今回はレミリアやフランがFクラスへと入ってくる回です!さて、どんな風にFクラスのメンバーと関わるのか、はたまた関わらないのか!?
――ごゆっくりお読みください。
「2人とも、良く来たわね~。大丈夫だった?」
Fクラス前にて、私のクラスに来てくれたレミィとフランに確認します。見た感じは何も問題はなかったみたいですが、万が一ってことがありますからね!
「もちろんよ!私が案内したんだから大丈夫に決まってるわっ!」
「あらそう!偉いわね~!」
それに胸を張って答えたのはお姉ちゃんのレミィ。ふむふむ、ちゃんとお姉ちゃんとして頑張ったのね!よくできましたレミィ!
「え~?でもお姉さま・・・何回か道が分かんなくなってたでしょ?」
「ありゃ、そうなの?」
「うーっ!?フ、フラン~~っ!」
「あははは!まあまあ、無事で何よりよ2人とも!」
フランのちょっぴりからかい気味の暴露に、プチトマトみたいに顔を赤くするレミィ。いつもと変わらず、ほほえましいやりとりをしてくれていて安心安心!
「・・・って、あら。そう言えば2人とも、お友達と来るんじゃなかったっけ?」
昨日の晩御飯の時、確かフランがそんなことを言っていたような………いるのは2人だけ、ですよね?
「あ、えへへ。それが葉月と別れちゃったんだ~」
「あー、別れ………たらだめじゃないのそれっ!?」
ニコニコ笑いながら言うことじゃないよフラン!?せっかくなんだからその、〝はづき〟ちゃんという子と一緒に行動しなさい!
「まあ大丈夫!その内会えるよきっと!」
「……まあフラン達が良いのなら、私も何も言わないけど…いいの、レミィ?」
「……だ、だいじょうびゅよ!葉月とは必ずあえる運命よ、たぶん!」
「そ、そっか。運命か!じゃあ私は気にしないでおくわね?」
学校の中ではぐれた友達と出会える運命。それも自信無さげな言葉つき。こんなに可愛らしい運命って言葉の使い方もなかなかないでしょう。さすがはレミィ!私の心を揺さぶりますね!
「よしじゃあ2人とも、教室に入ろっか?せっかく来てくれたんだものね!」
教室の前で話し続けるというのもなんですし、何より2人は歩いてここまで来たんだから、疲れてる可能性もありますからね!ここは腰を下ろして、ゆっくりさせてあげないとね!
「もちろんよ!そのために来たんだからっ!」
「うん!入る入る!」
おっ!嬉しい顔してくれちゃって~~!そんな顔をしてくれるだけで私は大喜びなんだから!
私は笑顔の2人を背中に連れて、Fクラスの教室へと戻ります。
「おお、紅。風見先輩は帰ったのかの?」
「あ、ええ」
すると、扉のそばにいた秀吉君が幽香先輩が帰ったのかを尋ねて来ました。他の男子は何やらざわついており、ところどころで幽香先輩の名前が聞こえることから、幽香先輩の話で盛り上がってるとみて間違いないでしょう。
この2人になにかしたら、全力でぶん殴る心づもりでいた方が良いかもしれませんね。
「その代わりに、新しく2人が来店です」
「ん?」
「あ、秀吉だ!」
「ひ、久しぶりね秀吉っ!」
私の後ろからひょっこりと顔を出した2人が秀吉君を見つけ、秀吉君も2人を見ておお、と声をこぼしてつつ、笑顔で2人を迎えます。
「久しぶりじゃのう、レミリアにフラン。元気にしておったか?」
「うん!秀吉はどう!?」
「うむ。わしも体調管理はしっかりしておるから大丈夫じゃ」
「レ、レディーのたしなみって奴ね!?」
「こ、これっ!別に男でも体調管理はするのじゃ!」
「あう~っ!?」
わしわしとレミィの頭を撫でる秀吉君に、レミィはそれほど怯える様子はありません。どうやら、少なからず親しみを感じてくれているみたいです!レミィ!お姉ちゃんはとても嬉しいわよ!
