バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!久方ぶりの投稿をさせていただきますね!


 ようやく合宿初日へと突入!なのですが、今回はそこへ向かう間の話となるのであんまり過度な期待はされず、気楽に読んでいただくことがベストかと思われます!

 それでも、楽しみにして読んでくださる方がおられたら、その方々に感謝の気持ちを込めていつもの言葉を書かせていただきます――――


―‐ごゆっくりお読みください。


心理―テスト、ってものすごく当たるからびっくりですよ!

 

ガタンガタン ガタンガタン

 

 

 

「はわああ~あ……咲夜さんにはああ言いましたが、こうやって電車に乗るのもやはり乙なものです」

 

 

 私は流れゆく景色を眺めながらあくびをします。電車に乗ってから何時間か経ちましたが、目的地にはまだ到着しません。こうやって長く電車に乗るのも久しぶりですねぇ。

 

 

「……座れたからそう言えるけど、座れなかったら地獄だった」

 

「まあそうですね。ず~っと何時間も立ち続けるのは、さすがにちょっと疲れそうです」

 

「……それで〝ちょっと〟なんだ」

 

 

 シートに身体を預けてる妹紅さんが隣から話しかけてきます。呆れた表情もいつもより穏やかで、少なからず旅行ムードに心を弾ませていると見て間違いではないでしょう。

 

「ふぁふ………う~ん、こうやって眠気が襲ってくるのもシートに座れたおかげですね~」

 

「…電車に乗る前から眠そうにしてただろ」

 

「あ、朝早かったから仕方ないことです!うう…どうして妹紅さんも早起きをしたのに、普段と変わらないのですか!そんなのズルいですよっ!」

 

「……あんたの必要睡眠時間が長すぎるんだ」

 

「そ、そんなことはありませんっ!?」

 

 

 だ、だって皆さんも9時間ぐらい眠るでしょ!?その普通の枠組みの中にいる私のどこが寝過ぎだというのですか!?

 

 

「……眠いんだったら寝れば?……着いたら起こすけど」

 

「う、う~ん。それはちょっとせっかくの時間がもったいないと言いますか……ところで、あとどれくらい時間がかかるんですかね?」

 

「え~とな、あと2時間ぐらいはこのままみたいだぞ?」

 

 

 質問に答えてくれたのは私の斜め前に座っている魔理沙。どうやら手に持っていた携帯で時間を確認してくれたみたいです。

 

 

「それは結構かかりますね。ありがとう魔理沙」

 

 

「ああ。ちょうど携帯を持って「うおおおおっ!見て魔理沙!世界が傾いてるのよさ!最強のアタイだからこそ見れる景色ね!」……違うぞチルノ。それは単に電車がカーブで傾いてるだけであって、誰にでも見れる光景なんだぜ」

 

「細かいことはいいのよさ!うおおおっ!ななめ世界すげえっ!」

 

「…そ、そうか。チルノが楽しそうで何よりだぜ」

 

 

「……チルノ。もう少し静かにしてほしいんだけど」

 

「まあまあ。元気いっぱいでチルノらしいじゃないですか」

 

「……いつにも増して元気すぎるだろ」

 

「ま、まあそれもそうなんですけど。かれこれ数時間この調子ですものね」

 

 

 普段よりもさらに興奮したチルノの声に妹紅さんは顔を引きつらせますが、無理はありません。なにせ電車に乗った時からまったく興奮が衰えず、そのすさまじい元気良さに魔理沙も珍しくタジタジになるほどでございます。

 電車の何がチルノを刺激したのかは不明ですが、ともかく、チルノは絶好調です!

 

 

「ん?ちょっとよしー!何をいつもみたいにバカな顔して過ごしてるのよさ!もっと元気な顔して電車を楽しみなさいよっ!」

 

「な!?急に失礼だね君は!?誰がいつもみたいなバカ面だっ!僕はいつだってクールな顔付きじゃないか!!」

 

 

 そんなチルノの次の標的は吉井君。絶好調なチルノに吉井君も全力で迎え打ちます。

 

 

「クール~?あはははっ!クールだなんて、よしーったら面白いことを言うわね~!冗談がうまいのよさよしー!」

 

「じょ、冗談じゃなくて本気だよっ!?ほらっ!今だってクールでしょ!?よ~く僕の顔を見るんだチルノッ!」

 

「ん~?………ぷっ!あはははははっ!や、やっぱりいつものよしー面(※バカ顔のことのようです)じゃない~!ああおかし~!あっはははははははははっ!」

 

「むきぃいいいいいい!!」

 

 

「……お前ら、おしゃべりするなとは言わないけど、間にいる私の事も少し考慮してくれ。さっきからお前らの声で耳がピンチなんだぜ」

 

「そうですよ2人共!もう少し声を小さく………あ、ああごめんなさいおばあちゃん声がうるさくてっ!!」

 

 

 こっちを見てニコニコしてらっしゃるおばあちゃんの優しさが申し訳ないっ!他に乗客がいなくてよかったものの、物理的にでも口を閉じさせますよちょっと!?

