結局、ヒジリサワ↓ショウノスケ↑は食べられなかったので、改めて魚を捕った一行。
そして、じゃんけんに負けたからという理由から、料理担当は神通になった。
さて…
「ふむ…難儀なものですね」
神通は魚とにらめっこしながら、軽く呟いた。
魚の鱗を丁寧に取る。
次に、内臓とヒレを落とす。
塩を魚に降る。
その魚を焼く。
そして、それを皿に盛ると…
「何故、これがカレーになるのでしょうか…ジャガイモや人参は何処から来たのでしょうか…」
「知らんがな、旨いから良いけど」
「呪イカ何カ?」
…目の前の不思議に全員が小首を傾げる事態になったという。
~それからそれから~
「まあ、女神が料理を作ると物理法則を無視してカレーが出来上がるのは理解した」
何故か出来上がるカレーの山を食しながら、カラ松は呟いた。
そして、こう続ける。
「…つまり、カレーが食べたい時以外、女神じゃなくて俺が飯を作れば良いんだな?」
そんなカラ松の言葉に色めき立つ神通とレ級。
この、目の前の自意識過剰な男が料理を作れるとは、誰も考えてなかったのだ。
その辺り、レ級がツッコミを入れると、カラ松はどや顔でこう返した。
「料理が出来るクールな男は合コンとかでかっこよく見えてモテるって…我が弟、トッティの本に書いてあった!」
…実にカラ松らしい理由での、スキル習得であった。
なお、女性陣の反応はというと…
「いたたたたた!油断しました…これじゃ、戦いにくいです…」
「…本当ニ痛イナ、カラ松…」
大不評だったという。
そんな姿を見て、何故だぁ!何も俺は女神や堕天使を傷つけたい訳じゃないのに!?と、
カラ松は頭を抱える羽目になったとかならなかった、とか。
~それからそれから~
「…と、カラ松さんの痛さはおいといて、ですよ」
「痛いって…」
「おいといてです、暇です」
せやな、とカラ松とレ級がうなずいた。
何せここは無人島、娯楽施設なんかありゃしない。
それどころか、寝床代わりになってる朽ちかけの施設ぐらいしかない。
ぶっちゃけ、やることがないと暇で仕方なかった。
それでもレ級は、それこそ適当な時に海に出て深海経由で艦隊にケンカを売りにでも行けるのだろうが、
実質的に無人島から脱出不可能なカラ松と神通からしたら、どうしようもなかった。
カラ松は慌てて自分の荷物を確認するが…
「…駄目だ、ちくわと俺特製俺ブロマイドしか持ってねえ…」
「自分ノブロマイド自作シテンノ!?若干痛イヲ通リ越シテルゾ、オ前!!」
案の定、カラ松はカラ松である。
そこで神通はというと、カラ松を冷めた目で見ながらも、そんな事も有ろうかとと前置きしながらあるモノを出す。
そんな取りだしたモノはというと…
「麻雀卓でございます!」
雀卓である。
レ級はいきなり現れた雀卓に、いったい何処から持ってきたのか神通に聞く。
そんな返答はというと、こんな感じだった。
「今回みたいな非常事態で行方不明になった時の事を考えて、こんな感じの娯楽アイテムは肌身離さず持ってるんですよ!驚きましたか!」
どや顔で言う神通。
そして、レ級どころかカラ松ですら頭からひっくり返る。
堪らず、レ級はツッコミを入れた。
「非常事態ヲ想定スルナラ!弾薬トカ!燃料トカ!SOS信号出セル発煙筒デモ持ッテ来イヤ!」
「…!そんな…発想は……有りませんでした!!」
「アホダロォ!オ前ェェェェ!!」
…根本的に、この神通は頭のネジが5本ぐらいぶっ飛んでいた。
一方、カラ松はというと。
いつの間にか雀卓にスタンバり、レ級と神通をおーい、と呼びながらこう言った。
「折角、四人目が足りなかったっていうんでヒジリサワ↓ショウノスケ↑さんが入ってくれたって言うのに…」
「イイ加減ニシロヨ、ヒジリサワ↓ショウノスケ↑ェェェェェェェェ!!」
レ級のツッコミが、無人島に響いたという。
なお、ダイジェストで言うと、こんな感じ。
「ツモ、タンヤオ」
ヒジリサワ↓ツモ:八萬
ヒジリサワ↓手牌:六萬 七萬 八萬 六萬 七萬 八萬 六萬 七萬 三筒 三筒 七筒 七筒 七筒
「…それは…」
「…タンヤオって云いますか…」
「…ソレデイイノカ、オ前…」
こんな感じでヒジリサワ↓の一人勝ちだったとか。
カラ松と神通とレ級がげんなりしてる理由がわからない人は、
麻雀がわかる人とリーパイしてみようね!
