放浪者ロロ異界見聞録 Self-interpretation   作:Boukun0214

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スピリット

 

 

「よお、ロロ、起きたか?」

 

 

朝、いや、まだ日は上っていないが。目が覚めると、そこは見馴れたベッドではなく、とても簡易的な野宿のための草の集まりだ。

 

 

「うん。おはよう、フール。」

 

 

あの日から数日、私は、この世界が夢ではないということを理解した。

それこそ混乱もしたしとても衝撃的で、その事実を受け入れるのには暫くかかった。

 

 

「よし、お前に、いいもん見せてやるよ。」

「え?」

 

 

まだ少し寝ぼけているのを引っ張られ、私は外へと出る。この灼熱にも、大分慣れてきた。

 

 

「運が良いぜ。なかなかコイツにゃ御目にかかれねぇ。」

 

 

フールが私をつれてきた場所は、何かの神殿の跡地のように柱で囲われており、所々が崩れている。

そして、何より特徴的だったのはその中心には大きな赤い宝石が聳えていた。

それは、フールの胸元で光っている石によく似ていた。

 

 

「よく見てな。」

 

 

フールが指で示す方向を見ると、私はその光景に目を奪われた。

 

この数日間、この世界でさまざまな生物に出会ってきた。

しかし。

 

 

「・・・すごい。」

 

 

生まれた瞬間に遭遇したのは初めてだった。

人のように母から生まれるのではなく、

何もない空間に力が結集し、そして生命が誕生するのだ。

すばらしい奇跡だ。この世界のすべての生命に敬意を表し、彼らをスピリットと呼ぶことにしよう。

 

 

赤いの宝石の近くに小さな宝石が生まれ、それが弾けるのと同時に中から生まれたスピリットは、こちらを見ると首をかしげ、慌てたように逃げていった。

 

 

「フールも、こうやって生まれたの?」

「・・・そんなもん、覚えちゃいねぇよ。でも、この世の奴等は、みんなこうやって生まれるんだ。こういう結晶がある場所なんかだと特に生まれやすい。」

「すごいね!僕のところとは、全然違うよ!奇跡みたいだ!」

 

興奮して騒ぐ私に、同行者は呆れたように笑う。

 

「まあ、お前のとこの世界じゃどうだったかなんて知らねぇけどさ、こっちの世界じゃ、当たり前のコトだ。そんなに騒ぐなよ。」

「ありがとう!フール!」

「おうよ。」

 

同行者は、私に構わずにその場を離れていってしまう。

 

「ちょっと!おいてかないで!」

「別に行き先がないんだから迷うことはないだろ?」

「行き先がないんだからはぐれたら困るんだって!」

 

 

この同行者は、どうも自由すぎる。

ただ、異界に来て不安な私の心を紛らわせているのも、また事実なのだ。

 

だから、もうしばらくは、彼と共にこの異界を旅するのも悪くはないかもしれない。

もうしばらくは、この奇妙な世界で過ごすのも。

 

いつか帰れる日を、この赤い石に祈ろう。

 

そして、異界の生き物(スピリット)に祝福あれ。

 

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