「おおっ。可愛い2人だな」
「木下。お前の妹か?」
「やあ御嬢さん2人。良かったら俺と付き合わないかい?」
「結婚しないか?」
そんな秀吉君達三人に迫る黒い影・・・というか、Fクラスの男子達。全くもう!何をやってるのですか!?
「ちょっとちょっと!犯罪行為すれすれの言葉を吐いてるんじゃないですよ!ビンタしちゃいますよこら!?」
「全くじゃ。小学生に妙な事を言うでない。それに、この二人はわしの妹ではないのじゃ」
そうです!この二人の姉を務めさせてもらってるのは、私と咲夜さんと妹紅さんですよ!見たらわかるでしょうが!(※間違いなく分かりません)
「へ~。アンタ達!アタイの名前はチルノ・メディスンよ!アンタ達の名前を!?」
男子の魔の手を防いだ次に来たのは、元気いっぱいおバカな女の子。チルノです!チルノの大きな声に、少し二人は驚きつつも答えます。
「え……レ、レミリア・スカーレット、よ!」
「フランドール・スカーレットだよ?」
「よし!・・・エ・・・エネミー・バレットにブランドー・エキスパートね!?」
「ぜ、全然違うわよっ!」
「全然違うよ!?」
せめてどちらかの名前だけでも一致させてあげてほしかったです。
ここには敵の弾丸もありませんし、ブランドーのエキスパートもいません。というかなんですかブランドーって。どっかで聞いた名前ですけど、フランはそんなに怖くありません!こんなに可愛いじゃないですかっ!
「ええい名前がややこしすぎるのよさ!もっと簡単に言いなさい!」
「な、名前をこれ以上どう簡単に言えって言うのよぉ!?」
「チルノ~。レミィが困ってるからちょっと口を閉じましょうか~?」
「んむ~!?」
全く、小学生相手に何をやっているのですか。年上なんですから、もっと大人な対応をしなさいっての!
「おっ?レミリアにフランじゃないか。来てたんだな」
「あ・・・・。・・・2人、き、来たんだ…」
「あ、まりさにもこう!エプロン可愛いね~!」
「はっはっはー!当然だぜ!」
「……ん……ありがと…」
「も、もこうっ!な、なんだか元気ないけど、大丈夫?」
「………ん。一応、これで……普通なんだ…」
「そ、そうなの?本当?大丈夫っ?」
「ああ。………でも……ありがとな……心配してくれて」
同じくウエイトレスだった魔理沙と厨房の妹紅さんもやって来て、2人と会話を膨らませます。妹紅さんはレミィと話して、儚げながらも笑顔を浮かべています!め、珍しいですね!?レミィとそんなに仲が良かったのでしょうか!?
「…幼女2人…売れる・・・っ!!(カチャ、パシャ)」
「ひぃっ!?」
「え?」
「はい速攻アウトですよこら~(ヒョイ)」
「……!?俺の、魂・・・っ!!」
そんな楽しそうなレミィ達の笑顔を奪ったスケベカメラマンの武器を、私は遠慮なく取り上げます。ほ~、カメラは良く分かりませんが、結構良さそうなのですねー。先ほど一台幽香先輩に粉砕されていましたけれど、それも高い奴だったのでしょうか?土屋君の財布事情が少し気になりました。
「全くもう、それだったら私や魔理沙とか秀吉君の写真をとりなさいな。それって下手しなくてもお縄につきますよ?」
「……紅。お主ら女子二名の中に、藤原ではなくわしの名前が入っていた理由を聞かせてもらおうかの?」
「え?だって、妹紅さんより秀吉君の方が写真を撮られたりするのに慣れてそうじゃないですか?」
妹紅さんは絶対そういうのは嫌いでしょうからね~。私も慣れてるってわけじゃないですけど、レミィ達の代わりなら喜んで撮られますし、魔理沙はそういうのも嫌いじゃなさそうですしね!