 

 

「ち、違うんだよ美鈴さん!身の程知らずにもチルノが僕をバカにしてきたから、僕は間違ってるって指摘してるだけなんだ!ねっ!どこもおかしくないでしょ!?」

 

「どっちがおバカなのかはともかく、指摘をするなら小声ですればいいでしょ!電車で大声を出してる時点でアウトなんです!」

 

「まあ、明久の方がバカなのは間違いないと思うがな」

 

「失礼なこと言うんじゃないよ雄二っ!それが友達にかける言葉なの!?」

 

「ん?友達??いつから明久と俺は友達になってたんだ?」

 

「僕の今まで感じてた友情を返せこの薄情者っ!」

 

「あ、あの明久君。きっとチルノちゃんは明久君を褒めてるつもりでバカって言ってるんです!だからあんまり気にしなくてもいいとお、思いますっ!」

 

 

 坂本君も加わってさらに盛り上がろうとする中、ハラハラと成り行きを見ていた瑞希さんがフォローを始めます。が、ごめんなさい瑞希さん。お褒めの言葉に『バカ』という単語はありません。

 

 

「い~や姫路さん!このバカチルノは絶対に僕のことを褒めたりするような女の子じゃないね!僕をバカにするようなことを言わないチルノなんてチルノじゃないよ!」

 

「そ、そんなことありませんよ!?ねっ、チルノちゃん!チルノちゃんは明久君のことを嫌いじゃないですよね!?」

 

「あん?何を言ってるのよさみずき!アタイは吉井のことをバカだと思ってるのよさ!それ以外に思ったことなんて一度もないわねっ!」

 

「良くぞ言ってくれたねチルノ!そうじゃないとチルノじゃないってもんだこの野郎っ!!」

 

「お、落ち着いてください明久君っ!チルノちゃんは嫌いとは言ってないから、はっきりとは分かりませんっ!!」

 

「……互いにけなしあっているのか、互いに認め合ってるのか、微妙に分かり辛いな。霧雨はどう思う?」

 

「なんだかんだで息ぴったりだからな~。坂本と吉井みたいな関係だから、まあ悪友ってところじゃないか?」

 

「おぞましいことを言うんじゃないぞ霧雨。だから俺と明久はダチじゃねえ」

 

「そういうことを気楽に言えるところがダチって感じがするぜ」

 

「だ、だから違うってんだ!お前の目は恋愛事が絡んでる時みたいに役立たずになってるのか!?」

 

「そ、それはどういう意味だあぁ!?私は恋愛が絡むと無能になるって言いたいのかっ!?」

 

「実際そうだろうがっ!いったい何回アリス・マーガトロイドを前にしてバカになったと思ってる!」

 

「いい一度だってバカになったりしてないわっ!というか!いちいちいちいちア、アリスの名前を出すな恥ずかしいからさぁぁああ!!」

 

 

 

 

「…………あうあうあ~~~~…!!」

 

 

 吉井君達に負けずに騒ぎ出す坂本君と魔理沙。これじゃあ教室で過ごすときとなんも変わってないじゃないですか!もうっ!せっかくの電車旅ぐらいのんびりさせなさいよぉおおおおっ!!

 

 

 

 

「やれやれ、お主らはいつでも元気じゃのう」

 

「ひっ、秀吉くんっ!秀吉君もこの元気なおバカさん達に言ってやって下さい!」

 

 

 すると、ひょっこり後ろの席から顔を出す秀吉君。土屋君と一緒に後ろの座席にいて騒ぎの渦中から逃れてるわけですが、さては私の疲労を察して手助けに来てくれたんですね!?さすがはFクラスの良心です!

