バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪でございます!さすがにクーラーなしだと汗が止まりませんね~。


 さてさて前回に続きまして八雲宅での物語!果たして皆様に一度でも笑ってもらえるのか!

――ごゆっくりお読みください。



運試し―命令、するもされるも平和はありません・・・っ!

 

「あ痛たたたた・・・藍先生もそうだけど、あんたも少しは手加減しなさいよ美鈴~」

 

「いやいや、仮にも小学生の女の子にセクハラかまそうとしてたんですから酌量の余地はなかったかと」

 

「そういうあんたも今まさにやってるじゃない」

 

「これは違います。ただ美波さんのご乱心に怯えてる橙ちゃんを慰めてるだけです」

 

「ふにぃ~・・・!こ、怖かったです美波のお姉さんが・・・!」

 

「う。ほ、ほんとにごめんね橙ちゃん。アキのせいでついムキになっちゃって」

 

 

「意識がないと思って責任を押し付けるのはどうかと思うんだ美波(むくり)」

 

 

 

 ようやく意識と体が元に戻った僕が見たのは、またまた美鈴さんの胸に抱き着く橙ちゃんとその頭をなでなでしている美鈴さん、そしてなき罪を僕に被せようとする美波だ。ただでさえ首が痛むというのに良心まで痛むようなことを言わないでほしいものだ。

 

 

「あら、起きましたか吉井君」

 

「うんまあね。橙ちゃん、大丈夫?」

 

「は、はい。お兄さんこそ大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫、このぐらいはどうってことないよ」

 

 

 そう言いながら僕は元々いたテーブルの一角へと戻った。うん、やっぱりゲームは止まったままか。

 

 

「僕は起きたけど、ゲームは再開するの?」

 

「うーん、どうしましょうか。なんだか続けているとまた危なくなりそうな気がしますね・・・」

 

「うん。また2人が暴走したら危ないもんね」

 

「あっ、あれは事故よ!元はと言えばあんたのせいじゃないアキ!」

 

 

 美波の言い分はともかくとして、最初にゲームを始めてからもう8回ぐらい続けてる。すごくハマってしまったわけだけど、そろそろ違うゲームもしたいと思う僕もいちゃうわけだ。

 

 

「じゃあ、違うゲームをするとして・・・橙ちゃん、別のボードゲームをお持ちですか?」

 

「あ、ごめんなさい。実はそれだけしか持ってなくて・・・」

 

「あ~、それは仕方ないよね」

 

「うんうん。ウチの家だってそんなにボードゲームはないもの」

 

 

 だから橙ちゃんがそんな顔をする理由なんかない。だったら9回目の〇生ゲームに突入かな??

 

 

「そ、それでですねっ!」

 

『ん?』

 

 

 そう思って次の順番が誰だったか思い出そうとしてたら、橙ちゃんが声を続けて僕たちに訴えてきた。

 

 

「実は学校のお友達がすごく面白いって話しててやってみたいなぁってゲームがあるんです!それでどうでしょうか?」

 

「へー。それって何か準備がいるゲームなのですか橙ちゃん?」

 

「いいえっ、すぐに準備が出来るものです!」

 

 

 なるほど、そういうことだったら次のゲームに困ってたところだし丁度いいタイミングだ。

 どんな遊びか美波も気になったみたいで橙ちゃんに尋ねる。

 

 

「橙ちゃん。それってどんなゲームなの?ウチも知ってるゲームかしら?」

 

「あ。そ、それは分かりませんけど、そんなに難しいゲームじゃないので大丈夫だと思います!使うのはこれだけですから!(パッ)」

 

 

 そう言って何かを見せてきた橙ちゃん。

 

 

 

 

 

 

?あれは赤マジックと・・・・・・割りばし数本?

 

 

 

「割りばし?・・・・割りばしって言ったら・・・」

 

「え・・・橙ちゃん?もしかしてそのゲームって・・・」

 

 

 どうやら知っていたらしい美波と美鈴さんが、予想外の可能性に目を丸くしてしまっている。まさか、橙ちゃんはあの伝説のキャッキャうふふゲームを言う気では・・・っ!?

 

 

 

「はいっ!王様ゲームって言うそうなんです!ご存知ですか?」

 

「むしろ君のお友達が知っていることに驚きだよ、橙ちゃん」

 

 

 こんなハレンチなゲームを知っているだなんて最近の小学生はませてるなぁー。

 

 でもまぁとにかく、だ。

 

 

「う~ん。しかしですね橙ちゃん。あんまりこういうゲームを小学生がするのは」

 

「やるわ橙ちゃん」

 

「よくないって美波さん!?」

 

「うん、せっかくだしやろうよ美鈴さん」

 

「吉井君まで!?」

 

 

 思春期まっしぐらの僕にこれほど素晴らしいゲームなんかない。美波も乗り気なのは意外だけれど橙ちゃんの友達グッジョブ! 