「…そ、そういうことならいいのじゃ」
否定しないという事は当たりのようです。さすが演劇部ですね。
「・・・・・・俺の相棒、返せ・・・!!」
「…はあ。じゃ返しますけど、変な物は撮らないでくださいよ?」
盗撮をするのもダメですけど、人の物を盗るのもあまり良くありませんからね。私は必死になっていた土屋君の意を汲んで彼にカメラを返しました。
「(パシャ)・・・・善処する」
「言う前に撮りましたよね今?」
たぶんレミィ達の方向です。返したのはやっぱり失敗みたいでした。
「ところでレミリア。お前らがいるってことは、勇儀のおばさんもいんのか?」
「ううん。母さんは来てないわよ」
「………勇儀は今日、仕事だ…」
妹紅さんは母さんをかなり慕っていて、母さんが来ないという事に目に見えるぐらいにしょぼんと肩を落とします。
ま、まあまあそんなに気を落とさず!母さんも隙をぬって来るかもしれませんから!
『ん~んん~んーんっんんん~………いやはや、やっぱり学祭の雰囲気はいいもんだ。さて、あいつらの教室はどこかねぇ――』
「では、お主たち二人で来たのかの?」
「ん~ん。友達の葉月も一緒だよ!」
「んむ?じゃが、それらしき影がないぞい?」
「それが、なんだかその子とはぐれちゃったみたいなんですよ~。ダメよ2人とも、しっかり見てないと」
「む、でも葉月が『バカなお兄ちゃん!』って人を探しに行ったのが悪いんだもん」!
私はぽんと二人の頭に手を置くと、フランが少し不満げに答えます。ん~、まあそれだと2人だけが悪いってわけじゃないですかね――
「・・・って、〝バカなお兄ちゃん〟?」
はて、その言葉はいつか聞いたことがあるような・・・?
『お兄さん、すいませんです』
『いや、気にするなチビッ子』
『チビッ子じゃなく――ですっ』
おや、坂本君が召喚大会から戻ってきたいです。廊下から彼の声と、小さな女の子の声が聞こえてきました。
「雄二が戻ってきたようじゃな」
「みたいですね。なんか、女の子を連れてきてるみたいですけども」
ひょっとして、私みたいに妹でも連れてきたのでしょうか?
「あ、葉月の声だ!」
「あ、そうなのフラン?」
「うんっ!!」
そんな私の疑問を、フランが解いてくれました。でも、どうして坂本君とフラン達の友達の葉月ちゃんが一緒なんでしょう?偶然道で出会ったとかですかね?
『んで、探してるのはどんな奴だ?』
そして、ガラリと扉を開けて坂本君が入ってきました。が、〝葉月ちゃん〟の姿は坂本君に隠れてか全く見えません。フラン達と同じく、だいぶ小柄のようです。
『お、可愛い子だな~。ねえ、五年後にお兄さんと付き合わないかい?』
『俺はむしろ、今だからこそ付き合いたいなぁ』
そんな声をかけながらクラスの男子達が集まり始めました。最後の奴!それは完全に犯罪ですよ!
「葉月~どこに行ってたの?勝手にどこか行ったらダメじゃん!」
「あっ、フランちゃん!」
そんな中に、フランがとことことマイペースに近づいて葉月ちゃんへと話しかけ、ツインテールな女の子、葉月ちゃんがぴょこんと坂本君の後ろから首を出しました。
「ひどいですフランちゃん!葉月がバカなお兄ちゃんを探してるうちに先に行っちゃうなんて!」
「え~、だって葉月の探し方は、一緒にいる私たちが恥ずかしかったもん!」
「そんなことないですっ!そのおかげで葉月はこのお兄さんに案内してもらったんです!」
「でも、お姉さまだって顔を真っ赤にして『フラン、さ、先に行こっ?』って言ってきたんだよ?」
「フフフランッ!!?それを言ったらダメッ!」
「ほほう・・・レミィ、後でお姉ちゃんとお話ね~?」
「・・・う~~っ!!」
よもやレミィが原因とは・・・。もう少し人見知りが無くなってくれたら、私は嬉しいんですがねぇ?
