バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!

 さて、今回は喫茶店側の話となるのですが、一人、初登場となる東方キャラクターに出てもらっています!とはいえ、前にもあったように名前は何度か出ていますので、少し違うかもしれませんが!


 果たして誰が出て来るのか?楽しみにして読んでもらえれば!


――ごゆっくりお読みください。 


接触―幸せ、か残念になるかはその人たちの関わり方で決まるそうでしゅ!!

 

「ありがとうございましたー!・・・・・・ふう」

 

「ご苦労様じゃ、紅」

 

「あ、秀吉君」

 

 

 お客様が出て行った後に、秀吉君が声をかけてきました。

 

 

「ほれ。ムッツリーニの奢りじゃ」

 

「おお、ごちそうになります!」

 

 

 私は秀吉君の持つグラスを受け取り、ぐいっと喉に流し込みます。・・・ん~!このあっさりした味が良いですね~!お客さんも美味しそうに飲んでくれるわけです!

 

 

「土屋君。素晴らしい出来栄えですよー」

 

「・・・・・・ありがたい言葉(パシャパシャパシャ)」

 

「・・・ここにいるのなら、自分で渡せばええじゃろうに」

 

「たぶん写真が狙いなんでしょうよ。まあ私は良いんですけどね」

 

 

 どうせなら可愛く頼みますよ!変な顔で映されるのは勘弁です!

 

・・・あ。そう言えば、

 

 

「ところで土屋君」

 

 

「・・・・・・何?」

 

「妹紅さんはどうですか?頑張ってくれてますかね?」

 

 

 職場が違って聞く機会もなかったので、気になってたんですよね~。本人がいないうちに聞いておきましょう!

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲茶を入れるのに、頑張ってもらってる・・・」

 

 

「そ、そうですか!それは良かったですよ~!」

 

 

 ちょ、ちょっと土屋君が目を逸らして汗を流し始めましたから、ひょっとして何もしていない?って思っちゃいましたけど、ごめんなさい妹紅さん!

 

 

「・・・・・・大丈夫か、確認をしてくる」

 

「あ、はい」

 

 

 土屋君はそう言って厨房へと向かいました。大丈夫かって、何の安全の話でしょう?妹紅さんの体調とか?

 

 

「ご、ごほん。し、しかし藤原もウエイトレスをやってくれると、凄い人気になりそうなんじゃがな」

 

「ん~。それは同意ですけど、妹紅さんは全力で拒否してましたから、無理じゃないでしょうかねえ」

 

 

 嫌な事を無理やりさせるなんてしたくありませんし、やはりここは本人の意思を尊重しなくちゃ、ですよ!

 

 

「・・・・・・しかし、妙じゃな」

 

「え、何がですか?」

 

 

 突然の秀吉君の言葉に私は耳を向けます。秀吉君もそれに頷き、ぐるりと教室を見ながら返答しました。

 

 

「急に、客足が減っておらぬか?」

 

「あ…そう言われれば・・・」

 

 

 店内にはほとんどお客さんの姿が無く、閑古鳥が鳴きそうな雰囲気です。私たちがこうやって普通に会話をしているのもそれの恩恵?なのです。

 

 

「でも、やっぱり喫茶店だとそういうときもありませんか?」

 

 

 ピークもあれば少ないときもある。それが喫茶店の宿命な気もしますがね。

 

 

「うむ。それもそうじゃが、あまりにも前触れが無かったのじゃ。普通なら少しずつお客が減っていくじゃろうに・・・」

 

 

 それでも秀吉君は気にした様子のままです。う~ん、もしも秀吉君の言う通り、これが普通の流れ出ないのだとすれば・・・・・・

 

 

「なにかが起きている、って感じですかね?」

 

「かもしれんな。先ほどもやりたい放題の客もいたしのう」

 

 

 あ~、あの三年生コンビですか。でも、さすがにあの2人が何かをしているわけではないでしょう。あれだけ痛い目にあったら、普通はそんなことをする気は起きないでしょうしねー。

 

 

「少し、様子を見て来るべきでしょうか」

 

「ふむ、それがいいかもしれんな」

 

 

 丁度お客さんもいないし、仕事の人手は十分ですから少しぐらい抜けても大丈夫そうです。

 では、飲茶のグラスを秀吉君に渡してから―

 

 

 

「あら、取り込み中かしら?」

 

 

 おっと、お客さんですね。笑顔笑顔と!