 

 

「ま、まぁ。全員が良いと言うんでしたら私はとやかく言いませんけども・・・」

 

 

 あんまり乗り気じゃなさそうだったけど、なんだかんだで付き合おうとしてくれる美鈴さん。そんな君にあーんなことやこーんなことが出来る可能性が来ようとは今日はなんていい日なんだっ!

 

 

「橙ちゃん。本当にいいんですか?もしかしたら恥ずかしいことをすることになったり――」

 

 

 

「いいわけないだろうたわけ共がっ!(スパァン!)」

 

「あ、藍先生」

 

 

 ただし保護者の藍先生はそんな僕の幸福を許そうとしない。姿がなかったから廊下で聞き耳を立ててたんだろうけど、彼女の顔は美鈴さんほど簡単に不埒なゲームをさせそうになかった。

 

 

「ひうっ。お、おかーしゃまどうしたの?」

 

「チェ、橙~~?私は橙の決めたことを止めるつもりはないわよー?でも、そこのいやらしくて下卑た顔をしてる男子と一緒にやるというのはどうかしら~?」

 

「今日ここにきて一番無害だった僕になんてことを!」

 

 

 下卑ただなんて!自分の気持ちを隠さず堂々と出した顔にひどいことを言うのはどうかと思います先生っ!

 

 

「で、でもお兄さんだけ仲間はずれにするのはかわいそうだよ?」

 

「うっ。し、しかしだな・・・」

 

 

 そんな僕をまぶしすぎる言葉で橙ちゃんがフォローしてくれる。第一僕だってそんな過激すぎる命令なんかする気はない。せいぜいボディタッチしか考えてない紳士な僕をなめないでいただこうか(※紳士とはいったい・・?)

 

 

 

 

 

カラリ

 

 

「らーん。お邪魔するわよ~」

 

 

『うんっ?』

 

 

 そうやって僕がゲームをやるか否か、さらには王様ゲームそのものをやめさせようとする先生を必死になだめようとしている僕たちの前に、意外な―――だけどよくよく考えればおかしいことでもなかった――人が現れた。

 

 

「あら、靴が多いから誰かと思ったら美鈴ちゃん達じゃない。珍しいところで会ったわねー」

 

「どうもどうもです、紫先生。今日は吉井君のお付き添いでここまで来たんですよ」

 

「そうなの?藍が男子を上げるだなんて珍しいわねぇ。とうとう橙離れの時かしら?」

 

 

 いや、今なお絶賛溺愛中ですこのお母さんは。

 

 そんな未来永劫来ないとも思える推測を立てたのは、藍先生と同じく文月学園の教師で藍先生の姉にあたる八雲紫(ゆかり)先生。呆れた表情の藍先生から察するにお姉さんを招いていたわけではないようだ。

 

 

「姉さん。来るのは構わないが連絡の一つぐらいは入れろといつも言ってるだろうに」

 

「も~、私と藍の仲じゃない!寂しくなるからそんな他人行儀なこと言わないっ!橙、久しぶりね~!元気にしてたかしら?」

 

「あ、はい!紫おばさん「お・ね・え・さ・ん・よ?」もっ、ゆ、ゆゆかりお姉さんも元気ですかぁ!?」

 

「もっちろん!紫おねーさんはいつでも元気でピチピチのレディーだもの!」

 

「三十路前半を終えた姉さんが何を言うか・・・」

 

 

 幸いそのつぶやきは届かず紫先生が憤怒することはない。っていうか紫先生ってまだ三十代だったのか。てっきり四十代かと思ってたなー。

 

 

「ところで何をしようとしてたの?見たところ〇生ゲームをしてたみたいだけれど・・・」

 

「ああ、はい。先ほどまではそちらをやっていまして。違うゲームに移ろうとしてたんですよ」

 

「あら、どんなゲーム?」

 

 

 紫先生に美鈴さんが説明をしてあげるけど、これは良くない流れだ。そもそも王様ゲームって遊びを教育者として良く思わないだろうし、何よりそこに橙ちゃんが加わろうとしてる。おばさん、じゃなくてお姉さん(笑)の立場として見逃すわけが・・・

 

 

「それが王様ゲームで――」

 

「藍あなたも参加しなさい。これは姉命令よ」

 

「はぁ!?」

 

