バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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どうも、村雪です!

 さて、今回から清涼祭となるのですが、ここでさっそく伝えておくことが!



――妹紅さんに一つ、個性を加えさせていただきました!


 んで、これで妹紅さんファンの方が、少し思うところが出来ちゃうかもしれませんが・・・・・許してあげてください!村雪がしたかったんです~!


 でもこれだけじゃあ分からないでしょうから、詳しいことは本編で!

 どうか優しい目で見ていただければっ!

――ごゆっくりお読みください。


評価-事実、がどうあったとしてもそれをフォローするのが友情だよね!

 

 

「ねえ!美鈴達の学校でやる学園祭、私達も行っていいの!?」

 

「へ?」

 

「こらフラン。あんまり強くちゃぶ台を叩いたらだめよ」

 

「あっ、ごめんさない」

 

 

 妹紅さんが来てから当たり前になった、六人で食卓を囲っての夕食時。妹の1人、金髪が特徴のフランこと、フランドール・スカーレットが食卓に身を乗り出して、そう尋ねてきました。

 

 

「それは来てもいいけど、ひょっとしてフランは来るつもり?」

 

「うんっ!お姉さまもだよ!ね―お姉さま!」

 

「そ、そうよ!何か悪いのっ!?」

 

「い、いやいや悪いってわけじゃないわレミィ!ただちょっと驚いただけだから!」

 

 

 その姉のレミリア・スカーレット、愛称〝レミィ〟は元気いっぱいのフランとは対照的に、行ってはダメなのかとふにゃりと泣きそうになりながら私を精一杯睨みます。

 

うん、その睨みは逆効果よレミー♡

 

 

「でも、2人とも。文月学園までちゃんと来られる?ちょっと遠いかもしれないわよ?」

 

 

 高校生にはそれほどですが、小学生の2人にはなかなかの距離。ちょっとしんどい道のりもありますし、何より付き添いで一緒に行くことが出来ません。途中で何かあったりしませんかね?

 

 

「だ、大丈夫よっ!もう大人だもん!」

 

「うんうん!それに、友達と行くってこの前約束したんだ!」

 

「・・・ん、そっか!」

 

 

 私の懸念を完全に解決させるにはちょっと弱いですけど、レミィ達は自信満々のようですから、ここは信じましょうか!可愛い子には旅させろ、とも言いますからね!

 

 

「じゃあ、お母さんも清涼祭に来るの?」

 

 

 レミィ達が来ると分かってもしかしたらと思ったのか、ご飯を食べていた咲夜さんは、私たちの母、金髪長髪の美女、星熊勇儀(ほしぐま ゆうぎ)に確認を取りました。

 

 

「ん~。行きたいのは山々なんだが、ちょうど仕事もあってなぁ。もしも時間が空けば、行くってところだな」

 

「・・・え~・・・(ズズ)」

 

 

 咲夜さんの質問に、母さんは酒を呑むのを止めてレミィ達と一緒に行くわけではないことを告げます。妹紅さんは来てほしかったようで、肩を落としながらお茶を口にしました。

 

 

「そう、でもそれは仕方ないわよ。謝らないでお母さん」

 

「咲夜さんの言う通りよ母さん。それはどうしようもないことじゃない」

 

 

 それに本音を言いますと、接客業をしてるところを見られるのって何か抵抗がありますから、悲しさより安堵の方がおっきいです!こそっと拳を握りしめた咲夜さんもたぶん同じ心情ですね!

 

 

「すまないね。まあそんなわけだから、私の分も友達と満喫してきなよ?レミィ、フラン」

 

「うん!」

 

「もちろんよ!美鈴!咲夜!・・・も、妹紅っ!ちゃ、ちゃんと私たちを満足させないとダメだからね!?」

 

 

 おおっと、ここでレミィの可愛らしいご命令です。当然、断るわけがありませんよね2人とも!

 

 

「もちろん!」

 

「任せておきなさい」

 

「・・・・・ま、まあ……努力は、する」

 

 

 期待を裏切らないその言葉!大好きですよ2人とも~!

