どうも、村雪です!
サブタイトルを付けるのに悩んでしまい、少し遅い時間の投稿となってすみません!
・・・実は、このサブタイトルを考えるのにいつもかなり時間を取ってるのですが、サブタイトルがないと味気ないですし、どうかお許しください~!
さて、今回からは召喚大会が終わってからの話です!ちょうどよく区切るため少々長めとなっておりますが、祭りの後の回を楽しんでもらえれば!
-ごゆっくりお読みください。
「す、すいません咲夜さん!見事にやられましたーっ!」
「いいえ、私もやられたんだから文句なんて言えないわ。・・・でも、あの変態にやられたのだけが悔やまれるわ・・・心の底から・・・っ!」
「・・・あ~。一応、文句はめちゃくちゃ溜まってるんですね、吉井君限定で?」
決勝戦を敗退した私たちですが、さほど落ち込むことなく会場を後にしながらしゃべります。吉井君に負けたことに思い切り愚痴る咲夜さんですが、もはや咲夜さんの中では吉井君は仇敵か何かとなっているのかもしれません。ここはそっとしておいてあげましょうか。
「はあ・・・今回は負けたけど、いつかこのリベンジを果たしてやるわ。じゃ、後でね美鈴」
「は、はあ。ではまた後で!」
咲夜さんといつもの場所で別れ、私はFクラスへ戻ります。う~ん。前から思うんですけど、咲夜さんはどうしてそんなに吉井君を敵視するんでしょう?吉井君はおバカですけど、そんな嫌われるようなことをする人ではないと思うんですが・・・
ま、2人だけの問題ですから関わらない方がいいですかね?その内2人の仲が良くなることを私は外野の位置から願いましょう!
「ただいま~」
「あっ!おかえりなさいです力持ちのお姉ちゃんっ!」
「おかえりメ~リン~っ!」
「おおっと、ただいまフラン!葉月ちゃん!」
Fクラス教室に戻ってきた私に抱き着いてきたのは、妹のフランと、その友達で島田さんの妹である葉月ちゃん。どうやら昨日に続いて学園祭を堪能しているみたいで何よりです!しかもお手伝いをしてくれてるのですから感謝の言葉しかありませんよ!
「メ、美鈴、惜しかったわね!あとちょっとで勝ててたのにっ!」
「・・・・・・仕方ない・・・そうときもあるだろ・・・」
「も、妹紅は出なかったの?」
「・・・ああ。私は、そ、そういうの苦手だから・・・」
そして少し後ろでは、レミィと妹紅さんも並んで私を迎えてくれました。いや~、レミィも妹紅さんも、仲が良くって嬉しい限りです!2人は人見知りをする女の子ですが、そこに親近感を抱いてるのかもしれません!いつか私達もその輪に入れてね~!
「ご苦労様じゃ、紅。いい試合だったのじゃぞい」
「まったくだ!見てて楽しい試合だったぜ!なあ瑞希?」
「は、はいっ!明久君達もすごかったですけれど、同じくらい美鈴さん達もすごかったです!」
「い、いやいや~!ま、負けたのに持ち上げられてはむずかゆいですね~!」
秀吉君、瑞希さん、魔理沙と健闘を称える言葉を続けて受けては私も思わず赤面です!たとえそれが慰めであってもなくても、これほど称賛されたら嬉しいものですよ!
「まったくもう!よしーのバカにやられるなんて、メイリンは最強じゃなかったのよさ!」
「ええ!?わ、私は自分が最強だなんて思ったことは一度もありませんよチルノッ!?」
対して何やらご立腹のチルノ。何でかは分かりませんけど、ひとまず私は格下げされちゃったようです。チルノの中で、私はどんなポジションにいたことになってるのでしょう?最強ちゃんの子分とかですかね?