 

 むしろお仲間であったようだ。紫先生のらんらんとした目はばっちり藍先生を捉え何が目的か丸わかりだ。特定の1人に熱心なところは姉妹そっくりである。

 

 

 そしてなし崩し的に、王様ゲームは2人の大人も加わった6人で開催されることとなった。

 

 

 この勝負・・・・・・絶対に負けられないっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて。それじゃあ始めましょう。一応言わせていただきますが、過激なのはダメですよ?あくまで橙ちゃんがいるということを忘れずに、です」

 

「当然だ」

 

「も、もちろん分かってるよ美鈴さん!」

 

「ウ、ウチだって分かってるわ美鈴!」

 

「も、もちろんよ美鈴ちゃん!教師として節度は出来るだけ弁えるわっ!」

 

 

・・・4人中1人だけしか信用できないんですけど。大丈夫ですかね始めてしまっても?

 

 

「だ、大丈夫です美鈴お姉さんっ!私が言い出したことですから命令されたことは何でも守りますっ!」

 

「・・・橙が・・・なんでも・・・っ!?」

 

「親御さんっ!娘に何を思ったか知りませんけどそっちに寝返らないでくださいよ!?」

 

 

 ええいそんな満面の笑顔を浮かべて残るひとりっ!もはやこの場で冷静なのは私と小学生だけですか!

 

 

「・・・もう!始めますよ!全員好きな割りばしを引いて下さい!」

 

 

 こうなったらなんとしても私が王様となって行き過ぎないゲームにしてやりますっ!

 

 半ばヤケになりつつもそう意気込みながら私は握る6本のくじを差し出します!余り物には福がある!この言葉を信じますよっ!

 

 

 

「それじゃあ!――――王様だーれだっ!?」

 

 

 全員がくじを引いたのを確認し、お約束の言葉を宣言します。当然、福の積もったくじを引いた私が王様で・・・!

 

 

「・・・あ、僕が王様だ!」

 

 

 ちょっと福の神さん。なんでよりによって危険人物筆頭に幸運をもたらしてんですか。

 

 

「えっと。それじゃあ~・・・」

 

 

 あ~これはまずい。吉井君。私たちを一瞥して何を確認したんですか。いったいどんな命令を下そうと思っての観察ですか!

 

 

 

 

「さ、3番の人が王様と握手しよう!・・・・王様ゲームの最初ってこんな感じだよね?」

 

「あれっ?」

 

 

 ところが出された命令はことのほか穏やかなもの。・・・・ほっ、なんやかんや言いつつも心は優しい吉井君。きちんと優しめな指示を出してくれたんですねー。

 

 

 こういうことなら特に問題は―――

 

 

 

 

「む。私が3番だ」

 

 

 

 あかん、起こりますねコレ。しかも不運が降りかかるのはおそらく支配者の王様です。

 

 

「・・・・・・先生。もしも僕なんかと握手したくなかったら遠慮なく断ってくれても」

 

「なに、王様の命令は絶対なのだろう?(ニコッ)それにお前とは握手をしたいと思っていたところだ(スッ)」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい(スッ)」

 

 

 そう言って笑顔で手を差し出す藍先生。王様ゲームにおける絶対ルールを持ち出された吉井君も観念し、死地に赴くような表情で手を差し出して・・・・・・

 

 

ガシッ!

 

 

「ふぬぁぁぁああああああっ!?」

 

 

 握手が原因とは思えない絶叫をあげました。・・・つい数分前自分の身で味わったから分かるんですけど、藍先生ってやたら力が強いんですよねー。

 

 

 

 

「・・・ふぅ。少し気分が晴れた。礼を言うぞ吉井」

 

「は、初めて先生にお礼を言われたのに、手の痛さのせいでぜんぜん喜べないです・・・!」

 

 

 本当に気が晴れたとばかりに爽やかな顔をする藍先生に、手のひらをさすりながら吉井君が恨み節をこぼします。王様ゲームって基本的に王様本人に害は及ばないはずなんですけど・・・。しょっぱなからついてませんでしたね吉井君。

 

 

「い、いいな~藍先生・・・ウチが3番だったら・・・!」

 

「こ、ここしばらく藍と握手してなんてないのに・・・!吉井君たら、羨ましい~・・・!」

 

 

 しかし反対に羨ましがる女性も2人。なかなか上手くいかないのもこの王様ゲームの醍醐味です。

 

 

「次は私が王様になるわよっ!みんな、私にくじを!」

 

 

 今の一回が火をつけたようで、紫先生が張りきった顔でくじを要求。1回目が失敗なら次を!その意気込みに同意した私たちはすぐに割りばしを渡します。

 

 

 

「さぁ、行くわよ!」

 

『王様だーれだっ!?』

 

 

 

「っ!ウチが王様よっ!」

 

 

 二回目の王様は美波さん。素早く手を挙げた彼女の目が捉えるのはただ一人です!

