「僕のサークル『自堕落サークル』に」
扉の向こうには3人が出迎えていた。
「ではようこそ。『我が自堕落サークル』へ。僕が代表の出口桐子だよ。」
「-で、右から順に茶髪のポニーテールしているのが光里晶、黒髪セミロングのが喜来比嘉子、黒みがかったショートヘアのがサークル唯一の男の子、遠藤元樹(もとき)。ほら遠藤君、こっちに来なよ」
遠藤という先輩はゲームをしながら頭を下げる。
「ごめんね~遠藤君、見ての通り、人見知りでね・・ほらちゃんと挨拶しないと・・」
「・・・遠藤です・・」
そう言うと、再び奥の椅子に座りゲームを始める先輩。
「あ・・・えっと、じゃ僕達も・・・」
一通り、お互いの自己紹介を終え、今までの出来事を話した。
「へぇ~君のお姉さんなんだ~。てっきり由紀ちゃんのお姉さんかと思った」
出口先輩は僕と由紀と慈姉さんを見比べる。
「そっかそっか・・色々大変だったんだね・・でもどうしてこの大学に?」
「この緊急避難マニュアルに大学の事が記載されていてね。本当ならランダルに行ってもいいんだけどね・・
大学ならランダルについて何か情報があるんじゃないかと思いまして・・後はまぁ・・僕達みたいに避難している人もいるかなと・・・」
緊急避難を出口さんに渡す。
「・・緊急避難マニュアル・・・何々・・・」
出口さんはふむふむと言いながら、マニュアルを捲り、一通り読んだのか、一旦閉じて再び読み始める。
「あの・・先程の人達は・・・?」
「ん?あぁ・・あいつらはねぇ・・・」
プルルルルッ
悠里さんが質問しようとしたら部屋の電話が鳴った。
「はい・・あぁ・・居るけど?・・えっ?・・・」
・・・・・・
「あの・・今の電話は・・?」
「ん?あぁ、あいつらからの電話さ。と言っても内線だけどね。で、あいつらが君達に話があるそうだけど・・
どうする?さっきの出来事があるから会いにくいと思うけど・・」
「・・・っ・・」
どうしようかと僕達は見つめ合う。
さっき僕達にボーガンを向けようとしたんだ。何かあるに違いない・・
「いや、いやならいいんだ。後で僕があいつらに連絡するからさ」
笑顔で大丈夫だよと出口さんは言うが・・。
「もし・・断ったら・・はい解りましたと納得する人達じゃありませんよね?」
美紀さんの質問に何も答えない出口さん。
だろうね。あの連中だ。きっとここに乗り込んでくるだろう・・。
「まぁ、この状況を見れば解ると思うけど・・僕達がこうして自堕落にゲームして遊んだり、食べているのも
あいつらのおかげなんだけどね・・。気は進まないと思うけど・・出来たら・・」
会いに行ってくれ・・・か。
こっちには留美ちゃんがいる。
あまり危険な目には合わせたくない!
「まぁ・・いきなり攻撃なんてしてこないと思うし・・トーコも同行するから」
光里先輩が出口先輩も同行させるからと言うと、出口先輩は僕も?な感じで、半ば嫌そうにしてたが、
まぁ先輩だしな感じで一緒に同行してくれた。
「先輩じゃなくて、トーコでいいよ」
トーコさんはそんなに改めなくていいよと言いながら、先程の連中がいる部屋に向かう。
「一応・・これから向かう会議室までは僕達のテリトリー・・陣地だと思ってくれ・・。会議室から先はあいつらの陣地だから、あまり立ち入れない様に・・。後は色々あるけど、それは追々説明するよ・・」
ふーん、縄張りがあるのか・・。
僕達は兎も角、留美ちゃんが誤って踏み入れない様に注意が必要だな・・。
などと考えていると、会議室に着いた。
中に入るといかにもな感じの連中がいた。
「ふんっ付き添いご苦労・・ここからは俺達『武闘派』が質疑に入る。『穏健派』の方々は早急にご退散を」
武闘派?穏健派?なんだそれ?