 

そしてその後も、学園祭の話で盛り上がりながら私たちは夕飯を過ごしました。

 

 

 

 

「――――じゃあ、咲夜さんは出し物は何をやるんですか?」

 

「ん、メイド喫茶よ。それでメイドをやる予定だわ」

 

「メメメメメイドっ!?咲夜さん、メイドをやるんですか!?」

 

「え、ええ。急にどうしたのよ?」

 

「そ、そんな・・・!咲夜さんの素晴らしいメイド姿を、不特定多数の人に見られるって・・・・・・!!いやーっ!咲夜さーんぐぇっ!?」

 

「い、いきなり抱き着いてくるんじゃないわよバカ美鈴ッ!一体何考えてるのよ!?」

 

 

「・・・・・・さっき、私たちが中華喫茶をするって言ったときに、フォークと箸を持って怒ったの……あいつだよな・・・?」

 

「あははっ。そこは似た者姉妹じゃないか。何もないより、こっちの方がずっと温かみを感じないか?妹紅」

 

「……ど、どうだろう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーしアンタ達!いよいよこの日が来たのよさ!アタイ達が最強ってことを証明してやるわよー!」

 

『おおーーっし!』

 

 

 

 出し物を決め、準備に取り組んでからは時間はあっという間に過ぎ、いよいよ清涼祭が幕を開けました。

 学校中に活気があふれている中、チルノが音頭を執りFクラス男子達もそれに逆らわずに元気をあふれさせます。かく言う私も大興奮です!うおー!やりますよ~っ!

 

 

「チルノは気合いが入っておるのう。実にあやつらしいのじゃ」

 

「そうだね秀吉。バカは元気が取り柄って言うもんね」

 

「あんたが言うんじゃないわよアキ」

 

「み、美波ちゃん。その言い方も良くないと思います・・・」

 

「むしろ吉井の方が吹っ飛んでると私は思うぜ」

 

「私としましては、五十歩百歩な気がします」

 

 

 どっちもなかなかの大おバカですからね!

 

 でも、こういう時にチルノみたいに元気な子は重宝されますよ。坂本君とは違った形で皆を引き付けるといいますか、チルノの元気さがあってできる芸当です。

 

 本人に言ったら顔を真っ赤にして怒るでしょうけど、おバカっていうのもある種の長所になりますね!

 

 

「でも、僕らもやればできるもんだね。ここがあのFクラスとは思えないや」

 

「確かにだいぶ様になりましたものねぇ。中華!って雰囲気が出てますもの」

 

 

 幽香先輩から借りた布を、いくつか重ねたミカン箱の上にかぶせることで立派なテーブルに見せることもできましたし、装飾なんかもがんばりましたから教室は普段のFクラスからは想像できないくらいに綺麗になっています。だから、充分な出来となってるのではないでしょうか!

 

 

「このテーブルなんて、パッと見は本物と見分けがつかないよ」

 

「あ、それは美波ちゃん達が作ってくれたんです。どこからか綺麗な布を持ってきて、こうテキパキと」

 

「ああ、それなら美鈴(メイリン)のおかげよ。ウチらは風見先輩から預かった布を使っただけだもの」

 

「い、いや~・・・」

 

 

 な、なんだか私が幽香先輩に頼んだみたいになってますけど、最初に言ってくれたのは幽香先輩です。素直に照れられませんね~

 

 

「風見先輩?風見先輩って、あの〝男殺しの女帝〟って呼ばれてる三年生の事か?」

 

「あれ、魔理沙は風見先輩を知ってるの?」

 

 

 島田さん。そこは知っているかどうかのことより、幽香先輩のあだ名の方を気にするところだと思います。私、一瞬その呼称にギョッとしました。どんな呼ばれ方をされてるんですか先輩っ!

 

 

「ん?ああ。なんか言い寄って来た男子をズッタバッタ冷たく切り捨ててるってことで、同性愛なんじゃないかって噂の立つ先輩だぜ」

 

「へー。怖い女の人もいるんだねー」

 

 

 え~?風見先輩がぁ?

 

 

「いやいや、前半はともかく後半はデタラメだと思いますよ魔理沙?」

 

「ん?そうなのか?」

 

「美鈴は何か知ってるの?」

 

「あ、いや、よくは知りませんけど……それだったら、同じ部活の私なんかすでに幽香先輩の餌食にされてると思いますけど」

 

 

 まあ私が守備範囲外なだけって話かもしれませんが、私の見る限り、たぶん先輩も普通の女子で、普通に男子に恋をすると思いますがね~。

 

 

 

「美鈴(メイリン)。そろそろ時間よ」

 

 

「っと。咲夜さん」

 

 

 教室の入り口には、いつの間にか咲夜さんが腕を組みながら立っていました。やばっ、ちょっとゆっくりしすぎましたかね?咲夜さんを待たせてしまうとは、この紅美鈴、一生の不覚です!(※頻繁にしてます)

 

 

 

「すいません。じゃあ私はちょっと行ってきますね!」

 

「え?どこに行かれるんですか?」

 

「ええ、それが、ちょっと召喚大会で最初の試合になりましてねー」

 

「ん?美鈴達も出んのか?」

 

「はい。目指せ商品券です!」

 

 

 その商品券を使って、家族みんなで食事をするのが私の考える使い道です!