 

 

「そ、それじゃあ・・・!2番の人が王様にハグされなさいっ!」

 

 

 おおっ!吉井君へ合法に抱きつくため美波さんが大胆な命令を!?これは・・・2人の関係が進展すること間違いなし!

 

 

 

 

 

「あ、私2番です美波さん」

 

「なっ、なんであんたなのよバカァ!」

 

 

 相手が吉井君だったらの話ですけども。

 

 

 しっ、仕方ないじゃないですか!さすがに美波さんが言う番号と私の持つ番号をずらすなんてこと出来るわけないですもの!

 

 

「ま、まぁまぁ美波さん、今回はダメだったということで。さぁばっち来いです!」

 

「うー、美鈴に抱き着いても仕方ないのに・・・!(ぎゅっ)」

 

 

 美波さんが渋々といった表情で私に抱き着いて・・・て、あの美波さん?そんなに嫌なのでしたら適当でいいのでは?なぜそんなに背骨が痛くなるほど強くぅううううっ!?

 

 

「(ぱっ)ふ~。少しスッキリしたわ。ありがと美鈴」

 

「ス、ストレス発散をハグでされるとは思わなかったです・・・」

 

 

 時には理不尽な思いをすることも。これも王様ゲームの宿命ですから割り切りましょう!さあ次です!

 

 

「今度は成功させて見せるわっ!せーの!」

 

『王様だーれだっ!』

 

 

 

 

「!うふふふ、私が王様だわ~♪」

 

 

 続いての王様は紫先生。嬉しそうに王様割りばしを見せびらかしながら妹さん、及び姪っ子さんへと眼を流しているためターゲットが丸わかりで・・・

 

 

「じゃあ、5番の人が私に膝枕をしてちょうだいっ!その時私が何をしようとしても止めたらダメよ!」

 

 予想通りこれまた欲に忠実なご命令。確率で言えば5分の2と悪くないもので、5人中4人が女の子。たとえ藍先生や橙ちゃんが外れてもデメリットは少ないですねー。

 

 

 

「さぁ、5番の人は誰!?私は藍でも橙でもどちらでも―――!」

 

「あ、僕です先生」

 

「・・・・あれっ?」

 

 

 しかし当たったのは残る20パーセント。紫先生もその少ない可能性を引くとは思っていなかったようでにやついた顔を硬直させます。

 

 

「よ・・・・・・吉井君?」

 

「えっと・・・僕が5番なんですけど」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 たっぷり10秒。紫先生は沈黙を保ちましたが、意外にも笑顔で現状を受け入れました。

 

 

「ま、まぁいい機会ね!たまには男子の膝を枕にするというのも乙だわ!失礼するわよ吉井君!(ゴロン)」

 

「あ、はいどうぞ」

 

 

 紫先生が吉井君の膝へ頭を降ろします。女性が男性にするイメージが強い膝枕だけに違和感がありますけど、意外と絵になりますね。なんかお年よゲフンッ!お、お母さんをいたわる息子さんみたいな感じです!それは果たしてフォローなのか・・・)

 

 

「ふ~、意外と落ち着くものね~。ほら吉井君、良かったらこの美少女先生の頭を撫でてもいいわよ?」

 

「それは全力で遠慮させてもらいます」

 

「躊躇う間もなく完全拒否っ!?わ、私の何が不服だというのよ!年齢!?アラサーの髪なんか触りたくないと!?」

 

「い、いやいやそこまで言ってないから先生!ただ藍先生と美波の2人がものすごい凝視してて、触った瞬間アイアンクローとジャーマンスープレックスがさく裂しそうな気がするからです!」

 

「ぬぅぅ・・・姉さんを膝枕しようとは・・・!」

 

「紫先生いいなー・・・ウチもあんな風に堂々とアキに・・・!」

 

「わー、紫おばさんいいな~・・・」

 

 

なるほど、藍先生の目が少し据わってて怖いことに。吉井君が必死に紫先生をどかそうとするのも納得です。

 

 

「信じられないわね・・・!だったら私の魅力的なところを1つでも挙げて見なさい!じゃないとどいてあげないわよっ!」

 

「なんでそんなに抵抗するんですかっ!?え、ええっと・・・・・・・・・・・あ、先生のつけている香水、すっごくいい香りですね!」

 