 

 

「はい!いらっしゃいま・・・・・・・・・・・・せ?」

 

 

 するとそこにいたのは、普段部活でお世話になっている女子、風見幽香先輩でした。

 

 ・・・が、私は思わず動きを止めます。

 

 

「・・・・こ、これは風見先輩。お、お世話になっておるのじゃ」

 

 

 秀吉君もびっくりした形相で幽香先輩を見つめていると、先輩は少し顔をしかめます。

 

 

「・・・・・・何かしら?笑いたいのなら笑えばいいじゃない。後悔しても知らないわよ」

 

「い、いえ笑いをこらえてるんじゃなくて・・・」

 

 

 むしろ、色々と引っ込んじゃったんですよ。あなたのその恰好に。

 

 

「ふん。まあいいわ。それより案内を頼むわよ」

 

「あ、りょ、了解です!」

 

 

 あごでしゃくる幽香先輩の言葉に、慌てて教室へと招き入れます。

 中では数人を除いて大半のウエイターが退屈そうにしており、もはや休憩時間の態度です。ちょっと皆さん!くつろぐならせめて準備室でくつろいでくださいよ!

 

 私がそう思っていると、来客に気付いた1人、横溝君がこちらを向きます。

 

 

「あー、いらっしゃい・・・うおおおおっ!?」

 

『ど、どうした横溝・・・・うおおおおおっ!?』

 

 

 

 

『『結婚してください、風見先輩っ!!』』

 

 

 

「ほんっとーにあからさまですね皆さん!」

 

 

 瞬間、もの凄い出来た姿勢で男子ウエイターから私たちは出迎えられます。どうせ美人の幽香先輩が来たからでしょ!?そんなに大勢で出迎えるところなんて初めて見ましたよー!?

 

 

「・・・・・・なにかしら、このバカ達は」

 

『ひいっ!?』

 

 

 で、出た!幽香先輩の凍りつくような目っ!あの目に睨まれたら地獄の鬼も身を震えあがらせるほどの恐怖が体に染みつきますよ!さすがのFクラス男子達も、これには身を震え上がらせます!

 

 

『ああ。すごく、良い…!』

 

 

 約一部の男子を除いてですが。と、鳥肌が立ちましたよちょっと!

 

 

「で、では風見先輩。こちらの席へどうぞなのじゃ」

 

「ええ」

 

 

 そんな中でも秀吉君は冷静に風見先輩をテーブルへと案内し、幽香先輩は腰を降ろしました。

 

 

「全く・・・あなた達のクラスメイトは何を考えてるのかしら。突然、告白どころか求婚をしてくるなんて」

 

「も、申し訳ないのじゃ」

 

「で、ですけど、わずかながらに幽香先輩にも原因はあると思います。」

 

 

 そのような恰好をされてましたら、ウチのクラスの男子に限らず思うことは出来ると思うんですよねえ・・・

 

 

「私に?どうしてかしら」

 

 

 なのに風見先輩は、訝しげに私を見て理解できないって顔をします。なら、そろそろここら辺で、大いに気になっていたことを聞くとしましょうか。

 

 

「幽香先輩・・・」

 

「何」

 

 

 

「・・・・・・その恰好、どうしたんです?」

 

「・・・ふん。似合わないっていうのは自覚してるわよ」

 

 

 

 幽香先輩はつまらなさそうに、指で自分の纏った衣装・・・・・・・・・・・・染み一つない純白のドレスをつまんで見つめます。

 

 いやもうね、そんな格好の美女がいたら求婚したくなるのも仕方ない気がするんですよ、先輩。

 

 

「なぜ先輩はそれほど悲観的なのじゃ・・・」

 

「いえ、むしろ凄すぎて言葉が出てこないんですよ。で、その恰好は?」

 

「クラスの出し物の衣装。いちいち着替えたり脱いだりするのも手間だから着ているのよ」

 

「な、なるほど。演劇ですか?」

 

「いいえ。喫茶店よ。『貴族喫茶』。高貴な態度で接客するのがコンセプトらしいわ」

 

「それって接客業としていいんですか!?」

 

「サービスのつもりが真逆な事をしておるぞい!?」

 

 

 それで喜ぶのは一部のマニアだけです!それでは需要があんまりないのでは・・・!?