 

 

「では行ってきまーす!」

 

「はい、いってらっしゃい!」

 

「ま、頑張るんだぜ!」

 

「頑張るのじゃぞ、紅」

 

「しっかり勝つのよ、美鈴!」

 

「え~と、僕としては勝ってほしいけど~・・・」

 

 

 え?あの、吉井君。その言い方だと負けてほしいってことになりませんか?

 

 

・・・ともかく、それぞれの言葉を受け取りながら、私は咲夜さんの下に近づき――

 

 

 

 

『おおっ!これはこれは十六夜さん。今日も相変わらずビューティフルだな』

 

「そ。一応受け取っとくわ』

 

『よかったら今日、俺と一緒にデートしませんか?』

 

「悪いわね。用事があるから他をあたってちょうだい」

 

『十六夜さん、俺と結婚してくれ』

 

「ん。あなたがもっと立派になったら、考えてもいいかもしれないわね」

 

『!?まじかよ!?』

 

『殺せぇぇぇええ!!』

 

『ぎゃああああ!』

 

 

「あらあら」

 

 

・・・・・・何か、咲夜さんがすっごい男子達を手玉に取ってますよ。男子陣が求婚した野郎さんを制裁してくれたので、私とのお話は不要みたいです。

 

 

「すいません咲夜さん、お待たせしました!」

 

「遅いわよ。じゃあ行きましょう」

 

「了解です!」

 

 

 後ろの方で聞こえる叫びを耳にしながら、私たちは召喚大会の会場へと向かいました。さあ、存分に祭りを楽しみますか~~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何やってるんだぜ、あいつら?」

 

「さ、さあ。さっき咲夜さん達と何かを話してましたけど・・・」

 

「何やら、デートやら結婚だとか聞こえたのじゃ」

 

「よく分からないけど、あの粛清されてる奴が許されない事をしたのは確かだね」

 

「ちょっとあんた達!せっかく掃除したのに教室が汚れるからやめなさい!」

 

 

 美波が怒りながら騒ぎの下へと歩いていった。全く、十六夜さんにちょっかいをかけるなんて命は惜しくないのかな?僕は何もしていないのに (※思いっきりしてます) 間接を決められたりしばかれたりするぐらい彼女は攻撃的なんだよ?今でもあの恐ろしい技を繰り出す手と、平らながらに柔らかい丘の感覚が思い出せるよ。

 

 

「よ、吉井君。鼻血が出てますよ?」

 

 

 姫路さんからそんな言葉が。もしかしたら僕は今、ムッツリーニ病って病気にかかったのかもしれない。じゃないと青少年な僕がこんなスケベみたいな反応するわけないもの。

 

 

「あ、ごめんごめん。つい興奮しちゃってね」

 

「この状況で何に興奮したんだよ。エロいことでも考えてたのか?」

 

「明久は助平じゃからのう・・・」

 

「よ、吉井君・・・そ、そう言う事はもう少し違う場所でした方が・・・」

 

 

 顔を真っ赤にしつつも健気に助言をする姫路さん。その気遣いは今が痛い!

 

 

「ち、違うよ!き、喫茶店が上手くいくかな~って思っただけさ!」

 

「・・・それでなんで鼻血が出る、って思うけど、まあそういうことにしといてやるか」

 

 

 魔理沙が呆れた風に肩をすくめた後に、教室に目を向け出す。その目はどこか楽しそうなのは気のせいじゃない。

 

 

「まあこんだけ準備したから、外装に関しては十分だと思うなー。それに、客寄せとなる美少女も私を含めて結構いるから、そこら辺に関しては大丈夫だと思うぜ」

 

 

「それもそうだね。あほなチルノはともかく、他の女子は皆可愛いもの」

 

「チ、チルノちゃんも加えてあげないと可哀そうですよ吉井君!」

 

「アホさと容姿は関係ないぞい、明久」

 

 

 姫路さんや美波や秀吉や美鈴さんや魔理沙に藤原さん。どの女の子(※一名男です)も美少女って言っても差し支えない可愛さだから、それに魅せられてお店にやってくる可能性は高い。だから、お客さんの数については大丈夫だ。

 

 後、大事なことは・・・

 

 

「厨房の方は上手くいったかなあ?」

 

 

 料理の味こそ喫茶店の顔。そこが上手くできていないと致命傷になっちゃうけど・・・ムッツリーニ達は上手くやってるのだろうか?