 

(※……あながち間違ってはいない、かもしれませんね)

 

 

「まあまあ、落ち着くのじゃ美鈴。こやつらが元気なのはいつものことじゃし、元気でないよりもこちらの方が良いではないか」

 

「う。そう言われるとそうだとしか言えませんが…」

 

「じゃろ?じゃからそれほどお主も気にすることもないのじゃ。せっかくの電車なのじゃから、もっと気楽にいこうぞい」

 

「む、むむう……確かに。皆が楽しんでるのですから、それで良いですかね?」

 

「うむ。お主だけ疲れた顔をしていてはわし……らも嬉しくない。いつものお主らしくいてほしいのじゃ」

 

「あ、あっはは!いちおうこれも〝私〟なんですけど、ごめんなさいね秀吉君!やっぱり男の子は頼りになりますな~!」

 

「む。そ、それを言うならお主も面倒見が良い女子ではないか」

 

「いや~照れること言わないでくださいよ秀吉君あっはっはっは!」

 

「それはお主もじゃと言うに、まったく……本当にお主は変わらんのう」

 

 

 ちょっとちょっと!どうしてそこでニッコリ笑顔になるのですか秀吉君!別に私は笑うようなことを言ってませんよ!?

 

 

 

 

 

「………なんか、僕達が子供で、秀吉と美鈴さんがお父さんお母さんみたいって思ったのは僕だけかな?」

 

「…いや、奇遇にも俺もそう思ったところだ明久。あいつらの会話がまさにそれだ」

 

「完全に子供をどっかに連れて行くときのパパさんとママさんの言葉だもんな。そんで私らがやんちゃをする元気な子供っつー……」

 

「き、木下君が優しいお父さんで、美鈴さんがしっかりもののお母さんですねっ」

 

「メーリンとひでよしって仲がいいわねー。親分のアタイも誇らしいのよさ!」

 

「……まあ、似合ってるっちゃあ似合ってる。……あいつ(咲夜)がどう思うかは知らんけど」

 

 

 

 

「?皆で顔を寄せ合ってどうしたんですか??」

 

 

 窓際にいる私には通路側でひそひそ話す声が全く聞こえません。前触れなく話し出しましたけど、何かありましたか? 

 

 

『いや、別に』

「い、いえっ!なんでもありません!」

 

「?は、はあ…」

 

 

 どうやら私に話す気はゼロみたいです。……別に寂しくなんかないですよっ!私はそんな弱い女じゃありませんもん!!

 

 

 

「あ、あぅ……と、ところで島田。お主は先ほどから何を読んでおるのじゃ?」

 

 

 でも秀吉君はそれが悔しかったようで(※違います。秀吉君はあなたと違って耳がよろしいのでございますよ、この罪づくり少女さん)、顔を赤くして話を逸らすべく新たに話題を作り出しました。

 そういえばさっきから美波さんが口を出してません。おしゃべりというわけでもないですけど、これほど無口だったのも珍しいですね?

 

 

 

「ん?あ、これ?これは心理テストの本よ。百円均一で売ってたから買ってみたんだけど、意外と面白いの」

 

「おお、心理テストの本を読んでたのか美波」

 

「は~、それまた難しそうな本を読んでますねー」

 

 

 私はあんまりしたことがないんですけど、あれってなかなか深いんですよねー。いちどやった時は「え!?め、めちゃくちゃあてはまってるわよこの診断結果!?」って思いましたよ。

 

 

「へ~。面白そうだね~。美波、僕にその問題を出してよ」

 

「うん、いいわよ」

 

 

 興味を示した吉井君が問題を願い、それに美波さんは快くOKを出してページをめくります。ほほう。どうやらここから心理テストタイムのようです!どんな問題で心をあばいてくるのでしょう!?私も耳を澄ませますよ~!

 

 

「それじゃいくわよ。『次の色でイメージする異性をあげてください』」

 

 

ふむふむ。色のイメージですか。

 

 

「『①緑 ②オレンジ ③青』、それぞれ似合うと思う人の名前を言ってもらえる?」

 

 

ふ~む。緑、オレンジ、青ですか。それだったら私は……

 

 

 

「ん~……順番に、『緑が美波でオレンジが秀吉。それで青が姫路さん』って感じかな」

 

 

 ビリィッ!

 

 

 あ、なんかやっちゃいましたね吉井君。美波さんの持つ本だったものがその証拠。

 

 

 

 

「…あ、あの、美波?どうして本を真ん中から切り裂いちゃったの?」

 

「これまた綺麗に真っ二つだぜ。やるな美波」

 

「いや魔理沙。問題はそこじゃなくって……」

 

「ア、ア~キ~?」

 

「は、はいっ!?」

 

 

 ものすごくひきつった笑顔を浮かべる美波さんが、裂かれた本の間から吉井君をロックオンします。気楽に質問に答えていた吉井君は一瞬で姿勢を正します。

 

 

「お、教えてくれるかしら?ウチにもちょっとぐらい、青のイメージはないのかな~?」

 

