僕のからっぽヒーローアカデミア   作:狸親父ぽんのすけ

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どうも、狸親父です。
今回は主人公が早速原作に介入することに。


……早く梅雨ちゃん出したいなぁ、あ、いいこと思いついた。


第二話:歩みだした違う世界、再び見た夢、僕の背負っていたからっぽのなにか

僕が手を伸ばした直後、僕の体は消え、何か、この感触は……タオルか?何故か僕の体は柔らかなタオルに包まれていた、やはり何も見えないが、誰かの忙しそうにしている声と、おぎゃあ、おぎゃあ、と赤ちゃんの泣く声が聞こえる。

いや、これって何が起きているんだ?状況が理解できない。

 

「大変!二人目が産まれたのに産声を上げないわ!」

 

恐らく中年くらいであろう女性の慌てた声が聞こえる、もしかしてかもしれないが、僕は赤ちゃんになってしまったかもしれない、新しい人生とは言っていたけれど、まさか赤ちゃんからかぁ、と言うことは、産声を上げていないのって僕のことか、一応泣いてみようかな?

 

「おぅ、あぅあぁ」

 

あれ、ダメだ、声は出るのに泣き声を出せない、どうしよう?

 

「あら?ちゃんと息してるみたいね、ちょっと声もだしてるし」

 

お、泣けなかったけど結果オーライと言うやつだ、俺はタオルに包まれたまま、移動させられて、

 

「はい、二人目も元気な?赤ちゃんですよ~」

 

僕を産んだ母に僕を見せているのだろうか、しかし、元気?と疑問形で言われているのは少し悲しかった。

 

「あぁ……この子も、あの人に似ていくのでしょうね……」

 

僕はこの言葉を聞いて、考えてしまった、何故、自分の子を見て何故こんな悲しそうに言うんだ?それじゃあまるで―――あれ、急に、眠たくなって―――

 

また夢を見ていたみたいだ……僕が、新しい人生を再び歩みだしたときの、母さんのとても悲しそうな呟きを。

あれからどのくらい経っただろうか、確か、もう一ヶ月になる、この期間に分かったことがある、どうやら僕には双子の兄がいるらしい。

あ、目はいまさっき開いた、何というか初めて見た光はぼやけていたけどね、何て言ったらいいのだろうか、もう凄い、凄かったです、はい、よし、落ち着こうか、落ち着けよ、僕。

 

……で、僕の兄の姿は上手く確認できていないのだけれど、今も僕の隣ですぅすぅと寝息を立てて寝ている赤ちゃんがいるのが分かった。

恐らくこの赤ちゃんが僕の双子の兄だろう、僕の聴力は赤ちゃんになっても衰えてない、目が見えなくても周りの様子が分かるから実に便利である。

でだ、僕の兄の名前はしょうとと言って、僕の名前はこおりだ、漢字は見たことが無いから勘弁して欲しい。

と、僕の分かったことはこのくらいだ、さて、もう一眠りしよう、寝る子は育つ!!

 

おはよう、僕がこの世に再び生を受けて三年経った、僕はこの間に、超久しぶりに歩いたし、痛みというものも感じた!詳しく説明しようとしても何も思いつかないくらいに感動したし、嬉しかった!謎の声、ありがとう!ついでに漢字もたくさん教えてもらったんだ!

僕の名前が(こおり)って書いて、で、兄さんが焦凍(しょうと)と書く!

 

それにだ!僕の産まれた世界はどうやら前の僕が全てを失った世界とは違う世界のようで、この世界には"個性"と呼ばれる「超常」を宿した人々が存在し、それが「日常」になっているらしい。

焦凍兄さんは、既に右で凍らして左で燃やす"個性"を宿していることが分かっている。

僕にはまだ何の"個性"が宿っているのかは分かっていないけど、恵まれすぎている僕が「超常」を宿すのは流石に無理があるだろう。

でも焦凍兄さんに"個性"があるのに僕にはまだ何も出ていなくてちょっと悲しくなったのは僕の心の中にしまっておこう。

そして、しょうと兄さんは僕に、

 

「しょうらいはみんなをまもる、"ヒーロー"になるんだ!」

 