 

 

「でも、かなり繁盛してるわよ?」

 

「「・・・あ、そうですか・・・」」

 

 

 この学校には色んな嗜好の人がいるんですねー。それも大多数。

 

 

「さて、じゃあゴマ団子と飲茶を頼むわ。期待してるわよ?」

 

「あ、はい!」

 

 

 おっと、注文が決まったみたいですね!

 

 

「すいませーん!ゴマだ」

 

『厨房っ!特上のゴマ団子と飲茶を持ってこい!』

 

『てめぇ等に出来る限りの最高の一品持ってきやがれ!』

 

「私が言おうとしてたんですけど!?」

 

 

 皆さんどんだけやる気出してるんですか!?幽香先輩だけ特別扱いしちゃダメですよ!そりゃまあ私もサービスしたいですけど!

 

 

「・・・・・・任せろ」

 

「………で、出来たぞ・・・」

 

 

 すると間もなく土屋君と妹紅さんが、それぞれゴマ団子と飲茶を盆に載せてやってきます。

 

 

「ふうん・・・・・・良い香りね」

 

 

 すんとにおいを吸った先輩は端的に感想を言ってから、ゴマ団子を1つ楊枝で刺します。

 

 

「・・・・ん」

 

 

 口に一口含み、幽香先輩は優雅に味を堪能しだします。な、なんだか緊張します・・・!

 

 

「・・・・・・(こく)」

 

 

 そのまま何も言わずに飲茶を。その上品なな振る舞いが、ウエディング姿にまた映えてますね!

 

 

「(こくり)・・・・藤原。と、あなた」

 

 

 飲茶も喉に収め、幽香先輩は軽く目を伏せた後に製作者である妹紅さんと土屋君を指名しました。

 

 

「・・・・・・なにか」

 

「・・・は・・・・はい」

 

 

 少し緊張し始める2人。幽香先輩は特に表情を変えていないから評価がどちらなのかが分かりません。幽香先輩は歯に衣着せない性格ですから、もしもまずかったなら遠慮なく言っちゃうことでしょう。

 ど、どうかマズイとだけは言わないで…!

 

 

 

 

「―――おいしいわ」

 

『!』

 

「ん(パク)」

 

 

 また先輩はゴマ団子を口にします。い、今美味しいって言いましたよね!?

 

 

「良かった・・・」

 

「・・・・ありがたきお言葉(パシャパシャパシャ)」

 

 

 それは聞き間違えじゃないみたいで、幽香先輩の言葉を聞いた人は皆ほっと胸を撫で下ろしていました。土屋君はおまけにカメラのシャッターも降ろします。

 

 

「待ちなさい。そのカメラは何を撮っているのかしら」

 

「・・・・どうか、撮影許可を(パシャパシャパシャ)」

 

「許可を取る前に撮るものではないわ(パシッ バキバキ)」

 

「・・・っ!?むごい事を・・・っ!」

 

 

 やはり先輩は甘くないようで、土屋君のカメラを一気に粉砕しました。て、手で握りつぶすって、カメラってそんなに柔らかかったですっけ?

 

 

『ああっ!ムッツリーニのカメラが木端微塵になったぞ!?』

 

『そんなっ!なら、俺たちは風見先輩の美しすぎるウエディングドレスを、写真で拝むことが出来ないってのか!?』

 

『くそ…世に神はいないってのか!』

 

『大丈夫だ、奴の剣(カメラ)は一つだけじゃないはずだ!』

 

『そうかっ!!』

 

 

「・・・・・・はあ。あなた、変わってるわね」

 

「・・・・・俺はスケベなんかじゃない・・・!(ブンブンブン)」

 

「そんなことは別に言っていないのだけれどね」

 

 

 そんなクラス男子の声に幽香先輩は呆れの息をこぼします。そういえば前も、私がカメラを壊したと言うのにすぐに別のカメラを準備してましたねー。写真撮影に凄い情熱を傾けているのがうかがえますよ。あまり良くない方向にですけどね!

