バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

46 / 78
どうも。村雪です!暑さのせいで水分の購入費が倍に・・・!懐だけは寒くて困ったものです。

 さて、今回は明久たちの召喚大会がメインです!果たして誰と戦うのやらや!

――ごゆっくりお読みください。


一言―秘策、って言えば聞こえはいいけど、大事なのは内容だぜ・・・

「でも、美鈴さんのお母さんってすごい元気な人なんだね」

 

「私もそう思いました。すごいハキハキしてて、明るい人ですねっ」

 

「んー、確かにそうですね~。母さんが体調を崩したところなんか見たことありませんねえ」

 

 へ~、それは凄いなあ。僕なんか空腹で頻繁に倒れてるから、絶対にまねできないや。

 

 

「・・・ゴマ団子、お待たせ」

 

「あっ、すいません妹紅ちゃん!じゃあ持って行きますね!」

 

「・・・ん。で飲茶二人分、置いとくから」

 

「じゃあこれは私が持って行きますね、よいしょ!」

 

 

 できあがった品を女の子2人が運んでいった。クラスにはたくさんのお客さんがいるからどんどん注文が来て、僕らは嬉しい悲鳴をあげている。さすがはチャイナドレス、中国の文化は侮れない!

 

 

「明久、そろそろ四回戦の時間だ、準備は良いか?」

 

「あ、うん、丁度手が空いたし大丈夫だよ」

 

 

 悪友の雄二の言う通り、時計を見れば僕たちの召喚大会の時間が目前に迫っていた。ゲームをずっとやっている時もそうだけど、何かに打ち込んでたら時間はあっと言う間に過ぎていくなー。

 

 

「お?吉井達も召喚大会か?」

 

「あ、魔理沙」

 

 

 隣を見れば、魔理沙が黄色のチャイナドレスを脱いで学校の制服に着替えていた。ちょっと惜しい気もするけど仕方ない。

 

 

「うん、魔理沙も召喚大会なの?」

 

「まあな。ってことは相手はお前らってことか?」

 

「ああそうだ。霧雨、負ける気構えをしておくんだな」

 

「おっ、言うじゃないか?そう言う坂本も覚悟してるんだぜ?」

 

 

 2人はにやりと笑いながら敗北を予測しあう。この2人は口が良く回るから、召喚獣じゃなくて言葉の応戦になったりしそうで不安だ。それだと僕の入り込むすきがないからね。

 

 

「ふっ、望むところだ。俺は明久のようにバカではないから、甘く見ない事だ」

 

「それは当然私もだ。吉井みたいにアホじゃないから、簡単にはいかないと宣言するぜ」

 

「ねえ2人とも。なんだか僕をバカの基準にしていないかな?」

 

 

 そんな2人も僕に毒を吐くという点では息ぴったり。魔理沙はともかくペアーの雄二が言いだすとはこれいかに、だ。

 

 

「あれ?そう言えば魔理沙のペアーって誰?」

 

 

 周りを見ても魔理沙だけが準備していて、他に準備をしている人はいない。違うクラスの人かな?

 

 

「安心しな吉井。私のペアーは吉井よりも強い奴だぜ!」

 

「ちょっと!さっきからどうして僕が基準なのさ!?それも嫌な方で!!」

 

「望むところだ。足手まといがいる方が燃えるってもんだ!」

 

「僕を足手まといって決めて燃えるんなら、いっそのこと燃えるんじゃないよ!」

 

 

 僕はどうやらチリみたいな扱いとなっているようだ。もー怒った!こうなったら活躍しまくって二人の花を咲かしてみせるぞ!『× 正解は【鼻を明かす】です。』

 

 手始めに、まだ見ぬ魔理沙のペアー!悪いけれど、君には雄二達を打ちのめすための礎となってもらうからね!

