新米提督が艦娘に着任しました――雨開の艦艇、これより提督の指揮に入ります――   作:低蓮

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投稿してからまだそんなに時間が経っていないのに、いつの間にかUAが沢山付いていることに驚きを隠せない自分がいます。
アレですね、艦これ効果って凄い。
だからあれです、9評価つけた人、大人しく出てきなさい。全力で感謝しますから(土下座用意

いや、本当に。どうしてこんな駄文を纏めたかのような作品が評価されたのかわからないのですが、つけてくださった方の何かに触れたのでしょう。この調子でどんどんUA増やしていきますよ!(すぐ調子に乗る奴

皆さんも遠慮せずに、バシバシ批評や低評価をつけてくださいね!


見つけたよ

 月あかりの下、何もいないような暗闇の中によく目を凝らしてみると、ソレはそこに立っていた。

 周囲に漂うのは血と硝煙の臭いであり、ソレが携える未だに温かい砲身が先ほどまで戦闘を行っていたことを物語っている。

 ソレは艦娘ではない。

 故に戦闘が終わった後も、特段その場を離れる理由はなかった。

 

 

「キヒヒ♪」

 

 

 そして、艦娘ではないならばソレは深海棲艦ということになる。

 深海棲艦が深海棲艦を襲う道理はない――つまり、ソレと戦闘していたのは艦娘ということになり。

 

 

「アア、タベゴタエガナイナ(・・・・・・・・・)

 

 

 嗤いながら手に持っていたものを投げ捨てたソレは、口から滴る血を(・・・・・・・)拭おうともせずに呟く。

 周囲には、ソレ以外に洋上に浮かんでいる影はない。

 艦娘たちは、皆海の底か――あるいは、ソレの腹の中に葬られたのだろう。

 

 

「次ハドンナ玩具ガ出ルカ……キヒヒ♪」

 

 

 ソレは笑い声だけを残して、音もなく闇に溶けていった。

 次の玩具を、探すために。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 陸からほど近い場所で、2つの影が海上を疾駆していた。

 片方は、足元の波を蹴立てながら。

 もう片方は、先の影を急き立てるように、右へ左へ。

 その影をよく見れば、知っているものも知らないものも驚いたことだろう。

 知っているものは、急き立てているように見える少女が、およそ考えられない挙動をしているから。

 知らないものは、そもそも何故少女が二人も海の上を走っているのか、と。

 そもそも、彼女らのことを知らない人間がいるかどうかは定かではないが。

 

 

「おい時雨ぇ! やっぱりあの妖精信用できなかったじゃねぇか!」

「仕方がないじゃないか! 妖精さんだって僕と一緒に沈んでたんだ、方角だってわからなくもなるさ!」

「その割にはやけに自信満々だったよなぁ……ッ」

「えっへん、ようせいさんはいつでもじしんありなのですー」

「何偉そうにしてるんだぶった切ってやろうかああぁ?!」

「ひさめさん、こんなところでかたなをぬかないでほしいです?!」

 

 

 そんな彼女たちは今、最大速力で航行し(はしり)ながら鎮守府を目指していた。

 鎮守府を目指したのは昨日の昼頃、順調に行っていれば一日もかからないはずの位置に時雨たちはいたはずだった。

 では何故、殆ど丸一日もかかって未だに鎮守府にたどり着いていないのか。

 

 

「よりにもよって……どうやったら目的の方向と正反対の方角(・・・・・・)を自信満々に指差すんだ! わざとか、わざとなんだな?!」

「ひさめさん、ふりまわさないでほしいです?! かすったです?!」

 

 

 理由は、清々しいまでに鎮守府とは逆の方向を指し示した時雨の妖精にあった。

 いくら進めど陸地など見えてこず、月が空に浮かぶ時刻に至って、漸く陸が見えてきた。

 しかし、それはただの離島で鎮守府などは存在せず。

 その離島の形を何気なく見ていた時雨がポツリと漏らした

 

 

『あれ、この島見覚えがあるような……』

 