 

 

 

「―――ごちそうさま」

 

 

 そのまま、幽香先輩はゴマ団子と飲茶を食べ終えると、すぐに席を立って会計へと向かいました。

 

 

「あれ、もう帰るんですか先輩?」

 

「クラスの仕事があるのよ。だからあまりゆとりはないわ」

 

 

 

 う~ん。もう少しゆっくり会話をしたかったんですけど、仕事があるんなら仕方ないです。また部活でのこととしましょう。

 

 お金を支払い幽香先輩は廊下へと出たので、私も見送りに廊下に出ます。

 

 

「では先輩!また来てくださいよ~!」

 

「さあね。気が向いたら来るけど、あまり期待しない事ね」

 

 

 もうっ、相変わらずドライな反応です!そこは嘘でも来ると言ってくださいよぉ!

 

 

「じゃあ、がんばるのよ。美鈴」

 

「?あ、何か言いましたか?」

 

「いいえ。じゃあ失礼するわ」

 

 

 幽香先輩はスカートを床に引きずらないように、指でつまみながら去っていきました。その優雅な歩き方にすれ違う男女は皆目をくぎ付けです!まさに貴族ですね!

 

 

「――ってあれ?そういえば、クロスの活用法とか見てましたっけ?」

 

 

 確かそのために来ていた気がするんですが・・・…ま、オッケーだったということでしょう!ダメだったら何か言いますよね普通!

 

 

「よしっ、頑張っていきましょうか!」

 

 

 私は一つ気合いを入れ直し、教室にもど

 

 

 

「あ、メーリン!」

 

「!おっ!」

 

 

 今の声は!すぐに後ろへと振り向きます!

 

 

「あらレミィ、フランっ!良く来たわね~!」

 

「と、当然よ!言ったことは守るのがレディーなんだからっ!」

 

 

 予想通り、そこには可愛い妹、レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットのお子様コンビがいました。

 

 さて、しっかり満足させてあげないといけませんね!

 

 

 

 

 

 

 

 

『み、見て、吉井だわ!』

 

『あの人、真面目で優しい魂魄さんを卑怯な手で負かしたんだって…!』

 

『ひどいっ!妖夢ちゃんが可哀そう!』

 

『吉井明久、最低ね…!』

 

『今度から夜道に気を付けなさい・・・!』

 

 

 

「どうしよう。僕、この学校にいる間に彼女が出来るのかな…?」

 

 

 そう思っちゃうほどに女子からの視線が痛い。どうやらさっきの魂魄さんの勝負が知れ渡っているみたいだ。

 

 僕が見てる人の立場だったら、あの真面目で優しい魂魄さんを卑劣な戦法で勝った奴を襲撃する自信があるから、僕に冷たい目線を送ってくる人に文句も言えない。むしろ口だけだからありがたみを感じるぐらいだ。

 

 

「雄二はどうしてそういう作戦ばかり立てるのかな~。おかげで僕の評判は地を這ってるよ」

 

 

 雄二の奴、変に頭が回る分始末に負えないんだよなあ。それだったら、ちょっとバカだけど心が清い僕の方が人として立派だよね?

 (※〝清い〟と言っても、100%そうではないと断言します)

 

 その雄二は今トイレに行ってて、僕1人でFクラスに戻ってるんだけど、こういう時は2人で一緒に戻って視線を分割するのが得策だった気もする・・・でもま、これで雄二も僕と同じ苦しみを味わうか!ならいいや!

 

 僕の心にわずかばかりの満足感があふれるのを感じながら、廊下の曲がり角をまが

 

 

 

 

 ドンッ!

 

 

「あにゃっ!?」

 

「うわっと」

 

 

 

――ろうとしたら、お腹辺りにあんまり痛くないけど衝撃が走った。なんだなんだ?

 

 

「にぃ~・・・・」

 

 

 下を見るとそこには、小学生ぐらいの茶髪の女の子が尻餅をついていた。この子が走りながら廊下を曲がったみたいだけど、怪我とか大丈夫かな?

