「ちょっと待って!僕に暴力を加えることが前提なの姫路さん!?」

 

「だから吉井君、ど、どうかその手紙を・・・!」

 

『くそお・・・!なんで吉井の奴だけ!』

 

『こんな事態、許されていいのか・・・!いや、断じて否っ!』

 

『・・・・・・嫉妬がいかに怖いか、その身に知らしめてやる・・・!』

 

 

 吉井君がビックリしている間にも瑞希さんは近寄り、他の男子は殺気だって体を慣らし始めたりしています。もはや我慢の爆発は目の前と見て間違いありません!

 

 

「ま、まあまあ皆さん。いったん落ち着きましょう!」

 

 

 少しは私のせいかもしれませんし、ちょっとここは吉井君のフォローに動くとしましょう。

 

 私は立ち上がって皆さんの抑制にかかります。

 

 

「えー、邪魔するなよ美鈴。私はこれからそのラブレターを見せてもらう予定なんだぜ?」

 

『そうだ美鈴さん!いくら美鈴さんだからと言って邪魔はさせないぞ!』

 

『俺たちにもそのらぶれたーとやらの中身を知る権利がある!』

 

「い、いやそんな権利無いと思いますけどね!?」

 

 

 そんな暴君みたいな主義はこの社会で通用しませんっ!もっと優しさを持ってあげてください!

 

 

「確かに紅の言う通りだ。いったん落ち着け皆」

 

「おお、助かりますよ坂本君」

 

 私の手助けをしてくれたのは、このクラスの代表である坂本雄二君。どうやら友達の吉井君を助けてあげるみたいです。代表の言葉というのもあって、皆が静まり返ります。

 

 

「今問題なのは、明久の手紙を見ることじゃない」

 

「そうですよ。まずは吉井君の話を聞いてからですね―」

 

「問題は、明久をどうグロテスクに殺すかだ」

 

「バカですかあなたは!?」

 

 

 やることが悪化してんじゃないですかこのド外道っ!普段吉井君を陥れようとする彼に期待した私がバカでした!

 

 

「前提条件が間違ってんだよチクショウ!」

 

『逃がすなぁっ!追撃隊を組織しろ!』

 

『手紙を奪え!吉井を殺せ!』

 

『サーチ&デス!』

 

「そこはせめてデストロイで!」

 

「だからそんなに殺すって言ったらダメです皆さーん!――て、も、もういなくなった…」

 

 

 こんなに団結したのは、Aクラスに勝とうと試召戦争を繰り広げた時以来じゃないでしょうか。今回に関しては理由がひどすぎますけどね!

 

 荷物全部を抱えた吉井君を追いかける皆さんに、私は頭が痛くなるのを止められませんでした。

 

 

「……………ハ~~・・・ああもう!行きますかっ!」

 

 

 私がまいた種でもありますから、途中で投げ捨てるのはダメですよね!シッカリ収拾はつけないと!

 

 

「じゃあ皆さん。私はちょっくら暴走気味のおバカたちを捕まえてきますから、皆さんはきちんと教室にいてくださいねっ!」

 

 

 私は残った数人にそう言って、出て行った人たちの収拾にかかり始めました。

 

 もう!こんなことになるんなら、おせっかいを焼かなきゃよかったですよーっ!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・教室、がらがらだな。たった3人とは・・・」

 

「魔理沙はともかく、何でチルノも瑞希も行っちゃってんのよ・・・・・・」

 

「島田は行かんのか?てっきり行くものとばかり思っておったのじゃが」

 

「木下。ウチはどんな奴だって思ってるのよ…。そりゃ最初は驚いてアキに掴みかかったけど、よく考えたらウチがどうこうするのも変だしね」

 

「まあそうじゃな」

 

「・・・それにあの感じだと、他の男子からもぼこぼこにされそうだからね。ウチが手を出すまでも無いでしょ」

 

「悪どいのう・・・」

 

「あれだ。自分の手は汚さず、ってやつだな」

 

「それより、田中。ウチはあんたが残ったのがビックリだわ。どうしたの?体調でも悪いの?」

 

「そうじゃな。他の男子は一人残らず明久を追って行ったというのに……何か企んでおるのか?」

 

「お前らこそ俺をどう思っているんだこら。女子と会話できるのは嬉しいが、あまり素直に喜べないぞ」

 

「待つのじゃ田中。わしは男じゃというに」

 

「秀吉、細かいことは気にするな」

 

「全く細かくないぞい!」

 

「・・・・・・・・まあ、理由はあっけどさそりゃあ」

 

「ふ~ん?どんな?」

 

「え?言わなきゃだめなのか?」

 

「どうせなら言いなさいよ。ウチだって言ったじゃない」

 

「いや、そこまで大した内容じゃなかっただろ」

 

「何ですってー!?」

 

「うげっ!?わ、分かった!言う!言うから俺の首を絞めるその手を放してくれっ!」

 

「ふん。最初からそう言えばいいのよ」

 

「わしより野蛮じゃな、島田よ・・・」

 

「全く理不尽だ・・・・・・・・・まあ、不真面目な人は苦手って言ってたからさ。それでだよ」

 

「え?それって誰がよ」

 

「・・・・・・それは勘弁してくれ」

 

「何じゃ?ひょっとして思い人じゃろうか?」

 

「・・・・・・・・違います」

 

「お主、嘘が下手じゃな」

 

「へ~?誰よ誰よ?ウチの知ってる女の子?」

 

「・・・・・・島田の交友関係なんぞ、なんで俺が知ってんだよ」

 

「あっ、それもそっか。じゃあウチがAからFまでクラスを言っていくから、違うって言ってちょうだい」

 

「・・・・・・島田。お主、やけに生き生きしておらんか?」

 

「ん~、かもね。ウチもやっぱり魔理沙みたいに、そういう話は好きだからね。というわけで田中、しっかり頼むわよ?」

 

「待て待て待て!おれに拒否権は無いのか!?んなもんやりたくねえぞ!」

 

「じゃあいくわよー」

 

「・・・・・・あ、ああくそ、やりたきゃやれ!でも俺がそう簡単にバラすと思ってんじゃ「Dクラス」なっちちちっ、・・・・・・ち、違います」

 

 

「・・・ウチ、適当に言ったつもりだったんだけど・・・」

 

「よもやの一発、じゃな・・・」

 

 「・・・・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

 

 

 

 

 

「「Dクラスの誰よ(じゃ)?」」

 

「もう本当に勘弁してくれっ!」

 

 

 

「あいたっ」

 

「んー?どうしたのだ大越ー?」

 

「あ、ううん。なんだか廊下がさわがしいなあって思ってね」

 

「そうなのかー?」

 

「うん、そうなんだ」

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます!

 さてさて!今回は、『四季のフラワーマスター』の二つ名を持つ最強の妖怪の1人!一見は恐ろしくも、その心は優しさで溢れているであろう、花が大好き、風見幽香さんに出演してもらいました!あの人ほどサドが似合う女性は他にいるのか・・・!

 美鈴さんと幽香さんは花を育てるという点で接点がありましたので、今回園芸部という形でその関係を出させてもらいました。園芸の事が何も分かってないので、次回からは少し知識を入れねば・・・!

 
 そんなわけで、暴動が収まることのない嵐のラブレター回!何話か続くと思いますので、楽しみにしていただければ!感想とかがあったら気楽に送ってください~!

 それではまた次回っ!
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