新米提督が艦娘に着任しました――雨開の艦艇、これより提督の指揮に入ります――   作:低蓮

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さぁ、始まりました無謀な作品作り第……何弾だろ?


艦これなら原作ないから、自由にかけるよねとか思った過去の私を殴りたい。
自由にかけるだけの文才ないじゃないですかヤダー


取り敢えず、一定の目標は立っているのでそれに向けて突っ走ったあと、今後の展開を考えていきたいと思っています。
プロローグが前後半に別れるという想定外のことが早速起きてるけど、気にしたら負けなんでしょうね(

若干過激な描写がありますので、苦手な方は注意して閲覧してください。
また、こんなしゃべり方じゃないという艦娘がおりましたら、感想欄にてご指摘ください。


それでは、笑いあり、涙ありのハートフルコメディをどうぞご堪能ください(大嘘


※2015/12/29 に3編からなるプロローグを一つにまとめました。内容は殆ど変わっていないので、一度見た方は流し読み程度でも大丈夫です


プロローグ
プロローグ、行くよ!


1月 AM10:26 某鎮守府近海――

 

 

 お腹の心に響くような重低音とともに、またアレが飛んで来る。

 音がした方を見なくても、それがどこに向けられ、何を狙っているのかは分かってしまう。

 必至に蛇行しながら着弾点から身を外そうとし、至近に上がった大きな水柱を見て、それが辛うじて成功したことを理解した。

 

 

「まだ僕は……死ねない、死にたくない……ッ」

 

 

 恐怖に身体が震えたが、奥歯を食いしばって耐える。

 竦んでしまう足を、前に進めと叱咤する。涙で霞む視界を、それでもまっすぐ正面に据え。

 あと少しで、鎮守府の皆に会えると固く信じて。

 

 

 彼女には――白露型二番艦、駆逐艦である時雨には、ただひたすらに襲い来る砲弾群(死神の鎌)を掻い潜る他、術はなかった。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 砲撃音、そして着弾。

 必死で避け続ける時雨をあざ笑うかのような速度で次弾が飛んで来る。

 飛んで来るのは致死の主砲級だけではなく、口径の小さな副砲も時折時雨の身体をかすめるようにして飛んで行く。

 

 

 嗚呼――

 何度、砲撃音を聞いただろう。

 何度、至近弾を受けただろう。

 何度、笑い声を背に受けただろうか。

 

 

 もう、どれだけ航行し(はしっ)たのかわからなくなり、今現在の位置さえ時雨は把握出来ていなかった。

 思考回路は麻痺し、砲撃音を聞いてからセオリーも何もあったものではない動きで無茶苦茶に避ける。

 自然至近弾の数も増して、今や時雨は中破判定を受けるほど傷ついていた。

 そんな姿になってもなお時雨が浮いていられるのは、深海棲艦がわざと外しているのか、セオリーにない動きに戸惑っているのか……

 それさえも、今の時雨にはどうでもいいことだった。

 ただひたすらに、鎮守府へ。

 その思いだけが、今の時雨を突き動かしていた。

 

 

 視界はかすれ、砲撃音もどこか遠くで響いているような錯覚に陥る。

 体中にガタが来ていて、次に至近弾を受ければ立っているのもままならなくなるかもしれない。

 今、時雨は極限まで追い詰められているのだった。

 

 

「鎮守府へ……ッ。 僕は、鎮守府に、たどり着かなきゃいけないんだ……ッ」

 

 

 うわ言のようにそう呟く。

 そうやって己を鼓舞しないと、今にもポッキリと心が折れてしまいそうだった。

 

 

 時雨と深海棲艦の命をかけた鬼ごっこ――深海棲艦からしたら唯の遊びかも知れないが――は、すでに1時間に及んでいた。

 元々心細かった燃料は、今やレッドゾーン。

 何時燃料が切れて動けなくなっても、全くおかしくない情況だった。

 そして今、長い逃走劇にも漸く終止符が打たれようとしていた。

 

 

「うぁ……ッ?!」

 

 

 時雨からわずか数m離れた所に、大きな水柱がたった。

 その衝撃でバランスを崩した時雨は、わずかに減速してしまう。

 そこへ、狙い澄ましたかのように数発の砲弾が食い込んできた。

 先程より僅かに口径の小さな、しかし駆逐艦の時雨にとっては十分脅威足りえる砲弾が、足下で炸裂した。

 