 

 

「…あ、ご、ごめんなしゃい!!」

 

「あ、ううん。君こそ大丈夫?」

 

「は、はい!大丈夫です!」

 

「うん、良かった。立てるかい?」

 

「あ、ありがとうです。よいしょ…」

 

 

 差し出した手を掴んだのを確認して手をゆるく引っ張る。起き上がった女の子はスカートについたほこりをはたいて、頭にかぶった緑のふわふわした帽子をかぶりなおした。

 

 

「ありがとうございます!あと、ご、ごめんなさい!お兄さんは大丈夫ですか!?」

 

 

 おろおろと僕の心配をしてくれる女の子。落ち着くんだ僕。ロリコンは犯罪なんだよ?

 

 

「大丈夫大丈夫!僕って体が丈夫だからね!」

 

 

 鉄人から逃げまわっていたら自然と体力がついて、このぐらいなら全然平気だ。いつの日か、鉄人の拳も平気になれば…!

 

 

「よ、良かったです・・・」

 

 

 女の子はほうと息をついて、僕の無事に安心してくれた。偉い子だなあ。雄二やチルノに見習わせてやりたいよ!奴らならむしろそこで喜ぶからね!

 ま、それは置いといて、

 

 

「でも、廊下は走っちゃダメだよ?今みたいに人とぶつかるかもしれないからね」

 

「う、ご、ごめんなしゃい…」

 

 

 ダメな事はやったらダメだと、年上のお兄さんとしてしっかり教えてあげないとね!偉いぞ僕!

(※普段から全力疾走で廊下を逃亡しているあなたの言葉には、説得力が無さすぎです)

 

 

「お、おかあしゃまを探してたんですけど、どこにいるか分かんなくて・・・…」

 

「あ、そうだったの?」

 

 

 おかあしゃま・・・あ、お母さんのことか。ってことは迷子かな?

 

 

「ねえ、お母さんとはぐれたのはどこら辺?もしかしたらそこにいるかもしれないよ?」

 

「…(ふるふる)」

 

 

 あれ?分からないってことかな?

 

 

「おかあしゃまとは別に来て・・・学校で出会うつもりだったんです。でも、人が多くてわかんなくて…」

 

「あ~、今日はいっぱい人が来てるからな~」

 

 

 一般参加も出来るから、この子みたいに生徒じゃない大人も子供も来ている今日の文月学園。背の低い小学生が大人を探すのは難しいかもしれないよね。

 

 

「じゃあ、僕と一緒にさがそっか?」

 

 

 2人だったら負担も半分に減るし、身長も僕ぐらいだったら特徴を言ってもらえたらすぐに見つけられると僕は思って、女の子に聞いてみた。。

 

 

「ほ、本当ですかっ!?ありがとうございます!この恩は忘れません!」

 

 

 すると、そんな僕の提案に、彼女はパッと明るい笑顔を咲かせて承諾をしてくれた。

 

 

 

 

「あはは、そんなに気にしなくていいよ」

 

 

 う~ん。言葉づかいやお辞儀といい、本当に礼儀正しい子だなあ。よっぽど親御さんの教育が良いんだね。はぁ、僕の母さんにがつんと言ってやってほしいよ! 

 

 

「じゃあ、お母さんってどんな人か特徴を教えてくれないかな?」

 

 

 いくら手伝うって言っても、その人がどんな人か分からないと探しようもない。だから僕は女の子にお母さんの特徴を尋ねてみた。

 

 

「はい!ええっと、おかあしゃまはとっても美人です!」

 

「ほほう」

 

 

 それは興味深いね。けど、それだけじゃあ分からない。もっと特徴を聞かないといけないや。

 

 

「えっと、他にはないかな?」

 

「ええっと、おかあしゃまはお料理も上手で、いつもおいしいご飯を食べさてくれたり…」

 

「あ~、そうじゃなくってね」

 

 

 ええっと、どう言えばいいかなぁ…

 

 

「あ、そうだ。お母さんの名前は?それが分かれば放送で聞けるよ」

 

 

 ちょっと勝手に聞くのは悪い気がするけど、この場合は仕方ないと思う。早く娘さんと会えた方がお母さん的にも嬉しいだろうしね。

 

 

「あ、はい!ええっとですね…」

 

 

 そこで彼女は少し考え込んだ後に、あ!と思い出した顔になって、

 

 

 

 

 

 

 

「おかあしゃまの名前は、八雲ら―」

 

 

 

 

『ちぇええぇえええぇえんっ!!』

 

 

 

「へ?」 

 

 

 どこかで、というか何回か聞いたことがある女の人の大声が後ろから聞こえてきた。

 

 

 

「貴様、橙に何をしようとしてるぅぅうう!!」

 

 

 振り向くと、黒いスーツの腕が僕へと迫ってき

 

 

「どぅおおぉおいっ!?(スカッ)」

 

 

 あっぶな!?間一髪でしゃがめて回避成功出来たけど!誰だ急に後ろからラリアットをかまそうとしてきた奴はっ!

