ごく普通に生まれ、極々平凡な生い立ちを辿ってきた僕は、ある日、死んだ。
月を見上げてたら、酒を飲みたくなって近くのコンビニにつまみと酒を買いに行った帰り、死んだ。夜空を見上げながら歩いていたら、飲酒運転の車両に撥ねられて地面を転がっていた。
道路に広がる赤い液体。身体が冷たくなっていくのを感じながら、近くに転がる缶ビールを見つめ、ぽつりと思った。
(ああ‥‥。ビールが勿体ない。)
ビールの心配をしながら、僕は死んだ。
§
車に轢かれて死んだと思ったら、神様っぽい老人が目の前にいた。なにを言っているのかわから(ry
周りを見てみるとそこは川原。神様がいるにはふさわしくないような……。
「ええと‥‥神様(仮)さん?」
「いや儂、正真正銘の神様!」
「それじゃあ、神様? 僕に何の用ですか?」
「うむ。実はの、本来お主はまだ死ぬべきではなかったのだが‥‥。こちらの手違いで殺してしまったからの、そのお詫びに別の世界に転生させるように上司から言われてな。」
神様にも上司って居るんだ‥‥。
「転生先はこっちで決めるとしての。お主に特典をやらなきゃいかんのじゃ。」
「特典‥‥ですか?」
「そうじゃ。まあそっちも勝手に決めたが。」
希望を聞かない!?
「だってめんどくさ‥‥ゲフンゲフン。後のお楽しみじゃ。」
今、めんどくさいって言おうとしたよね!?
「良いじゃろ。儂も報告書が溜まっとるんじゃよ。」
「自分の都合!?」しかも報告書って。
後、地味に心読んできてるよね?
「神様じゃし。心ぐらい読むわい。さっさと報告書書きたいから、もう行かせるぞ?」
「質問ぐらいは受けつけてくれませんか‥‥」いきなり連れてこられて、はい転生だとか言われても、不安なんですけど。
「‥‥むう。仕方ないのう。」
普通なら、質問を受け付けるべきだと思うのに、この神様()は‥‥。
生前、滅多なことでは怒らなかった自分だが、この時ばかりは、本気で目の前の神様に対して、殺意を感じた。しかし、殴ろうとかいう衝動を抑え込めたのは褒めて欲しいかもしれない。
「‥‥転生後は自由にしていいんですよね?」
「モチのロンじゃ。そっちは儂の管轄じゃないし、何しても儂は気にせんぞ。」
ああそうですか。
気のせいか、この短時間で若干老けた気がする。
「他はないかの?」
「‥‥もういいですよ。早く送ってくださいよ。」
この人?に聞いても無駄そうだし、早く転生させてもらおう。
「ホイ。それじゃ、目を閉じてそこら辺にヨコになりなさい。」
言われた通りに横になる。うぅ。砂利が刺さって痛い。
しかし、そこら辺にってアバウトだよな。