 

 という言葉によって空気が変わった。

 霈に問いただされた時雨は、なんとか記憶の奥底から島の位置を引っ張りだして、めでたく(?)鎮守府とは真逆の方向に進んでいたことが判明したのだった。

 こめかみに青筋を浮かべたものの、なんとか踏みとどまった霈は今すぐ取って返すことを提案。

 そうして今に至る、というわけだった。

 

 

「鎮守府に着いたら、その小ぢんまりとした脳みそかっぽじってやるから覚悟しとけよ……」

「ひさめさんひさめさん、めがこわいです。くろいおーらがあふれでてるです」

「そうですー。そんなにかっかしてもはじまらないですー」

「誰のせいだと思ってるんだオラァ!!」

「うわぁ?! ちょっと霈、僕にも掠ったんだけど?!」

 

 

 などと賑やかな会話を交わしつつ、鎮守府を目指すこと実に23時間。

 漸く、遥か遠方に陸地が見えてきたのだった。

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

「ふぅ、正面海域の警備はこれで終了、ですね……」

 

 

 川内型二番艦、神通は担当の海域の哨戒任務を終えて、その気弱そうな顔に一種の達成感のようなものを浮かばせた。

 本来、鎮守府が担当する海域の警備は第四艦隊が一日に一度行う程度のものだったが、とある事件を切っ掛けに、この鎮守府では第二から第四艦隊が早朝と深夜に一度づつ行うようになっていた。

 鎮守府内では『冬隠れ』と呼ばれている、遠征に行った艦隊がまるまる戻ってこなかったあの事件。

 

 

 決して、艦隊の練度が低かったわけではなかった。

 それどころか、旗艦であった天龍のレベルは40を超えており、いくら旧型で性能が劣っていたとはいえ、第一線でも十分に戦えるほどの練度は有していた。

 それなのに。

 所定の時間を過ぎても一向に帰ってこない艦隊を心配した提督が、最高練度を有する第一艦隊を派遣して見つけたものは。

 天龍の使用していた、接敵時に殴りあうために使ったであろう抜身の刀のみ。

 そのことから、艦隊の生存は絶望的と考えられていた。

 

 

 その事件を思い出して、神通は顔を曇らせる。

 本当は、あの遠征任務は神通の担当だった。

 しかし、直前の戦闘で大破してしまったため、急遽入渠が決定。

 代わりに、天龍達にお鉢が回っていったというわけだった。

 

 

「なーに、暗い顔してるの? 任務も終わったんだし、ちゃっちゃと戻っちゃいましょ」

 

 

 神通が当時の事思い出していると、明るい声が神通に掛けられる。

 振り返ってみれば、暁型三番艦、雷が快活な笑みを浮かべながら神通を見やっていた。

 

 

「神通さん、大丈夫ですか……? お疲れなら、帰ってから司令官さんにお休みをもらうと良いのです」

так(そうだね)……無理はいけない」

 

 

 雷の言葉に同意するように、暁型二番艦である響と、四番艦である電が心配そうな顔をしながら言葉をつなぐ。

 彼女たちも、『冬隠れ』で難を逃れたメンバーだった。

 今は気丈に振る舞ってはいるが、彼女たちも深い負い目を抱えているのだろう。

 『冬隠れ』の日、雷が泣きながら夕立や龍田などの姉妹艦に謝っていたことを、神通は知っていた。

 

 

「いえ、大丈夫です。少し考え事をしていただけですから」

「考え事?」

「大したことではありませんよ。任務も終わりましたし、戻りましょうか」

「帰ったら間宮さんのところにアイスを食べに行きましょ、響、電!」

「お姉ちゃん、まだお昼にもなっていないのです」

「あんまり食べてると、太る」

「ふぐぅ?! ま、まだ太ってないわよ!」

「まだ?」

「ま、まだ……うぅ、わかったわよ。アイスは無し!」

「ふふ、程々にしてくださいね」

 

 