 

 

 

「あっ!おかあしゃまー!」

 

「ごめんね橙!遅くなって!ああ!可愛い可愛い橙!」

 

「ありがとうおかあしゃま!でも、おかあしゃまもきれいだよーっ!」

 

「ううううっ・・・!!ありがとうねちぇ~~んっ!!」

 

 

 

 

「・・・え~と・・・」

 

 

 なんだこれ。

 

 

 あれ…というか、目の前でさっきまで話してた子に抱き着いてる人って・・・ウチの学校の女教師、八雲藍先生だよね?

 

 

・・・この状況から分かる答えは、ただ一つ。

 

 

「ひょっとして、君が八雲 橙ちゃん?」

 

 

 モンスターペアレント、【妖狐の藍】の異名を持つ八雲藍先生が三度のご飯より大事にしている娘さんが、橙(ちぇん)という名前の小学生。名前だけは知ってるけど、誰も見たことはないからそれが逆に話題の種になった女の子だったんだけど… 

 

 

「ふぇ?はい、私の名前は八雲橙です」

 

「そっか。へ~、君がか~」

 

 

 まさか実際に出会えるとは思わなかったな~。確かに眼元もお母さんの八雲先生にそっくりで、将来は美女になってそうだ

 

 

 ガシッ

 

 

「吉井。なぜ貴様が橙と一緒にいるのかを、事切れる前に説明してもらおうか」

 

「八雲先生。それだと僕に待っているのは、言う前にこの手で首を絞められるか言ってから首を絞められるかの二択なんですが」

 

 

 でも、こういうところはどうかお母さんと違うように育ってね橙ちゃん。

 

 

「おかあしゃま。このお兄さんはおかあしゃまを一緒に探そうとしてくれてたんだよ?」

 

「……なに?本当か橙?」

 

「うん!」

 

「そ、そういうわけなんです先生」

 

 

 あの、そろそろ空気がやばいのですが先生?タップタップタップタップ!

 

 

「…………橙に感謝するんだな(スッ)」

 

「ごほごほ!いや、感謝も何もきちんと正当な理由は言ったんですけどね!」

 

 

 僕が言うだけだったら解放されていなかったんだろうか。ある意味期待を裏切らない橙ちゃんへの溺愛っぷりだ。

 

 

「さあ橙。このお兄さんといると危ないから向こうに行こうねー?」

 

「先生、生徒を少しは信用してあげてください。僕は何もする気ありませんから!」

 

「黙れ。橙と結婚しようとした貴様の言う言葉に何の意味も価値も無い」

 

「まだあの嘘を信じちゃってるの!?」

 

 

 それにしても僕の扱いがむごすぎる!さっきから橙ちゃんに見せてる優しさのかけらでいいから、僕にも与えてあげて欲しいっ!

 

 

「?? 結婚?」

 

 

 僕たちのやりとりを聞いていた橙ちゃんが、結婚の話のところで首を傾げた。そりゃそうだ。そんな話はデタラメなんだから橙ちゃんが知ってるはずもないからね。

 

 

「そうだよ橙。このお兄さんは橙と結婚しようと言った悪い人なんだ」

 

「お願い先生!先生は仕方ないにしてもせめて橙ちゃんには誤解させないで!」

 

 

 小学生にまでロリコンって不名誉の称号を呼ばれたら、僕もう立ち直れない!事実僕は本当にロリコンじゃないんだ~っ!

 

 

「あ、あのね橙ちゃんそれは…」

 

「へ~。そうなんだ~…」

 

 

 橙ちゃんが僕を見上げてきた。ああ、だめだ。これで僕の心にまた深い傷が刻まれ―――

 

 

 

 

 

 

「――て、照れちゃいますっ!」

 

 

 

 

「へ?」

 

「…な…っ!?」

 

 

 え?今この子なんて言ったの?『照れちゃう』?照れちゃうって言ったの?