「え、ええと……う、うん。美波は緑のイメージがする、よ?」

 

「……へ~~?じゃ、じゃあ、ウチが緑色のイメージがあるのはどうして?」

 

「ど、どうしてと言われましても…」

 

「あ、あの美波さん。イメージに文句を言うのはいかなものかと……」

 

 

 その人その人に感じるものはあるのですから、そこを責められてはどうしようもないと思うのですが……

 

 

「え~~~っと………言っても怒らない?」

 

「……ウチが怒るような理由なの?」

 

「僕は美波が噴火すると思ってる」

 

「お前…どんな理由で美波に緑のイメージを付けたんだよ、吉井」

 

 

 言い直します。結構憤慨ものの理由のようですから遠慮なく怒りましょう美波さん。

 

 

「は~……分かったわ。絶対に怒らないって約束するから言ってみなさい」

 

「……ほんとに怒らない?」

 

「武士に二言はないわ」

 

「え?美波はいつから武士になったのよさ??」

 

「チ、チルノちゃん。それはことわざみたいなもので、美波ちゃんが武士になったわけでは……」

 

 

 瑞希さんがチルノに説明をしてあげますけど、確かに美波さんって武士道に通ずる性格をお持ちですよね~。

 

 まあそれはさておき、果たしてその深い心は吉井君の理由とやらを許してくれるのか…

 

 

「えっとね……その……」

 

「うん。なにアキ?」

 

「………あのね、そのだね」

 

「………なに?」

 

「なんというかだね。あれというかだね……」

 

「あああもうさっさと言いなさいよアキィッ!!そんなにウチにしばかれたいの!?」

 

 

 

「は、はいぃっ!前に見えた美波のパンツがライトグリーンだったからです!」

 

「うっわ。まじか」

「吉井君、それはあまりにもあんまりです」

「あんた最悪だ」

 

 

 予想を上回るアホかつ変態すぎる理由に、魔理沙、私、妹紅さんの目が同じものを宿します。こりゃ~確かに吉井君の言う通り、美波さんが爆発するのは時間の問題―――

 

 

「くっ……!どうしてウチはその時、青色のパンツをはいてなかったのよ。ウチのバカ…ッ!」

 

「ええ!?怒るところはそこなんですかっ!?」

 

「パンツを見られたのはいいのか美波」

 

「……なんだかんだで乙女だよな、この人」

 

 

――というのはあっていましたが、怒りの矛先はよもやの〝自分〟でございました。青色のパンツって、すっごくセクスィーですよね?それを履いて見られてもいいって……うん、恋ってすっげえですね!!

 

 

 

「あっ!?じゃ、じゃあアキ!あんた瑞希のパンツかブラジャーも見たことがあって、それが青色だったから瑞希が青なの!?」

 

「ふぁっ!?みっ美波ちゃん!私はそんなエッチな下着を持っていません!み、水色なら持っていますけど!」

 

「瑞希さん言わなくていいっ!そういうデリケートなことは正直に言わんでもよろしいです!」

 

 

 顔を真っ赤にしてまで言わなくても……ってああ、吉井君もすっごい顔を赤くして!いったいどんなセクシーな瑞希さんを想像したのでしょう!?

 

 

「なっ、なっ、なんてことを言うのさ美波!僕は一度だって姫路さんの下着を見たことがないよ!そんなこと許されるわけないでしょ!?」

 

「じゃあなんでそんな顔が赤いんだぜ?」

 

「こ、これは怒りだよ!見たことがないのに濡れ衣を着せられたら、いくら穏やかな心を持つ僕だって怒るよ!」

 

「……でも、見たいんだろ?」

 

「妹紅ちゃん!?」

 

「確かに一度は見てみたいっ!」

 

「あああ明久くくんっ!?」

 

 

「吉井。お前のそういう正直なところ、私は嫌いじゃないぜ」

 

「あまりにも正直すぎて姫路の顔がすごいことになってるがな」

 

「でもまあ、嫌な顏ではないので大丈夫でしょう」

 

 

 恥ずかしさ7割、嬉しさ3割ってところでしょうか。吉井君に下着を見たいと言われて喜ぶ辺り、瑞希さんもやっぱりお熱いですな~。

 

 

「んで、島田はなんでそんな青色が良かったんだ?よっ」

 

「あっ!?ちょ、ちょっと!?」

 

「どりゃどりゃ。私にも見せてくれよ」

 

「ああ。ほれ」

 

 

 美波さんが青にこだわるのが気になったようで、坂本君がヒョイと美波さんの手から両断された本を取り上げ、中身を見ました。魔理沙も理由が知りたいようで、通路を挟みながら顔を坂本君の持つ本へと近づけます。

 

 

「―――お、これだな今の問題は」

 

「ああ。なになに?緑は『友達』、オレンジは『元気の源』青は―――なるほどなぁ」

 

「ほっほぉ~~~……なんとなく分かってたが、改めて納得したぜ」

 

 

 ニヤニヤしながら美波さんと吉井君を見るお二人。何やら見られた美波さんも顔を赤くしてますけど、何が書いてあるのでしょう?

