ゼロ使へと転生!!   作:モグモグラ

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1話

転生完了っと。

異世界の自分の肉体が十歳になった折に、意識と記憶が受肉した。代償として高熱を出して死にかけたけど。

一ヶ月近く寝込んで、元気になったので転生後の状況を確認する。

まず、ここはハルケギニアという世界で、ここには人間、幻獣、亜人がいる。人間にも平民と貴族という階級が存在している。平民と貴族の大きな違いは何かと言うと、貴族は”魔法”という力が扱える。

何か引っかかるなぁと思って記憶をひっくり返してみたら、学生時代に友人が熱心に進めてきた『ゼロの使い魔』そのモノだった。あれは好きだった。

……話がずれた。何の話だったか。この歳で物忘れが激しいとかちょっとマズイか。

『……何をやっておる?』

この声は神様か。何の用ですか?

『良いから、せっかく与えた特典の確認でもしておれ。ゼロ使設定なぞ、原作で確認してくださいとでも言っておけば良いんじゃ。そもそも原作ブレイクする気じゃし。』

いや、誰に!? 後原作ブレイクって!?

『それと原作知識は消しとくぞ。』

えっ……ちょっ……

 

§

 

特典の確認をしよう。

一つ目︰反射能力。字の如く。

二つ目︰無限収納空間。ゲームに良くある、それどっから出したの?を形にする収納空間(容量無制限)

三つ目︰肉体強化。肉体を強化する。神様曰く、ダンプと衝突しても逆にダンプを粉砕できるくらいに強靭だと。

結論︰人の皮を被った怪物がここにいた。思うんだけど肉体強化あるなら反射はいらない気がする。貰えるものは貰うけど。

記憶に靄がかかった様な違和感はあるけど……まあいいや。

神様は報告書片付けるって、質問を受け付けずに帰っていった。ほんとあの人?は自由すぎる。

えーと、次は転生後の自分の立場か。今の自分は、リオン・フェデルタという貴族。トリステインでは珍しい銀髪持ちのパッと見が美少女な男だ。何でこんな容姿になったのか……orz

ちなみに一人称は俺だ。

まあ貴族とはいっても、領土も与えられてないけど。

メイジとしての魔法適性は、なんと四系統をほぼ満遍なく扱えた。両親が嬉しそうにはしゃいでた。実はこれも特典じゃね?

でも、複数の系統を足すのはあまり得意じゃなく、トライアングルだ。

……いや、トライアングルは充分すごいじゃん。んじゃ、これも特典なのか。サービス多すぎだな、あの神様。万年平なのに。

『誰が平じゃ!!!』

どこかから声が聞こえた気がする。

ともかく(容姿以外は)文句ナシのチート性能である。

 

§

 

時はたち、五年後。俺はトリステイン魔法学院へ入学する。(結局5年間、体を鍛えたというのに美少女じみた容姿のままなのに、ショックを受けた。むしろ更に美少女っぽくなった。どういうことなの……)

今生の別れでもないのに大泣きする両親を宥め、日用品は既に運び込まれてるので、大きめの鞄に詰め込んだ私物(別に収納空間に放り込んでも良かったが手ぶらは怪しまれるし、)を持って馬車に乗り込む。

使用人たちに手を振り、姿が見えなくなったあたりで背もたれに体重を預ける。

「うまくやってけるかなぁ?」

なるべく目立たずに過ごしたいけど……無理か。絶対容姿で人目を惹きかねない。

「……はぁぁぁぁ。」

大きくため息を漏らす。

§

 

トリステイン魔法学院。

様々な国の貴族たちが魔法を学ぶために通う学校の名前だ。

入学するのはどれも貴族や王族の子供と、よく言えば高貴な学校。悪く言えば金持ちの溜まり場だ。

俺もその『金持ち』の一人だけどね。

入学式でのオスマンの話は、心底退屈だった。

勉学に励むようにとか、ありきたりなことだけを言っていた。周り の生徒も、あくびを噛み殺したりひそひそ話をしているやつらが多い。何名かの男子はこっちを何度もチラチラと見てきている。

暇つぶしに周りの生徒を見回していると、数名、目立つ髪色をした生徒

がいた。人のこと言えないけど。

「あら?あなた、女の子だと思ったら男の子だったの?」

後ろから声を掛けられ、振り向くと、赤い髪が特徴的なグラマーな女子生徒がいた。

「よく間違えられるが、男だ。それで」貴女は?と聞こうとしたらそれより前に女子生徒は名乗った。

「おっと、申し遅れましたわ。私、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申しますの。」

「リオン・フェデルタだ。三年間よろしくお願いする。ミス・ツェルプストー。」

小声で名乗り返す。

「よろしく。リオンって呼んでいいかしら?」

「構いませんよ。ミス」

ツェルプストーと、いおうとした時、言葉に被せてくる。

「そんなかしこまった言い方はしなくていいわ。

私のこと『キュルケ』って呼んでくれない?

リオン?」

耳元で脳に直接語りかけるような台詞に驚いた。普通の男なら、これでもう彼女の虜になるんだろう。それほどに彼女は女の武器を熟知している。

「よろしく。キュルケ。」

だが、直感的に彼女が熱しやすく冷めやすい性格だと気付き、スルーする。(本心的には、もう少し大人しめな子が好みだ。)

「んもう……冷たいのね。貴方。」

通用しないと分かったのか、残念そうに引き下がった後は話しかけてこなかった。

いつの間に話は終わっていて、自由時間になっていた。

早めに移動しよう。何故かというと……

「ミス! よろしければお話を!」

男共が一斉に向かってくるからだ。

教師や周りの生徒が目を丸くする中、椅子を足場にして逃げることにした。




主人公は男\_(・ω・`)ココ重要!

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