バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!

 さて今回なのですが、前にもどこかで言ったと思うのですけど・・・・申し訳ないっ!原作の内容といことで一部、いるであろう間の話をとばさせてもらいました!原作を知らない方、まことにすみませんっ!

 いちおう最後の後書きの方で、かなりざっくりとですがその流れを書かせてもらいましたが、やはりわかりづらさはあると思います・・・。どうか勘弁してやってください~!

 どうか、皆様に不快な思いをさせないような内容であれと願って……


――ごゆっくりお読みください。




取引―買収、行為がここまでひどいものだと思わせることはめったにないと思うなあ…

「ところで、この客の少なさはどういうことだ?」

 

「メ、美鈴もう言わないから離して痛いったら~~!!」

 

 

 坂本君が教室を見渡してそう尋ねてきました。おおっと、フランにお仕置きをしてたらすっかり忘れてましたね!

 

 

「あ、さっきから急に来る人が少なくなったんですよ」

 

 

「あいだ~・・・!美鈴のバカッ!嫌いになってやるもん!」

 

 

 解放されたフランのそんな絶交宣言。はっはっは!それぐらいでうろはえる私じゃありませぐしゅっ。・・・これはあれです。あくびとはなかぜでずっ!

 

 

「あっ。そう言えば葉月、ここに来る途中でFクラスさんのことを悪く言ってる人を見ました!」

 

 

 その答えは意外にも、われわれ高校生組からではなく、小学生の葉月ちゃんから出てきました。

 

 

「ん?そうなのか?」

 

「はいです!たぶん、力持ちのお姉さんが運んでた2人でしたっ!」

 

「え?ほ、ほんとですかそれ!?」

 

「はい!」

 

 

 さ、さっき秀吉君が心配していた通りというわけですか。全くもう!なんでそこまでして2-Fクラスを下げますかねえ!?何か恨みでもあるのかという話ですっ!

 

 

「え~っと、それってつまり、ルーミアさん達と勝負が終わって戻った時に、美鈴さんがかついでた2人だよね?」

 

「そうなるな。紅。そいつらの名前とかは分かるか?」

 

「え~とですね。確か頭が坊主さんの方が夏川で、モヒカンみたいな髪型の方が常村、だったと思いますよ?」

 

 

2人が呼び合っていたのを聞いただけなので間違っていないとは言えないんですけど、もう髪型で覚えた方が早い気もします。

 

 

「夏川と常村・・・面倒だから、常夏コンビとしておくか」

 

「ぷっ。なかなかうまいじゃないか坂本。座布団一枚だぜ」

 

 

 坂本君、実に覚えやすい呼び方をありがとうです。

 

 さて、さっきので止めてくれると思っていたのですが…どーも先輩方は反省という事を知らないみたいです!ここはもっとびしっとボコッと言ってやらないといけませんね!

 

 

「・・・って、そろそろ召喚大会の時間じゃないですか私」

 

 

 さっき終わったばかりだというのに、時間というものは短いものです。今すぐ常夏コンビさんを探してとっちめるのは無理ですね。

 

 

「すいません皆さん。私また、そろそろ召喚大会の時間ですので、抜けさせてもらいますね?」

 

「あ、うん。じゃあその常夏コンビのことは僕たちに任せて!」

 

「力持ちのお姉さん、どこかに行っちゃうですか?」

 

「はい。ちょ~と別のお仕事がありましてね!」

 

 

 お仕事と言うよりお遊びに近いんですけど、ここはちょっとかっこつけて言いましょう!

 

「そうなんですか!頑張ってくださいです!」

 

「はい!頑張ってきますね~!」

 

 

 まあまあなんて良い子でしょう!感激の証のハグですよ~!!

 

 

「はふぅ・・・。お姉さんは、お姉ちゃんよりお胸が大きいです~…」

 

「・・・美鈴んんっ!ウチをこれ以上辱めるんじゃないわよぉぉぉ!」

 

「えええっ!?わ、私何も言ってませんよ!?」

 

「ゥゥゥ~・・・!ウ、ウチもまだまだ成長するもん…!!」

 

「そうだぜ美波、私らはまだまだ成長期だ・・・っ!!」

 

 

 え~と、ハグをすることって何か罪でしたっけ?理不尽さを感じながら、私は教室を出て行きました。(以前、咲夜さんに抱き着いただけの愛子をしかったあなたが言いますか・・・)

