というわけで4話です。短めですがお楽しみ下さい。
「ここが僕が暮らしてる寮さ。」
「ずいぶん新しい建物ですね。」
「ここは最近できたアイドル寮でね。まあ察しがつくとは思うけど入居者は少ないよ。僕とこのみ先輩、百合子、杏奈さ。桃子は実家が近いこともあって通いだけどね。」
「なるほど。それにしては部屋の数が多いように思いますけれど。」
「ああそれはPがこれから事務所が大きくなってもっとアイドルが増えるようにと大きめのアパートにしたらしいよ。」
「なるほど。私現代の貨幣を使うことがないのでよく分からないのですが高いのではないですか?」
「価格は分からないけどPは昔弁護士やってたらしく、お金だけはあるんですよとか言ってたよ。まあそんなことより部屋に入ろうか。外は寒いしね。」
「それもそうですね。」
忘れてたけれど今日は部屋片付いていたっけな。
「お構い無く。」
「そう?まあ大丈夫だと思うよ。」
扉を開けると馴染み深い部屋が広がっている。部屋の中央にあるテーブルの上には読みかけの雑誌が乱雑に置かれている。他には小さなテレビと本棚があるだけの簡素な部屋だ。
「まあとりあえず座って話を聞こうか。」
「ええ。」
「えっと…うちはアメリカンスタイルじゃなくてね。靴は脱いでもらえるかい?」
「ああすいません。うっかりしていました。」
「誰しもそういうときはあるさ。飲み物何がいい?といっても珈琲と紅茶くらいしかないけれど。」
「紅茶でお願いします。」
「じゃあ僕もそうするかな。」
ポットの電源を入れ、紅茶の茶葉を選ぼうと手を伸ばす。
「好みはあるかい?」
「アッサムがあればお願いします…。」
「アッサムか。時には甘い気分に浸りたいこともあるよね。」
「私の場合子供舌なので苦いものはあまり飲まないだけですよ。」
「じゃあ珈琲もかい?」
「飲みますよ。砂糖多めに入れてですけど。」
「確かにそんな時期も僕にはあったよ。まあ現在進行形だけど。苦いものは苦いよね。」
「ええ。」
ピピピとポットが鳴る。カップにインスタント茶葉を入れお湯を注ぐ。そしてアッサムに少しミルクも入れスプーンでかき混ぜ茶葉を取り出す。
「それで話ってなんだい?」
テーブルにカップを置いてから僕は話を切り出した。
「私の事情というより現状は事務所に行く道中で話した通りです。」
さとりはコートを脱いで床に正座をした。
「私をここに泊めてくれませんか?」
胸の辺りにある目はただぎょろりとこちらを見ている。
「別に泊めることは構わないよ。でもいつまでだい?」
「…しばらくですね。」
「僕もそんなにお金がある訳じゃない。長期となると少し厳しいね。泊めてあげたいことはやまやまだけれど。」
「金銭に関してはなんとかします。宛がないわけでもないです。」
「ならいいか。正直君には非常に興味がある。」
「随分あっさりと…いいんですか?」
「最初にも言ったように滞在することに僕は反対しない。むしろ賛成しているくらいだ。しかし扶養されている身からすると金銭については別問題になってしまうって訳さ。」
「どうして賛成を?」
「実情を知っている僕みたいなケースは少ないんだろう?」
「ええ。」
「そんな特別を実感できるのはやはり嬉しいからかな。外見とかもあるけれど。」
「外見というと?」
「例えば30歳のおっさんが同じことを言っても受け入れる訳にはいかない。怖いっていうのもあるし。君の場合は僕と同じか下くらいの少女さ。なんだかほっておけないって感じかな。」
基本表情の変化の少ないさとりだから分かりにくいけど驚いたように見えた。
「そうですか…。まあ実際は数百年は生きているのですけどね。」
「そういう話を聞きたいな。君の武勇伝みたいな話とか。」
「まあそんなに楽しいことばかりではありませんでしたけど、久しぶりに話すのですからとっておきの話をしましょう。」
「それは期待できるね。」
僕は冷めたダージリンを少し啜った。正直あまり味の違いは分からないのだけれど何故だか少し甘い気がした。
紅茶の良さって難しいですよね。珈琲なら分かるような気もするんですが。
PS.次回は新キャラ登場です。