「あっ!力持ちのお姉さんですっ!」
「ん?」
フランと言い合っていた葉月ちゃんですが、急に私を指さして、そんなことを言いました。
「・・・え~と?ひょっとして、私のことかな?」
「はいです!」
んん?初対面・・・ですよね?
「葉月ちゃん。お姉さんとどこかで会ったことがあるかな?」
「はい!さっき、お姉さんが男の人2人を運んでるのを見ましたです!」
「あ、なるほど」
三年生コンビを保健室に運んでいるときですか。確かにたくさんの人とすれ違いましたから、葉月ちゃんが私を目撃していてもおかしくないですし、『力持ち』っていう形容詞がつくのも当然なのかもしれません。
ど、どうせならもう少し女の子らしいのが良かったですけど、仕方ありませんね。がっくり。
「じゃあ、葉月ちゃんはどうしてここに来たの?」
レミィやフランと合流できたのは偶然でしょうし、さっきの坂本君の言い方だとFクラスに目的の人物がいるのはまず間違いないでしょう。いったい誰に用が・・・?
「あ、はい!葉月はお兄ちゃんを探しているんですっ」
ふむ、お兄ちゃんですか。一体どの男子なのでしょう?
「そうか。そのお兄ちゃんの名前は分かるか?」
「あぅ・・・わからないです・・・」
「え?」
名前が分からない・・・てことは、家族ではない?
「家族の兄じゃないのか?それなら、何か特徴は?」
坂本君はそれでも探してあげようとしています。意外と子供好きなのでしょうか?ひょっとしたら坂本君が葉月ちゃんと一緒に行動していたのも、それが理由なのかもしれません。
「えっと……バカなお兄ちゃんでした!」
「た、確かにそれも特徴の一つだけども!?」
葉月ちゃんから出されるそんな悲しすぎる特徴。バカなお兄ちゃんさん、苦労されてるんですね。
・・・しっかし、いつ聞きましたっけそれ?確かに聞いたことが・・・
「そうか・・・…」
葉月ちゃんの言葉を吟味し、坂本君は該当する人物へと目を向けます。
「・・・たくさんいるんだが?」
・・・・・・皆さん、否定をできない私を許してください・・・
「あ、あの…そうじゃなくて、その・・・・・・」
「あ、もしかして他にも特徴があるの葉月ちゃん?」
ひょっとすればそっちの特徴で誰か分かるかもしれません。他にどんな特徴がある人なのでしょうか?
「その・・・・・・すっごくバカなお兄ちゃんだったんです!」
『吉井だな』
「吉井だぜ」
「よしーね」
「……ひどい、けど否定が出来ない…!」
思わず瞳をぬぐう私でした。これが〝お兄ちゃん〟じゃなくて〝お姉ちゃん〟だったら チルノって断言してたんですけども!
「ん?その明久はどこにいるんだ?」
「へ?どこって、坂本君は一緒に召喚大会に行ってたのでは?」
「ああ。んで、勝負が終わって先に帰らせたはずだが」
「んん?でも2人が行ってからは私、見てませんよ?」
他の皆も教室を見渡したり首を振ったり。どこへ吉井君は行ったのでしょうか?
「あれ?葉月じゃないの」
「あ、ご苦労様です瑞希さん島田さん。勝負はどうでしたか?」
思い当たる行き先を考えていると、葉月ちゃんの名前を呼ぶ女子の声が新たに加わってきました。同じく召喚大会に行っていた島田さん達です。
「はいっ、勝てましたよ美鈴さん!」
ぐっと拳を握る瑞希さん。ああ、癒される仕草ですね~♡その純粋さがうらやましいです!
「あっ、お姉ちゃん。遊びにきたよっ!」
?お姉ちゃん?葉月?あれ、そう言われるとこの2人・・・…
「ひょっとして、2人は姉妹ですか?」
「うん。ウチの可愛い妹よ?」
やっぱりですか。活発的な雰囲気も似ていますし、何より少し勝気な眼もそっくりです。そうでしたか~。島田さんに妹がいたとは知りませんでしたよ!