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの2人とも!元気を出してくださ」

 

「敵に贈られた塩なんか受けないわよっ!」

 

「そうだそうだ!敵は黙ってろい!」

 

「ひい!?ど、どうして私が敵になってるんですかー!?」

 

「まりさ…みなみ・・・敵と味方が分からなくなるなんて、ついにあんた達もバカになったのね…」

 

「!!?あ、あああんたが言うなチルノー!」

 

「やべえっ!吉井が普段メチャクチャ反論してる気持ちがスゲエ分かった!と言うか!お、お前も私らと同じじゃねえかチルノっ!」

 

「?何がなのよさ?」

 

「な、なにって・・・ここよ!ここっ!」

 

「・・・はん?胸が何よ?」

 

「な、何って・・・お前!胸だぞ!女の魅力の一つでもあるんだぞ!そこがないなんて、私らは涙にぬれるしかないだろ!」

 

「・・・落ち着きなさいあんた達。身長ならわかるけど、たかが胸ぐらいで騒いでたら、本当にバカになるわよ?」

 

「!??お、お前本当にチルノか!?今、これまでにないほど冷静じゃないか!?」

 

「チルノじゃないっ!こんなに大人びて冷静なチルノは、チルノじゃないわよーっつ!」

 

「・・・はあ。落ち着きなさいあんた達。最強のアタイが話ぐらい聞いてあげるのよさ」

 

 

「「も、ものすっごい腹が立つ(な)(わね)っ!?」」

 

 

 

 

「は、はわわわ・・・!チ、チ、チチルノちゃんがすごく頼りに見えます…!!な、何かの前触れでしょうか・・・!?」

 

 

「・・・あんたも・・・意外とひどいな・・・」

 

「はう!?も、妹紅ちゃん!今のは聞かなかったことにしてくださいーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~と、次の勝負科目は現社(現代社会)でしたっけ?」

 

「ええそうよ。点数に自信は?」

 

「まあまあありますね。と言っても、勝つかどうかは相手しだいなんですけどね」

 

「そう。ともかく行きましょう」

 

「はいよ~」

 

 

 は~、できることなら楽して勝てる相手だと嬉しいんですけどねぇ。

 

 レミィとフランのことは、教室を出るときに妹紅さんや瑞希さん達に任せてきました。一緒に来たがってたんですけど、さすがにそれは無理でしたので妹紅さんや瑞希さんにお願いしてきました。

 

 けど、大丈夫でしょうか?・・・主に魔理沙やチルノ。あの2人がおバカなことをしなければ良いんですけど・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「げっ!?お、お前かよ紅美鈴!?」

 

 

「ん?」

 

 

 そして、ステージに到着し、真っ先に聞こえたのはそんな嫌そうな声。

 

 

 

 

「ああ。根本君ですか」

 

 

 待ち構えていたのは、Bクラス戦の時に色々としでかしてくれたBクラス代表の根本恭二君と、ペアーらしき強気そうな女子人でした。そ、そんな警戒しなくても何もしませんよ~!

 

 

「紅美鈴っ!あんたよくも、人の彼に手を出してくれたわねっ!?」

 

「は、はいっ!?」

 

 

 その要望もむなしく、急に隣の女子にケンカ腰で睨まれました!?か、彼?ってことは・・・

 

 

 

「咲夜さん。ひょっとして彼女が小山さんですか?」

 

「そうよ。なんでも根本恭二の彼氏だそうよ・・・…少し見る目がないようね」

 

 

 さらっとひどいことを言う咲夜さんでした。う~ん、手を出したと言われましても、あれはしっかり理由があってのことですし、そもそもその言い方だと、私が根本君を誘惑したみたいですから勘弁してほしいですねー。鳥肌が立ちます!

 

 

 

「…ところで、手を出したって美鈴・・・あんな男に興味があるの・・・?」

 

「いえ、全くありませんよ?実はかくかくしかじかでして――」

 

「ちょっと!何こそこそ話してんのよ!?さっさと準備しなさい!」

 

 

 何やら誤解をしてしまった咲夜さんに、Bクラス戦の時に彼がしでかしてくれたこと。そしてそれに対して私がけじめをつけさせてもらったことを説明しました。とりあえず小山さんの言葉は右から左です。まずは咲夜さんの極めて失望しましたって顔を止めてもらうのが最優先!