 

 

「ちぇ、橙みたいな子をお嫁さんにしてくれるなんて…お兄さんはお上手ですね!嬉しいですっ!」

 

「え、あの、橙ちゃん?」

 

 

 待ってほしい。今、僕の想像の直角上(すぎる展開が起こってしまっている気がするんだけど。

 

 

「も、もしもお兄さんが良いんだったら…」

 

 

 もじもじしながら僕を見上げてくる橙ちゃん。やばい、僕の脳がメーデー!メーデー!と警告アラームを響かせ続けている。

 

 このまま続けられたら、僕は死ぬ気がする。社会的にと・・・肉体的に。

 

 

 

「橙ちゃんストッ――!」

 

 

 しかし、そのストップは間に合あなかった

 

 

 

 

 

「ちぇ、橙を、お嫁さんにして欲しいぐらいでしゅ!!」

 

 

 

 ガッッシイッ!!ボギボキボキィッ!!

 

 

 

 終わった。どうやら橙ちゃんの可愛らしい言葉が、最期に送られる言葉になるみたいだ。

 

 

 

 

「・・・あの、八雲先生。無駄だと思うんですけど、いやもう無駄だって分かってるんですけど、一応言わせてください・・・・先生に握られた肩が凄い悲鳴をあげてるんで、緩めてくれませんか?」

 

 

 バキャボキバキボキバキベギイッ!!

 

 

「・・・はい。むしろ強まるとはさすがに想像してない・・・というか、したくなかったです」

 

 

 もう汗が止まらないです。接骨院に行かなきゃいけないんじゃないかな?・・・この後、目が覚めれたなら。

 

 

「…橙?悪いんだけど、このくずお兄さんとやることが出来たから、少し一人で回っておいてくれないかな?」

 

「え、おかあしゃまは来ないの?」

 

「大丈夫。すぐに終わらせるから、すぐに追いつくよ。だから、ね?」

 

「わ、わかった!じゃあ行ってくる!」

 

「うん。ありがとう橙。はい、これで色々まわってきてね」

 

 

 橙ちゃんに手渡したのは光り輝く一万円。いろんなところを楽しむことが十分に出来る額だ。その気前の良さで、僕にも渡し賃をあげてほしい・・・

 

 

「ありがとうおかあしゃま!じゃあ、またねお兄さん!後で一緒にまわりましょう!」

 

「あはは。うん、機会があったらね~」

 

 

 満面の笑顔で僕に手を振る橙ちゃん。死地へ赴くのには十分な土産になったね。僕も汗を流しまくりながら、橙ちゃんに無事な手で手を振りかえした

 

 そして、橙ちゃんは前へと目を向けて、どこかへと走り去って行った。

 

 

 

 

「・・・・…」

 

「・・・・・・・・・(ゴキゴキゴキゴキ)」

 

 

 あまり人通りもない廊下。僕と八雲先生は無言になり、聞こえるのは八雲先生の空いている左手から聞こえてくる、異常なまでの骨の音のみ。

 

 

「………………先生」

 

「遺言か」

 

 

 遺言を聞くというのは、果たして慈悲深い行動と取るか残酷な行動と取るか。この際、深くは考えないでおこう。

 

 

 

 

「――橙ちゃん。良い子ですね」

 

「~~~~っ!!吉井明久ぁぁぁあああっ!!」

 

 

 その時の八雲先生は、溢れんばかりの涙を流していた気がした。

 

 

 





 お読みいただきありがとうございました!


 さあ!親バカ藍さんの式にして、その愛らしさから非常に人気のある八雲 橙ちゃんの登場でした!橙いるところに藍(乱)があり!不運にも明久にはそんな藍先生の餌食となってもらいました。橙ちゃんは全く悪くないのですが、タイミングが・・・!

 そして、幽香先輩は少々衣装を着てもらっての再登場なのですが、幽香さんには白いドレス姿も似合うと思ったので書いてみました!でも、一番いいのはやはり赤チェックの服かなと思いましたね!


 それではまた次回っ!
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