 雷たちの会話に癒やされつつ、鎮守府へと帰投しようとした矢先、何気なく周囲を見回していた雷が声を上げる。

 

 

「あら? 何かしら、あれ」

 

 

 その声に反応してそちらを見てみると、遠くの方から何かが接近してくるのが見えた。

 この時間帯に船が通ることは報告されていないため、警戒を強める神通達。

 それは真っ直ぐ鎮守府の方に向かっており、段々とその姿がはっきりと見えてくる。

 

 

「皆さん、相手は深海棲艦かも知れません。十分に警戒……を……?」

「? ど、どうしたの?」

「え……うそ、そんな……?」

 

 

 雷達に警戒を促そうとした神通は、途中で不自然に言葉を切る。

 不思議に思った雷が神通を見上げると、その目はまんまると見開かれていた。

 呼吸も忘れて、知らず知らずのうちに右手を口元に持って行きながら、神通は信じられないといった声音で呟いた。

 

 

「時雨……さん……?」

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

「ぜんぽうにかんあり、すいらいせんたいのようですー」

「そうか、分かったよ。ありがとう妖精さん」

「えへへー、もっとほめてくださいー」

「ああ、もっと褒めてやるよ。目視より早く報告できたらな! 相手が完全に見えるころに報告してどうすんだよ?!」

「みえないとほうこくできないのですー。ぷぷぷ、そのなこともわからないのですかー?」

「なぁ、こいつぶった切っていいよな。文句ねぇよなぁ?!」

「ひさめさん、おちついてくださいです?!」

「霈、そろそろ僕は疲れたよ……」

 

 

 ずっとこの調子である。

 妖精が何故か事あるごとに霈を煽りに行き、それに反応して霈が武器を振り回す。

 何度となく切られかけた時雨が疲労困憊としているのは、当然のことといえるだろう。

 そして、目の前に見えるのは軽巡1 駆逐3からなる水雷戦隊のようで、彼女らと話している時に霈に暴れられたらたまらないと、時雨は若干涙目で霈に頼み込んだ。

 

 

「霈、悪いとは思うけど、彼女たちと会話している間は戻ってくれないかい? 怪しまれたくはないんだ」

「う……まぁ、わかったよ。仕方ねぇな……」

「ありがとう、霈」

 

 

 霈とて男である。

 いや、見てくれは女の子なのだが、中味は健全な男子なのだ。

 見た目小中学生の儚げな美少女が、瞳をうるませながら上目遣いでする頼みごとを断れるはずがない。

 霈の返答に花が咲いたような笑顔を浮かべた時雨に、若干赤面しつつ霈は戻ることにした。

 一瞬霈の姿が揺らいだかと思うと、そこには元から何もなかったかのような光景が広がっているのみで、時雨の姿しか見えなくなる。

 魂だけの存在となった霈は、意識せずとも元の場所、すなわち時雨の身体にリンクして、同化した。

 

 

『あー、これでいいんだよな?』

「うん、問題ないよ」

 

 

 姿は見えないが、きちんとあの頭に響くような声が聞こえる。

 今まで聞いていたような声ではなく、男然とした割りと逞しい声に違和感を覚えたが、これが元々の霈の声なんだと割りきった。

 そんな時雨に、警戒しながらもどこか戸惑ったような感じで水雷戦隊が近づいてきた。

 その先頭、旗艦であろう艦娘の姿を見て、時雨も僅かに驚いた。

 

 

「あれ……神通……?」

「時雨さん、ですよね……? あの、幽霊とかではなく……」

「あはは、まぁそう思われてもしかたがないよ……だけど、僕はお化けじゃないよ。ちゃんと足もついてるし」

「時雨さん……生きて、いたのです?」

Удивленный(びっくりした)……本当かい?」

「うわぁん! 時雨ええぇぇ!」

 

 

 見れば、雷に電、響と時雨たちの任務につくはずだった面々がそろっていた。

 皆一様に信じられないと言った表情で時雨を見やり、雷などは泣きながら時雨に抱きついていった。

 急に飛びかかられた時雨は驚きながらもバランスを崩さないように受け止め、戸惑ったように泣きじゃくる雷の頭を撫でた。

 