 

そう深く心に誓って、僕達は召喚大会の会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「今回はあなた達が相手ね、吉井君、坂本代表?」

 

 

「おい明久、いきなりひざまついてどうした?」

 

「う、打ちのめされた・・・っ!」

 

 

 僕の決意はクッキーみたいに甘くてもろかったようだ。礎になってもらうどころか、僕が彼女の賢さを輝かせるための礎になっちゃうかもしれない。

 

 

「ま、待たせたなアリス!よっしゃ頑張ろうぜ!」

 

「相変わらず元気ね魔理沙。ええ、頑張りましょう」

 

 

 会場に行くと、魔理沙と同じ、綺麗な金の髪の持ち主にして秀吉と同じ演劇部、そして学年最高クラスのAクラスに所属する女子の、アリス・マーガトロイドさんが僕たちを待っていた。なんでも魔理沙や美鈴さん達とは昔からの親友なんだとか。

 

 

『あやや!どうやら残る対戦メンバーが登場したみたいですね!』

 

『はい、そのようですね射命丸さん』

 

 

 アリスさんが待つ壇上に僕達が登ると、元気な女の子の声と先生の声が響いてきた。そうか、四回戦からは一般参加者も見れるから実況がいるんだったっけ。どおりで見物に来てる人が多いわけだよ。

 

 

『では残る三人の紹介をしていきましょう!ちなみに私の名前は三年生の射命丸 文!良かったら覚えてくださいねお三方!』

 

 

 実況の人なだけあって、彼女は元気な声で自分の名前を紹介してきた。へ~、射命丸先輩か。美少女の名前はぜひとも覚えさせて貰おう。

 

 

『まずは先に終わった演劇部所属、演劇が好きで世話好きなアリス・マーガトロイドさんの相方!恋に生きる女で有名な、2―Fクラス、霧雨 魔理沙~!!』

 

『魔理沙ぁぁあああ!!』

 

『霧雨ええええ!!』

 

「へへっ、なんか照れちまうな~!」

 

 

 実況の言葉に場内がさらに盛り上がって、名前を呼ばれた魔理沙が照れくさそう後頭部を撫でた。

 

 

でも、そこで実況は終わらない。

 

 

『―――そんな霧雨さんですが、恋に生きる女と言いつつ、実はかなりの奥手だそうでして、ざっくり言えば口だけの正真正銘の初心な乙女ですね~』

 

 

「!?ちっちち違うっ!初心じゃない!!私頑張ってるから奥手じゃないし!チ、チキンなんかじゃないもん!」

 

「ちょ、ま、魔理沙落ち着いて!?」

 

 

 射命丸先輩の無慈悲にも取れる言葉に、魔理沙は今までにないほど取り乱して実況の席へと向かおうとするも、アリスさんに抑えられて動けない。もん、って、魔理沙も可愛らしい言葉を使うんだね。

 

 

「ふっ、あの程度で動揺するとは霧雨もまだまだだな。なあ明久?」

 

「全くだよ。やっぱり魔理沙も女の子ってわけだね」

 

「う、うるせえバカ!」

 

 

 僕達は数々の修羅場を切り抜けたから、あの程度じゃあ動揺しない。最近魔理沙と行動することが多いけれど、まだまだ僕達には及ばないようだね。

 

 

『さて、対するは2―Fクラスの2人です!』

 

 

 おっと、次は僕達が標的か。いい機会だから、僕達と魔理沙の格の違いを見せてあげるとしよう。ねえ雄二?

 

 

 

 

 

『1人目は2―Fクラスの代表!なんと2年の学年主席である霧島翔子さんとは幼なじみ兼婚約者!未来は霧島雄二の、坂本雄二ぃぃー!』

 

 

「!!?ぶ、ぶんなぐるぞてめええええええええっっ!!」

 

 

 雄二、君も魔理沙と同じだね。格下げ確定!あと先輩にそんな失礼な事を言ったらダメでしょ!

 

 

『えええええええ~~!?似合わないわよ~~!!』

 

『地獄へ落ちろおおおおおおおっ!!』

 

 

 男子と女子からのアタタカイ言葉を受ける雄二。僕も友人にイワイの言葉を送ろう・・・夜道に気を付けろっ!!

 

 

『そして最後の1人!』

 

 

 おやおや、今度は僕の出番みたいだ。この2人とは違うってところを皆に見せつけてやろうじゃないか!さあばっちこい先輩!僕の忍耐強さを見せてやるよ!

