飛鳥と悟りの物語   作:桂木ヤユ

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飛鳥CV&誕生日おめでとう!(少し過ぎてしまっているけれど。)
CVが魔王さんということもあってこれからどんどん活躍していけそうで嬉しいですね。
今年は飛鳥の時代かなと個人的には思っています。来る飛鳥時代!ってね笑




~旧友~

「ふーん。さとりは飛鳥のとこにしばらくいることになったの。」

 

 レッスンの空き時間にさとりのことを話した。正体については伏せてくれと言われたから、とりあえずは僕の部屋に長期滞在することになったということだけだけれど。

 

「でも飛鳥ちゃん。学校はどうするの?さとりちゃんだって学校に行かなきゃいけないでしょ?」

「えっと。それは心配ないらしいよ。少し電車を乗り継げば通える距離らしいし。」

「でも…なんで…飛鳥のとこに…いる…のかな?」

「もしかして寂しいのかも。…さとりは両親がもういないって言ってたし。」

「桃子ちゃん!それ本当なの!?」

「う、うん。前にさとりと二人のときに聞いて…。」

「それは…かわいそうな話だね…。」

 

 みんなは悲しんでいるけれど僕には嘘と分かっているから複雑な気持ちになった。

 そして疑問を抱いた。何故そんな嘘を吐いたのだろう。その方が僕の部屋にいる理由付けに都合が良いからだろうか。

 だとしても人を傷つける嘘は良くない。悲劇のヒロインはフィクションであるべきだ。…帰ったら話をしないといけないな。

 

「ねえ!聞いてるの飛鳥ちゃん!」

「ん?ごめん少し考え事をしていてね。」

「だからさとりちゃんの前で親の話は禁止って話。」

「…分かったよ。でもあまり気を使い過ぎていると逆に居心地が悪いと思うから、できるだけ普通にしないかい?。」

「それもそうね!飛鳥ちゃんたまには良いこと言うじゃない。」

「たまにはとは失礼だね。僕は間違ったことは言わないよ。真理を言ってるだけさ。」

「またそんなこと言ってぇ。」

「飛鳥はかっこいいと思ってるのよ。」

「桃子少し話をしようか。」

「きゃー飛鳥に襲われるぅ。」

 

 僕の方を見ながら逃げる桃子を追いかけてレッスンルームを走った。ちょこまか逃げるからなかなか捕まらない。

 

「桃子!前!」

「えっ!」

 

 咄嗟に言われた為前に何かあるのかと思って前を見たのだろう。それとも僕の演技が良かったのだろうか。

 

 桃子は前を向き少しスピード落ちた。ふっ、まだまだ甘いね桃子。

 

「よし捕まえた。さて一つ面白い話をしてあげよう。これは本当にあった話なんだけどね…。」

「…二人は元気だね。私はさとりちゃんのことまだ考えちゃってるのに。」

 

 百合子は少し下を足元見つめる。

 

「杏奈たちが…元気の方が…さとりさんも…元気になる…よ。」

「そう…だね。」

「そうそう!元気に行きましょう!笑う門には福来るってね!」

 

「もお謝る!謝るから!怖い話とかやめてぇ!」

「まあ元気過ぎるのも少し考え事だけどね。二人ともレッスンはまだあるのよ!」

「ふう。じゃあ三十分くらい休憩してからダンスレッスンを始めようか。」

「言わんこっちゃない。もう、十分だけよ。」

「助かる。」

「飛鳥は私を見習ってもっと体力をつけなさいよ。」

「桃子はただ若いだけだろう。僕にもそういうときがあったよ。」

「飛鳥ちゃんまだ十四歳でしょ!」

「されど十四歳さ。」

「はいはい。じゃあ私はジュースでも買ってくるわ。何がいい?」

「僕はドクペで。」

「桃子はアクエリ!」

「杏奈は…コーラ…で。」

「私はお茶持ってきてるので…。」

「もお遠慮しないでいいわよ。」

「じゃあ私もアクエリにしようかな。」

「わかったわ。それにしても二人とも。レッスン前に炭酸飲料飲むとか勇気あるわね。」

「?何か駄目だったかい?」

「まあ後で分かるわよ。」

「じゃあ…杏奈も…アクエリに…しようかな。」

「僕は一度言ったことを変えるつもりはないよ。」

「はいはい。んじゃあ十分くらいで戻ると思うからストレッチだけ先にしてなさい。」

「分かりました!」

 

 やれやれドクペこそが神から人に与えられし最高の飲み物だというのに、このみ先輩は何を言っているのだろうか。

 

 …しかし、神はいるなんていうのは心の拠り所のない人たちの偶像に過ぎない。ここは人類の英知の方が正しい表現かな。

 

 そんなことを考えながらストレッチをしていたとき、ふと、さとりのことが頭を過った。

 

「…そういえばさとりは少し出掛けると言っていたけれどどこに行ったんだろうか。」

 

 

 一方さとりは大きな屋敷の中央にいた。両端には黒いスーツを着た男たちが星座しており、正面には一人の老人があぐらをかいている。

 強面の男が多く、顔面に傷を負っていたり手足を欠いている者もいる。

 

「という訳で失礼を承知で申し上げるのですが…少々お金を都合して欲しいのです。」

「なるほど。さとりさんがいらしたから何事かと思ったらそんなことですかい。勿論それくらい用意しましょう。昔私が受けた恩義を返せると思えばそんなことお安い御用でさあ!おい百枚とってこい。」