 

 

「さ、さっさとその本を返しなさいっ!(バシッ)あと絶対言ったらダメよ!?」

 

「ああ、悪い悪い。誰にも言わないから安心しろ島田」

 

「本当によ!?ぜ、絶対に絶対に言っちゃダメだからね!?」

 

「安心してくれ美波。今後美波と話す時だけにしか言わないぜ」

 

「ウチに言うのもダメッ!あ~もう!魔理沙に知られたのが一番いや~っ!」

 

 

 本を奪還して頭を抱える美波さんのお気持ちはよーく分かります。魔理沙ほど人をからかうことが好きな子は知りません。魔理沙が何を見たのかは分かりませんが、すぐに忘れることを願いましょう。

 

 

「明久」

 

「ん?どうしたの秀吉?」

 

「『オレンジでイメージする異性』の部分で、わしが呼ばれた気がするのじゃが気のせいかの?」

 

「え?秀吉って言ったよ?」

 

「…はぁ。お主にいつになったら男と認められるのやら…」

 

「秀吉君どんまいです。きっと良いことがありますって」

 

 

 お約束とばかりに女の子扱いされる秀吉君。よしよし、吉井君がおバカなのもある意味お約束ですからあんまり気にしちゃダメですよ~。

 

 

「……ところで美鈴」

 

「ん?」

 

 って、あらあらどうしたのですか秀吉君。吉井君が見たらまた一歩男の子への道が遠ざかっちゃうお顔になってますよ?

 

 

「その……お、お主はどうじゃった?」

 

「?どうと言いますと?」

 

「島田が言った心理テストじゃ。差し支えなければお主の回答も聞いてみたいのう」

 

「私ですか?私は緑が坂本君でオレンジが吉井君、そんで青色が秀吉君ですかね」

 

「……そ、そうか。うむ、分かったのじゃ」

 

 

 普段から大人びて冷静でいる秀吉君ですから、青を思い浮かべたらぱっと秀吉君が出てきたんですよね~。こう、クールな印象と言いましょうか?とにかく、青の異性と言ったら私の中では秀吉君です!

 

 

「……島田よ。わしにもその本を見せてくれんじゃろうか。非常に青が何を意味するかが気がかりなのじゃ」

 

「……む~。なんだか木下だけうまくいっててうらやましいから、やだ」

 

「そ、そんな子供のようなことを言うでない。とんだとばっちりではないか」

 

「そ、そうですよ美波ちゃん。私もどういう意味があるのか知りたいですっ」

 

「ごめん瑞希。ウチは敵に塩を贈るほど心優しい女じゃないの」

 

「て、敵ってそんなぁ~…」

 

「むう。雄二、魔理沙。青はどんな意味じゃったのか教えてほしいのじゃ」

 

「ん?そうだな…どうする霧雨?」

 

「いやいや。こういうことは自分で調べて分かることが大事だぜ坂本。だから秀吉、私たちは黙秘させてもらうぜ」

 

「むぅ…それらしいことを言って面白がっておるな。まったくズルい奴らじゃ」

 

 

 

 あれっ?頭で自己説明している間に何を皆さん盛り上がってるのです?しかもチラチラとこっちを見て、私の回答が変だったのかしら?

 

 

「……あ。そう言えば、秀吉君はどうして私の心理テストを知りたかった―」

 

「!島田っ!つ、次の心理テストを出してほしいのじゃ!早く別の問題も聞いてみたいぞいっ!」

 

「わっ!?わ、分かったわよ!だからそんなに大声を出さなくてもいいわよ木下っ!」

 

 

 声を遮った秀吉君が大きな美波さんに心理テストを促します。はぇ~。秀吉君はそれほど心理テストが好きなんですねー。長いとは言えない付き合いですから仕方ありませんけど、全然知りませんでしたよ。

 

 

「じゃあ、ついでに私も参加させてもらおうか。興味がわいてきたんだぜ」 

 

「わ、私も入れてもらっていいですか美波ちゃん?」

 

「んじゃあおれもさせてもらうか。構わないか島田?」

 

「うん、ウチは別にいいわよ」

 