 

 

「・・・心配無用」

 

「おわっ!?」

 

「お、土屋。守備はどうだ?」

 

 

 いつの間にかムッツリーニが僕たちの後ろに立っていた。相変わらず気配を消すのが上手い。その特技で何人の男が喜ぶげふん、女の子が涙を流したのやらや。

 

 

「・・・上出来」

 

 

 そう言って、ムッツリーニは木のお盆を差し出した。上には高そうな陶器のティーセットと美味しそうなゴマ団子が載かっているから、味見しろってことかな?

 

 

「おっと。これは食べてもいいってことか?」

 

「・・・(こくり)」

 

「では、遠慮なく頂こうかの」

 

「頂きます、土屋君」

 

「頂くぜ土屋」

 

 そう言って美少女3人はゴマ団子にてをのばして口にし始めた。

 

 

「あ、うまいなー!」

 

「そ、そうですね!とってもおいしいです~!」

 

「うむ、飲茶(ヤムチャ)も上手いしの~・・・」

 

 

 そんな三人の絶賛の声。少しうっとりしてトリップ状態にも入っているから、どうやら大成功したみたいだ。これは期待できそうだね!

 

 

「それじゃ、僕ももらおっかな―って、あれ?ゴマ団子は?」

 

 

 おかしいな。確か四つあったと思うんだけど。

 

 

「・・・全て、胃袋の中」

 

「おう吉井。お前の分はありがたく頂戴したぜ(もぐもぐ)」

 

「え、ちょっと魔理沙!?僕の分を勝手に頂戴してるんじゃないよ!」

 

 

 なんて食い意地の張った子なんだ!これじゃあ僕は味見することができないじゃない!

 

 

「まあまあそう言うなって。貸しを作ってたらいいことあるって言うじゃないか!」

 

「僕としては、未来の事より今目の前の事が大事なんだけどなあ・・・」

 

 

 仕方ない。ゴマ団子は諦めて飲茶だけもらっとこう。

僕は飲茶に手を伸ばして――

 

 

 

 

「あ、そういや妹紅も厨房だったよな。あいつも作ってるのか?」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・そろそろ来る、と思う」

 

 

 

 

 あれ、何かムッツリーニの言葉が、いつもより少し間が長かったような?

 

 

「・・・・・・・・・おい」

 

「! あ、どうしたの藤原さん?」

 

 

 ムッツリーニの言う通り、少ししてから、長くて真っ白な髪がまぶしい藤原さんがやってきた。手にはムッツリーニと同じく木のお盆があって、ゴマ団子が載せられている。

 

 

「・・・・え、と・・・よ、良かったら・・・・・・食うか…?」

 

「え?いいの?」

 

 

「……………ん」

 

 

 視線をさまよわせつつも、おずおずとお盆を差し出す姿がまた血が騒ぐほど可愛い。でもさっきも出したから、今回は鼻血は出ていないみたいだ。

 

 とにかく、せっかくのお誘いだから遠慮なく頂くとしよう!

 

 

「うん、喜んでもらうよ!」

 

「あ。妹紅、ウチも食べていい?」

 

 

 いつの間にか美波が戻ってきて、一緒に藤原さんのゴマ団子を食べようとしていた。どうやら男子の鎮圧に成功したみたいだけど、さっきから静かになったわけだ。

 

 

「・・・・・・・・・ど、どうぞ…」

 

「ん、ありがと!じゃあいただくわね」

 

「じゃ僕も、いただきます」

 

 

 いや~!女の子の手料理を食べるなんて、屋上で美鈴さんのお弁当を食べた時以来だ!これは楽しみだね!