 

 

 

 

『2年生の中ではこれ以上ないまでの有名人!【女装が似合いそうな男子ランキングNo.

1】、【モテそうな男子(同性愛編)ランキングNo.1】、【行動が読めない天然な生徒ランキングNo.1】の三冠をとった歴戦の男子!吉井明久ああああああ!』

 

 

 

『うそ・・・あの人が・・・!?』

 

『ダメよ見たら!天然が移っちゃうわ・・・!』

 

『なるほど、確かに似合いそうだな』

 

『木下秀吉はアンフェアってことで除外されたんだっけ?』

 

『確かに、あれはもはや女子だもんなあ』

 

『良い』

 

『良いな』

 

 

 

 

・・・耐えろ・・・・耐えるんだ僕・・・!!僕ならこの程度の試練、なんてことないだろう・・・!?

 

 恥ずかしい紹介とそれに対する屈辱とおぞましい言葉を身に感じながらも、僕はギリギリと歯を噛み拳を震わして耐え忍ぶ!

 

 そうだよ。ここにいる人は皆、学校で出されている新聞、文月新聞っていう悪魔の文書の情報を鵜呑みしているだけなんだ!だから彼らに罪は無い・・・!あるとすれば、あの新聞を発行した悪魔が悪いに決まって

 

 

 

『ちなみにこのランキングは、我々が発行した文月新聞に載せられたものです!少し過激ですが、パンチが欲しかったので部長の私がGOサインを出しました!まだ何部かありますので、興味のある方は気軽に声をかけてくださ~い!』

 

 

「ぶっとばすぞこのアマァァアアッッ!!」

 

 

 悪魔になら何を言ってもいいに決まってるよね。僕は迷うことなくひどい言葉を先輩へと投げつけた。

 

 

『あやや!気に入ってもらえたようで何よりです!他の皆さんも既に気合いが入っていて、実に盛り上がりそうな勝負となりそうです!』

 

 

 僕の罵倒も笑顔で受けとめる彼女は本当に悪魔じゃないだろうか。ほら、言うでしょ?人の悪意は悪魔の最上の蜜って。

 

 

『それでは選手の皆さん!そろそろ時間ですので召喚獣の召喚をお願いします!』

 

 

 僕としては今、魔理沙達よりもあの先輩へと召喚獣で攻撃を仕掛けたい・・・・!

 

 

「チクショウ・・・!ぜ、絶対この恨みは晴らしてやるぜ・・・!」

 

「くそぉお・・・!あの先輩、どれだけネタを嗅ぎまわってやがるんだ・・・!!まさか、あれもこれも知ってるんじゃ・・・!!」

 

 

 雄二達も召喚大会を放って先輩の方を睨む。魔理沙、その時は僕も協力をさせてもらうよ。そして雄二に関しては、まだネタがあるのなら全て吐き出してもらおう。その後に裁きを下してあげるよ。

 

 

「落ち着いて三人とも。私達は召喚大会に来たはずよ。目的を忘れないで」

 

 

 アリスさんがそう言って宥めてくるけど、それはアリスさんが先輩に何も言われてないから言えることだよ!この屈辱は凄まじいんだからね!

 

 魔理沙も同意見なようで、アリスさんに詰めかかった。

 

 

「で、でもなアリス。お前は何も言われてないから良いけど、私らはこの上ない屈辱の言葉を受けたんだぜ!そう簡単に落ち着けるわけが」

 

「・・・・何を言ってるの。私も言われたわよ」

 

「「へ?」」

 

 

 あれ、言われたの?

 

 

 

「・・・・それも私一人だけだから、延々と、ね・・・・・。先に一人で来た私が悪いんだけど、私一人だけ質問に答えて、それが会場を沸かせてさらに盛り上がって、また質問を聞いてきてまた盛り上がってさらに・・・・・・の繰り返し。分かるかしら。この答えたくなくても、答えなくちゃいけないような雰囲気の中に一人だけいる苦労を・・・・。正直、顔から火が出そうよ?今の私は」

 

 

 

「「・・・ごめん(なさい)」」

 

 

 僕達よりも辱めを受けたんだね、アリスさん・・・なのに表面には出さず・・・・なんて大人なんだ!うるさく騒いでた僕が恥ずかしい!