「あらぁ分かってくれるのね!もう、最初っからそう言ってくれればいいのに~♪(ムクリ)」

 

 

どうやら満足したようで吉井君の膝から起き上がる紫先生。ですが、良いんですか先生。それって香水を褒めたのであって紫先生本人を褒めていないような気が・・・

 

 

「・・・・あら?ちょっと待って吉井君。褒めはしてくれたけどそれって香水よね?私個人への称賛の言葉は――――」

 

「さぁ次のゲームを始めよう!時間は有限じゃないからねっ!」

 

 

 気づいた紫先生の声を遮りながら吉井君が次の準備を始めます。それはいいのですが〝有限〟じゃなくて〝無限〟ですねそこは。話を逸らすどころかじっくり話をすることになっちゃいますがそれは。

 

 

『王様だーれだ!』

 

 

「・・・おっ、私が王様です!」

 

 

 そして再開した第4回王様ゲーム。ようやく来ました私が王様ですよっ!

 

 

さて、先ほどまでは王様が絡んでばかりの命令でしたので・・・今度は王様抜きの命令と行きましょうか。

 

 

「それでは、3番の人が5番の人の肩を揉んであげましょう!」

 

 

 これなら過激ではありませんけど盛り下がることはない指令!さぁ、3番と5番の人は!?

 

 

「むっ。私が5番―――」

 

「(ガシッ)あなたはいつかやってくれると信じてたわ、美鈴ちゃん」

 

「あ、はい」

 

 

 出来たらその言葉は部活とかその辺りで聞きたかったです、紫先生・・・。

 

 

「姉さん、か・・・手柔らかに頼むぞ?」

 

「保証は出来ないわ。随分と久しぶりのスキンシップの時間だもの・・・っ!!(わきわき)」

 

 

 ムニッ

 

 

 手をいやらしく開け閉めして目を輝かせる姿は助平そのもの。藍先生がすごく警戒した表情なのに私が納得しているうちに、後ろに回った紫先生が藍先生の肩に触れ始めます。

 

 

 

あれ?思っていたより普通の肩もみで・・・・

 

 

 

「スゥ~・・・・あらぁ、藍。だいぶ凝ってるじゃない。我慢は身体に良くないわよ。スゥゥゥゥ~・・・・・」

 

「その忠告はもっともだが、私の首筋に顔をうずめて匂いを嗅いでいる姉さんに私は今我慢しているんだがな」

 

 

 いえ、発言撤回。あんな首に顔を付けるぐらい近づけながら肩もみなんて見たこともありません。あんな奇抜な態勢で肩を揉む紫先生に藍先生はなんと冷静な・・・

 

 

「んふふ、そう言わないでよ藍。こんなに藍にベッタリ出来る機会なんてそうないんだからー♪」

 

「普段ことあるごとに抱き着いてくるだろうに・・・ん、今のところは気持ちよかったな。頬を触るのに移行せずそのまま揉んでほしかったぞ姉さん」

 

「分かったわ♪ふふふふっ、藍~♡、可愛い可愛い妹の藍~~~っ♡♡」

 

「気持ちは嬉しいが、さすがに恥ずかしいものがある。勘弁してくれ姉さん、まったく・・・」

 

 

 

 

・・・・・・ええ~~と、な、なんでしょうかこの桃色の空間は。紫先生は顔が蕩けまくりですし、冷静な対応をしている藍先生の顔を少しゆるんでるし・・・・

 

 

 

 

「あれですね。世に噂のシスコンというのを始めて目撃しました」

 

「シスコン筆頭の美鈴が何言ってんのよ」

「だね、僕たちいっつも美鈴さんを見てるし」

「は、はい。私も美鈴お姉さんはシスコンだと思います」

 

 

「前半2人はともかく最後1人!なんで今日会ったばかりなのにそんなこと思うのですちょっと!」

 

 

 そ、そりゃ咲夜さん達の話もしたかもしれませんけどっ!そんな結論に至らせるほど私は咲夜さんが可愛いだとか妹紅さんがビューチフルだとかレミィがキュートだとかフランがプリティーだということは伝えてません!たった数時間だけで伝えられるはずないでしょうに!(※言葉少なくともその熱い思いはしっかり橙ちゃんに届きました)

 

 

 

 そして私があらぬ疑いを晴らそうと弁明をし終えたところで(皆さん素直に〝ハイ〟とか〝うん〟と言ってくれました・・・・・なんか気持ちが籠ってない気もしましたけど、それこそ気のせいですよね!)、ちょうど八雲姉妹のスキンシップも終わりを迎えたようです。