 

「全く、雷はこんなに泣き虫だったかな……」

「それも仕方がありませんよ、ずっと時雨さんたちのことを心配していたのですから……他の方は一緒ではないんですか?」

「……いや、見てないよ。すまないね……」

「そうですか……いえ、良いんです。時雨さんが無事で、本当に良かった……」

 

 

 見ると、神通も電も目尻をうるませ、響は帽子で顔を隠していた。

 困惑する時雨の表情に気を取り直しつつ、本当に嬉しそうな表情で神通は時雨に告げた。

 

 

「このことは、提督に報告しないといけませんね……その、時雨さん。おかえりなさい」

 

 

 雷を撫でていた手をピタリと止めると、一瞬様々な感情が入り混じった視線を神通に向けた後、ニッコリ笑って頷いた。

 

 

「そうだね、鎮守府に向かうとしよう……ただいま、皆」

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 時雨が古い顔なじみらしき艦娘達と会話しているのを聞きながら、霈は考え込んでいた。

 今、霈は時雨の魂と直結している状態にある。

 話しかけようとすれば直接言葉を送り込むことができるし、逆に時雨の感情や思っていることをダイレクトに受け取ることもできる。

 それを知らずに、先ほど時雨の感情がもろに流れ込んできたため、霈は慌ててその感情の波からリンクを閉ざした。

 受け取ろうとしなければ勝手に入ってくることは無いようで、その感情の波は止まったのだが、霈はその内容に困惑していた。

 

 

 闇、いや、それは憎悪か。

 おそらく、表層の感情は戸惑い半分、嬉しさ半分といったところだろう。

 その証拠に、時雨の笑みに嘘はない。

 しかし、その笑みは本物でもなかった。

 深層の、恐らく時雨本人でさえ知覚できていない部分。

 そこから、どす黒い感情が流れ込んできた。

 それと同時に、恐らく時雨の身に過去起きたのであろう光景が幾つか明滅した。

 

 

「……勝手に踏み込んでいい領域じゃ、なさそうだよなぁ」

 

 

 平和ぼけした現代日本ではまず体験しないであろう、壮絶な過去と苛烈な感情。

 それを目の当たりにした霈は、どうしたらいいかもわからずに苦笑する。

 

 

「触らぬ神に祟りなし……ま、俺の出る幕じゃないってな」

 

 

 だから、彼はあえて触れない。

 彼女の抱える闇に。

 自分は関係ないと、そう決めつけて。

 

 

「はぁ……次あった時、あの妖精の羽根もいでやる」

 

 

 今はまだ、小さな流れ。

 しかし、時が経つに連れて水かさは増し、流れも早くなり。

 やがて、岩をも穿つ激流になることに。

 

 

 誰ひとりとして、気がつくものはいなかった。




霈、いじられる(白目

妖精さんの性格を考えていた時、一番に思いついたのがまだ幼い子供みたいなもの。
幼い子供って、善悪の区別がなくてよくも悪くも純粋ですし、己の欲に忠実ですよね。
多分、霈を必要以上に煽るのは反応が面白いからだと思います。現代日本の学生が煽られたら多分あんな感じ(偏見

ただまぁ、皆して霈を煽り始めると話が明後日の方向に突っ込んでしまうので、霈付きの妖精さんは割とまともです。というか妖精の中では多分唯一の良識人です。あれ、人じゃないや、良識妖精……?

ま、そんなこんなで時雨が鎮守府に帰ってくるそうです。
夕立との再開も近い……?
実は何も考えていなかったり(おい

次回からは鎮守府編ですね。近海編がたったの三話なの? とか野暮なこと聞いちゃいけません(
次回のタイトルはまだ未定です。っていうかほぼ何も決まっていません。


それでは、ここまでのご閲覧、ありがとうございました

感想、誤字訂正、批評等々お待ちしています
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