「明久君達はまだ戻ってこないんですか?」
「あ、ええ。ちょっとした表彰式とかがあるそうですよ?」
そこで優勝賞品の『白金の腕輪』や『商品券五千円分』なんかが贈呈されるんだとか。人の目がたくさんあるので、学園長に腕輪を渡すのは後でになるでしょう。
『吉井、坂本、やるじゃない。本当に優勝するなんてね』
『あ、ありがとう博麗さん!おかげで何とか優勝できたよ!』
『ああ。お前たちが条件を呑んでくれたおかげだ。感謝するぞ博麗』
『礼なら別に要らないわ。それより・・・約束は守ってくれるのかしら?』
『ああ、もちろんだ。明久』
『あ、うん。はい博麗さん。これ五千円分の商品券だよ!』
『・・・・・・ん。確かに受け取ったわ。毎度アリ』
『は~良かったー!もしも負けてたらって思うとぞっとするよ!きっと僕は明日の朝日を拝めなかったね!』
『私は何と思われてんのよ。・・・でも、確か四割増しじゃなかったかしら?』
『あ・・・。そ、それはまた今度払うっ!や、約束はきっと守るよ!』
『・・・嘘じゃないでしょうね?』
『う、嘘じゃないって!絶対守るから!』
『・・・・・しゃあないわね。あんたを信じるとするわ』
『!あ、ありがとう博麗さん!こんな僕を信用してくれるなんて、君はなんていい人なんだろうっ!』
『明久。感謝はするべきだろうが、その言い方はマズいんじゃないか・・・?』
『・・・やっぱり、耳揃えて持ってこさせるべきかしら』
『!!そ、そそそれだけはご勘弁を博麗お代官様ああああああ!!』
「ちょっとーあんた達!喫茶店の方も頼むわよーっ!」
「あ、はーいすみませんっ!」
島田さんからヘルプを求められたので、私たちは慌てて喫茶店の仕事に戻ります!
するとお客さんも私たちの勝負を見ていたようで、何人かが声をかけてくれました。
『美鈴さん!すっごいかっこよかったわ!』
『いや~、ありがとうございます!』
とか
『紅さん!俺はさっきの勝負に猛烈に感動しているっ!これからも頑張ってくれ!』
『あははっ、そんなに感動しなくても~!』
だとか
『紅先輩っ!わ、私は・・・っ!動くたびにセクシーに揺れる紅先輩の胸がうらやましいですっ!!』
『うそおおおおおおおおっ!!?』
そんなこととか。
今度から召喚獣を使うときは、サラシをがちがちに巻いてやるぅううううっ!!
「ただいまー」
「帰ったぞー」
で、しばらく仕事に取り組んでいますと、召喚大会優勝者である吉井君達が表彰式を終えて戻ってきました。
「あっ!おかえりなさいバカなおに――」
「バカよしぃぃいいいーっ!!」
「げぶはぁっ!?」
「!?ババッ、バカなお兄ちゃ~~ん!」
「ちょ、チ、チルノ!?」
そんな吉井君を、チルノはあつ~い飛び蹴りをかまして出迎えました。ああっ、吉井君が壁に激突して赤い何かを出したーっ!?
「なっ、何するんだチルノっ!普通は笑顔で出迎えられる場面だったよね今の!?なのにキックで迎えるなんて、君はバカかっ!いや、バカだったね!」
「誰がバカよ!失礼なこと言うんじゃないのよさバカよしーっ!」
「いや、チルノこそかなり失礼なことをしてませんかね!?」
そう言いつつも突然の罵り合いについて行けず、私は交互に二人へ目をやるのみ。ゴ、ゴングの鐘が今にもなりそうです!?
「やいよしーっ!優勝したからっていい気になるんじゃないわよ!あんたがバカなのは変わりないんだからっ!」
「なっ!こ、この猛者だらけだった召喚大会を勝ち抜いた僕のどこがバカだって言うんだい!雄二ならともかく!」
「おい、なぜそこで俺の名を出す明久」
坂本君の当然のツッコミは無視され、2人はじりじり詰め寄ります。距離はだいたい1メートル、まだ拳の圏外です。
「そういうチルノは召喚大会にも出てないでしょ!なのにバカって言われる筋合いはないよ!」
「むっ!あ、あるもん!よしーがバカじゃなかったら世界から誰もバカがいなくなっちゃうのよさ!」
「それって良い事じゃないの!?って僕は全世界ナンバーワンのバカ扱いかよっ!ひどくても僕はナンバー2で、目の前にナンバーワンがいるって断固抗議だっ!」
「よ、吉井君!その言い方は失礼ですっ!もう少し別の言い方を―」
「なんですってぇ!?あんた、メイリンをナメてると後が怖いわよ!?」
「って待たんかいチルノ!私がワースト一位っ!?そこはあんたでしょうがチルノーッ!」
「メ、美鈴さん!美鈴さんの方がとっても失礼な言い方をしてますよっ!?」
わわ、私が最下位ですってええ!?そんなことを言われては、いくら瑞希さんになだめられても、私の怒りは――!!
「メ、美鈴はバカじゃないっ!バカなんかじゃないわよっ!美鈴はいっつも私たちの面倒を見てくれるっ、優しいお、お姉ちゃんなんだからぁっ!!」
「いやああんっっ!レミィ大好きぃぃいいい!!!」
「あぅむ~~っ!!?」
愛らしい妹のレミィにそんなことを言われれば、私はいかなる怒りも納めて見せますよぉおお!!ああ、咲夜さんには全く通用しない全力ハグ!それをさせてくれるレミィも好きですよ~!