 

 

「ふ~~♡こんなに元気になれたのはいつぶりかしら。感謝するわよ美鈴ちゃん♪」

 

「は、はぁ。それは良かったです」

 

「まったく、肩を揉むだけなのにこうも服が・・・姉さんは遠慮がなさすぎるぞ」

 

「そう怒らないでよ藍、私たち姉妹の仲じゃない~」

 

「姉妹の間にも度というものがあると思うがな・・・」

 

 

 そう不満を言いつつも表情は穏やかな藍先生。対して紫先生のボルテージは最高潮で、妹さんが服を整えるのを待ってから声を張りました。

 

 

「さぁ次行くわよ!次は私が王様になって藍と今以上に戯れてみせるわ!」

 

「さすがにそれは御免だ。阻止させてもらうぞ・・!」

 

 

 藍先生も気合は十分。さぁ次です!

 

 

『王様だーれだ!』

 

 

「よしっ!ウチが王様よ!!」

 

 

 続いての王様は美波さん。

 

 

 しかもそれだけではありません。彼女はなんとここから3回連続で王様を担ったのです!

 

 

「じゃあ1番の人!ウチの頭を撫でてちょうだい!」

 

「ふむ、これでいいか?(なでなで)」

 

「う・・・!は、はい。それで充分です」

 

 

・・・ですが、

 

 

「つ、次こそは・・・!5番の人!ウチの身体をマッサージして!」

 

「あら、いいわよ~。極上のマッサージで蕩けさせてあげるわ♪」

 

「ん、んんんん~~・・・!き、気持ちいいけどぉぉぉ・・・!!」

 

 

どうやら今日の美波さんは、

 

 

「ぅぅぅぅぅ・・・!さ、3番の人!ウチが満足するまで身体を触らせなさーい!」

 

「は、はいっ!どうぞ美波のおねえさん!」

 

「2度も橙に手を出そうとは・・・!おのれ島田~・・・・・・!!」

 

 

 

恋愛運は地を這っているみたいでして・・・

 

 

 

 

「キライ・・・ウチに中途半端な運をよこした神様なんて大嫌い・・・っ!」

 

「み、美波?せっかく王様に3回もなれたのにどうしてそんなに落ち込んでるの?」

 

 

 ものすごい勢いで落胆してしまいました。ふ、不憫な・・・せっかく勇気を振り絞って命令を出したというのにことごとく空振りとは。そしてその真意を理解しない吉井君も残酷なことを言います・・・!

 

 

 

 

「あ・・・わ、私が王様です!」

 

 

 それでも1人凹んでいるぐらいでは止まらず、8回目へと突入する王様ゲーム。ここでようやくいまだに王様になっていなかった少女に出番が回りました。

 

 

「おお、橙ちゃんですか。それでは命令をどうぞ」

 

「はいっ!それじゃあ・・・!」

 

 

そこで最年少の橙ちゃんはちらりと吉井君に目を向けてから、初となる命令を下します。

 

 

「4番の人の膝に、私を乗せてもらってもいいでしょうか!」 

 

 

 

 

 

「あ、僕だ」

 

「「んな・・・っ!?」」

 

 

 

 瞬間息の詰まった悲鳴が2つあがりました。

 

ま、まさか一発でお目当ての人物にお望みの命令を下そうとは・・・!?見た目によらずこの王様、出来るっ!

 

 

「やった・・・!それじゃあお兄さん、乗せてくださいねっ(ぽすん)」

 

「うん。こんな命令だったらお安い御用だよ」

 

 

 そして吉井君は快く橙ちゃんをあぐらの上に招き入れました。元々笑顔だった橙ちゃんはさらに嬉しそうになり、吉井君の胸に後頭部を預けながらつぶやきます。

 

 

「えへへ~・・・すごい気持ちいいです~♪」

 

「あはは、橙ちゃんは上手だね。僕の座り心地なんかポンコツの座布団みたいなものなのに」

 

「いえ、私にとっては高級座椅子にも負けない安らぎです!これだけでも今日お兄さんと遊べた甲斐がありますっ!」

 

「そ、そ、そうかな~?いや~照れちゃうなーー!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・~~っっっ!」

 

「せっ、先生これは橙ちゃんが望んでのこと!さすがにこれで吉井君を責めるのは筋が違うかと思いますっ!」

 

「そうよ藍!橙が進んでしてることなんだから、親として受け止めてやりなさいな!」

 

 

 それを見た藍先生の表情の怖い事怖い事。ちょっとビビりながらも私と紫先生は全力でしがみつき『ぐわしぃ!』ぐぬふぁああああああ!?

