飛鳥と悟りの物語   作:桂木ヤユ

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 まだまだ序章って感じですね。現状登場アイドルとしましては、
二宮飛鳥
望月杏奈
周防桃子
七尾百合子
馬場このみ
です。今後も増える予定ではあります。もし希望などがございましたら感想にて言ってもらえれば追加したいと思います。いつ話に登場するかは未定ではありますが極力取り入れていくつもりです。



~一二三プロとの邂逅~

「まず私たち妖怪というものは人間に恐れられることによって力を得ます。その力は妖怪固有の能力のことです。私で言えば心を読む能力ですね。」

「ふむ。そういえばやけに察しがいいと思えばそういうことだったのか。」

 

そうか。外見があまり僕と変わらなかったから忘れていたけど、さとり妖怪といえば熊のような外見で心を読む妖怪だと昔本で読んだことがあるな。

 

「まあ外見についてはその相手にとって恐怖を抱くものを見せたりもするので、様々なように伝わっていると思います。昔は至近距離で熊に出会うことは死を意味したので怖がらせるには都合が良かったということだと思いますけど。」

「なるほど。固有の力については分かったよ。それで認識についてはどうなんだい?」

「まあ順を追って話します。飛鳥は最近の世の中についてどう思いますか?」

「唐突だね。世の中を語れるほど人生経験を積んではいないけれど、そうだね。敢えて言うならば冷めている…かな。ネットという新しい世界が広がり人は見られているということを強く意識するようになった。その結果人より優れていることも劣っていることも迫害され、人は等しく均される。少しひねた考えだとは思うけどね。」

「なるほど。確かにそういった面もあるとは思います。私が思った…というより見てきたのは少し違いました。全て他人事だと考えていたのです。自分のことでさえも。そのネットというものにはあまり詳しくないので分かりませんが、宛名のない手紙と同じようなものでしょう。」

「それは言い得て妙だね。」

「そのことが私たちにとって悪い理由は、怖い話を聞いても、ふーんそんなこともあるんだ怖いね。で終わってしまうことです。私たちは人に恐れられることで存在できるのです。有象無象と同じ認識では私たちは有象無象になって消えてしまいます。」

「一種のアイデンティティーの崩壊…だね。」

「そんな私たちを認識することができるのは、嬉しいことに喜び。恐ろしいことを恐怖できる素直な人間です。」

 

 さとりは立ち止まりそう言った。僕は振り返った。

 

「そうかな?僕自身はそうは思わないのだけれど。」

「実際私は貴女の前にいます。それが何よりの証明です。」

 

 そこで彼女…さとりは初めて笑顔を見せた。

 

「そう言われると少し照れるな。」

「そうですか?」

 

 さとりは愉快そうに笑っている。僕は咳払いをする。

 

「話を戻そう。それは認識の話からずれているだろう。」

「まあ根本から話しておきたかったので。その方が理解しやすいですし。さてでは認識の話をしましょう。」

「頼むよと言いたいところだけど、もう事務所だね。この話は少し後でもいいかい?」

「構いませんよ。急ぐ話ではありませんし。」

 

 目の前には見慣れた二階建のボロい建物がある。建物に対して随分新しい看板には「一二三プロダクション」と書いてある。

 

「ああ、初めに言っておくけど。うちの事務所は、まだできて間もなくてね。所属アイドルは僕を含めて五人しかいないからあんまり期待しないでくれよ?」

「楽しみにしておきます。」

 

 僕は扉を開けようとしたところでふと思った。さとりの話は道中で聞いてしまったけれど、実際僕にできることがあるようには思えないんだけど。

 

「ねえさとり。」

「ああそのことについてもひとまずレッスンが終わってからにしましょう。もう時間がないのではないですか?」

「まあそうだね。」

 

 左手の時計を見るとすでに一五分になってしまっている。

 

「これはこのみ先輩に怒られるな。」

 

 僕は諦めて扉を開いた。

 

 

 

 事務所の中央には炬燵があり三人の少女が寝転がっている。そして一人の少女ぐるぐると炬燵の周りを歩き回っている。うん。このみ先輩怒ってるな。

 

「あっ飛鳥!!遅いじゃない!今何時だと思ってるの!」

「全く先輩の桃子を待たせるんじゃないわよー。」

「すまないこのみ先輩、桃子先輩。これには少し訳があってね。」

「…その子…だあれ?」

「そう僕がしたかったのはその話さ、杏奈。紹介するよ。僕の従妹の古明地さとりさ。」

「従妹の古明地さとりです。えっと飛鳥お姉ちゃんのアイドル生活が見たくて今日は見学に来ました。」

「従妹?まあそういう事情なら多少遅れたのは仕方ないかもしれないけど、プロデューサーの許可は取ったの?」

「ああそれならLINEしておいたよ。ほら。」

 

 僕はスマホを操作して画面を見せる。

 

 

 

 †飛鳥†;今日従妹が見学にくるんだけどいいかな? 

 

 峰岸透;いいよ~。

 

 †飛鳥†;…今日も営業かい?

 

 峰岸透;かな?ああレッスン遅れるとまたこのみさんが怒るからちゃんと時間通りに来なよ?

 

 †飛鳥†;どうしたって人は縛られてしまうんだね

 

 峰岸透;まあ縛られるのはいいことですね。

 

 †飛鳥†;全くキミは相変わらずだね

 

 峰岸透;それほどでもないですよ^^

 

 †飛鳥†;^^死ね

 

 峰岸透;ありがとうございます!

 

 

 

「…全く相変わらずね、プロデューサー。」

「ず、ずいぶん変わった方なのですね。」

「いやでもお兄ちゃんは仕事はできるんだよ?仕事の契約交渉とか上手だし。」

「…ゲームも上手…だよ。」

「うーん!やっぱり書道は深い!!紆余曲折しながらも成長していく!そしてそれを支える周りの人々!繋がる心が俺の力だって感じですね!!」

「って百合子また何かの影響を受けてるのね。」

「…ばらかもん…だよ。」

「そろそろレッスンを始めないといけないんじゃないかい?」

「あんたが言ってるんじゃないの!…ちょっと頭下げて。」

「ん?こう…かい?」

「あんたがなかなか来ないせいでレッスン始めれないんでしょうが!!」

「いたいいたい、エクステ!エクステ取れる!」

「楽しそうな事務所ですね。見に来て良かったです。」

「そう?まあ退屈はしないけどね。」

「ここなら目的を達成できそうです。」

「…目的?」

「いえ…それよりもみなさんレッスンなのでしょう?私見てみたいです。」

「その為に来たんだったね、さとり。」

「はい楽しみです。」

 

 

 

 変わらないものはきっとない。きっかけはいつだって些細なことだ。でもその変化が良いことなのか悪いことを決めれる人なんているのだろうか。短期的な目線で見れば悪いことでも長期的に見ればいいことだってある。

 

 運命論なんて信じてはいないけれど結局世の中なるようになるのだろう。

 

 だから決してさとりは悪くはない。

              




 お読み頂きありがとうございます。
 全体として(今後も含め)シリアス3割日常7割位の予定です。(現状逆ですね。)
シリアスな部分の構想はできているので後は楽しくさとり様と飛鳥、アイドルの日常を描けたらいいなと思ってます。
 気軽に感想お待ちしてます。

PS.さとこいのハーピィエンドの少なさよ…。
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