 

 

 そしてしばらくして、説明終了。なんとか咲夜さんは誤解を解いてくれました。

 

 

 

 

「・・・ほー。瑞希の手紙を脅しに・・・?」

 

「は、はい。で、瑞希さんも泣きそうになっていたから私も怒っちゃったんですが…」

 

 

「・・・へえ………根本恭二、くずね」

 

 

 代わりに、根本君に溢れんばかりの怒気を滾らせ始めました。あ、これはやばいですね。どうも逆鱗に触れちゃったかもしれません。

 

 

「美鈴。あなたは何も悪くないわ。・・・…むしろ、人の気持ちを踏み躙る奴にはぬるすぎる罰ね」

 

「さ、さすがにそこまでは厳罰すぎると思いますよ!?」

 

 

 根本君。今からあなたは地獄を見ることになるかもしれません。どうか耐えてください・・・!

 

 

「小山さん」

 

 

 すると、根本君ではなく、彼女の小山さんに咲夜さんは声をかけました。あれ?どうする気でしょう?

 

 

 

「は?何よ?十六夜」

 

 

 

 

「これを見てちょうだい」

 

 

 

 

 そう言って咲夜さんは、何かを懐から――

 

 

 

「って!?」

 

 

「!!!そ、それは・・・っ!?」

 

「??何よそれ?」

 

 

 小山さんは首を傾げるだけでしたが、私と根本君は思い切り戦慄します!

 

 

 

 なぜならそれは、根本君の女装姿が表紙になっている本。タイトルは『生まれ変わった私を見て!』です!

 

 

 ど、どうして咲夜さんがそれを持ってるんですかっ!?確か土屋君、あるいは坂本君が持っているんじゃありませんでしたっけ!?

 

 

「これは私がとある人物から入手したものよ。中には、そこの根本君の晴れ姿が写ってるわ」

 

 

 は、晴れ姿と言うより罰ゲームでのこっ恥ずかしい思い出の間違いだと思います!(それ以上に、決して表に出したくない黒歴史です)

 

 

「っ!!!ま、ま、待った十六夜!何が要求だ!?な、何でも聞くからそれを俺に・・・!」

 

 

 事態がとんでもない方向に動くと思ったのか、根本君が必死に咲夜さんへと懇願します。確かにこれが自分の手元に返ってくれば、自らの女装姿が誰にも知れ渡ることなく自分の手で処理できるのですし、最高の好機です!さあ、咲夜さんの反応は!?

 

 

 

「・・・・・(ニコリ)」

 

 

 その言葉に咲夜さんは笑顔を浮かべて、向かいの2人へ本を差し向け――

 

 

 

「小山さん。もしもこの中身を見たいのなら、負けを宣言してもらえないかしら?あまり点数を消費したくないのよ」

 

 

「い、十六夜っ!?お前は悪魔かぁ!?」

 

 

 どうも今の咲夜さんは、小悪魔ならぬ大悪魔のようです。もはや根本君を社会的に叩き潰す勢いです。泣きそうな声を上げる根本君に、初めて同情を覚えました。

 

 

「・・・・わかった。私たちの負けよ」

 

「交渉成立ね」

 

 

 好奇心が彼氏よりも勝ったようで、小山さんは特に反対することなく咲夜さんの提案に乗りました。な、なんと哀しい展開か・・・!!それがどれほど彼氏さんを辱めるやら・・・!

 

 

 

「まま、待ってくれ優香、十六夜ぃぃぃ!!」

 

 

 その時最後のあがきなのか、根本君が本を渡そうと近づく咲夜さんの手首をつか――

 

 

 

「――って咲夜さんに乱暴働いてんじゃねぇですよぉぉおっ!!」

 

「がぶぅっ!!?」

 

 

 よし、腹に一発ダウン!咲夜さんに乱暴を働く奴に同情するなんて、私はなんてバカだったんでしょう!こういう方にはきつ~い灸が必要です!さあ咲夜さん!やってやりましょう!

 

 

「ありがとう、美鈴。じゃあ、はい小山さん。じっくり見てあげて」

 

 

「・・・・・・・・・(ペラ)」

 

「たっ、頼む優香!それを見ないで、俺に・・・!」

 

 

 さて、あとは2人だけの時間にするべきですよね!邪魔ものさっさと撤退あるのみです!