 

 抑えきれない喜びで顔を笑顔にしながら、どんな感想を言おうかなと考えながら、僕たちは妹紅さんが作ったゴマ団子を手でつかんで、一口だけかじった。

 

 

 

・・・ふむふむ、表面はかりかりしてて中はどろどろ。甘すぎず、ちょっと苦い味わいがとっても刺激て

 

 

「がふっ」

 

「ぅぇっ」

 

 

 一瞬、あの世のじいちゃんが見えた気がした。美波もきっと見えたに違いない。

 

 

「・・・う・・・ど、どう?・・・う・・・うまい・・・?」

 

 

 ラッキーにも、藤原さんは目を下に落としてるから、僕達の顔を見ていない。僕と美波は即座にアイコンタクトを取り始める。

 

 

 

『美波、どう?』

 

『ウチの目の前に神様が見えたわ』

 

『僕はあの世のじいちゃんが見えたよ』

 

『やばいわね、それ』

 

『――どうする?』

 

『決まってるでしょ……――絶対悟られるんじゃないわよ』

 

『りょうかい』

 

 

 この時間、僅か数秒。僕たちは方針を決定した。

 

 

「お、おいしかったよ藤原さん」

 

「う、うん。独特な味がしてたわ、妹紅」

 

 

 姫路さんの時は隠しきれなかったけど、やっぱり悲しませるのは嫌だ。ましてや人見知りの激しい妹紅さん。ここでひどいことなんか言ったら、もう二度と口を聞いてくれなくなるかもしれないし・・・藤原さんは一生懸命作ってくれたんだもん。やっぱり喜んでほしいじゃないか。

 

 

「・・・・・・!そ・・・そうかっ。・・・よかった・・・よかった……」

 

 

 その言葉に、妹紅さんはとっても安堵した顔になって、小さい声で呟きながら胸を撫で下ろした。ほっ、嘘をついてやっぱりよかったー。

 

 

 

・・・さて、それは良かったんだけど。同じ厨房の奴に、どうしても聞きたいことが出来たよ。早速聞くことにしよう。

 

 

 

 

 

「ムッツリーニ・・・ひょっとして、藤原さんって・・・」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・少々、料理の腕は・・・」

 

 

 

「だよねー・・・」

 

 

 

 少し離れてこっそりムッツリーニに耳打つと、予想していた答えが返ってきた。うんうん。藤原さんはあんまり自分を出さない人だけれど、料理ではすっごく自分を出してるんだね。僕は嬉しくもあり、ほんのちょっぴりだけ冷たいものを感じたよ。

 

 

「つ、土屋は食べたの?妹紅の・・・・・ゴマ団子を」

 

「・・・・一瞬、女神が浮かび上がった」

 

「そ、そう」

 

「・・・・あの時、カメラがあれば……!」

 

「あ、そこなのムッツリーニ」

 

「あんたはどこまでカメラに命を懸けてんのよ」

 

 

 命よりも女性に重きを持つこの男は、まさに男の中の男と言える。でも、何がムッツリーニをそこまで駆り立てるのだろう?

 

 

「バレてないでしょうね?」

 

「………『天国が見えた』、とだけ言っておいた」

 

「あながち間違ってないね、それ」

 

 

 比喩じゃなくてそのまんまの意味でなのがすごい。本当に申し訳ないんだけど、今後は藤原さんのお料理をお客に出さないようにしなければいけないみたいだ。彼女には飲茶の担当になってもらうのが良い気がする。

 

 

「お、良かったじゃないか妹紅!そんじゃ私もそのうまいゴマ団子もいただこうか!」

 

「わしもいただこうかのう」

 

 

「・・・・・あ、ああっ。………食ってくれっ」

 

 

 僕達3人が耳を傾け合っていると、トリップ状態から戻った秀吉と魔理沙が藤原さんのゴマ団子に手を伸ばそうとしていた。まずい、このままだと2人の命が危ない!

 

 でも、止めるとなると嬉しそうで、珍しく人に物を勧めている藤原さんを悲しませることになるだろうし・・・!くそぉ、いったいどうすれば・・・!!

 

 

 

「うーーっす。今戻ってきたぞ・・・おっ、おいしそうじゃないか。どれどれ?」

 

「あーっ!あんた達!アタイのいぬまにずるいのよさっ!アタイも食べるわよ!」 

 

 

 神様っているんだね。ただし、その神はバカ神だったけども。

 

 

「あ、おい坂本!それ私のだぞ!」

 

「まあまあそう言うなって。借りってのはそのうち金の卵を産むかもしれないんだからな」

 

「ちぇっ、私と同じこと言いやがってー」

 

「ひでよし!この団子はアタイの物よ!アンタにはあげないんだからね!」

 

「おお、分かった分かったのじゃ。じゃからそんな必死に隠さずともよかろうて」

 

 魔理沙が食べようとしていたゴマ団子を雄二が取り、秀吉が食べようとしていた団子をチルノが取った。美少女の秀吉から物を取るなんて蛮行、普通は許さず裁きの鉄槌を下してたところだけど、今は許してあげるよチルノ。

 

 

「んじゃいただくか」

 

「いただきまーす!」

 