「あーっ!フ、フランも!フランも美鈴はとっても優しいお姉さまだって思ってるもんっ!」
「きゃ~~!フランも大好き~~っ!!」
「わぷっ。えへへ~♪」
私、お姉さまなんて初めて呼ばれた~!この喜びをハグで思いっきり示させてもらいますよ~!!むぎゅ~っ!
「・・・うすうす思っておったが・・・紅は、しすこん、というやつなのじゃな」
「まあな~。それは私らの中では当たり前の常識だぜ」
「美鈴さん、本当に妹さんが大好きなんですね~」
「みたいねー。妹紅、あんたも行ってきたらどうかしら?」
「い、行くわけないだろ・・・関係ないし・・・」
「で、でも、昨日美鈴さんは妹紅ちゃんのことを家族って言ってたじゃないですか!だから関係ないなんて言ったらダメですよっ」
「・・・ま、まあ、そりゃそうかもしれないけど・・・恥ずかしいし、あれ・・・」
「・・・・あ、あははは・・・」
「た、確かに、ウチもちょっとあそこまでは・・・」
何やら騒がしくなる皆さん。さては皆さんもレミィ達にハグをしたいんですね!?女の子の皆さんならいいのですが、男子の皆さんには絶対させませんよ~っ!
「とにかくよしーっ!あ、あんたが優勝したからって、アタイを超えて最強になったなんて思わないことね!あんたはいつまでもアタイの下なんだからっ!」
「なにおう!?ぼ、僕がチルノの上でチルノが僕の下の間違いだ!僕は一度もチルノよりバカだなんて思ったことはないねっ!」
「あにぃ~!?このバカよしーがああっ!」
「やるかバカチルノォォオオっ!!」
「ちょ!?あ、あんた達!今お客さんがいるのよっ!?」
「お、落ち着けバカ共!やるならせめて違う場所でやれっ!」
ですがおバカ2人は全く気にしていないようで、島田さん達の慌てた止めも届かず、場外乱闘のゴングを鳴らしました。幸い、お客さんもケンカというより子供のじゃれ合いを見るような目でしたので、お店を出ていくという事態はなかったのが救いです。
「しかし、今のチルノは少し変じゃったのう?一体どうしたのじゃ?」
「ん~、変なもんでも食ったんじゃないか?」
「・・・・以前、カエルや虫を食べたことがあると言ってたから、ありえる」
「ぐぇ・・・っ!そっ、そっ、そんなことするのか・・・あいつ・・・!?」
土屋君の言葉に妹紅さんは一気に顔を青白くして、チルノを畏怖の目で見ます。私も聞きましたが、いや~、さすがに虫は私も無理ですね。百歩譲って、カエルなら丸焼きでなんとかギリギリいけるかもしれませんけど!
「あ・・・。チルノちゃんは、もしかしたら吉井君に嫉妬してるんじゃないでしょうか?」
「?嫉妬ですか?」
「吉井に嫉妬するところってあるか?」
「思いやりもへったくれもない言葉じゃな」
もめ合う2人を眺めながら食の限界というものを考えていると、瑞希さんがそんなことを言いました。
「はい。チルノちゃんって、吉井君とよく張り合ったりしてますよね?それと同じで、吉井君が召喚大会に勝ったのが面白くないというか・・・うらやましいと思ってるんじゃないでしょうか」
「あ~。なるほど、それであの行動と言葉ですか」
「へ~、チルノにもそんなところがあったんだなー。まだまだ見た目通りお子ちゃまだぜ」
「じゃが、実にあ奴らしいのじゃ。普段から明久に張り合っているだけあるのう」
「も、もちろん予想ですけどねっ!」
でもそれが本当でしたら、なんとも微笑ましいことですねー。最強最強言ってるチルノの中では、どうしても譲れない壁なのかもしれません。まったく、本当に仲が悪いと言うか、負けず嫌いと言うか・・・
「ぶべっ!?バッ、バカよしー!あ、あんたなんかアタイの敵じゃないんだからぁぁああっ!!」
「げふうっ!ぼっ、僕だって君なんか敵じゃないよチルノーーっ!」
「や、やめなさいチルノ、アキッ!あんたら2人とも、顔に真っ赤な手のマークが出来てるわよ!?」
「お、おい待て明久!さすがに女のチルノに手を出すのはまずいぞっ!?」
「何言ってんのよさバカもと!一歩も譲れぬ戦いに男も女もないのよさっ!この程度、最強のアタイにはへのカッパよ!」
「チルノが言うのか!?っていうか誰がバカもとだっ!!」
「よく言ったよチルノ!それでこそ僕のライバルだっ!」
「はん!よしーこそ、その気合いだけは認めてやるのよさっ!おりゃあ!」
「げぶぅっ!?な、なんのまだまだぁああ!」
「ぎゃふんっ!?ア、アタイだってぇえええ!!」
「・・・ま、あれはあれで一種のコミュニケーションですかね?」
