Girls und Kosmosflotte   作:Brahma

48 / 181
みほとヤンとユリアンは、深刻ながらつかの間の楽しい時間を過ごしたが...


第47話 ついにハイネセンでも異変です。

「ヤン提督、ユリアンさん、ごちそうさまでした。」

みほは、楽しいときの微笑みをうかべながら、ぺこりと頭をさげて帰っていった。

みほが帰るとユリアンがヤンに話しかけた。

「それにしても...ミス・ニシズミは少数での戦いを強いられてきた人だったんですね。」

「そう...だな。なぜ彼女が若いのにあれほどの用兵巧者なのかわかった気がしたよ。」

 

さて、その日の朝、首都星ハイネセンでは、地上部隊の「演習」についてニュース報道がなされていた。

「本日は、昨日もお知らせしたように、緊急事態に備えた大規模な地上戦闘部隊の演習をおこなわれます。今回は、先週お伝えしたように、各惑星で叛乱が頻発していることから、統合作戦本部、宇宙防衛完成司令部、最高評議会ビルの警護及び臨検、恒星間通信センターの臨検も行うことになっております。これらの場所は、一時立ち入り禁止となります。また交通規制が行われますのでご注意ください。交通規制の行われるのは.....。」

画面が示され説明がなされる。

「....以上です。軍機密につき、立ち入り禁止でもありますのでご注意ください。」

防災無線でも放送される。

「本日緊急事態に備えた大規模な地上戦闘部隊の演習をおこないます。統合作戦本部、宇宙防衛完成司令部、最高評議会ビル、恒星間通信センター周辺は立ち入り禁止、シメオン街区、マナセ街区、エフライム街区につきましては、交通規制にご注意下さい。以上です。繰り返します。本日緊急事態に備えた大規模な地上戦闘部隊の演習をおこないます。統合作戦本部、宇宙防衛完成司令部、最高評議会ビル、恒星間通信センターは立ち入り禁止、シメオン街区、マナセ街区、エフライム街区につきましては、交通規制にご注意下さい。」

「ものものしいな。」

「まあ、半年前からきまってたことだからな、」

「今回は、辺境惑星で叛乱が頻発してるみたいだからな。政府もたいへんだねえ。」

出勤途上のサラリーマンたちは、そんな会話を交わしながら出社すべく道を急いでいた。

 

イゼルローン要塞では、ヤンが幕僚たちを会議室にあつめ、統合作戦本部長ドーソン大将の命令を伝える。

「4か所の反乱をすべて我々だけで平定しろってことですか。」

「首都の兵力を温存しわれわれをこき使おうってわけですな。」

シェーンコップの声にはあきれが含まれている。

「そねまれていなすな。」

ヤンの顔を見てシェーンコップはにやりと笑う。

ヤンは肩をすくめてみせる。

「とにかく統合作戦本部の命令とあってはいたしかたありませんな。イゼルローンからもっとも近いのはシャンプールですが...ここから始めますか??」

ムライが三次元ディスプレイを操作しようとすると

ブーツ、ブーツとブザーの音がしてスクリーンに通信士官の顔と肩までの姿が映る。

「緊急事態です。首都で異変が起こりました。たった今情報が...もう驚きました。」

「どんな異変だ?」

ムライがたしなめるような低い声で問うと、士官がつばを飲み込んだ音に続いて絞り出すような震え声で話し始める。

「ク、クーデターです。クーデターが起こりました。」

「な、なんだと。」

ヤンとみほ、シェーンコップを除く全員が息をのみ、パトリチェフなどは巨体を揺るがして立ち上がった。シェーンコップは、ほくそえみ(ミス・ニシズミから話を聞かされてなかったら自分も立ち上がったかもしれんな、と考え)、あごに手をやった。

画面が切り替わり、首都の超光速通信センターが映し出される。しかし、そこに映し出されたのは普段のにこやかなアナウンサーの姿はなく、壮年の軍人の姿だった。

「くりかえしここに宣言する。宇宙暦797年4月13日、自由惑星同盟国民平和会議改め救国会議は惑星ハイネセンを実効支配のもとに置いた。同盟憲章は停止され、救国会議全権委任法及びそれに基づく同盟憲章緊急事態条項、省令、告示がすべての法に優先する。」

イゼルローンの高級士官は顔を見合せ、

若い黒髪の司令官と栗毛色の髪を持つ副司令官である「少女」を交互に見つめる。

ヤンとみほは、画面をいたって冷静にみつめていた。

「救国会議ねえ...。」

ヤンはあきれたようにつぶやく。

画面に映った士官は

「一つ、銀河帝国の打倒という崇高な目的に向かっての挙国一致体制の確立。

一つ、国益に反する政治活動及び言論の秩序ある統制。

一つ、軍人への司法警察権の付与。

一つ、全国に無期限の戒厳令を敷く。また、それに伴ってすべてのデモ、ストライキを禁止する。

一つ、恒星間輸送及び通信の全面国営化。また、それに伴ってすべての宇宙港を軍部の管理下に置く。

一つ、反戦、反軍部の思想を持つ者の公職追放。

一つ、議会の停止。

一つ、兵役拒否はいかなる理由も認めない。すべての刑罰の対象とする。

一つ、政治家及び公務員の汚職には厳罰をもって臨む。悪質なものには死刑を適用。

一つ、有害な娯楽の追放。質実剛健の風を旨とする。

一つ、弱者救済は最低限度とし、社会の弱体化を防ぐ。」

「おやおや...こいつは...。」

ルドルフの建てた帝国を倒すと称して5世紀前のルドルフの亡霊を呼び戻している。

ヤンは、この醜悪きわまる喜劇に、生気の欠けた笑いを浮かべるしかなかった。

「市民および同盟軍の諸氏に、救国会議の主席最高執政官(プリンケプス)を紹介する。」

「!!」

画面に映し出された顔をみたみほは、レイプ目にはならなかったものの驚きのあまり声がでない。

「みぽりん?」

「西住殿?」

「みほさん?」

みほに声をかけた優花里、沙織、華は、あらためて画面をみて、やはり言葉に詰まってしまう。

麻子とエリコは、じっと無言で画面をにらみ続けていた。




画面に映しだされたのは驚くべき人物だった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。