 

 

「先生。私たちの勝ち、でいいですか?」

 

「…あ、はいッ!勝者、十六夜、紅ペアです!」

 

 

 小山さんの背後から一緒に本を見ていた先生に宣言されたことで、私たちの勝ちは決定されました。

 

 

「勝利ね」

 

「はい。何か勝利の仕方が微妙ですけど、勝利です!」

 

 

 うつぶせになりながら必死に手を伸ばす根本君、写真集をまじまじとめくり続ける小山さんと横から再び興味深そうに写真集を眺める先生を背に、私たちはステージを離れました。

 

 

 

 

『――さようなら。あなたにそういう趣味があったとはね…』

 

『ま、待ってくれ優香!これは事情があったんだーーーーっ!!』

 

 

 後ろから聞こえるそんな声は聞かなかったことにしましょう。

 

 悪事を働けば報いあり。実に的を射た言葉でございますねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、上手く常夏コンビに逃げられたね。おかげですぐに召喚大会の時間だよ」

 

「ああ。だが今はあいつらのことは放っておけ。気にしすぎて勝負に負けても本末転倒だ」

 

「あ、うん。次の相手は誰になるかなあ?」

 

 

 あまり面倒な相手じゃなかったらいいんだけど、相手も二回勝ち上がってきたコンビになるからあまり楽観はできない。気合いを入れて行かなくちゃね。

 

 

 

 

 そして、相手二人とご対面。

 

 

 

 

「遅いわよあんたら。待ちくたびれちゃったじゃない」

 

「いや霊夢。僕達もまだ来てから二分も立ってないよ?」

 

「余計なことは言わないものよ、愛子。私は意外とせっかちなの」

 

「あはは。意外ではないけどね~」

 

 

 

 ・・・果たして、僕達に一ミリでも勝利の可能性はあるのかな?

 

 

 僕たちを待っていたのは、ボーイッシュな髪型が爽やかな女子の工藤さんと、長くて黒い髪と赤色のリボンが目を引く女子の博麗さんだった。2人ともAクラスなわけで、僕達とは天と地ほどの差があるコンビだ。

 

 

「やっほー、吉井君、坂本君。悪いけどボクたちが勝たせてもらうよ?」

 

「そうね。私の生活のためにも、あんたらには絶対に負けてもらうわよ、吉井、坂本」

 

 

 お祭りの雰囲気な工藤さんに対して,博麗さんは目が全く笑ってなくて、ど真剣だ。そこまで必死になるって、博麗さんのお財布事情が気になるところだなあ。(△ 心配してあげるのは良い事ですが、まずは自分の事を振り返りましょう)

 

 

「あはは、ボクにも少しは分け前を残してよ霊夢~?霊夢ったら独り占めしそうだからね!」

 

「・・・・・・・・・愛子・・・私達、友達よね?」

 

「て、えええっ!?本当に独り占めする気だったの!?い、いやそりゃどうしてもって言うならいいけれどさっ!?」

 

 

 博麗さんの底知れぬ欲求にぎょっとする工藤さん。これほどひどい友達の強調もあるまい。博麗さんみたいな美少女じゃなくて雄二みたいなバカが言ってたら、僕だったら全力でグーだったね。

 

 

「ねえ雄二。僕にはどうしてもあのど真剣な博麗さんに勝てる気がしないんだけど」

 

 

 というか勝ったらダメな気がしてきた。もしもそれで博麗さんがガリガリになったら(今もやせてるけど)、僕の良心が張り裂けるかもしれない。僕も似たようなもんだけどね。

 

 

「おいおい明久。お前の大好きな姫路への思いってのはこの程度か?」

 

「な、ななななっ!?い、いきなり何言いだすんだよ雄二っ!?」

 

 

 こ、こいつはなんてことを言いだしてくれるんだっ!博麗さん達に聞こえたらどうしてくれるのさ!?告白される前に知られてフラれたらどうするんだよっ!?

 

 

「事実だろ?じゃあ諦めるのか?」

 

「うぐっ・・・そ、そりゃ諦める気はないけどっ!」

 

 

 そのニヤニヤした顔が腹立たしい!いつか雄二にも味あわせてやるぞっ!