「・・・そうにも見える」
「意外と仲良しだよなー、あいつら」
「そ、そうですねっ」
「す、少しばかり過激じゃがのう」
「・・・というか・・・バカだろ・・・」
ケンカするほど仲が良い。良いと言うにはまだ無理があるかもしれませんが、悪いってことはないのではないでしょうか。
「さて、じゃあ私たちは仕事に戻りましょうか」
「・・・ん」
「・・・・了解」
「ほ、放っておいていいのかのう・・・?」
「別にいいんじゃないか?そのうちスッキリして勝手にやめると思うぜ」
「ふ、2人ともボロボロになっちゃいそうですけどね・・・あはは」
そこら辺りも、2人自身と島田さんに坂本君に任せた方がよいでしょう。私たちはそう結論付けて、厨房、ホールのそれぞれの仕事へと戻りました。
『ただいまの時刻をもって、清涼祭の一般公開を終了しました。各生徒は速やかに撤収作業を行ってください』
そして祭りもたけなわ。たくさんのお客さんが来たのでそれに対応し、てんてこ舞いになりながらもなんとか全員達成し終えたところで、その放送が流れて私たちは仕事を終えました。
「ふぃ~~。終わりましたね~!」
「うむ。終わったのう」
「・・・もう、精神が擦り切れた・・・」
「ご苦労さまです妹紅さん!ささっ、これは私のおごりです。ゴマ団子と飲茶で疲れを取ってくださいな!」
皆さんが脱力をする中、私は最後に頼んでおいた飲み物と料理を妹紅さんに差し出します。一人だけにあげるのも良くない気がしましたが、人見知りの強い妹紅さんにとっては、すごい疲れた連日だったでしょうからね!その労いと、昨日一人で頑張ってくれたことへの感謝の印です!
「・・・ありがと。(こく)ん・・・おいし・・・」
「それはよかったですよっ!」
妹紅さんが穏やかな顔でお茶と団子を口にしてくれて、私も安心です!口に合わないものをあげたなんて嫌ですからね!
「つ、疲れたーっ!」
「まったくよ!よしーほどじゃないけれど、さすがのアタイも疲れたのよさ!」
「なにをっ!?そんなことないよっ!チルノこそ僕より疲れてるだろっ!」
「そ、そんなことないわよっ!言いがかりなんてするんじゃないのよさバカよしー!」
「なんだと!このバカチルノめっ!」
「こらぁっ!あんた達いい加減にしなさいっての!」
「ぎゃんっ!?」
「がふぅっ!?」
先ほど、両方がボロボロになったところで収まり合ったおバカ2人が再び取っ組み合いを始めそうだったのを、島田さんがげんこつでとどめました。懲りないおバカには実力行使、見事な判断ですよ島田さん!
「いづづ・・・そ、そう言えば姫路さんのお父さんはどうなったのかな?」
「あー、なんでも後夜祭とかも全部終わってから判断されるそうですよ?ねえ島田さん?」
「うん。瑞希はそう言ってたわ」
瑞希さんが学校を転校されてしまうかの一大事。今回我々が学園祭で必死に頑張ったのも、お父さんの判断を変えてもらうためです!それを知るまでは本当には気を抜けませんね!
「よし、じゃあ私は服を着替えてくるぜ」
「あ、そうね。ウチも着替えるわ」
「じゃ、じゃあ私も着替えますねっ」
「え、ええええっ!?どうして皆っ!?」
瑞希さんの件について心配そうな顔をしていた吉井君でしたが、三人の言葉に、さらにその顔を悲愴めいたものへと変えました。そこからだけでも、吉井君がチャイナドレスにかなりの愛着を持っているのが伺えます。
「恥ずかしいに決まってるからだろうが!私はもうチャイナ服を着たくないぜっ!」
「そ、そんなことを言わないでよ魔理沙!魔理沙のその恰好はとっても似合ってると僕は思うよ!?」
「あっ、それは同意です吉井君」
「う、うっせえ!お前らに言われても嬉しくもなんともないわっ!私は絶対着替えるからな!」
「そ、そんな!?じゃあ僕は何を楽しみにすればいいのさ!?」
「ああ!?そんなもん目の前にあるだろっ!?」
「えっ・・・」
魔理沙に言われ、吉井君はぐるりと周りを一瞥。・・・その時、あるお2人が期待のこもった眼でもじもじ彼を見たのは気のせいではないでしょう。
「そっか・・・そうだったね。魔理沙以外にもチャイナ服を着た可愛い人はいたよね!」
「よ、吉井君・・・?」
「ア、アキ・・・?」
吉井君の言葉に、ある二人は・・・というかお察しのとおり、瑞希さんと島田さんは顔を赤くして吉井君を見つめます。さあ吉井君!もう言うことは分かっていますよね!?しっかりこの場で最善の言葉を言うんですよっ!