 

 

「そこをどいてもらおうか、紅・・・!」

 

「お、お、お、お気持ちは察しますが、これはあくまでゲーム。王様ゲームですから一つ大目に・・・!そして私の頭蓋を鷲摑みする手にも容赦をぉ~!!」

 

 

 そ、そりゃ行く手を阻んでますから粛清の対象になって当然かもしれませんけど!美波さん!吉井君たちを見ながら乙女の顔で「いいなぁ~・・・」って呟いてる暇があるなら私を助けてください~~!

 

 

「・・・・・・・(ぱっ)」

 

「はふっ!?あ、あいだだだ~・・・!」

 

 

 すると私の思いが伝わったのか、藍先生の手が私を解放したではありませんか。よ、余韻が・・・!いったいどれだけの力を込めてたんですかもー!

 

 

「まったく、藍は過保護すぎるのよ。この間も永琳と話したけれどあなたは少し橙を甘やかしすぎ「独り身で子もいない姉さんは黙っていろ」ヒギュッ!?」

 

 

 そして実姉にも容赦がないっ!紫先生が首を捻られたような鳥のような鳴き声をーっ!?

 

 

「・・・よーくわかった。つまり、ゲームに則(のっと)ればいいのだろう?」

 

「えっ?ま、まあそうですが・・・」

 

 

 姉を一撃で沈めた藍先生。こ、心なしかさきほどよりはるかに目が据わっているような・・・

 

 

 

「なら、次のゲームに移ろう・・・・くじを渡してもらおうか」

 

『イ、イエスマムッ!』

 

 

 もしも今まで準備の時間を測っていれば今のは間違いなくぶっちぎりNo.1スピードでしたね。だって怖いですもん・・・西村先生が優しく見えるぐらい今の親御さん怒ってますものこれぇ!

 

 

 

「・・・・私は最後でいい。好きなくじを引いてくれ」

 

「は、はいっ!」

 

「わ、私はこれにするねおかーしゃまっ!」

 

「ウ、ウチはこれ!」

 

「じゃ、じゃあ僕はこれにしますっ!」

 

 

 むせび泣く紫先生は外しながら私たち四人は我先に持つ割りばしを握ります!どっ、どうか王様でありますように・・・・・!!

 

 

 

 

「・・・・・あ、王様じゃないです」

 

「わ、私もですお姉さんたち」

 

「ウ、ウチも・・・」

 

 

 しかし私を始め女子陣は外れを引いた様子。残るは・・・・

 

 

「吉井君、どうですか?」

 

 

 

「・・・・・・(ふっ)」

 

 

!おっと、この何も言うなとばかりの表情!さては王様の割りばしを!?

 

 

 

 

 

 

「私が王さまだ」

 

 

 

 ダダッ!

 

 

「ってよ、吉井君!?」

 

「(がしっ)こら、どこへ行こうというんだ」

 

 

 紛らわしい反応をしないで!っていう言葉は躊躇うことなく窓から飛び出そうとする吉井君とその首根っこを瞬座に捉えた藍先生の早業に飲まれました。当然逃亡を阻止された吉井君は全力で叫びます。

 

 

「インチキだっ!この場面で先生が王様のくじを引くだなんてこれはインチキだ~っ!」

 

 

「そうおびえるな。ただ2人きりになりたいだけだ・・・・激しいひと時となるだろうからな」

 

「なんだかいやらしい響きだけど騙されないぞ!僕の目には成すべなく先生にタコ殴りにされる僕が見えてるっ!」

 

「四の五の言わず大人しくしろ。お前に滾るこの思いを、私は早くぶつけたいんだ・・・っ!」

 

「畜生!状況が状況だったら全力で乗っかってたのに!それに先生!そもそも王様ゲームは番号で命令するものですよ!?ぼ、僕の番号も言わずにそんなこと・・・!」

 

「4番」

 

「僕の番号を売った奴は誰だちょっとぉ!?」

 

 

 いや、売ったも何も逃げる時にそこへ割りばしを放ったのは君でしょうが。私たちにも見えるんですからそりゃ藍先生にも見えますよ。

 

 

 まぁ、とにかく私たちのすることは――

 

 

「紫先生、引っ張りますよー(ずるずる)」

 

「橙ちゃん、ウチらも外に出るわよー」

 

「へっ?は、はぁ・・・」

 

「つ、ついに藍にまで・・・妹にまで独身を揶揄されたぁああ・・・!」

 

「って、ちょちょちょちょっ!?一片たりとも助けようと思わずに僕を見捨てようとしてない4人とも!?」

 

 

 ここから一歩でも早く離れる事。何かを叫んでいるようですが、吉井君・・・ご武運を!