 

 

「で、でも雄二。もしも僕らが勝ったら、博麗さんの生活が・・・」

 

「――やれやれ、お前のそういうところは変わらないな…だが、安心しろ。

 

  お前の協力があれば、両方が上手く収まる可能性がある作戦が実行できる」

 

「え、そうなの?」

 

「ああ・・・協力してくれるか、明久?」

 

 

 雄二の作戦、って聞いてまっとうな作戦が思い浮かばない僕は悪くないよね?

 

・・・けれど、このまま勝負をしても勝てる気がしないし、百万が一に勝てたとしても、博麗さんに生命の危機が訪れるかもしれない。なんとかしたいけど、僕の頭に解決策はないし・・・ 

 

・・・だったら、雄二の作戦に賭けるとしよう!

 

 

「分かったよ雄二、協力するよ」

 

「よし。――おい、博麗」

 

「ん?何よ」

 

 

 いきなり雄二に話しかけられた博麗さんは、面倒くさげに耳を傾けた。

 

 

「お前はなぜ召喚大会に出ているんだ?」

 

 

 ?雄二は一体何を聞くつもりなんだろう?

 

 

「当然、商品券五千円分のためよ。それ以外にもなんかあったけど、どうだっていいわ。そう、どうだって…!!たとえ負けようとも、たとえ誰がたちふさがろうともそれだけは絶対に商品券だけは手に入れてやるわ・・・っ!もう道端の葉っぱ料理には、満足しすぎてんのよっ!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・…」

 

「霊夢・・・」

 

 

 

 博麗さんの心からの叫びに、僕と工藤さんは思わず目から水を流してしまった。もう哀しくなって目が当てられない!博麗さんのお財布事情って僕と同じだったんだね!?同じ境遇の人に出会えても、全く喜びが込みあがってこないけども!

 

 

「そうか…博麗。お前の勝利したいという気持ちはよく分かった」

 

 

 博麗さんの生活のかかった言葉にも、雄二は特に反応を示さずに答えた。いつも思う事だけど、この男には温かさがないのだろうか?

 

 

「だが、それは俺達も同じで負けるわけにはいかないんだ」

 

 

 僕は姫路さんの体調のために、雄二は恐怖の未来を回避するために(僕としては幸せな未来だと思うけれども)。雄二の言う通りだけど、それだと話は平行線になっちゃうんじゃないかな?

 

 

「あ、そう。だからって勝ちを譲ってあげるほど、私は人が出来てないわよ」

 

 

 やっぱり、博麗さんは気持ちが変わらないままだ。雄二は一体どうするつもりなのかな?

 

 

 

「そこで、提案がある」

 

 

 提案?一体なんだろう?

 

 

「提案?」

 

「何よ提案って?」

 

 

 雄二の言葉に工藤さんはきょとんとし、博麗さんは初めて興味ありげに聞く耳を持ってくれた。

 

 

「ああ。博麗、工藤。お前達の目的は、その商品券を手に入れることだろ?」

 

「そうよ」

 

「ボクは霊夢に誘われたんだけど、まあそーなるかな?」

 

「つまりだ。その商品券が手に入れば大満足。目的は達成できるってわけだ」 

 

「「・・・・・・」」

 

 

 顔を見合わせる2人。え?なになに?僕にはさっぱり分からないんだけど?

 

 

 

「・・・つまり、あんたらがその商品券と同等の物を準備してくれるってことかしら?」

 

「そういうことだ」

 

 

 へ~、そういうことか。でも商品券って五千円円分なんだよね?そんな大金を準備するなんて、雄二は気前が良いなー。少しかっこよく思えた。

 

 

「一応言っておくけど・・・お金に絡んだ嘘をつかれたら私、キレるわよ?」

 

 

 じろりと見てくる博麗さんの言葉にウソはない。本当に破ってしまったら、明日の朝日は拝めなくなるかもしれないぐらいの迫力だ。

 

 

「安心しろ。しっかり約束は守らせる」

 

 

 雄二は自信満々に言い放った。約束を守らせる、か。雄二のその自信には、僕も素直に褒めの言葉を贈れるよ!

 

 

 

 

・・・・・・・・・って、あれ?・・守らせる?

 

 

 

 

「俺がこいつを見張って、約束を破るようならしっかり取り立ててみせる。…おい明久、急にしがみついてどうした?」

 

 

 この男をかっこいいと思い、お褒めの言葉を贈った僕が大バカだったみたいだ。

 

 

 

「待って雄二!その商品券っていくらだと思ってるのさ!?」

 

「五千円分だろ?」

 

「それを知って平然と告げる君の血は何色だっ!」

 

 

 五千円って!ご飯を64分の1カップメンですごしている僕にとってどれだけの大金と思ってるのかな!?それを払ったら僕は、もはや公共の水道水しか口に入れられないよっ!