 

 

「じゃあ、僕達も引き下がろうか魔理沙?」

 

「う・・・し、仕方ないぜ・・・」

 

 

 さて、あとは隣の男だ。

 

 

「ほら雄二。ブツブツ言ってないで目を覚ましなよ」

 

「たとえデタラメでも、翔子は既成事実で嬉々として俺に迫ってくる・・・!!そうなったら、俺は婿入り「おらぁっっ!!」ゲフッ!ハッ!?」

 

 

 上手く治療法が決まったみたいだ。何かむかつくことを言おうとしたから殴ったわけではないんだよ?

 

 

「よし雄二!召喚獣を出すよ!」

 

「あ、ああ分かった・・・?」

 

「よしアリス。気を取り直して、やるぞ!」

 

「ええ、頑張りましょう!」

 

 

 向こうもまとまったみたいで、射命丸先輩への敵意も薄れる。とりあえず僕も、あの新聞のことは心にしまっておこう。

 

 

 

『試獣召喚っ!』

 

 

 僕らは同時に合図をだして、それぞれの召喚獣を出した。

 

 

 

『Aクラス アリス・マーガトロイド 古典 311点

         & 

 Fクラス 霧雨 魔理沙       古典 31点 』

 

 

 

「あら・・・魔理沙は古典は苦手なの?」

 

「うっ・・・ま、まあな。少しばかり自信が無い教科だぜ」

 

 

 おっと、魔理沙の古典の点数が思ったよりも低い。どうやら化学とかは得意みたいだけど、古典に関してはFクラス並なんだね!

 

 

「よし、明久!霧雨の点数は低い!実質一対二だぞ!俺たちの勝ちは貰ったようなものだな!」

 

「そうだね雄二!31点しか取れてない魔理沙の召喚獣なんて怖くないよっ!」

 

「う、うるせえ!」

 

 

 魔理沙が顔を赤くして睨んでくる。でもそれは紛れもない事実。それぐらいの点数、普通の相手なら相手にならないよ!

 

 

 

 

 

 

『Fクラス 坂本 雄二  古典  211点

        &

 Fクラス 吉井 明久  古典    9点  』 

 

 

 

 

・・・・でも、僕とだけならいい勝負になるんじゃないかな。奇遇だね魔理沙。

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

「・・・・・・・・・おい、明久。その点数はなんだ」

 

「・・・・・・・・・混ざりっ気なしに、済まないと思っている」

 

 

 で、でも僕だけってわけじゃないじゃん!魔理沙の点数も僕とそんなに変わってないよ!?

 

 

「へへっ。やっぱり吉井より私の方が賢かったぜ」

 

「異議あり!君のその点数的に、賢いと言うのには無理があるよ魔理沙!」

 

「そうよ魔理沙。言ったら五十歩百歩じゃない・・・」

 

 

 僕もバカ扱いされてるけど、アリスさんの言葉なら僕は甘んじて受けよう!だってそれを言えるほどの点数を彼女は持っているんだもの!

 

 

「雄二、作戦はあるの?」

 

 

 当然ながら、Aクラスのアリスさんが一番点数が高いし、魔理沙の召喚獣はほうきの先からレーザー攻撃と、点数が低くても侮れない。ただ突っ込んで行っても返り討ちにあうかもしれないから、気を付けないと。

 

 

「ああ、ある」

 

「どんな作戦?」

 

「一対一で闘って勝つ。それだけだ」

 

「シンプルで分かりやすい作戦だね」

 

 

 僕が魔理沙と、雄二がアリス戦うって感じだね?僕もそれが良いと思うよ。

 

 

「じゃあ雄二、アリスさんは任せたよ?魔理沙は僕に任せて」

 

「何を言ってるんだ?明久」

 

「へ?」

 

 

 僕、何か間違えたことは言ったかな?