「あう。お姉ちゃんも葉月の大好きなお姉ちゃんですっ!」
「嬉しいわ~!ありがと葉月っ!」
ああ、妹の葉月ちゃんに嬉しそうに抱き着く島田さんが羨ましい・・・!レミィとフランはさせてくれますけど、咲夜さんには全く出来ていません!私も島田さんみたいに、咲夜さんにハグが出来たらな~!
「あ、あの時の綺麗なお姉ちゃん!ぬいぐるみありがとうでしたっ!」
「こんにちは葉月ちゃん。あの子、可愛がってくれてる?」
「はいですっ!毎日一緒に寝てますっ!」
「良かった~。・・・教えてくれたアリスさんに、またお礼を言わなきゃ・・・!」
すると、瑞希さんとも葉月ちゃんは楽しそうにそんな会話をし始めました。
??瑞希さんも葉月ちゃんとは知り合いだったんでしょうか?何やら人形とか一緒に寝てるとかアリスとか言ってますけど。何があったんでしょうかね?
「あのっ、きれいなお姉ちゃん!バカなお兄ちゃんを知りませんかっ?」
「えっ?」
「え、アキのこと?葉月、なんでアキのことを知ってるの?」
「島田さん、今ので吉井君ってよく分かりましたね?」
今の言葉で吉井君と分かるあたり、あなたも色んな形で彼の事を思ってるんですね…
そんな吉井君への評価が分かっちゃう島田さんの言葉に、葉月ちゃんは満面の笑顔で答えてくれました。
「うん!だって将来バカなお兄ちゃんと結婚することになってるんだよ、お姉ちゃん!」
へー、ケッコンねえ~~~・・・・・
『って結婚んんんっ!?』
ちょっとちょっとちょっと!?ええええ~~っ!?
吉井君、あなたの考えが本っ当に分からなくなってきましたよぉ!?恋人どころか婚約者って!瑞希さんが衝撃のあまりに口をぱくりと開けて真っ白になっちゃいましたけどおお!?
「ま、待って葉月!?それって冗談よね!?」
「そそ、そうです葉月ちゃんっ!それって嘘ですよね!?どうか嘘と言ってくだしゃいいいいっ!!」
島田さんが妹を心配する姉の立ち位置で葉月ちゃんに声を荒げ、瑞希さんが恋する乙女の立ち位置で、半べそをかきながら葉月ちゃんに縋りつきます。2人とも、これまでにないほどの必死さです!
それに対して葉月ちゃんは、
「え?う、嘘じゃないです本当ですっ!葉月、ファーストキスもあげましたっ!」
「ぶっ!?」
さらなる火種をぶっこんできました。
「ま、まじですか葉月ちゃん!?」
「はいです!ちょ、ちょっと恥ずかしかったけれど、ちゃんとしましたですっ!ホ――タに!」
「・・・・アキ、しばくっ!」
「しくしくしく・・・」
「うお!?みずき、大丈夫なの!?ってアタイがいれば大丈夫よねっ!」
それに引火され、島田さんは憤怒の表情で好きなはずの吉井君へ攻撃宣言し、瑞希さんが顔を覆って沈み込むのをチルノが自己完結しながらも慰め始めます。普段は暴走するチルノを瑞希さんがなだめているのを見ているだけに、実に新鮮な光景です。
「やるな吉井!あいつ、意外とモテる奴だったんだな!」
「・・・・あいつ・・・小学生に、何やってんの………?」
興奮気味の魔理沙に対して、非常にドン引きした態度を見せる妹紅さん。ある意味、妹紅さんの本音を思い切り引き出す役目を買ってくれてありがたいですよ吉井君!!
「坂本っ!アキの奴はどこにいんのよ!?」
怒髪状態の島田さんが、召喚大会で吉井君とペアーである坂本君へと所在を問い詰めます。八雲藍先生に通じる何かを今の島田さんからは感じます!こわっ!