とても子供らしい……いや、将来を見据えた夢を教えてくれた、あ、先程も説明したけど、「超常」が「日常」になった世界だ、"個性"を悪用する人々も存在している、この、"個性"を悪用する人々を、"(ヴィラン)と呼び、"ヒーロー"と呼ばれる人々ががそれを退治し、一般人たちや街を守るのも、また当たり前で、みんなの憧れでもある……もしも僕がヒーローになれたとして、僕の"からっぽ"は埋められるのだろうか―――

 

久しぶりに夢を見た。

真っ暗な空間で一人、またそこに僕はいた、何故だろう、この何も見えない真っ暗の空間にいると怖い、とても怖い、恐怖に押し潰されておかしくなりそうだ。

思考が定まらない、何も考えられない、一人は嫌だ、何も見えないのは嫌だ、助けて、怖い、怖い、こんな夢はもう見たくない、早く、早くこの夢から逃れたい、冷たい、暗い、何も見えない、何も聞こえない―――

何も感じない、からっぽは、嫌だ。

 

いつものように、早朝のまだ薄暗い時間に、目が覚めた、真っ暗な夢を見てしまったせいか、この薄暗い部屋にいるのが怖かった。

隣のベットで焦凍兄さんが寝ているが、気にせずにスイッチを押してこの部屋の明かりをつける、カチリとスイッチを押す音と同時に天井についている蛍光灯が光りを放ち、薄暗い部屋が照らされた。

僕は明るくなった周りを見て少し安心する、あ、焦凍兄さんが起きてしまった、焦凍兄さんは、上半身を起こし目を少し擦ると、僕の方を見て、目を見開き、

 

「こおり!きょうはおれたちのたんじょうびだ!」

 

大きな声を張り上げて、僕の方へ詰め寄ってきた、あぁ、確か今日だったけ、1月11日、僕と焦凍兄さんの誕生日だ。

僕がカレンダーをめくると、焦凍兄さんが、やったー!と、万歳をして、部屋から出て行ってしまった、僕も十分に元気だが焦凍兄さんには勝てないなぁ。

 

僕と焦凍兄さんが母さんが作ってくれた朝ごはんを食べ終えたところに、父さんがやってきて、

 

「氷、さっさと着替えて来い、出かけるぞ」

 

そう言うと、僕の服を投げ渡してきた、焦凍兄さんは父さんを怯えているような目で見ている、まぁ、焦凍兄さんの反応は当たり前のものだろう。

父さんは、オールマイトと言うヒーローに次ぐ、№2のヒーローで、僕と焦凍兄さんに立派なヒーローになってもらいたい、と言うよりも、オールマイトを超えさせるために、まだ子供の僕たちには無茶な訓練をさせている。

僕的には足が無くても動けるようにとやったリハビリよりかはマシかな、と思っているけど、焦凍兄さんは"個性"の訓練まで限界以上にやっているからか、焦凍兄さんは父さんのことが嫌いだと僕に愚痴を零していた。

 

ここは父さんに従った方がいいだろう、もしかしたら誕生日プレゼントをくれるかもしれないし、僕は、はい、と返事をして、渡された服を持って自分の部屋へ戻り、パジャマを脱いで、渡された服を着ようとうする。

と、焦凍兄さんが入ってきて、素早くパジャマを脱いで、箪笥を漁って服を取り出し、さっさと着てしまうと、

 

「なぁ、こおり」

 

おもむろに僕の名前を呼んだ、僕は、着替えていた服から顔を出して、

 

「なに?しょうと兄さん」

 

返事をする、焦凍兄さんはすでに脱いで、手に持っているパジャマを握り締め、顔を少し顰めると、

 

「なんでこおりはあいつのいうことをきくんだ?」

 

少し震えた声で僕に問う、あいつとは父さんのことか、しかし、何故父さんの言うことを聞くのか、ね、そうだなぁ……

 

「とくにりゆうはない!」

「なっ!?」

 

僕の言葉を聞いた焦凍兄さんが驚きの声を上げる、けど、僕は気にせずに続ける。

 

「……かな、ぼくがいきていて、すべてをうしなっていないいじょう、ぼくはぼくじしんの"からっぽ"をうめるほうほうをさがすだけだよ、ぼくは"からっぽ"をうめるためならば、どんなくつうだってくにならない、だって"からっぽ"をうめてしまえばあとはし