 

 

 

「お前がアリス・マーガトロイドで、俺が霧雨を相手にするんだ」

 

 

 

 なんだ。対戦相手がまちがっていたのか~

 

 

 

「って待て雄二!それは僕に死ねと言いたいの!?」

 

 

 点数差は軽く30倍あるというのに!貴様1人だけ楽なんてさせないぞ!

 

 

「落ち着け明久。お前を困らせると言う目的もないではないが、きちんと理由はある」

 

「僕が困るのは織り込み済みかよっ!・・・で、理由って何さ」

 

「お前は召喚獣の操作に慣れている。だからアリス・マーガトロイドが相手とはいえ、そう簡単にはやられないはずだ」

 

「あ~・・・まあ、多分ね」

 

 

 そう言う雄二の目は真剣だ。ふ、普通に実力を買われるのはなんだか照れるなあ。

 

 

「その間に俺が霧雨を叩く。そうすれば後は2対1だ。実力が拮抗した状態で闘い続けるよりも良いだろ?」

 

「う~ん・・・・そう言われると、そんな気もするね」

 

 

 僕がアリスさんに敵わなくても、雄二が応援に来てくれれば一気に勝負はつく。時間稼ぎぐらいなら僕にも出来るかな・・・?

 

 

「よし分かった。じゃあ僕がアリスさんと戦うよ!」

 

「決まりだな」

 

 

 役割が決まった僕らは、敵である魔理沙達の召喚獣を見る。向こうもやる気は十分で、すでに武器を構えている。

 

 

「おーし、覚悟しろよ吉井、坂本。また一歩優勝へと近づかせてもらうぜ!」

 

「ふっ、残念だが、お前たちに用意されているのは敗退の道だ」

 

「言うわね坂本代表。これは頑張らなくては、ね?」

 

「ふふん、無駄だよアリスさん。力の差ってものを見せてあげるよ!」

 

「・・・吉井君の点数が一番低いのだけれど・・・」

 

 

 点数じゃない!大事なのは召喚獣の扱いだよアリスさん!

 

 

 

「んじゃいくぜっ!先手必勝ぉぉおっ!!」

 

 

 魔理沙のその声が勝負開始の合図となった。召喚獣が持つほうきの先から輝くレーザーが発射され、僕達の召喚獣へと襲い掛かる!

 

 

「明久!」

 

「うんっ!」

 

 

 でも、今まで見てきたレーザーと違って勢いと太さがない。僕らは分かれて回避し、そのまま走らせる。雄二は魔理沙、僕はアリスさんだ!

 

 

「てえいっ!」

 

「!これしきっ!」

 

 

 アリスさんの召喚獣の頭に木刀を振り下ろしたけど、彼女は武器のランスを頭にかざすことでガード。でも、まだまだぁ!

 

 

「あなたが来るとは思わなかったわね、吉井君!」

 

「これも作戦なんで、ねっ!」

 

「!!」

 

 

 上から横に変えて木刀で攻める!とにかく、今の僕は攻撃の手を緩めないことが大切だ!

 

 

「おらおらぁっ!」

 

「うおっ!?私狙いかよ坂本!アリスじゃないのかっ!」

 

「先に手数を減らすのが大事なんでな!覚悟しろ霧雨!」

 

「はっ!そう簡単にはやられねえぜ!おらよっ!」

 

「はっ!無駄無駄無駄ぁ!」

 

 

 点数の高い雄二の召喚獣がぐいぐいと魔理沙に近づく。魔理沙のレーザー攻撃は遠くから攻撃できるけど、逆に近づかれたら何も出来ないはず!ゲームでもだいたいそんな感じだから間違いないよね!

 

 

「なるほど、魔理沙を先に倒すつもりね!」

 

「そういうことさ!その後にアリスさんを倒すよ!」

 

 

 その間にも攻撃の手は緩めない!もう一度脳天に攻撃だ!

 

 

「でも、それを見過ごすと思ってるのかしらねっ!」

 

「うわっと!」

 

 

 アリスさんがブンッとランスを払った。僕の召喚獣では力は叶わず、木刀と一緒に吹き飛ばされる。ま、まずい!アリスさんの召喚獣が雄二達の方に行ってしまうっ!