 

 4人が避難し終えたのを確認して、私は地獄へのふすまを閉ざしました。

 

 

『さぁ・・・!たぁっぷり(怒りを)愉しむがいい、吉井ぃ・・・!』

 

『ぜっ、絶対に楽しくなんかならないですよねこれ!?ムッツリーニが好きそうなことなら全力で乗るけっ、ぎゃあああああああああああああ~~~~・・・・!』

 

 

 

 ピシャン

 

 

「・・・ふ~。とりあえず安全確保ですね」

 

「アキは最前線にいたままだけどねー」

 

「お、お兄さん大丈夫でしょうか・・・?」

 

「いいじゃない・・・独身でも楽しいのならそれでいいでしょうがぁぁぁぁ~・・・」

 

 

 1人残る吉井君の身を案じる橙ちゃん。高校生(わたしたち)は胸を撫で下ろしていて大人(紫先生)に至ってはまだ凹んだままというのに。な、なんと決まりが悪い・・・!ここはひとつ年上の貫録を見せねばなりません。

 

 

「大丈夫ですよ橙ちゃん。ああ見えて吉井君も臨死体験をしてきた男の子ですから、身体は丈夫なはずです」

 

「えっ?臨死体験って本当にあるんですか!?」

 

「うん、あるわよ。ウチも1回だけ経験したことがあるもの」

 

「美波のお姉さんもっ!?」

 

「ちなみに吉井君は数回経験したそうですよ」

 

「す、数回っ!?お姉さんたちは普段どんな過ごし方をしてるんですか!?」

 

 

 ん?どんなって言われましても・・・

 

 

「そんな変ではないですよね、美波さん?」

 

「そうね、別に変わったものじゃないわよ?」

 

 

 

 

「「(鼻)血と暴動と暴力が絶えないクラスで過ごしているだけ(ですから)(だもの)」」

 

 

「とても〝だけ〟では済まない異常事態だらけじゃありませんかそれっ!?」

 

 

 

 慣れと言うものはなんと恐ろしいものなのか。怖いものを見る目で私たちから後ずさった橙ちゃんを見て、私は久々に所属するクラスのユニークさを痛感するのでした・・・

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・ふっ。無い胸と書いて無乳(むにゅー)。柔らかそうな呼び方とは裏腹に硬いものね、私の胸』

 

『・・・・・・おい、今までにないぐらい卑屈になってどうした。あいつ』

 

『咲夜。試着室に籠ったまま小声でつぶやき続けるのはよしなさい。他の人が使えないし、何より気味が悪いわ』

 

『あ、あはは。しばらくの間そっとしてあげましょう2人とも。まだ時間はありますから!』

 

『それもそうね・・・。ところで、2人は何を買ったの?袋を持ってるみたいだけれど。欲しいものは買えた?』

 

『あ、はい!ちょうどソックスが欲しかったのでそれを買いました!』

 

『そう。妹紅さんは?』

 

『・・・・・胸下着を買った。ちょっと、小さい気がしたから』

 

 

 

 

『そう。胸した・・・・胸下着?』

 

『・・・えっ?』

 

『・・・・・・?なんだよ』

 

『・・・ごめんなさい、妹紅さん』

 

『ご、ごめんなさい妹紅ちゃん』

 

『・・・んっ。か、勝手に揉むな・・・』

 

 

 

 

『・・・・・・・・藤原さん、あなた・・・・・・・』

 

『・・・い、い、意外と・・・・大きいですね』

 

『・・・・・・・どうだっていいだろ。私はそういうのに興味ないんだ』

 

『『絶対にその言葉を咲夜(さん)に言っちゃダメ(です)よ』』

 

『大丈夫。同じ〝む〟でも〝無〟じゃなくて〝夢〟がある・・・!いつか、いつか夢の詰まった胸に・・・!』

 

 

 

 





 お読みいただきありがとうございましたっ!う~ん、王様ゲームというと桃色の展開があるお約束なのに、吉井君碌な目にあっとらん!そして美波さんにもどんまいな展開となっちゃったな~。

 さて。前回のすごろくゲームに続いてのリア充ゲーム!せっかくだからということで紫おば、お姉さんにも登場してもらい八雲姉妹の絡みを久々に書かせてもらいました!美鈴さんに負けないシスコンっぷり・・・!村雪的には嫌いじゃないですよ!


 


 それではまた次回っ!誤字とかあったらぜひともご連絡をお願いします!



 
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