 

「……ッ! あぐぅ……」

 

 

 大きく跳ね飛ばされ、海面を跳ねること数度。

 ボロボロになった時雨は、間違いなく大破まで追い込まれていた。

 主機が損傷したのか、左足に浮力が発生しないのを感じながら、それでもなんとか立ち上がろうと藻掻き足掻く。

 バランスを失いながらふらふらと立ち上がった時雨は、その視線を正面に向け、すべてが終わったことを悟った。

 

 

「~~♪ ナカナカ、タノシカッタゾ」

 

 

 あの快活な笑みを浮かべながらそうのたまう深海棲艦に対し、深海棲艦も喋ることが出来るんだ、などと見当違いな感想を浮かべた。

 そして、ぼやけきった視界の端で、あの尻尾を模した艤装の先端がこちらに向けられたことを感じ取る。

 

 

「ジャアナ」

 

 

 そして、無慈悲に、無遠慮に放たれた砲弾は、確実に時雨を捉えてその小さな体躯を吹き飛ばした。

 深海棲艦は、時雨が沈むのを見届けようともせずに背を向けると、鼻歌交じりに潜航しつつ呟いた。

 

 

「サテ、ツギノ玩具ヲ探シニイクトスルカ」

 

 

 やがて、深海棲艦が去ったその海域は、何も浮かんでおらず静けさを取り戻していた。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 遠ざかっていく光に、時雨は無意識のうちに腕を伸ばそうとして、やめた。

 正確には、伸ばそうとした腕が肩口から引きちぎれていたので、諦めた。

 為す術もなくぼんやりと光りを見上げながら、時雨はふと思考する。

 

 

 ――僕が沈んだら、夕立は……提督は、悲しんでくれるかな……?

 

 

 取り留めもない、そんな無駄な考え。

 けれど、もうそんな者達と会うことは出来ない時雨にとっては、重要な事だった。

 

 

 ――悲しんでくれるなら……申し訳ないかな。でも、悲しんでくれなかったら……やっぱり、寂しいな。

 

 

 己の考えに、わずかながら苦笑しようとする。

 けれど、焼けただれ、強張った筋肉はそんな時雨の命令を拒絶した。

 仕方がなく、溜息をつくだけに留める。

 途端、時雨の口から大きな気泡がブクリと飛び出て、光を反射しながら海面へと上がっていった。

 

 

 ――ああ、僕は沈んでいるんだ……

 

 

 その光景に、再度現実を叩きつけられた時雨は、儚げに笑う。

 当然、顔の表情は言うことを聞いてはくれなかったが。

 けれどそんな思考も、海底が近づくにつれてだんだんと薄れていく。

 最後に残った、僅かな思考のかけらも、深海の闇に溶けてしまう。

 

 

 そして。

 

 

 かつて、『呉の雪風、佐世保の時雨』と周囲に言わしめた程の幸運艦であり、武功艦であった時雨は。

 この時一度、確かに。

 

 

 沈んだ。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

「むー、遅いっぽい~~」

 

 

 とある鎮守府にて、じっと海を見つめながら不満を漏らす艦娘の姿があった。

 息が真っ白に凍る寒さの中、彼女はかれこれ二時間もその場でそうやって佇んでいた。

 一時間ほどたった時に、寒さに打ち震える彼女を見かねてか妖精たちがもこもこの外套を運んできてくれたのだが、若干大きさが合わないようで、忍び寄る冷気を防ぎきることはできていなかった。

 

 

 はぁ、と白い息を吐き出しながら、にわかに騒がしくなってきた鎮守府を尻目に彼女――夕立は、待ち人である親友が帰ってきたらなんて声をかけようかと、考えを巡らせていた。

 これだけ寒い思いをしたのだから、何かをおごってもらうのもありかもしれない。

 彼女なら、それくらいのお願いなら困った顔をしながらも快く引き受けてくれるだろう。

 なら、何をおごってもらうか。

 

 

 ――間宮さんのアイスしかないっぽい!