「い、いやだな島田!さっきも言ったが、俺も別れてからはどこにいるかは―!」
ガラッ
「ただいまー・・・」
『!』
そんな消えそうな声が、坂本君が『知らない』と言い終わる前に聞こえてきました。
その声に真っ先に反応するのは当然、修羅と化した島田さんです。
「アキィ!あんたなに人の妹・・・に・・・・え?」
噛みつきそうな勢いの島田さんでしたが、なぜか、その勢いはしだいになくなっていきました。
「?どうしました、島田さ・・・ん、んんんん・・・!?」
そちらを見て、私も思わず目を疑いました。
「・・・よ、吉井。一体どうしたんだぜ?」
「あ、明久・・・俺と別れてから、お前は何を体験したんだ?」
「よ・・・吉井君・・・?」
魔理沙と坂本君、瑞希さんももぎょっとした顔で、戻ってきた彼、吉井君を凝視します。
そんな私たちの内に思ったことを、この二人がはっきり言ってくれました。
「よしー。あんた、すっげーボロボロなのよさ」
「…ぼろぼろ…すぎだろ・・・・・・?」
チルノ、妹紅さんの言う通り、吉井君は島田さんにしばかれるまでもなく、顔、体となぜかぼこぼこになっていました。サ、サンドバッグでもここまで殴られたりはしないのではと思うんですけどね!?大丈夫なんですかちょっと!?
「あ~・・・うん。ちょっとしたことがあってね~」
ちょっとしたことでそんな状態になってたまりますか!見てるこっちが痛くなってきそうですよ!
「あ!バカなお兄ちゃ~ん!!」
そんな中でも葉月ちゃんはマイペース。吉井君に嬉々としながら駆け寄りました。
「ん?・・・あっ!あの時のヌイグルミの子かあっ!」
腫れた顔に驚いた表情を浮かべながら、吉井君が葉月ちゃんのことをそんな風に呼びました。よく分かりませんけど、どうやらぬいぐるみのことで何かあったみたいです。
「ヌイグルミの子じゃないです!葉月です!」
「そっか、葉月ちゃんか。でも、どうしここにいるの?」
「はい!お姉ちゃんに会いに来るときに、バカなお兄ちゃんとも会いに来たんですっ!」
「あ、なるほどね。でも、てことはここにお姉ちゃんが?」
「ねえアキ。なんであんた、葉月の事を知ってるの?」
吉井君の疑問にかぶせて島田さんが尋ねます。吉井君のボロボロ状態を見て、すっかり怒りは消滅しています。
「あ、うん。前にちょっとね。美波こそ知ってるの?」
「知ってるも何も、葉月はウチの妹よ?」
「えっ?そうなの?・・・あ、でも眼とか顔とかそっくりだ」
「でしょ?」
「あと・・・うん!2人はやっぱり姉妹だね!」
「オイこらアキ。あんた今どこ見て判断したのよ、ねえ?」
「ま、まあまあ島田さん!今吉井君はボロボロですからここは穏便に!」
再び発火。き、きっと島田さんのウエストの細さを見てたんですよ!けっして胴体の正面を見ての判断ではないはずです~~!!
「じゃあ、そこにいる2人もひょっとして美波の妹?」
そんな島田さんの怒りの確認もなんのその。吉井君は、成り行きを見守っていたレミィとフランを指さしてそんな的外れたことを言いました。こらこら!一目で私がお姉ちゃんって分かるでしょーに!(※何度でも言いましょう。絶対に分かりません)
「へ?ううん、違うわよ?葉月の友達・・・よね?」
「うん!フランちゃんと、お姉さんのレミリアちゃんだよ!」
「へ~。ハロハロー、ウチは葉月のお姉ちゃんの美波っていうの!よろしくね~?」
島田さんがしゃがんで、レミィとフランの背丈になって向かい合います。怒っているときとは打って変わってとっても朗らかな笑顔です!
「よ、よろしくみなみ!あなたのことは葉月から聞いてるわ!」
「あ、そうなの?」
「うん!お胸は小さいけど、とっても優しいお姉ちゃんってね!」
「こはぅっ・・・!!?ははっ、葉月~~っ!?あんたウチのことをどう言ってんのよ~~!?」
「にゃ~っ!?」
ぐしゃぐしゃと葉月ちゃんの頭を雑に撫でる島田さん。例え妹でも許せないことはあるみたいでした。まあそれはともかく、ここはびしっと言わせてもらいましょうかね!