「それでいいのだ、きっちり親かぶりでカラ松飛ぶし」
「ヅガァン!?そりゃ無いぜ…」
…そして、カラ松の一人負け、だったとか。
~それからそれから~
こんな感じで、何時しか5連チャンぐらい卓を囲んでいたら、ふと神通がこんな事を言い出した。
なんか、目が重たい…と。
そして、バタンと倒れるや否や、雀卓に突っ伏してぐっすりいびきをかきながら寝だしてしまった。
さすがに、はっちゃけ過ぎてる神通に、レ級は怒りもこめて呆れる。
これが本当に自分達の最強の敵でニ水戦の隊長だったのかよ、と。
「ニ水戦?」
「ンー、又聞キナンダガナ、昔ノ日本デノ最強ノ水雷戦隊…世界最強格ノ艦隊、ソノ旗艦、ツマリリーダーヲシテイタノガ、『神通』ナンダト」
戦艦に詳しくないカラ松にレ級が知る限りの知識をカラ松に話す。
かつての栄華を誇った、文字どおりの戦場の華だった、と。
それを聞き…カラ松はすこし優しい目をして、レ級に語りかけた。
「…もしかしたら、俺達に出会うまで、ずっと女神は『神通』を演じてたのかもな、いままで」
「…演ジル?」
「『みんなの期待が怖い、裏切りたくない』…そんな感じでずっと張り積めてたんだろ、彼女もふつうにはっちゃけたり笑ったりトンチキだったりする女の子には違いないはずなのにな、変な拍子に一気に反動が来ても…おかしくは無いだろ」
そんな感じで、誰に向けるでもなく語りかけるカラ松。
レ級は、すこしまともなカラ松の姿を見て目を丸くするが、カラ松はというと苦笑いで返すだけである。
そして、こう続けた。
「…こんな感じで、悩んでる弟がいたからな、それこそ情けない話…読心術でもなかったら知ることはなかったんだろうってのが悲しいが」
「…カラ松…オ前…」
少しだけ寂しそうなカラ松の背中。
レ級はそんな姿を見て言葉に詰まる。
「なお、当の俺はというと、その弟に何度も殺されかけてるけどな!火炙りも見捨てられたし、梨以下の扱いだし!!」
「カラ松オ前本当ニソノ弟ニ何ヲシタ!?」
なお、レ級は別な意味で言葉につまった。
…詳しくはおそ松さん、5話参照。
さて、そんな感じでカラ松は扱いの悪さを思い出し泣きそうになるものの。
優しい口調のまま、神通を見据えて、こう告げる。
…さて、子守唄でも歌ってやろうか?と。
そんなカラ松の言葉に、一瞬神通の背中がピクっとする。
その神通の姿を見て、レ級もさらに畳み掛けた。
「タヌキ寝入リッテカ、オ前ガ半分起キテルノハ知ッテルンダ、コッチハ」
「酒もないのに顔真っ赤だし、さっきの話から突っ伏してるのにずっと背中が動いてたしな」
なんだか年相応なカワイイ所、有るじゃないか。
二人のツッコミに対し、神通はガバッと顔を上げるとこう叫んだという。
「そんなんじゃ有りませぇぇぇん!!」