「――――というわけで美鈴さんっ!君だけはその姿でいてね!」
「大間違いですよこの野郎っ!」
瞬間、嫉妬と悔しさのこもった眼が私の体へ向けられたのをひしひし感じました。かっ、勘弁してください2人とも~!?
「・・・アキと美鈴のバカァッ!行くわよ瑞希、魔理沙っ!」
「うう~、は、はいいい・・・」
「・・・あ~。なんか、すまんぜ、2人とも」
あ、ああ・・・!私が何やら裏切り者の雰囲気にっ!私だけ置いてかないで島田さん、瑞希さ~~~んっ!!
「あれ、美波と姫路さん、どうしたんだろ?何かあったのかな?」
「私も恨みますよ、吉井君」
「お前はそのうち殴られるぞ、明久」
「全くじゃな」
「・・・・女の恨みは恐ろしい」
「・・・あんた・・・鈍すぎるだろ」
「え!?み、みんな揃って僕のせい!?」
他に誰がいるっていうのですかっ!吉井君はとことん鈍感ですね全くもうっ!
「で、お主はどうするのじゃ紅?後を追って一緒に着替えるのか?」
「ん~。いえ、せっかくですからこの格好で帰りますよ。土屋君、これはもらってもいいのですか?」
「・・・構わない」
「そうですか、ありがとうございます!」
この喫茶店が終わったら、チャイナドレスなんてめったに着ないでしょうからね~。なのでどうせなら、最後の最後まで着ないともったいないと思っちゃうのが私の性なのです!
「さすが美鈴さんだ!」
「・・・それでこそ、友人・・・!」
「・・・・あなた達に喜ばれると、非常に着替えたくなりますね・・・」
そこで友情を確認されても私は全く喜べません。ま、そういう反応にはこの二日間でだいぶ慣れたのですが。
「秀吉君はどうしますか?」
「ふむ、ではわしは着替えると――」
「させるかっ!秀吉もそのままでいてちょうだいっ!」
「なっ!?何をするのじゃ明久!」
「・・・・!(フルフル)」
「ムッツリーニもじゃ!そ、そんなにわしのチャイナドレスを見たいのか!?」
「・・・・当然・・・っ!」
「姫路さん達がいなくなった今、チャイナドレスを着てるのは二人だけなんだ!どうかっ、僕に夢を見続けさせて!」
「・・・気持ち悪・・・」
「あ、あはは。ちょ、ちょっと、ねぇ?」
チャイナになんの魔力があるのか。吉井君と土屋君は、着替えようとする秀吉君の足に縋りついて阻止させようとするではありませんか。
はあ。その気概を先ほどあの2人にお見せすれば良かったでしょうに・・・男子の秀吉君に見せてどうするんですかっ!はたから見たら同性愛・・・いや、異性との愛にしか見えません!・・・あれ?それって普通なのでは?
「おい明久。遊んでないで学園長室に行くぞ」
「え。いいけど、今から行くの?」
「ああ」
その縋り付く様を呆れて見ていた坂本君は、吉井君に声をかけて、優勝賞品の腕輪を手に持ちました。どうやら学園長に頼まれていた物を渡しに行くみたいです。
「学園長室じゃと?2人とも学園長に何か用でもあるのか?」
「ああ、ちょっとした取引の清算さ。喫茶店が忙しくて行けなかったから、今から行こうと思う」
「なるほど。じゃあ学園長によろしく伝えておいて下さいな!」
「分かった。んじゃ明久、行くぞ」
「了解」
「・・・興味がある・・・」
「いってらっしゃ~~い!」
そう言って坂本君と吉井君は、興味心を持った土屋君の三人で学園長室へと向かいました。これで学園長との約束は果たせて、教室の修繕も許可をもらえるみたいですから一安心です!!勝負には負けましたが結果オーライですね!
「さて、わしらはどうするかのう?」
「のんびり待つとしましょうか。今日も色々と忙しかったことですし、ちょっとの時間でも休みましょうよ」
「異議ない・・・本当に疲れたし・・・」
「ふむ、ではそうするかのう。改めてお疲れ様なのじゃ、紅、藤原よ」
「そうですね~、秀吉君も妹紅さんもお疲れ様です!」
「・・・お疲れ・・・」
私たち三人は労いの言葉を言い合いながら、近くのお客さん用のテーブルの椅子に座ります。う~ん、お茶が欲しいところですがもうダメですので我慢ですね!あ、ちなみにテーブルなんかの小道具の片づけは明日の予定です。全然片づけをしていないというわけじゃありませんよ?