 

 

「魔理沙、手伝うわ!」

 

「おっ、助かるぜアリス!」

 

「バ、バカ野郎明久っ!しっかり堪えないか!」

 

「わ、分かってるよバカ雄二っ!」

 

 

 そもそも僕の仕事がハードなんだからちょっとは目をつむれっての!

 

 

「おりゃぁああ!!」

 

「!」

 

 

 アリスさんの召喚獣の背後から接近するけど、操作をしている彼女には丸見え。ぐるりと向きを変えた召喚獣がすぐさまランスを構えた。

 

 

「ふっ!」

 

「おおっと!!」

 

 

 そしてアリスさんがランスを振り下ろす。でも、それぐらいならなんのその。右にずれて回避、すぐに木刀で突く!

 

「とうっ!」

 

「あっ」

 

 

『Aクラス アリス・マーガトロイド 古典 291点』

 

 

 よし!やっとほんの少しダメージを与えられた!

 

 

「くっ…やあっ!」

 

「わ、あぶなっ!?」

 

 

 くそう!すぐに攻撃してくるなんて、やるなアリスさん!ならもう一度攻撃を

 

 

 ギュオオオッ!!

 

 

「うおおおおいっ!!?」

 

「!ありがと、魔理沙!」

 

「お安い御用だぜ!」

 

 

 い、今のは魔理沙のレーザーか!危なかったーっ!

 

 

「雄二、君こそちゃんと仕事しろよ!」

 

「分かってる!オオラアッ!」

 

「いよっとお!」

 

 

 魔理沙の召喚獣が雄二のメリケンサックをかわす。この役立たずっ!僕だったら一発でKO出来てたよ!(※おそらく無理でした)

 

 

「ちっ・・・本人に似てすばしっこい召喚獣だな・・・!」

 

「へへっ、そりゃどうもだぜ!坂本の召喚獣は本人に似て動きがとろいな!」

 

「テ、テメエ~・・・!!」

 

「雄二、挑発だからのらないで!」

 

 

 魔理沙のからかい気味の言葉に、雄二は口をひくつかせた笑顔を浮かべる。全く、この男には忍耐力というものが足りてないみたい

 

 

「吉井は逆に本人よりも立派な召喚獣だな!」

 

 

 今すぐにでも、あの口を閉じさせてやりたい・・・!

 

 

「はっ!」

 

「うわ!」

 

 

 アリスさんの攻撃を後ろに跳んでかわす。ここは雄二の召喚獣に近づいて、一度仕切り直そう!

 

 

「ふ~…雄二、魔理沙を倒せそうなの?」

 

「いや…想像以上にすばしっこいから、捉えるのに時間がかかりそうだ」

 

 

 僕の召喚獣が雄二の召喚獣に近づいたのを確認して、雄二に話しかける。魔理沙はどうも逃げに徹してるみたいだから、点数が高い雄二も攻撃を当てるのに苦労をしているようだ。

 

 

「魔理沙。大丈夫?」

 

「ああ、意外と大丈夫だったぜ!アリスは大丈夫か?」

 

「ええ、少し点数が減っただけよ」

 

 

 向こうも僕らと同じように召喚獣が寄り合っている。どうやら仕切り直しに付き合ってくれるみたいだ。

 

 

「雄二、じゃあ僕が魔理沙と勝負しようか?」

 

「そうすると俺が必然的にアリス・マーガトロイドとやりあうことになる。いくら点数が高くても、操作が慣れてないから持ちこたえられないだろうな」

 

「うーん、そっか。じゃあどうする?」

 

 

 でもそれは向こうも同じな気もするんだけど・・・もっともな事を言って厄介なことを免れようとしてたら、後で僕の右腕が唸るよ?