あわせになるだけなのだから」

 

最後まで言い切った僕は、一息ついて、呼吸を整える、焦凍兄さんは……あんぐりと大きく口を開けて固まっている、しまった、まだ四歳の子供には分からないか。

まぁ、だからこそ話したのかもしれない。

 

「すげー!!」

 

先程まで開いた口が塞がらない状態だった焦凍兄さんが、突然大声を上げた、その表情には、父さんに対する不安な感情はもう浮かんでいなかった。

 

「なんかよくわかんないけど、こおりってすげーよ!!」

 

そのまま僕を褒める、な、なんで?突然褒められて困惑する僕をよそに、焦凍兄さんは一気にまくしたてる。

 

「まだならってないかんじ?とかいっぱいしってるし!おれにできないことたくさんできるじゃん!いろんなおもちゃをつくったり、あいつのめちゃくちゃなくんれんもへいきでやってるし、エコーロケーション?ってこともできるし、おれのヒーローになりたいってゆめよりもむずかしいゆめをもってる!!」

 

滅茶苦茶に俺を褒めてくる焦凍兄さんの言葉には、純粋な子供らしく、嘘を感じることができず、僕は頬が熱くなってくるのを感じた、すると、急に焦凍兄さんが真剣な顔になって、

 

「でさ、むずかしいことってさ、ひとりじゃうまくできないだろ?」

 

僕は焦凍兄さんの言葉を聞いて、一瞬だけ、固まってしまった、でも兄さんは続ける。

 

「あのときだってこおりがいってくれただろ」

 

あのとき……焦凍兄さんが言うあのときは、確か―――

 

「おれがあいつのひどいくんれんがつらくて、こおりにそのことをいっただろ?そした

らさ、あいつのくんれんをぬけだしてあそんでやろうって」

 

そうだ、思い出した、あのとき、酷く辛そうな顔をして話す焦凍兄さんを見て、僕は咄嗟に言ったんだ。

 

「ひとりじゃ、くんれんをぬけだすのはむりだけど、ぼくたちは……おれたちはいつもいっしょにくんれんしてるからむりじゃない、むずかしいことはひとりじゃむずかしいけど、ふたりならかんたんなことだって」

 

焦凍兄さんはさらにつづける、

 

「で、そのあとほんとうにぬけだしてやってさ、いっぱいあそんで、かえって、いっぱいおこられたけど、おれ、そのひからくんれんがつらくてもさ、つらくなくなったんだ、いつもこおりがいてくれたからだ、だからさ、おれも、こおりのできないことをさ、おれといっしょにやろう、そしたらかんたんだろ、"からっぽ"をうめるくらい」

 

焦凍兄さんはそこまで言うと、微笑みながら、僕に手を出してくる、僕は、さし伸ばされた手を、いつの間にか―――とっていた、ぎゅ、と焦凍兄さんが、置かれた僕の手を強く握ってくれる、熱くなっていた僕の頬にさらに熱いなにかが流れてきた。

 

「お、こおりがなくのははじめてみたきがする」

 

そのぽつりと呟かれた言葉を境に、僕のなにかが切れた気がした―――

 

「うぅあぁぁ……」

 

声が漏れ出た、僕の目から、涙が溢れ出る、体が震え、力が抜けていく、鼻水まででてきた。

焦凍兄さんはそんな僕を抱きしめてくれる、僕は、兄さんの胸に顔を押し当てて初めて泣いた、前の僕が目と痛みを失ってから、初めて泣いたんだ。

 

僕は"からっぽ"の何かを独りで背負い続けていた、けど、今この瞬間、僕は、独りではなくなった。




後書きからおはこんばんにちは、狸親父です。
えぇと、更新について何も書いていなかったので、この後書きから伝えたいと思います。
狸親父的には、三日に一度のペースで投稿していけたらなと思っておりますが、皆さんご存知の通り、狸親父には文才、というか、努力する才が欠陥してしまっているので、基本不定期になるかもです。
それでももし、わたしは一向にかまわんッッ、という方がいましたら、狸親父は嬉しいです。
あ、この後書きを書いていて気付いたけどそもそもこの小説を読んでくださっている方自体がいない……
やっぱりあらすじが駄目だったかなぁ……
まぁいいや、次回も頑張ります!

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