「え~とですね皆さん。この二人は私と咲夜さんと妹紅さんの妹ですよ!」
言わなくても分かってくれてると思いますけども!ここは念のためです!
「ウソだね」
「ウソだな」
「ウソね」
「ウソなのよさ」
「……私、初耳なんだけど・・・」
「皆さんひどいです!?」
どうやら四人の目はおねむになってるみたいですね。あと、妹紅さんはそこはあわせて!事実と言えば事実なんですから!
「あっはっはっはっ!もはやそう返されるのがお約束だな美鈴~!」
だまらっしゃい魔理沙!きっと一目で分かってもらえる日がきますっ!(※おそらく来ません)
「いや、四人とも。紅の言っておることは本当じゃぞい。この2人は紅達の妹じゃ。のう?レミリア、フラン」
ナイスアシストです秀吉君!やっぱり秀吉君は分かってくれますよね!(一度会って知っているからであり、最初は驚いて、分かっていませんでした)
「そ、そうよ!」
「うん。そうだよ!」
あうう!2人とも胸を張ってくれて言ってくれて、お姉ちゃんは嬉しいよ~~!!
「あっ。美鈴さん、ひょっとして咲夜さんが言っていた二人の妹さんって、この二人のことでしょうか?」
「あ、多分そうですよ!」
そう言えば瑞希さんと初めておしゃべりした時も、咲夜さんから私の事を聞いて知っていたんですよねー。だったらレミィ達の事も知ってて当然ですか!
「やっぱりですか~。初めまして、お姉ちゃん、姫路瑞希っていうの。二人の事は咲夜さんに聞いてるよ?」
ニコリと安心する笑顔を浮かべる瑞希さん。さすが、チルノのお母さん的な役割を果たしてるだけありますね!
「・・・(じ~~)」
すると、フランはその明るい笑顔に目を奪われたのか、瑞希さんを凝視して目を離しません。分かりますよフラン!瑞希さんってすごい可愛いですものね!咲夜さん達やあなた達にも劣らないのではないでしょうか!
「初めまして!フランちゃん、かな?よろしくね!」
瑞希さんが笑顔のまま、手を差し出してフランと握手をしようとしました。さ、フラン!瑞希さんが握手を求めてるんですからちゃんと握手するのよー!
「……うん!(スッ)」
私と瑞希さんの思いが届いたようで、フランは手を差し出して瑞希さんの手へと持っていきます。よしよし!よくできたねフラン!きちんと礼儀を守ってくれて、私はうれし――
モニュン
「わ~。大きいお胸だね~!」
「・・・は・・・・ふぇっ?」
『・・・ぶばふっ!?』
・・・なぜか、フランの手は瑞希さんの手を掴まずに、その先の瑞希さんの、豊かで女性のシンボルとも言える胸に・・・って!
ななっ、なんちゅうことをこんな大勢の前でやってるのよフラーンッ!?
「ちょ、フ、フランッ!?」
「・・・は、はううっ!?お、お、お胸の事は気にしてるからあ、あ、あんまり言わないでほしい、かかかかな~?」
あ、ああ申し訳ない瑞希さん!そんなに顔を赤絵の具みたいにさせちゃって!どうか妹を許してやってください~!!
「あ!じゃあ咲夜と一緒だね!」
!?ちょ、そこで咲夜さんって!!?あなた何を言おうと――!?