「お主らはこの後の打ち上げに行くのじゃろうか?」
「ああ、もちろん行くつもりですよ!」
席に付いた秀吉君は、放課後に予定されているFクラスの打ち上げ会への出席を聞いてきました。秀吉君!私はそういうのには喜んで出席する女です!だからそんな不安そうな顔をされる必要はありませんよ!皆さんの空気を壊すようなことはしないのです!
「妹紅さんはどうしますか?」
「・・・・・・行きたいとは、思わない・・・」
「じゃ、じゃとはわしも薄々思っておったのじゃ。すまぬ藤原・・・」
「・・・事実だから、気にしないけど・・・い、行かなきゃ・・・ダメ・・・?」
「くふぉっ・・・!?」
う、上目遣いっ!妹紅さんの、恐る恐るながらも自分の意見を押そうと、目を逸らさずにその澄んだ目で私たちをきゅっと見つめる妹紅さんに、私は思わず赤い衝動が吹き上がりそうだぁぁあっっ!!
「あ、い、いや。行きたくないのならば無理強いは出来んのじゃ。気にすることはないぞい!」
「・・・な、なら・・・私は、欠席で」
参加しなければならない、というつもりで言ったわけではないのでしょうが、秀吉君は慌てて妹紅さんの意をくんであげました。ぅむむむ・・っ!わ、私としては妹紅さんにも来てほしかったのですが、本人が嫌と言うのなら強く誘うこともできません!残念ですが、今回妹紅さんは欠席ということに――
「えーっ!?どういうことよさもこーっ!」
「ひっ――!?」
「あ」
そんなことは知ったものかと、妹紅さんの意思表示に元気な声で割って入ってきたのは、瑞希さん達と着替えに出て行ったチルノでした。
「もこう!皆が行くって言ってるのにあんただけ行かないとは、良い度胸してるじゃない!!」
頬を膨らませたチルノは、教室に入ってどしどしと足を踏み鳴らしながら妹紅さんへと接近し、妹紅さんは何事かとそのチルノをおろおろと見つめました。
「ぇ・・・え・・・」
「いいもこうっ!こういうのはねえ、たとえイヤだろーがメンドーだろーが風邪でぶっ倒れていようが!必ず出るのが筋ってものなのよさ!」
「い、いやいやチルノ!?風邪で倒れてるんなら人にうつさないためにも来ないのが礼儀ですよ!?」
と、というか、常識を破った存在のおバカチルノがそんなことを言い出すなんて!あなた自身いくつ筋道を通していないこと、勝手に私を子分扱いしたりバカ扱いしてるんですかこらっ!?
「ぅ・・・そ、そりゃ・・・そうかもしれないけど・・・」
「だからもこうも絶対くんのよっ!これは最強のアタイの命令なんだからっ!」
「・・・ぅ~・・・」
「ちょ、ち、チルノッ!命令はダメですよ!?妹紅さんの意思を尊重しなさい!」
全くこの子は!誰もが楽しく過ごせてこそ打ち上げなのです!それを無理強いに誘うなんて、あなたは最強じゃなくてサイアクになりますよ!?
「でもメイリンッ!イヤなことでもやらなきゃいけないのが世知辛いこの世の中なのよさ!ここは心を鬼にするべきよ!」
「脳に何かが降ってきたんですかチルノ!?なんか全然チルノらしくありませんよっ!?」
みょ、妙に話に筋が通ってやがりますよちょっと!?何もこんな時にそんな隠しスキルもどきを発動させなくても!妹紅さんがすっごく困った顔になってるじゃないですかーっ!
「・・・わ、分かったよ・・・行きゃいいんだろ・・・」
「・・・えっ?い、いいんですか妹紅さん!?」
も、妹紅さんがまさかの承諾っ!?予想外ですよこれは!?
「べ、別に嫌でしたら無理なさらなくていいんですよ!?おバカチルノが言ってるだけで私たちは全然気にしませんから!」
「だだっ、誰がバカよバカメーリンっ!」
「あふっ!?お尻が痛いですっ!」
でも今は気にしない!大事なのは妹紅さん本人の意思を思いやることです!