「あっ!じゃあアタイもアタイも!なんか知らないけどやるのよさ!」

 

「……私は聞いとく」

 

 

 そんな情熱溢れる秀吉君につられてどんどん参加者が増え、最終的には妹紅さんと眠ってる土屋君以外の参加が決定します。ちなみに私と吉井君も続けて参加なのでございます。

 

 

「じゃあいくわよ。え~と……『1から10の数字の中で、今あなたが思い浮かべた数字を順番に二つ挙げて下さい』だって」

 

 

ふむふむ、色の次は数字ですか。それでしたら――

 

 

「2と8ですかねー」

 

「俺は5と6だな」

 

「わしは2と7じゃな」

 

「私は9と3だぜ」

 

「僕は1と4かな」

 

「私は3と9です」

 

「アタイは1と10ね!」

 

 

 それぞれが数字を言ったのを確認し、美波さんがペラリとページをめくります。

 

 

「『今最初に思い浮かべた数字は、いつも周りに見せているあなたの顔を表します』だって。それぞれ――」

 

 

 私たちを順番に指さしながら、

 

 

「落ち着いた常識人」→私

 

「クールでシニカル」→坂本君

 

「落ち着いた常識人」→秀吉君

 

「意志の強い人」→魔理沙

 

「ああ。なるほどね」→吉井君

 

「温厚で慎重」→瑞希さん

 

「あー。確かに似てるわよね~」→チルノ

 

 

 と診断結果を教えてくれました。

 

 

「ふむ、なるほどな」

 

「おお、私と秀吉君は常識人ですか。嬉しいですねぇ秀吉君!」

 

「うむ。……しかも、お―しと―なじというのもまた…」

 

「うんうん。私の性格ぴったりだぜ」

 

「あれ?僕に教えずに納得されても困るよ美波さん?」

 

「温厚で慎重ですか~」

 

「あら?ねえねえアタイは?アタイ皆みたいに言われてないのよさ?」

 

 

 二名のぞいて各々が自分の性格分析に感想をこぼします。

 

 

「それで、『次に思い浮かべた数字はあなたがあまり見せない本当の顔』だって」

 

 

 そう言ってから、再び美波さんが1人1人に指をさします。

 

 

 

 

「たくましくて頼りになる人」→私

 

「公平で優しい人」→坂本君

 

「色香の強い人」→秀吉君

 

「温厚で慎重な人」→魔理沙

 

「……あ~。うんうん、確かにアキね」→吉井君

 

「意志の強い人」→瑞希さん

 

「寂しがりで甘えたがりな人」→チルノ

 

 

 

 ほほ~……なるほど。わ・た・し以外の分析は言われてみると納得できますね。

 皆さんも自分のあまり出さない性格を聞いて、納得したり驚いたりと様々な反応を見せます。

 

 

「姫路は意志が強いのか。言われれば分らんでもないな」

 

「坂本君は公平で優しいみたいですね」

 

「ねえ。またまた僕の結果が分からなかったのは気のせいかな??」

 

「え~?私が慎重かよ?そんなことはないぜ、なあ?」

 

「そうよそうよ!ア、アタイがいつ寂しがったり甘えたりしたのよさ!?こんなのデタラメよっ!」

 

 

 いやいや後半2人。納得できないみたいですけど、結構当たってると思いますよ?だって魔理沙はアリスが相手だと借りた猫みたいに大人しくなったり、ものすごく乙女になって言いたいことを言えずにいたりするでしょ?

 それでチルノはすっごい周りの人を振り回すことが多々ありますけど、裏を返せばそれだけ人と接したいと思ってること。

 

 うん!やはりこの心理分析は、私のものを除けばすごく正しいですね!

 

 

「ふむ。しかし確かに美鈴は頼りになるし、たのもしいのう」

 

「あ、あっはっは!冗談はやめてくださいよー秀吉君!それを言うなら秀吉君だって優しくて可愛いじゃないですか~!」

 

「む。お主も冗談を言うのう。あと、わしは冗談のつもりはなかったのじゃが」

 

「む。わ、私も冗談ではないですけどね~?」

 

「むっ」

 

「むむ?」

 

 

「「…………」」 (私と秀吉君がむくれた顔でメンチを切り合っている場面)

 

 

 どうやら秀吉君は少しばかり見るお目めがないみたいですね。もうっ!私のどこがそんなモテそうな男の子の性格なのですかっ!そんなことなら世界中の女性がナイスガイになりますよっ!