「え、さ、咲夜さんですか?」
「うん。咲夜もよく、自分のお胸を見て溜息をついてるよ?」
『………………』
「……そ、そ、そうですか~。ア、アハハハハハ・・・・・」
「あ、あ、あはは、あはは……」
今のを咲夜さんが聞いてたら、間違いなく激昂してましたね。下手すればフランを止めなかった私の命、およびそれを聞いた人の生命がやばいことになるかもしれません。
「ううぅう、うぐっ、えぐっ・・・!分かる。ウチには分かるわその気持ちが、十六夜ぃ~~・・・!」
「お、お姉ちゃん、大丈夫?どこか痛いの?」
何を感じたのか、島田さんが両手で顔を覆って号泣し始めます。私の勘が話しかけたらだめだと警鐘を鳴らしてますから、それに従いましょう。
私のやることは――
「フゥゥゥラァァァアンンンンっ!!?」
「あだ!?いだいいだい美鈴痛い~~!!」
咲夜さんのトップシークレットをばらしたこの妹に、罰を与えることでしょう。今回は加減しないわよ~~!?
「??皆、何を慌ててんのよさ?胸がどうしたのよ?」
「さあ。・・・・どうでもいいことだろ……」
「おお。さすがねもこー。あんただけはアタイと同じくはしゃいだりしないで、大人なのよさ」
「………私は、初めてお前が大人びて見えたよ………チ、チルノ」
「べべっ、別にこ、子どもじゃなくて、レディーだって求めるぜ!お前らがおかしいんだよバカァッ!!」
『なかなか盛況していますね。西村先生』
『そうですな。しかし、それに着け込んで良くない事を起こす者もいますから、気を付けてください、高橋先生』
『ああ…そういえば、Fクラスの吉井君、坂本君、霧雨さんが色んなところから机を強奪していったそうですね』
『……それにつきましては、本当に申し訳ない・・・。今はお客も来ていたので、あのバカ共に強くも言えず…!』
『いえ、西村先生は頑張ってます。そんなに気になさらないでください。私のクラスにも少し、似た子たちはいます』
『ほう?それは本当ですか?』
『ええ。博麗さんと木下さんという女子なのですが、この二人の仲が凄まじくて…担任としては、皆が仲よくしてほしいものなんですが…』
『それはなんと・・・ですが、喧嘩をするのが悪い事ではありませんと思いますな、高橋先生。喧嘩をしてこそ絆が強まるということもある』
『そのようなもの、でしょうか?』
『私も同感だね。互いが認め合ってるからこそケンカをすることもあるものさ』
『ふむ。なるほ………………え?』
『ん?』
『よっ。久しぶりだね、洋子』
『む?あなたは?』
『失礼。この高橋洋子の友人で、ここの学園に娘がいる、ただの保護者さ。ちょっとだけ時間が出来たから、せっかくだから来たんだよ、先生さん』
『……………………』
『そうでしたか。それは失礼しました…………む?高橋先生?・・・高橋先生?』
『ん?おいおい洋子。私を見た途端にだんまりになって大量に汗を流し始めるなんて、友達に対してひどい奴だねえ。もっと嬉しそうに歓迎をしてやるってのが人情だろ?』
『…………あ』
『ん?』
『む?』
『………あ、あな―は…』
『『あな?』』
『・・・あっ、あ、あああなたはなんでそうやって!いつもいっつも!!前触れもなく姿を現すのよおおおおおっ!!』
『!?・・・た、高橋先生?』
『・・・あ~、洋子。あんたまだ、そのヒステリックな性格が治ってないのか?悪くはないんだけど、あんまり怒鳴りすぎるのも良くないと思うがねえ・・・』
『だっ、誰が原因なのよ!!この破天荒バカァァっ!!』
はい!お読みいただきありがとうございます!
今回はちびっこトリオが中心となって、ワイワイとにぎやかな話を作ってみました!純粋というのは一つの武器となるのかもしれませんね~。あれが明久とかだったら血が出ていましたね!
で、最後に出てきた高橋先生。完全にキャラが崩壊させてしまいました!
でも、皆さんもないでしょうか?新しい環境にて丁寧口調でいたのに、昔の友人が来たので親しげな話し方に戻ることは!
高橋先生も、彼女(自分では名前を出しておられませんので、あえて『彼女』と呼びます。)とはそれだけ強烈で、深い仲の人物だったために、あのように過去の話し方へとなったわけなのです!鉄人も周りにいた生徒も、さぞかしびっくりしたことでしょうね!
それではまた次回っ!たぶん次回も喫茶店側の話です!