しかし彼女は、
「・・・う・・・嫌だけど、こいつの言うことも確かだし・・・い、行く。自分の意志で・・・」
純白の前髪を一房(ひとふさ)摘まみながら、消え入りそうながらも、とっても嬉しい言葉をつぶやいてくれました。
「もっ・・!も、もっ、妹紅さ~~~~んっ!!」
「ひいっ!?」
私は思わず、妹紅さんを胸にぎゅ~っと抱きしめます!やったー!これでFクラスの皆さん全員で、この色々とあっても楽しかった学園祭の打ち上げを、心の底から楽しんで行うことが出来ますよ~!!
行きたいと思っていない部分がきっとあるはずなのに、それも乗り越えて自分の意志で行くと言ってくれる健気な妹紅さん!うきゃ~~っ!可愛いすぎて大好きですよ妹紅さ~~んっ!!もっとナデナデさせてーっ!
「~~~っ!?はっ…はは離せって・・・!あ、あ頭撫でるなききっ、気色悪いからぁ!!」
「がぁんっ!き、気色悪っ!?」
も、ものすっごいショックです!?かっ、母さんに撫でられてるときはあんなに嬉しそうだったのに!あれほどほにょほにょニコニコはにかんでいたのに、今は比喩じゃなくてホントに顔を少し白くする始末!この天と地の差は何ですかっ!?
「ぅ~・・・わ。悪いけどまだ、勇儀以外は・・・」
「うう~~、と、とても残念ですけど、分かりました。そしてごめんなさい~!」
私、紅美鈴はまだまだ母さんの足元に届かず!妹紅さん、私はもっと精進しますから、その時は母さんの時みたいに微笑んでくださいね~!
「ふむ。藤原は、紅の母君様を深く信頼しておるんじゃのう」
「あれね。もこーはラジコンってやつなのよさ」
「チルノ。それはおそらくまざこん、と言う奴の間違いではないじゃろうか?」
「・・・私がいつ、人間やめたんだ・・・」
「ま、まあまあ妹紅さん。チルノですからここは大目に!」
笑顔はダメでもしかめっ面はOK。間違えて物扱いされてしまった妹紅さんはチルノに満面のかた~い顔をお披露目してくれました。それはそれでグッとくるものがあるので、私は大歓迎ですよっ!
「お持たせ~!」
「お、お待たせしました~」
「お~す。て、あれ?吉井と坂本と土屋は先に帰ったのか?」
おっと、女子三人のお帰りです。チルノほどではありませんが意外と早いですねー。
「ああ、あの2人でしたら、今学園長室に行ってますよ」
「学園長室ですか?」
「え?何かあったの?」
「何と言うわけじゃありませんが、少し用事があって――」
出て行ったんですよ。と言おうとする前に、
「「うおおおおおおっっ!!」」
『!?』
そんな聞きなれた2人の叫びが届いてきました。
『待たんか貴様らっ!学園祭中に学校の備品のテーブルを盗んだことの話をつけてもらうぞっ!』
『断るっ!どうせ話じゃなくて拳でケリを付けるんだろうがあ!!』
『そうだよ鉄人先生!そんな野蛮なのは見た目だけにしてくださいっ!』
『おのれ!上等だっ!貴様ら今日という今日は徹底的に容赦せんぞおおっ!』
『『し、死んでたまるかああああ!!』』
『・・・・・・』
そして、Fクラスの前を風のように通り抜ける三つの影。早くてよく分かりませんでしたが、それが何かを把握していない人はここでは皆無でした。
「・・・学園長室に行ったんじゃなかったっけ?」
「・・・そ、そのはずです・・・はい」
「に・・・西村先生に追いかけられていたような気がします」
「うむ。追いかけられていたのう」
「何やってんのよさあいつら。やっぱりよしー達はバカねっ!」
「・・・変態は、いなかったな・・・」
「あ、そう言えば土屋君が・・・」
「・・・・俺は変態じゃない」
「・・・っ!?」
「おおっ!?ま、またまた突然ですね土屋君」
忍者を思わせる隠密行動をする土屋君。やってることはすごいのですが、きっとその能力は女の子を泣かせる方向に使われてるのでしょうね~。
「・・・テーブルを勝手にFクラスに持ち運んだから、そのことで鉄人に・・・」
「・・・あ~、なるほど。どうりでやたら綺麗なんですね、このテーブルたちは」
「そ、そういうことじゃ」
途中から取り入れられた数々の高そうなテーブル。秀吉君はどこから入手したのかを言いませんでしたが・・・
いや~。ようやくそのルートが分かって、私は安堵・・・どころか罪悪感がひしひし伝わってきましたよもおお~っ!!ごめんなさい教師の皆様~~!!