 

 

「・・・あまりこういうのはしたくなかったが・・・・・・よし。明久、お前はもう一度、アリス・マーガトロイドと戦え」

 

「え、また時間稼ぎするの?」

 

 

 時間稼ぎをするのも意外と難しいんだけどなあ。

でも、どうやら雄二の考えは何か違うようだった。

 

 

「いや・・・今回は、アリス・マーガトロイドを先に倒すぞ」

 

「へ?」

 

「おい、霧雨」

 

 

 どういう事かを聞く前に、雄二が魔理沙に声をかけた。

 

 

「ん?なんだ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 なのに、雄二は魔理沙をじっと見たまま黙っている。なんなんだろう?魔理沙も何事かと雄二を見る。

 

 

「??おい、坂本?」

 

「・・・・・・・・・霧雨」

 

 

 しびれを切らした魔理沙が口を開いたところで、やっと雄二が口を開いた。

 

 

「なんだよ?」

 

 

 

 

「―――お前、女子が好き「うううううるせえええええぇぇっ!!」」

 

 

 魔理沙の大声でよく聞こえなかったけど、何を言ったらこうなるの雄二?

 

 

「それ以上言うなぁぁあああ!!」

 

 

「ちょ、ちょっとどうしたの魔理沙!?」

 

 

 よっぽど気になった言葉なようで、魔理沙は唐突にレーザー、それも何発も発射させてきた!あ、あぶなっ!

 

 

「ゆ、雄二は何がしたかったの!?」

 

「うおっと!明久っ、霧雨を狙え!」

 

「!分かった!」

 

 

 せまるレーザー群をかわしつつ叫ぶ雄二の命令に頷く。そうか、雄二は魔理沙を挑発しかえして、自分が囮になって魔理沙に隙を生み出すつもりだったんだね!なら僕はその犠牲に報いるとしようじゃないか!

 

 

「覚悟魔理沙―っ!!」

 

「ち、違う違う違う!ほっとけほっとけーっ!!」

 

 

 何が違うのか何をほっとけなのか知らないけど、僕はためらうことなく魔理沙のすきだらけの召喚獣に攻撃を――!

 

 

「さ、させないわっ!」

 

 

 ガキン!!

 

 

「!アリスさんっ!」

 

 

 あとちょっとのとこで防がれた!くそう、こうなったらアリスさんの召喚獣を力で押して

 

 

「ハアアアッ!!」

 

「うわわわっとおっ!?」

 

 

 無理だよねーっ!一瞬で形勢が逆転され、てってて手の負担があ~~っ!!

 

 

「ちょ、雄二!めちゃくちゃピンチになったよ!?」

 

 

 よくよく考えたら、魔理沙を無効化してもアリスさんが残ってるじゃん!なのに僕に攻撃をしかけさせるなんて、雄二はバカかっ!ヤ、ヤバイヤバイ!すごい押されてるよーっ!

 

 

 

「よし明久!あとは任せろ!」

 

「へっ!?」

 

 

 そんな汗をかく僕に、雄二がそんなことを言い出した。

 

 

「ふっ!」

 

 

 魔理沙の攻撃を避けた雄二の召喚獣が、急に僕たちの召喚獣へ向かって走り出す。狙いは・・・アリスさん!?

 

 

なるほどそうかっ!魔理沙の攻撃を引き付ける囮を雄二がやってるのかと思ったけど、本当の囮は僕だったんだね!これは一本取られたよ!

 

 

「!?しまっ……!」

 

「覚悟、アリス・マーガトロイドォォ!」

 

 

 やったね!いくらアリスさんの召喚獣といえど、200点台の雄二の攻撃はただでは済まないはず!これで流れはきっと変わる!

 

 

「よし雄二!うまく仕留めるんだよ!」

 

「任せろ!おおおっ!」

 

 

 こぶしを力の限り握った雄二の召喚獣。期待を込められたその拳が、ついにアリスさんの召喚獣を―――!!

 

 

「ラアアアッ!!」

 

 

「あっ!?」

 

 

 

 捉えて、

 

 

 

「げふんっ!?」

 

 

 なぜか僕も捉えちゃった。

 

 

 

「か、身体にダンプカーが突っ込んだかのような激痛がぁああ!?なんで僕も巻き込んだ雄二ぃいーっ!!」

 

 

 そこはうまくアリスさんだけを狙えよ!観察処分者の僕にとって、そこはささいな問題じゃなくて最重要なところなんだよぉおおお!!