 

 

 寒い思いをしたというのに、ここでアイスという発想が出てくる辺り、夕立は割と天然なのかもしれない。

 まぁ、それだけ間宮の作るアイスは絶品だということなのだが。

 

 

 期待に胸を膨らませ、仮想の尻尾をブンブンと振りながら、さながら主人の帰りを待つ犬のようにちょこんとビットに座り込む。

 そして、海原へ視線を戻しながら、今朝方遠征に出かけていった親友の姿を思い浮かべ、緩む頬をこすりながらぽしょりと呟く。

 

 

「うー、ほっぺたが凍りついてきたっぽい~。早く、帰ってこないかなぁ……」

 

 

 そんな彼女の呟きは、突如として鎮守府中に鳴り響いたサイレンの音にかき消されて、どこにも届くことはなかった。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

1月 AM11:27 東京某所――

 

 

 ぼふ、と音を立てて布団に倒れこむ。

 本来なら大学で講義を受けている時間帯なのだが、どうにも気がのらないので欠席した。

 もともと、特に就職のあてもなかった俺が惰性で受けて受かった大学だ。

 まじめに講義を聞く気も起きないし、特に親しい友人がいるわけでもないので、休むことに全く抵抗はなかった。

 単位さえ取れれば、あとは出席日数が足るだけ講義に顔を出していればいいというのが俺の持論だ。

 もう、なんで大学に行っているのかわかりゃしない。

 

 

「はぁ……おお、寒い寒い」

 

 

 ため息をつきつつ、毛布を手繰り寄せてさながらイモムシのようにぐるぐる巻きにする。

 大学に行かず、さりとてこの糞寒い中外出する気にもなれず、現状することが全く無かった。

 ここで趣味の一つや二つあるやつは、颯爽と趣味に没頭するのだろうが、あいにく俺は趣味と呼べるようなものは持ち合わせていなかった。

 唯一呼べそうなものが、小さい頃から続けていた剣道だが、この寒さの中素振りをしようと言う気にはなれなかった。

 

 

「あー、どうやって時間潰すかなコレ……」

 

 

 夜まで、詳しく言えば就寝時間までどうやって時間をつぶすか、その手段を考えていなかった自分に腹をたてる。

 もう、人生を浪費しまくっている感が否めないが、そんなことは知ったこっちゃない。

 元々、何の面白みもない人生なのだ。

 ちょっとぐらい浪費したところで、誰に文句を言われる筋合いもない。

 

 

 適当に、Twittyに上げられている記事や何やらを眺めて暇をつぶしていたのだが、暫くしたところであることに気がついた。

 幾つもの記事に中に、やたらと同じ言葉が使用されているのだ。

 それだけではなく、付属しているイラストについても同じような少女を描いたものばかりで、一体何ごとかと詳しく見てみる。

 

 

「えっと、なになに……? 駆逐艦時雨……って、軍艦? 軍艦の絵がなんで女の子に……あぁ、コレか。艦隊これくしょん、軍艦の擬人化ねぇ……ほんと、日本人の想像力には感服するわ。俺も日本人だけど」

 

 

 まさか軍艦を擬人化するなんて、外人はおろか船の設計者たちだって自慢の船が女の子に化けるとは想像もしていなかっただろう。

 そのうち、天体も擬人化されるんじゃないだろうか。

 地球の擬人化、アースちゃんとか。

 笑えん。

 

 

 で、どうやらその駆逐艦時雨が戦没したのが今日らしく、沢山の追悼イラストなるものが投稿されているわけだそうだ。

 どうせなら本来の姿の時雨を書けよと思わないでもないが、どうせ言ったところで無駄だろうから適当に流す。

 皆の逞しいばりの想像力(妄想力)には脱帽せざるを得ないが、俺は艦隊これくしょん――通称艦これ――というゲームにわずかながら興味を持った。

 今日一日、暇をつぶすには持って来いだと思ったからだ。

 

 

「登録画面はっと……お、あった、これだな」

 

 

 会員登録を済ませ、順調にゲームを始める準備を進めていたのだが、最後の最後で大きな壁にぶち当たった。

 

 

「……ん? なんだこれ」

 

 

 今すぐ出撃せよ、と銘打たれたボタンをクリックし、いざゲームが始まるのかとおもいきや変な画面に飛ばされる。

 顔の前で猫を掲げたデフォルメされた女の子と、明日以降の接続を促す文句。

 どうやら、人気のあまりプレイできる人数に制限がかけられているらしい。

 

 

「おいおい……今できなきゃ暇つぶしにならないじゃないか……」

 

 