 

 

「無理雄二っ!この作戦は実行不可能だよっ!」

 

 

 僕のお宝のゲームコレクションを売り払えばなんとかなるかもしれないけれど、そんな残酷な事、僕には出来ないというかしたくない!

 

 

「落ち着け明久。俺たちは召喚大会で優勝を狙ってるんだろう?」

 

 

 全力で抵抗する僕の肩に、雄二はポンと手を置きながら、言い聞かすようにそう声をかけてきた。

 

 

「そ、それがどうしたのさ!?」

 

 

「なら、商品券を手に入れるのは誰だ?優勝を狙う俺達にも、その可能性があるじゃないか」

 

「・・・あっ・・・」

 

 

 そ、そうだ。僕たちが優勝をすれば、博麗さん欲しがってる商品券を手に入れることになる。それを博麗さんにそっくりそのまま渡せば、僕の懐は痛むことなく約束を果たしたことになる。

 

 手に入った商品券をあげるのは惜しいけれど、目的のためなら全然構わない!

 

 

「そっか!なら大丈夫だね!」

 

「ああ。どうだ博麗、工藤?ここは一つ互いにメリットを与えあわないか?」

 

「・・・・ふ~~ん…」

 

「ボ、ボクは霊夢次第かな?どうする霊夢?」

 

 

 工藤さんが博麗さんに一任してくれたので、あとは博麗さんの判断を待つのみだ!頼むよ博麗さん!後でも先でも同じものが手に入るなら、目先の方に目をやってちょうだい!

 

 

「それが本当なら、確かに私は五千円分の何かは確実に手に入るわね」

 

「れ、霊夢~、ボクの取り分を寄付することは確定事項なのかなあ?」

 

 

 相棒の取り分も自分の勘定に入れちゃう博麗さん。これは、期待してもいいんじゃないかな…!!

 

 

「んー・・・・・・・・・吉井、坂本」

 

 

 あっ、OKサインかな!?

 

 

「ん、なんだ?」

 

 

 

 

「もう一声」

 

「へ?」

 

 

 違ったみたいだ。え、もう一声?

 

 

「博麗さん、どういうこと?」

 

 

「わざと負けるのって、かなり嫌なものよ?ましてや、無理やり愛子を誘ったっていうのに、勝手に負けたら悪いじゃない」

 

「そ、そこは気にするんだね?ボクは気にしてないところなんだけど…」

 

 

 気にするべきは友達への分け前だと思うんだ、博麗さん。

 

 

「なのに、勝ちを譲って負けた報酬が勝った時と同じっていうのはねえ」

 

 

 博麗さんはそう言って顔を左右にふった。…もしかして、博麗さんはとんでもないことを考えられていませんでしょうか?僕の勘がとってもうるさい騒音をたて始めているよ?

 

 

 

「博麗。つまりなんだ?」

 

 

 

 

「簡単よ。――もっとうまみをよこしなさい」

 

 

 雄二の疑問に博麗さんはあっさりと答えた。僕、彼女ほど貪欲にはなれない。

 

 

「分かった。なら五千円の二割増しでどうだ?」

 

 

 って雄二!勝手に決めてるけどそれって僕の負担だよね!?

 

 

「五千の五割・・・はいいか。四割ね。それなら手を打つわ」

 

 

 博麗さん、ちょっと妥協してくれてるみたいだけどさほど負担は変わってないよっ!?

 

 

「分かった。交渉成立だな」

 

 

 ちょ、ゆ、何勝手に交渉成立させてんのさ雄二-っ!?

 

 

「はいよ。先生、私たちの負けだわー」

 

 

 ついには博麗さんが敗北宣言をしちゃった!!僕何も言ってないのに、お金を負担するって言ってないのに!

 

 

「え、よ、よろしいのですか博麗さん、工藤さん?」

 

「大丈夫よ。ねえ愛子?」

 

「ボ、ボクとしてはもう少し楽しみたかったけど、うん。充分楽しめたし、全然オッケーでーすっ!」

 

「わ、分かりました。では、勝者は吉井、坂本ペアーです!」

 

 

 声をあげようとした時には手遅れで、審判の先生が勝者を宣言し、僕達の勝利と僕のの支払いが確実となった。勝ったのに、全くもって喜べない!