 

 

「……良い組み合わせだよ、あんたら」

 

「おらおら、お前らの仲が良いのは分かったから心理テストに戻ろうぜ。美波、次はもっと納得できる問題を出してくれよ~」

 

「ウチは今のも納得できたんだけど、分かったわ。じゃあ次の問題いくわよ」

 

「ねえ美波。次の問題の前に僕のテスト結果を言うべきじゃないかな?ものすごく気になって僕は朝も起きられなくなるよ?」

 

「明久君。それを言うなら『夜も眠れない』です」

 

「お前が朝起きられなくて遅刻寸前に学校に来るのはいつものことだろうが」

 

「よしーったらダメね~。アタイみたいに2分前には学校に来ることを心がけなさい」

 

 

 そんな譲れぬ戦いが始まる前に、美波さん達は心理テストを再開します。

 

 ぬぬ、仕方ありません。雰囲気をつぶすのも良くありませんからひとまず手打ちということにしておきましょう。でも決して私がナイスガイと認めたわけじゃないですよっ!?あとできっちり話をつけてやりますからねっ!?

(※どんだけ認めたくないのですかあなたは・・・)

 

 

 

 

「えっと、『ひとりの転校生がやってきました。その人はとても整った顔で、瞬く間にクラスの人気者となります。しかし、そんな転校生には一つだけ大きな欠点がありました。それはいったいなんでしょう?』」

 

 

「すごいバカだったことだね」←吉井君

「バカだからに違いないのよさ」←チルノ

 

 

「『今あなたが答えたものが、自分が一番知られたくないこと、または自分のコンプレックスです』……だって」

 

 

『なるほど間違いない』

 

「「おいっ!?」」

 

 

 

 

 

「『あなたが道を歩いていると、反対側から一人歩いてきました。その人の年齢はいくつでしょう?」

 

 

「なかなか高齢なイメージが浮かんだのじゃ」←秀吉君

 

 

「『その人の年齢は、あなたの精神年齢に当たります』、だって」

 

 

「なるほど。確かに秀吉君は話し方も古風ですからね。精神が大人の方ってかっこいいじゃないですか!」

 

「………そ、そう、かの?怒るところなのじゃろうが、それならまあ…」

 

「……私よりよっぽど女だよ、木下秀吉」

 

 

 

 

 

「『あなたの目の前に川があります。どれくらい黒い、または白いと思いますか?』」

 

 

「ん~。結構きれいなイメージがしますかね?飲んでも害はないぐらいです」←私

 

 

「『これはあなたの心の腹黒さを表します』だって。ん~、だから美鈴は心が綺麗ってことね」

 

 

「ほう。さすがは美鈴じゃのう。あとはその鈍さを消し去ればわしは言うことなしじゃな」

 

「喜べることなのにそんなことを言う秀吉君はそんなに私を爆発させたいんですね?清らかな私を地獄に流れるくらい水ぐらいドロドロした報復に燃えさせたいのですね秀吉くぅん??」

 

「お前ら、仲が良いのか悪いのか私には分からなくなってきたぜ」

 

 

 そんな感じで心理テストをいくつか出してもらい、私たちは楽しく時間を過ごしました。

 

でも秀吉くぅん!この私をなめた大罪!君にもいまだかつてない屈辱的な地獄の思いを味合わせて復讐をしてやりますよぉおおおお!!

 

(※すでに吉井君達にされています。そしてそれを『地獄の思い』とさせる辺り、あなたも優しいですねぇ美鈴さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

『………う、うえっぷ……うう……』

 

『咲夜、酔い止めは飲んだの?顔色がすごい悪いわよ?』

 

『……の、飲んだわアリス。それも推奨容量を超えた量を、ね。うぇぇ…』

 

『…そう。ごめんなさい。でも気をしっかりしっかり持ちなさい。あなたは弱い子じゃないでしょ、咲夜』

 

『さ、咲夜ってこんなにバス酔いがひどかったんだね?もう死にかけというかなんと言うか……』

 

『愛子、よしてあげなさい。咲夜は車酔いが本当に激しいの。あまり言ってあげないであげてちょうだい』

 

『ご、ごめん。でも、また一つ咲夜の新しい一面を知っちゃったな~。咲夜、あんまり無理をしないでよ?まだ時間はかかるからリラックスしようね?』

 

『……バ、バスに乗ってる限り私に安らぎは来ないけどね……うぷっ』

 

 

 

 

『……2人とも。バスの中でケンカはだめ』

 

『り、理由があるのよ代表っ!博麗の奴が勝手に人の持ってきたお菓子を全部食べたのが悪いのよっ!』

 