 などと文句を言ったところで、急にサーバーに空きができるわけでもなし。

 仕方なくブラウザを閉じようとしたところで、画面端に妙なボタンがあるのに気がついた。

 

 

『どうしても待てない提督様へ! 一足先に艦これの世界を体感できます!』

 

 

 そう説明書きされた文句の下に、暁の水平線に――、というボタンが踊っている。

 最初はなぜ、と不思議に思ったが、体験版みたいなものだと理解して納得した。

 継続してやるつもりもなかったので、体験版だけでも暇をつぶせると踏んでボタンをクリックする。

 が――

 

 

「――は? え、なんで画面がブラックアウトしてるわけ?」

 

 

 ボタンを押した直後、突然画面が真っ暗になってうんともすんとも言わなくなった。

 キーボードを押しても反応せず、電源を長押ししても一向に電源が落ちないため、もしや新手のウイルスにやられたか、と冷や汗をかいた。

 そんな焦る俺を他所に、画面では一つの変化が生まれていた。

 黒い画面に、さざ波が立つようにノイズが走り始める。

 初めは小さく、そして段々と激しく……

 ノイズが激しくなって漸く気がついた俺は、画面を見て驚愕した。

 ノイズの切れ間に見える画面、それは先程までの真っ黒な画面ではなく、濃く深く揺れる、さながら深海のような色合い。

 一体に何が、そう呆然と考えた俺の耳に、とある音声が響いてくる。

 

 

「オモ…………ツケ……」

 

 

 かすれた、聞き取りづらい片言の言葉。

 その声が聞こえると同時に、何故か俺の体から力が抜けていく。

 わけも分からず倒れこんだ視界の端で、いつの間にかノイズの収まった画面の奥から、怪しげに揺れる双眸がこちらを射抜いていた。

 薄れ行く意識の中で、何処か無邪気な笑い声が響いたのを最後に、俺の意識は闇に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

「おーい(ひさめ)ー、生きてるか―?」

 

 

 とあるアパートの一室の前で、一人の学生が部屋の中に呼びかけている。

 彼は、この部屋に住んでいる天沼(あまぬま) (ひさめ)の数少ない友人と呼べる存在だった。

 霈が例によって無断欠席したため、代わりに講義のノートを書いて持ってきたのだ。

 勿論、一方的な関係ではなくちゃんとした対価も有るわけだが。

 

 

「おーい、留守なら返事くらいしろや―」

 

 

 サラリと無茶を言いながらドアノブに手をかけた彼は、おやっと首を傾げた。

 ドアノブを回して引っ張ると、何の抵抗もなくドアが開いていく。

 

 

「うお、おっそろしく不用心なやつだな……まさかほんとに死んでないよな?」

 

 

 恐る恐る部屋の中を覗き込むが、部屋の中には誰もおらず、ただつけっぱなしのモニターが薄暗い部屋を淡く照らしているだけだった。

 友人が死体で見つからなかったことに一先ずほっと胸を撫で下ろしたあと、何時帰ってくるかもわからないのを待つよりも一旦出直そうと、部屋をあとにした。

 誰もいなくなった部屋の中は暫くの間、モニターが発する淡い光だけが満ちていたが、小さな、何処か楽しげな笑い声が響いたあと、モニターが独りでに消えたのだった。

 

 

 数日後、友人の届けで行方不明となった彼を警察は必死に捜索したが、その足取りは彼の部屋を最後に、ぷっつりと途切れていたという。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

2月 PM3:18 とある鎮守府から30海里離れた洋上――

 

 

 瞼の先から淡い光が漏れてくる。

 もう二度と、(つい先程まで)感じることは(、ぼんやりと)出来ないと思っていた光(目の前を照らしていた光)

 

 

 耳朶を打つのは、僅かな波の音と元気な鴎の鳴き声。

 涙がでるほど懐かしい、(眉をひそめるほど、違和)心やすまる音(感しかない音)

 

 

 嗚呼、早く目の前の風景を見てみたい(絶対に周りを見まわしたくない)

 

 

 

 だってほら、瞼を上げてみれば――

 

 

「――ッ!」

 

 

 相反する思いを浮かべながら、一度沈んだはずの艦娘は、訳もわからず飛ばされた人間は。

 理由は違えども、一先ずは目の前の光景に驚愕するのだった。




※この話は、プロローグをまとめたものです。一度見かけた皆様に置きましては、申し訳ありませんでした。
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