 

 

「雄二ぃいっ!今日という今日は許さないぞこの野郎ーっ!」

 

 

 今は勝利よりも支払いの事の方が一大事だ!僕は渾身の右ストレートを雄二の顔面にきめ

 

 

「よっ(パシッ)」

 

 

ゴキン

 

 

「げふ!?」

 

 

 る前にガード、さらには頭にカウンターもくらってしまった。な、なんでそんなに動きが良いのかなあ…!

 

 

「仕方ないだろう。俺もお前も決して負けるわけにはいかない。ある意味、これは一つの試練なんだ。耐えろ明久」

 

「僕だけが試練を受けるの!?せめてそこは雄二も一緒に受けようよっ!」

 

 

 そして僕の負担を減らして!自分だけ助かろうとするなんて卑怯でしょっ!

 

 

「明久・・・俺達、ダチだよな?」

 

「友達を売るような奴は友達じゃないよ!」

 

 

 この男と一緒にいてあげる僕を、誰か褒めてほしいなあ…

 

 

「吉井」

 

「あ、なに博麗さん?」

 

 

 博麗さんはじっとこっちを見て、真剣な顔で一言。

 

 

「ご馳走になるわよ」

 

「…はい」

 

 

 この召喚大会で優勝しなくちゃいけない理由が、また1つ増えてしまったようだ。それも人のためとかじゃなくて、自分の命のためにだよこんちくしょーっ!

 

 

 

 

 

 

「悪いわね、愛子」

 

「へ?ど、どうしたのさ霊夢?」

 

「勝手に誘ったのに、勝手に負けたでしょ。そのことよ」

 

「き、気にしないでよそんなの!ボクだって召喚大会に出れて楽しかったもん!だから霊夢は、普段みたいにあつかましくいていいよ!」

 

「誰があつかましいっての。・・・・・・大好きな、ねえ」

 

「へ?何か言った霊夢?」

 

「気にしなくていいわ。・・・私、そいつと面識ないし、部外者がどうこう言っても仕方ない事だからね」

 

「??ど、どういうこと?」

 

「で、愛子。吉井の奴が奢ってくれるみたいだから、その時は連絡するわ」

 

「・・・ええーっ!?ボ、ボクも誘ってくれるの!?」

 

「?いらないの?なら私一人で喜んで行ってくるわよ?」

 

「あ、行く行く!れ、霊夢はてっきり一人で行くと思ってたんだよ!」

 

「あのね愛子。いつ私がそんな器の小さい奴みたいなことをしたのよ」

 

「け、結構してたと思うけどな~…でも、なんだかんだで霊夢と遊びに行くのって初めてだね!楽しみにしてるよ!」

 

「ふ~ん。まあ期待してなさい。七千円あれば、かなり良いものが食べられるわよ」

 

「全部食事に使うのっ!?ボ、ボクの思ってたお出かけとは違うなあ…」

 

「あんたは女子高生に夢を見すぎなのよ、愛子」

 

「ボク自身が女子高生なんだけど!?」

 

 

 

 

 




 
 お読みいただきありがとうございます!あ~、今回はちょっと色々とやってしまったかもしれません…!主に話をすっ飛ばしたり、友達を売ったり買収行為で勝利を得たりと…!
 村雪と出演者、ともども胸を張れない回でした!申し訳ありません!


 さて、では明久たちが召喚大会を行う前に何をしていたのか?

 必要なところをこれ以上なくざっくり言えば、『明久たちが2ーFクラスの悪評を広める先輩2人改め、常夏コンビに制裁に行き、うまくいきそうでしたが、常夏コンビが逃亡して逃げ切られたため、やむを得ず諦めて召喚大会に来た!』ってな感じですね。

 無論他にも色々とあるのですが、『常夏コンビがこりもせずに悪事を働かせている!』という認識があったら大丈夫です!

 本編で語らずに、こうやって後書きで説明をするのは良くないのに…今回は誠にごめんなさい!次回からは、そのような分かりにくいことがないようにしていく所存です!


 分からないこととか気になること、感想やただの雑談でも遠慮なく送ってください!遅くなるかもしれませんが、必ず返信しするつもりです!


 ではまた次回っ!今回を上回るような内容にしなければ・・・!
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