 

 

「仕方あるまい!妙に加減をしたら一撃でしとめられないだろうが!」

 

「だからって僕も仕留めることはないじゃないよね!?」

 

 

 確かにアリスさんは倒したみたいだけど、それだったら僕も加わってとどめを刺したっていいじゃない!

 

 

「げっ!?ア、アリス!?」

 

「霧雨、次はお前の番だっ!」

 

「あっ!?」

 

 

 僕の言葉を無視し、雄二はすぐさま正気に戻った魔理沙の召喚獣へと向かわせ、アリスさんと同じように一撃を叩き込んだ。

 

 あれだけ接戦だったのに、あっという間に立っているのは雄二のだけに。チーム戦もへったくれもない結末だ。

 

 

『あややや!これは勝負あったようです!今回の試合、アリスペアー対坂本ペアーの勝者は、坂本ペアー、ではなく坂本雄二君の単独勝利と言うほうが正しいですね!勝者は、未来の霧島雄二!現坂本雄二でした~~!!』

 

 

「頼むからその言い方はやめろぉぉぉ!!」

 

 

 さ、最初は嫌だったけれど、今は雄二の慌てる姿が心地いい・・・!!

 

 雄二にとって最も聞きたくないらしい言葉を言ってくれた悪魔、射命丸先輩に感謝して、僕は腹をおさえてうずくまりながら射命丸先輩達の言葉を聞き続けた。

 

 も、もう、観察処分者ってすっごい不便だね・・・!改めて思い知らされたよっ!

 

 

 

 

 

『わ、悪い!ごめんアリス!私が暴走したばかりに・・・!』

 

『ん、仕方ないわ。何か言われたくないことを言われてたんでしょ?それは坂本代表がうまくやったんだわ。気にすることないわよ』

 

『う・・・あ、ありがとだぜ…』

 

『でも、魔理沙があんなに取り乱すなんて珍しいわね?私を最初に召喚大会に誘った時も慌ててたけど、それと関係があるの?』

 

『あ~~・・・ど、どうかな~?』

 

『あ、そういえば、優勝チームには景品があったわね。それが目当てかしら?』

 

『ゥェッ!?そそっ、それは・・・!!』

 

『なるほど。それなら私もわかるわ。確かに残念よね・・・』

 

『!!?ア、アリス、それって・・・如月ハイランドのプレオープンプレミアムチケットのこと・・・・!?』

 

 

『商品券五千円分というのは大きかったわ・・・五千円あれば、いい生地が買えたんだけどね』

 

『・・・へ?』

 

『はあ・・・最近は代表の未来のウェディングドレスを作ってたから、あんまりお金もなくて是が非でもほしかったわねぇ・・・』

 

『・・・』

 

『他にも色々とあったから、換金して手持ちを増やせていたし。やはり悔いは残るわよね・・・わかるわ魔理沙、あなたの気持ちが』

 

『・・・・・・』

 

『・・・・ん?魔理沙?泣きそなうぐらい悔しかったの?でも、もう負けてしまったから残念だけど諦めるしか――』

 

『アリスのせいだぜこんちくしょおぉぉぉ!!』

 

『え、ええ!?私のせいなの!?あ、あれはどちらかと言えば魔理沙がげん』

 

『うううう~~~~・・・!!アリスのバカァァァァア!!』

 

『ま、魔理沙ーっ!?・・・・・わ、私、何を間違えたかしら・・・』

 

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます!さて、予想していた方もいたかもしれませんが、明久たちの相手は魔女コンビのお二人でした!
 
 いいコンビだったのですが、雄二の策にまんまとはまった魔理沙が原因で敗北しちゃい、アリスに魔理沙が謝って、アリスがそれを気にするなとなだめる。2人らしいんじゃないかなと思って書いてみました!

 まだまだ魔理沙の恋の道は険しいようですが、いつ終点に到着するのか。2人の進展を作者ながら願います!

 それではまた次回っ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。