 

 そして2人はためらうことなく、藤原印のゴマ団子を口に。

 

 

 

『美波!ムッツリーニ!』

 

『任せなさい!』

 

『……任せろ・・・!』

 

 

 そこからの僕たちの行動は早かった。

 

 

「妹紅!」

 

「?って、ひっ・・・!…何、何だ・・・!?」

 

 

 1秒経過。美波が藤原さんを自分の方へと振り向かせ、そのペッタンコな胸に抱き寄せ、耳もふさいだ。

 

 

「んゴパッ」

 

「んキャパッ」

 

 

 1.2秒後。雄二とチルノの口からありえない音が出て、背中から倒れようとするのを僕とムッツリーニで支えた。軽いなあ。バカだけどやっぱり女の子なんだね。

 

 

「!?さ、坂本ぉ!?」

 

「!?チチ、チルノッ!?」

 

 

 2秒後。魔理沙と秀吉が二人の異変に驚いたけど、そっちはひとまずスルー。

僕達は二人を床に寝かせ、眠っているように見せるために2人の白目にすっと瞼のカーテンを降ろす。これでミッションは成功だ。

 

 

「・・・え、ふ、2人とも?」

 

「あ、2人ともリラックスしすぎて寝ちゃったみたいだねー」

 

「そうみたいね。よかったじゃない妹紅」

 

「・・・・見事な腕前」

 

「あ、え、・・・・・ありが、とう・・・?」

 

 

 藤原さんはよく分からないって感じだけど、ひとまず納得してくれたみたいだ。これで1人の女の子の悲しみは回避できたね。よかったよかった。

 

 

「お、おい。何があったんだぜ?」

 

「ど、どうも既視感を感じるのじゃが・・・」

 

 

 んじゃ次は、こっちの2人に説明を――

 

 

「今アキが言ったでしょ。チルノ達はリラックスしすぎて寝ちゃったのよ」

 

「じゃ、じゃが、どうも今の倒れ方は安らかそうな感じではなかった気がしたのじゃ」

 

「そ、そうだぜ美波。これは何か理由があると」

 

 

「―――次何か言ったら、ウチがあんたらも永遠に眠らせるわよ」

 

「「はい。リラックスしすぎて寝ちゃったんだな(じゃな)」」

 

「分かったならいいのよ」

 

 

 する必要は無いみたいだ。妹紅さんのために必死な美波の姿がとっても大きく見えたのは、気のせいじゃないだろう。

 だって前方の平原は平原でぺったんこなままだったも

 

 

「・・・ウチが必死になってんのに!あんたは何ぬかしてやがんのよこらぁー!(バキィ!)」

 

「ぶべらあっ!?」

 

「・・・声を出して、自業自得」

 

「……こいつ………変態……」

 

 

 顔が真っ赤で涙目の美波が繰り出す右ストレートの痛みと、妹紅さんからの氷のような眼差しによるハートへの痛み。口は災いの元。よく耳にする言葉だけど、これほど身に染みて体験した人は少ないんじゃないだろうか。

 

 僕は消えゆく意識の中、そんなことを考えた。

 

 

 





 お読みいただきありがとうございます!

 
 さて、ではもうわかったことでしょうが、妹紅さん!彼女には……お料理の点で、姫路さんのポジションにたってもらいました!ああまずい!妹紅さんファンにはひんしゅくを買ったかも…!?


 言い訳となると思うのですが、そうさせてもらった理由として。

『東方project』の方の何かで、彼女は過去に、ワイルドな生活をしていた時があった気がするのです。それでその時に食べたりしていたものが、調理なんかせずにただ焼いて食ってという感じだったような・・・・・

 で、そのイメージが印象的だったので、妹紅さんはあまり料理に精通をしておらず、接客が嫌なために厨房へと行ったということにさせてもらいました!・・・せ、精通のレベルを超えたあれかもしれませんけど、そこは大目に見てあげてください~!

 さてさて、皆さんは妹紅さんのそんな手料理を味わった後、どんな対応をするでしょう?村雪だったら、間違いなくウソをつく方に行っちゃうと思います。姫路さん以上に言いづらい雰囲気ですものっ!


 そんな風に新しい妹紅さんの一面を出し、明久の意識をシャットダウンさせて学園祭を開幕させるという、さっそく普通のものとはかけ離れたスタートをやってみたつもりでしたが、いかがでしたでしょうか?皆さんの期待に応えられてたらなぁ~・・・!!


 それではまた次回っ!たぶん召喚大会がメインです!
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