「いや~吉井達は不運だったな~!実は私も一緒にテーブルの強奪をしてたんだが、無罪放免みたいだぜ!」
「はい?魔理沙もですか?」
「ええっ!?ま、魔理沙ちゃん達、いつの間にそんなことをしてたんですか!?」
私と瑞希さんはびっくりして魔理沙を見ます。瑞希さんは魔理沙だけ、というより吉井君達がテーブル強奪をしていたということに驚いているみたいですが、私にとってはもはや通常運転にさえ思えてきます。『あ、また何かやったんですね』って感じですね。
「やっぱり日頃の行いってのは大事だな!さすがは私だぜ!」
ところが魔理沙のこの厚かましさ。ちょっと自分の胸に手を当てて記憶を掘りあさりなさいっ!
「いやいや!魔理沙が日頃の行いをどうこう言うのは絶対おかし――!」
ガラガラッ!
「いで、す?」
「ん?」
「ここにいたか、霧雨」
「!?げっ・・・!?」
やっぱり神様というものはきちんと見てるんですね。いけないことをした人は一人も見逃しません。
「あ、こ、今日は上白沢(かみしらさわ)先生!」
「ああ。こんにちは姫路。皆も今日はご苦労様だったな」
「は、はい!慧音(けいね)先生もお疲れ様!」
「ああ。とは言え、まだやることが残っているのだがな」
そう言って二人に笑いかけるのは、西村先生と同じく文月学園の教師、石頭が少しばかり有名な上白沢慧音先生でした。
魔理沙はそんな慧音先生を見て、汗をどっと吹き出します。
「な、なな、何の用だ先生っ?あいにく店はもう閉まって・・・!」
「いや、お店に用があるわけではないから大丈夫だ。用があるのは、霧雨だ」
ポンと優しく魔理沙の肩に置かれ先生の手。ですが、私にはその手が動きを封じる錠のように見えてなりません。ほら、魔理沙もびくっとしましたもの。
「へ、へ、へ~?私によ、用なんだ~~?」
「そう、霧雨にだ」
お、おぉぉ・・・!わ、笑い顔が笑い顔じゃありません!先生の後ろにゆらめく何かが見えませんか!?
「ここで話すのもなんだ、一緒に来てくれるか?」
「うっ・・・!わ、悪いけど慧音先生!私は断らせもら―!」
「よしありがとう。では皆、霧雨を預からせてもらうぞ」
「っておい!?」
慧音先生と、すがるような魔理沙の目が私たちに向けられます。ふむ、魔理沙・・・
「また後で会えることを願っていますよ魔理沙」
「どうぞなのじゃ先生」
「わ、分かりました上白沢先生!」
「ま、魔理沙、また後でね~?」
「仕方ないのよさ」
「・・・勝手にどうぞ・・・」
「・・・骨は拾っておく」
「お、お前ら全員薄情者だあっ!」
だってだって!今の上白沢先生は逆らったら地獄の頭突きが来そうですもん!なのに悪いことを(結果的にFクラスとしては良かったのですが、それはそれです。)しちゃった魔理沙をかばうのは大損じゃないですかー!
「すまないな皆。さあ、許可も出たことだし、行くぞ霧雨」
「私は出してない!だ、だからその許可は無意味だ先生!」
「(がしっ)では、失礼する」
「うげっ!や、やだあああ~~っ!」
がらっ ピシャンッ!
「・・・吉井君と坂本君と魔理沙は、かなり打ち上げに遅れそうですね-」
「あ、あはは。そうかもしれませんね」
「しょうがない奴らなのよさ全く!ま、最強のアタイは心も最強だから、大目に見てやろうじゃない!」
「・・・だったら、私の行きたくないってのも大目に見ろよ」
「えっ、妹紅は行かない気だったの?そりゃウチも来てほしいって思うわよ」
「・・・わ、私が行っても仕方ないだろ・・・」
「いや、違うと思うぞい藤原。男子はきっと泣いて喜ぶと思うのじゃ」
「・・・微塵も、どうでもいい・・・」
魔理沙が消えても、私たちは代わることなくこのあとの打ち上げのことで盛り上がりました。三人共!私たちは準備をして待ってますから遅くなっても来てくださいね~!
お読みいただきありがとうございます!
どうも最近、最後にオチを付けられなくてすいません~!出来れば最後まで皆さんには笑って読み終えてほしかったのですが、面白みの欠ける終わり方となってしまいました。それでも、途中までの内容までで一度でも笑い、和んでもらえることを願う村雪です…!
さて、実に長いこと続けさせてもらった学園祭編ものこりわずかです!一応章の最後まで話を書き終えることが出来ましたが、決して章の最後だからとシリアス、湿っぽい終わり方などせずに!明るく愉快な終わり方でしめさせてもらうつもりであります!
どうか残る学園祭編も楽しんでもらえたら幸いです~!
それではまた次回!