釘バットを持った男がトーコさんに退席を求めるが、トーコさんはそれを拒む。
バットの男はまぁいいさと言いながら僕達を見つめる。
「まずは・・うちの高上がいきなり攻撃を仕掛けてしまい、すまない」
男は一礼をして先程の件について謝罪をしてきた。
「本当だよ!こっちには小さい女の子がいたんだよ!いじめ良くない」
珍しく由紀が真面な事を言ってくれた。
や、真面な事なんだけど・・・。
「さて、本題に入るが・・お前達は何処から来たんだ?何故この大学に?それと本当に人間か?」
どうやら外部から来た僕達が脅威に思えたんだろう。
僕達はなんとか解ってもらうために色々説明した・・。
「・・・まだ信じられないな・・その高校がウチの大学みたいにご都合よく設備が整っているなんてな」
「・・・・・・」
「・・・緊急避難マニュアルか・・ふんっ、まぁいい」
緊急避難マニュアルをテーブルに放り投げる釘バットの男
「そういや、まだ自己紹介してなかったな。さっきお前達をクロスボウで攻撃したのが高上聯弥、隣のサイドテールの女が右原篠生、キャップを被り煙草を吸っているのが城下隆茂、腕を組んでいる女が神持朱夏。んで俺が頭護貴人」
「見ての通り、戦えるのは俺達だけだ。出口達は非戦闘で何も出来ない人達だ」
「なっ、地下の発電機や備蓄などを発見したのはこっちだろ!?」
「おっとそうだったなwww」
「・・・もういいだろ?この子達連れて帰るよ」
トーコさんが僕達を連れて行こうとすると、頭護先輩が胡桃さんの腕を掴む。
「な、なにしやがる!放せ!!」
「ほう・・威勢がいいじゃないか。しかもそのシャベル・・・お前中々の使い手だな?」
「だったらなんだ?」
「どうだ?俺達側に来ないか?お前のその戦闘能力使えそうだ」
「断る。私はりーさん達と一緒に居たいからな」
「ふーん。まぁいい。おい、出口!これ」
頭護先輩はダンボール箱をトーコ先輩に渡す。
「・・・ありがとう・・」
「・・・ふんっ・・・おっと、そこの男子・・佐倉と言ったな。お前ちょっとこっちに来い!」
げっ・・なんだよ・・。
頭護先輩はこっちに来いと手招きする。
「な、なんですか?先輩」
「女の子に囲まれて生活していたそうだな」
「・・それが何か?」
「あの中に誰か好きな女の子でもいるのか?」
「・・えぇ・・いますが・・?」
「ふ~ん・・まぁ、精々頑張ってそこ娘を守れよ!」
「?」
そう言うと先輩はもう行っていいと、手でシッシッと追い払う。
その為に俺を呼び止めたのかよ!何だよ!
「・・・失礼します・・」
「戻りました」
「大丈夫だったかい?何か酷い事言われなかったかい?」
「大丈夫ですよ。それより・・凄いお菓子とジュースですね・・」
「うん?あぁ、これは君達の歓迎会のだよ」
それにしても凄い量だ
「(ボソッ)・・・さっき、あいつからダンボール箱貰っただろう?たまにあいつら外に出て、食料を手配してくれるんだ・・だからさっきああ言ったのはそうゆう意味なんだ・・」
あぁ成る程ね。トーコ先輩達がカップ麺や、スナック菓子・缶詰・飲み物があるのは頭護先輩が配給しているな。
だからあんな事言ったのか・・・。
「ーってな事で、乾杯~」
それぞれ紙コップで乾杯をしあう。
「なんだかモールで圭と一緒に食べたの思い出したね」
「うん。あの時は備蓄してたお菓子を食べて過ごしていたもんね」
「あの時は・・ホントごめんね・・。」
「ううん・・あの状況じゃ仕方ないよ・・圭は悪くないよ」
「るーちゃん美味しい?」
「うん♪」
留美ちゃんは嬉しそうにクッキーを食べている。
「わーい、お菓子お菓子♫」
「おい由紀、もう少し落ち着けよ・・」
ボロボロとクッキーのカスを落とす由紀。
おまけに口の周りににもカスを・・。
ウェットティッシュで綺麗に吹いてあげると由紀はニコニコ笑う。
「えへへ・・有難う大樹」
そんなやり取りをしていると周りの人達がニヤニヤ笑っている。
歓迎会の宴も終わり、外は真っ赤な夕日が空を染めていた。
色々あったけど、新たな生活がスタートする。
メリクリです。
2015年の12/21に書き始めて2年が経ちました。
自分でもこんなに続くとは思いませんでした・・。
さて、穏健派にオリジナルキャラの遠藤君。
こちらにも男性がいるので、出口さん達にも男性を入れてみました。
さてさて、大学生活はどうなるか?
次回は年内か1月には投稿する予定です。
では次回も宜しくお願いします
どらえふ