艦ラ松さん~カラ松、神通、ときどきレ級~   作:たんぺい

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二話~クズと馬鹿、軍門に下る~

それは、黒い悪魔だった。

 

漆黒のフードに身を包み、その白い身体を隠している。

だが、ぱっくり開いたフードの前面からは、下着のような衣装が見える。

そして、その顔立ちは幼いながら、しかし挑戦的な闘志を崩さない。 

その異形とも取れる体躯からは、巨大な尾が生えていた。

 

それは、深海棲艦最大の驚異の一つ、「レ級」。

 

その艦載機の数は空母をも凌ぐ。

その雷撃は雷巡すら越える。 

その砲撃は名に恥じぬ戦艦級。

まさに、驚異の一言だった。

 

その驚異の深海棲艦が怒っている。

茶番はそこまでだと、棲みかを荒らすなと、出ていけと。

そして、対するは燃料切れかけ弾も体力も無い艦娘と一般人。

 

そう、こんな状況下でレ級が現れたと知ったカラ松と神通はというと…

 

「命だけは!マジ命だけはご勘弁をぉぉぉ!アイツは直感が告げてる!キレた一松よりヤバそうだぁぁぁっ!!」

「全力で土下座しますからレ級さん私を沈めないでくださいぃぃぃ!!」

「プライドゼロカ!オ前ラァ!?」

 

全霊の土下座外交だった。

 

 

~それから~

 

 

「…マア、事情ハ飲ミコメタ…」

 

レ級は呆れながらも二人の現状を確認する。

一人は完全に漂流する形でやって来た、提督どころか軍属ですら無い一般人。

もう一人は、やむを得ない事情から脱走して迷子になって色んな意味で元サヤに帰れなくなってしまった艦娘。

…なんというか、撃つのが躊躇うような相手二人である。

 

このレ級は比較的深海棲艦の中では賢い類いだ。

故に…どうにも、相手に手が出しやすいか出しにくいかという判断もついてしまったのだ。

特に艦娘の方はどうでもいいというといいのだが、流石に純粋無欠にカラ松は一般人のぶん、

排除するに排除できないというのが、レ級の中での判断だったという。

 

「…下リ首ハ恥、武装解除ト私ノ言ウ事二従ウナラ、マア、コノ島二居ル分ニハ構ワナイヨ」

 

そんなレ級が下した二人の扱い。

それは奴隷一歩手前ながらも、最大級な温情措置だった。

なお、カラ松と神通の反応はというと…

 

「やったぜ!」 

「成し遂げました!」

 

超、嬉しそうだったという。

そんな二人の態度が気に触ったレ級は、カラ松と神通に質問する。

 

「…私ガ言ウノモナンダガ、何故嬉シイ?」

「絶海の孤島で美少女二人と理想のヒモ生活!最高じゃないか!」

「クズ過ギルワァァァ!有リ体ニ言ッテ、マトモナ男ノ台詞ジャナイダロ!」

 

まず、EDテーマよろしく、ある意味理想のヒモ生活が確約された事を喜ぶカラ松にレ級は迷わずツッコミを入れる!

一方、神通はというと…

 

「最悪の場合、全裸土下座か靴を舐める想定までしてたんですが、こうもあっさり生還できるとは…神通、感激です!」

「ソンナゲスナ欲求シネエヨ!テカナンナンダオ前ハオ前デ!オ前ラノプライドハドコニキエタ!?」

 

なんだか、斜め下の妙な想定をされてしまって、レ級は思わずひっくり返る。

そのうち、はっちゃけ過ぎる二人の馬鹿に頭を抱えつつレ級は思わずプライドの有りかを聞く。

その返答はというと…

 

「ただでさえ赤塚先生の作品ってキャラなだけでプライドなんてあって無いレベルなのに、毎週毎週キチ○イな赤塚連中にフルボッコにされて、俺のもうプライドなんかパンチドランカーなんだよ!」

「ただでさえログインする度にセクハラされる仕様のキャラだけでもしんどいのに、馬鹿姉妹の真ん中で胃痛に苦しむかニ水戦ネタの中間管理職の胃痛に苦しむかキチ教導ネタで変なキャラがついて、とっくの昔に私のプライドは粉々なんです!」

「…グウノ音モ出ネエ…」 

 

…魂の叫びに、レ級は実にげんなりした顔になったという。

 

そうして、二人の処遇が決まったところで、どうするかという話になり、

二人はレ級の案内により、棄てられた洋館…現在はレ級の根城にあたる場所へと向かった。

 

そこに連れていかれた先には、埃をかぶって居るが立派な玄関が見えており、その奥にはリビングが見える。

リビングからはトイレや食堂らしき部屋の他、物置らしき雑多な物品が無造作に積まれた部屋がちらりと覗いていた。

そして、リビングのフロアから伸びる階段のその先にはいくつかの部屋が有る。

元々、その洋館は旅館か金持ちの別荘にでもするつもりで立てられたのだろう。

明らかに「個室」というレベルの広さの部屋が待っているに違いなかった。

 

現在は蜘蛛の巣は張ってるは、窓ガラスもヒビが入るわと、一部ならず洋館は非常にぼろぼろな様相を見せているが、

それでもその洋館はレ級が最低限出入りするだけに人はすめなくはない体裁は整って居た。

 

レ級いわく、出世払いで良いから、お前らに個室を一つずつ貸してやるよ、という話だった。

無邪気に喜ぶ神通の横で、カラ松は感無量という口調で呟いた。

 

「夢の…マイルーム…!」

 

夢の?と神通が聞くに辺り、カラ松は感嘆の意を込めて言った。

 

「うちは、元々六畳一間を六等分してたからな…!」

「六等分!?オ前、六人兄弟カ!頑張ッタナ、オ前ノオカン!」

 

俺ぁ六子だからな、とレ級のツッコミに対し苦笑いでカラ松が返す中で、

神通は一言、こう漏らした。

 

「…1長良型レベルじゃあまり大家族感が沸きませんね、せめて1睦月型レベルじゃないと」

「へえ、俺達以上の数の兄弟姉妹がいるのは凄いな!」

「ッテ、元々戦艦ノ艦娘ト人間ヲ一緒ニスルナァァァァァァァァ!!」

 

…カラ松が神通に関心する横で、レ級のツッコミが木霊した…

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