『げふっ。な~にを人を悪人のように言ってんのよ木下。あんたが『食べてもいい』って言ってくれたから、私はその好意に甘えて食べさせてもらったのよ?それのどこが悪いってのよ、ええ?』

 

『…確かに言ったわ。『一口食べてみる?』ってね?あんたに言うなんて、自分でも気が狂ったのかと思うわよ。これが〝旅行の時は心が広くなる〟ってことねぇ。…でも、誰が全部食べてもいいって言ったのよ!?こんな大袋、よく文字通り跡形もなく食べたわね!バカじゃないのかしらっ!?』

 

『ふん。人の好意を無下にするほど私だって落ちぶれちゃいないわよ』

 

『あんたの場合は人の好意に食いつき過ぎなのよっ!わ、私はほとんど食べてないのに……!一応私だって楽しみにしてたのよ!?』

 

『……霊夢、それはあなたがいけない。優子に謝るべき』

 

『え~………。でも霧島、木下に頭を下げるのはなんか嫌よ。私の矜持が泣いちゃうわ』

 

『……でも、悪いことをしたらちゃんと謝るのが大切』

 

『むう。じゃあ木下、あんたが謝りなさい。そうすれば万事解決よ』

 

『この状況でよく私が悪いことをした流れに持っていくわね!?なんでお菓子を食べられた私が、図々しくお菓子を食べ尽したあんたに謝んないといけないのよっ!』

 

『そりゃアンタが騒いでもめたのが原因だからに決まってるじゃない』

 

『理不尽すぎる理由をぬかしてんじゃないわよごらぁ!あんたは何事にもいちゃもんつけなかったら気が済まないの!?』

 

『そんなことないわよ。あんたにしかそんなことしないっての』

 

『そんな特別扱いなんかこっちから願い下げよっ!あ~もぉ!やっぱりらしくないことなんかしなきゃよかったわ!!』

 

『後悔先に立たず、ってことね。とにかくごちそうさま木下。初めてアンタといて美味しい思いが出来たわ。けぷっ』

 

『こっ、こいつ本っ当にむかつくわねっ!?礼を言うなら言うで、せめて余計な言葉を付け加えんじゃないわよ!!』

 

『……優子、バスの中だから静かに』

 

『そうよ木下、もう少し静かにしなさいっての。お茶も落ち着いて飲めないし、皆が迷惑するでしょうが』

 

『……っ!だっ、だっ、誰のせいと思ってんのよこのクソアマ~…っ!!』

 

『……優子。バスの中で乱闘を起こしたらダメ…っ』

 

『は~。霧島、そっとしておきましょ。きっと木下はこのりむじんバスとやらに乗れて興奮してるんだわ。ここは大人である私たちが大きな心を持ってやるのが大事よ』

 

『あんたみたいなのが大人だったら世も末よ博麗の大バカァァァァアアアアァッ!!』

 

『だ~れが大バカって~?このヒステリック木下が』

 

『優子…っ!ものさしは線を引くための文房具…っ!博麗も水筒を持って身構えない…っ!』

 

『こいつがすべて悪いのよっ!邪魔しないで代表!』

 

『霧島、こいつと決着が付いたら話を聞いてあげるからあんたは引っ込んでなさい。タンコブ出来ても知らないわよ』

 

『……ふぅぅぅ……2人とも……1回頭を冷やす……!!』

 

 

 

『……アリス。咲夜じゃなくて、あの2人がバス酔いだったらどれだけ違ったと思う?』

 

『……その時はきっと世界に平和が満ちていたと思うわよ、愛子』

 

『だよねー。……これ、代表の援護に行った方が良いかな?』

 

『ええ、1人で2人の仲裁をしてる代表があまりに気の毒だわ。咲夜の代わりに私達で頑張りましょう、愛子』

 

『こうして快適なバス旅行は夢となっていくんだね。世界は甘くないなぁ~』

 

『うぇぅ……あ、頭に響くから勘弁して、霊夢、木下さん……』

 

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございました!文字数だけが多くて話が進まず。展開を望んでいた方には申し訳ありませんでした!

 今回は電車、そしてバス内でのやりとりを書かせてもらったのですが・・・う~ん、バスであろうと電車であろうと、普段学校で彼ら彼女がやることと見事に変わっていませんね。唯一それらしいことをしているのが、グロッキー状態の咲夜さんだけとは・・・!

 そういうことで今回は乗り物内だけでの話となりましたが、次回はやっと合宿場に物語の舞台を移せそうでございます!またも投稿が空くことになるかもしれませんが、心の隅で楽しみに待っていただけることを願います!

 それではまた次回っ!
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