 

 ガハハと豪快に笑いながら答えた。

 

「いえいえそんなに受け取るわけには…。」

 

 当面の資金が必要になったのでこうして村上家を訪れている訳だけれど、あまり好意に甘えてしまうのは申し訳なく思う。

 迷惑をかけなければいけないなら最小限にとどめておきたいというのが素直な気持ちである。

 

「借りた恩は借金してでも返せが今ではうちのモットーでね。だから頭領のわしができてないってなると示しがつかんのでさあ。それなのにさとりさんは一向に受け取って貰えないから逆に困ってたとこで。」

 

 私は少し真剣な表情になって言う。

 

「…村上さん、私はあなたを助けたかもしれませんが、それはただの気まぐれでした。ですからそんなに重く捉える必要はないんです。」

 

 対して老人は笑顔で言った。

 

「気まぐれでしょうがなんだろうが実際わしは今生きています。あー敬語っていうのは難しいもんだ。よくさとりさんはずっと使えるもんだ。」

「慣れですよ慣れ。」

「わしも一応練習はしてるんだがどうにも上手くいかない。っていうわけで普通に話させてもらいますよ。」

 

 そこで少し言葉置いて言った。

 

「さとりさんがどう思おうと関係ねえ。わしが恩を受けたと感じ返したいと思ったから返す。それだけのことだ。」

「自分勝手ですね。」

「自分勝手で結構!自分の決めた道を歩まなくて何が人生だ!…それとねさとりさん、わしは今あなたがを頼ってくれて嬉しいと思っとるんだ。」

 

 少し前までは子供だったのにと少し昔のことを思い出したが、今では老人といわれるような歳になっているという現状に寂しさを覚える。人の一生というのは本当に短いものね。

 

「…ではその好意に甘えさせてもらいます。」

「おうよ。」

 

 私は立ち上がった。あまり長居しているわけにはいかない。

 

「もう帰るんですかい?晩飯くらい食っていきゃあいいのに。」

「遠慮しておきます。待ってくれる人がいるので。」

「さとりさん遂に身を固めたんですかい。それで式はいつで?」

「そういう意味じゃないですよ。単に…そうですね。友人でしょうか。」

「なるほど友人ですか。」

 

 そこで村上茂は嬉しそうに笑う。

 

「どうかしたんですか?」

「いや家族でも友人でもいることは良いことだ。知り合いは多い方が楽しい。」

「あなたが今も幸せなようで安心しました。てっきりもう死んでいるのかとも思ってましたよ。」

 

 まあ殺しても死なないような奴だとは思っているけれど。

 

「まあ確かに何度か危ないときはあったが今は奥さんに息子、孫。それに仲間に囲まれての幸せな隠居生活を送ってます。もう死ぬに死ねない身分ですな。」

「それは良いことですね。羨ましいですよ。」

 

 素直にそう思った。

 

「だったらうちで暮らしてもいいんですよ?」

「言ったでしょう?友人を待たせているんです。」

「どうやら大事なご友人なようだ。」

 

 茂は少し笑ったあと、真剣な表情になって言う。

 

「妹さんは見つかったのかい?」

「いえ。一体どこで何をしているのやら。」

「わしの方でも一応探してはいるんだが手がかりすらない状態で…。」

 

 気持ちはありがたいが普通の方法では妹は見つけることはできないと思う。

 

「おそらく妹は探しても見つからないでしょう。だから私は向こうから見つけてもらうしかないと考えています。」

「何か案でも?」

「少しね。」

 

 沈黙が流れる。

 

「では私はもう帰ります。今日はありがとうございました。これで貸し借りはなしってことにしましょう。」

「わしの命が百万とは安く見られたもんだ。それで?帰りは徒歩で?」

「電車ですね。」

「じゃあ最寄り駅まで送らせて下せぇ。」

「遠慮しても意味がなさそうですね。素直にその好意を受け取っておきます。」

「そうそう。それでいいんだ。」

 

 茂は満足そうに頷いた。

 

 そして私は車で駅まで送ってもらった。

 

 私がそれじゃあまたいつか、と言うと茂はおう、とだけ答えた。私は後ろを振り返ることなく歩き出した。

 

 

 正直頼ってしまうのは申し訳なく思っていたのだけれど、心配する必要はなかったらしい。

 

 昔から人情とか仁義とかなんとか言っていた人だからこうなることも必然と分かっていて、私は頼ったのでしょうね。

 

 そう考える自分のことをまた少し嫌いになる。自分のことを好きって思える人はどういう思考をしているんでしょう。単に自分の行為の意味を考えたことがないっていうだけかしら。

 

「…そんな言い訳をするのも馬鹿らしいわね。素直に昔の友人に会えて嬉しかったとしておきましょう。」

 

 私は少し苦笑した。

 

 すっかり日も暮れてしまっている。早く帰らなければ飛鳥を心配させてしまうかもしれない。私は少し足を早めた。

 




今回は新キャラが出ると言ったな。あれは嘘だ。
 というより本当は出そうと思っていたんですがおじいちゃんの方が持ってってる感がありまして出せなかったんですよね。でもまあ一応布石は打って置いたということで。村上という苗字で…あっとなってくれる人もいるとは思います。

今回もお読み頂きありがとうございます。正直思っていたよりも閲覧数が多くて嬉し恥ずかしって感じですがこれからも愛読して頂けると幸いです。


PS.共鳴世界の存在論とか飛鳥らしい最高のセンスですね。
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